FJ1200-4CC 整備資料



 2019.02.15  ハリケーンの「150アップ2型」で高さを変えずに実質的な引きを「+8.5㎝」に





FJはABMのスペーサを使ってバーハンドル化してあります。→→→こちら
最初のバーハンドルはABMスペーサにおまけで付いてきたCB750 用。
次にハリケーンのヨーロピアン3型にして実質的な引きを「+4㎝」に。→→→こちら
しかし、小旋回の練習でハンドルを右に一杯切ると、右腕に余裕がなくなりアクセルを開けることも。
そこでハンドルを「150アップ2型」にして「高さを変えずに引きをもっと増やそう」と。
結果は、高さが変わらずに実質的な引きが「+8.5 ㎝」に。
このバンドルにしてやっとフルロック旋回ができるようになりました。


150アップ2型はヨーロピアン3型の高さを変えずに引きを増やす
カウリングとの干渉
ヨーロピアン3型ではスイッチボックスと干渉
150アップ2型では標準マスターと干渉
干渉部分のカウルを切り取る
ワイヤリングは何とか今までのままで・状態
出来上がり・高さと引きの実質的変化
試乗・フルロック旋回ができるように
残された課題
2019.04.06.追記  尾鷲・熊野での「150アップ2型」


     
1.高さを変えずに引きを増やす。「150アップ2型」


今回の目的は「ヨーロピアン3型」より“ハンドルの高さ”を変えずに“引き”を増やすこと。

まず候補に上がるのが、「ヨーロピアン3型」の1サイズアップの「ヨーロピアン4型」。→→→こちら
引きが「+1㎝」、高さが「+3㎝」で、引き角度は「同じ25度」、立ち上がり角度も「同じ70度」。

引きは1㎝ 増えるだけだけれど、高さが3㎝も増える。
高さは今のままでよいから、ハンドルを寝かせれば引きが増える。
しかし、高さの「+3㎝」の分だけ“引き”を大きくすることはできない。
ハンドルを寝かすとグリップが下がりレバー取り付け角度が変わってハンドル操作やレバー操作に支障がでる。

ここは「高さが同じで引きの大きい」ハンドルがよい。
次に候補に上がったのが「150アップ2型」。→→→こちら

150アップ2型は、高さ / 同じ 14.5 ㎝ 、立ち上がり角度 / 同じ 70 度 、引き / + 7㎝ 、引き角度 / + 21 度 、ハンドル巾 / -2㎝ 。

・“引き”が大きくなれば“引き角度”が増えるのは当然。
・ハンドルを手前に引くと脇が締まりハンドルを持つ巾が変わるのでハンドル巾が減ることも当然。
  ※引きが大きくなってハンドル巾が同じだと両腕が開いてしまう。
・だから乗車感覚は「ヨーロピアン3型 を手前に 7㎝ 引いたもの」になるはず。


・上が今までの「ヨーロピアン3型」、下が今回の「150アップ2型」。
  「+7㎝の引き」に少々怖じ気づいてしまいます。
・「とにかく取り付けてみなければ進まない」
  だめならヨーロピアン4型にすればよい。


    

2.カウリングとの干渉

     
a.今までのヨーロピアン3型での干渉

カウリングと干渉するのは、右も左もスイッチボックス。

ここからフルロックまではあと少し。カウリングが少しゆがみますがフルロックできます。

・ハンドルを精一杯寝かせて、
  マスタータンクがカウリングと干渉しないようにしています。
・レバー取り付け角度はOKですが、
  レバー引き角度が減ったためレバーを外側へ曲げています。
・これがフルロック状態。
  カウルの「角(ツノ)」が外側へ押されて、
  角(ツノ)とスクリーンとの間に隙間ができます。


・右側も同様。
・当たるのはスイッチボックス。
・これがフルロック状態。
・レバー角度をもう少し上げると今度はレバー取り付け部が当たります。


なお、最初に取り付けたCB750用だとカウリングと干渉する部分はありませんでした。
軽いバーエンドだけでハンドルの振動もなし。
体型さえ合えばFJのバーハンドルにはCB750 用 がピッタリです。

ABMバーハンドルキットはトップブリッジの上に取り付けるタイプなので、
トップブリッジそのものを交換するタイプより、ハンドル取り付け位置が 15 ㎜ くらい上がります。
トップブリッジそのものを交換するタイプならハンドルは15 ㎜下がるのでヨーロピアン3型でもカウリングと干渉することはありません。
    

b.今回の「150アップ2型」での干渉


「引きが大きくてハンドルが手前にくるから、もしかしてマスタータンクがカウリングに当たらないかも…」という期待は外れ。
「+7㎝の引き」ではマスタータンクは逃げきることができません。

・ここまでガッチリ当たってしまうと、カウリング角(ツノ)の歪みは期待できません。 ・しかし、「スイッチボックスが干渉しないこと」は幸い。


・干渉がマスタータングだけなら、
  「タンク別体式」にすればカウルとの干渉を避けることができるかもしれないから。
・しかし、このハンドル変更が「当たりか外れか」がまだ判らない。
・「タンク別体式への検討」はこのハンドルにOKが出てから。


とにかくこのハンドルで走ってみなければ分からない。。
それには、カウリングとの干渉を解消しなければならない。

そこで…。

    
c.カウルを切り取る。

「現物合わせ」でカウルと干渉する部分を切り取りました。

・FJのカウル取付は、
  ミラー取り付け部と FRPの角(ツノ)部の二カ所。
・ミラー取り付け部で、カウルは2本のミラー取り付けボルトで
  鉄製のフロントステーにしっかりと取り付けられます。
・角部はスクリーンにプラスチックビス1個で取り付けられているだけです。
  だから、角部のカウル取り付け部を無くしてもカウル取付強度に問題はありません。
・当然スクリーンも切り取ります。
・サンダーにFRP用デスクをつけてそのまま切り取ります。


・FJのスクリーンは左右三本の樹脂ボルトで留められています。
・「角切り」により先端のスクリーン取り付けボルトが使用できません。
  取り敢えずスクリーンに穴を開けてタイラップ留め。
・スクリーンの取り付け強度アップは今後の課題。
  アルミステーで補強するのが良さそう。


「カウルを切ったら元に戻せないじゃない! 使ってみてハンドルが合わなければどうするの!」

そんなときのためにFJパーツをコツコツとため込んでいるのです。
「小修理で生き返る」FJカウルのストックが二つ、車検用の鹿角スクリーンを含めスクリーンのストックが二つあります。

それに、「ツギハギ」のこのカウルはそろそろ換え時なのです。


d.「干渉なし」に

これは「現物合わせ」だから当たり前。


ハンドルを起こしたり、レバー位置を上げたりするとまた削らなければなりません。

いっそのことスクリーンも短く切断した方が良さそう。
   ★★31     
選任のための法律知識・

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3.ワイヤリングの変更


a.スロットルケーブル

・スロットルケーブルは前回のヨーロピアン3型への変更で
  「XJR1200 のもの」に交換してあります。→→→こちら

・ヨーロピアン3型ではマニュアル通りのパイピングができしました。
  ※ヘッドパイプ前の△形パイプの真ん中を通して、ヘッドパイプの左側からキャブレターへ

・しかし、今回は
  「ヘッドパイプ前の△形パイプの真ん中を通さずに、ヘッドパイプ右側から出す」に変更。

・このパイピングでは、ハンドルを左へ切った場合に
  スロットルケーブルがヘッドパイプに当たって曲がり、
  ケーブルが突っ張ってアクセルを開けることがあります。→→→こちら
  標準のパイピングができるように、もう少し長いケーブルを検討しなければなりません。



b.クラッチホース

クラッチホースのパイピングは「フォークの前からヘッドパイプ後の△の下を通る」。
しかし、これができないので「フォークの後から△の下へ」。
クラッチパイプを外さなければならないので、久々の「気泡吸い出し法によるエア抜き(※こちら)」となりました。

・フレームとの干渉が予想されるので、
  クラッチホースとスイッチハーネスにスパイラルチューブを巻き付け。
・フルロックにすると、
  クラッチホースとハーネスがフォークに当たったり、タンクに当たったり。
・「コツン」というフルロックを確保するために、あちらこちらにタイラップ留め。
  「XJR1200 の長いクラッチホースでフォーク前から」の予定。



c.キルスイッチコード他の右側

 キルスイッチコードは延長してあるので問題なし。→→→こちら
  却って「長すぎ」が災いして干渉。。
  何とか干渉しないように収めました。

・フロントブレーキホースは長いものに交換してあるので問題なし。→→→こちら

   ●●     
選任のための法律知識・








4.出来上がり


a.引きと高さの実質的変化

ハンドルは自分の体型やライディングポジションに合わせて寝かせます。
ハンドルを寝かせると「実質的な高さと引き」が変わってきます。
その変化を調べました。

※高さ : グリップの中央から紐を垂らし地面との接触点までの距離 ( ハンドル先端 ~ 地面 )
※引き : センタースタンド両足の前に定規を当て、そこから上記地面接触点までの距離 ( ハンドル先端 ~ センタースタンドの前足 )


・こちらが以前の「ヨーロピアン3型」。
・高さ : 106㎝、引き : 33㎝。
・こちらが今回の「150アップ2型」。
・高さ : 105.5 ㎝、引き : 24.5 ㎝。
・実質的な高さは「-0.5 ㎝」、実質的な引きは「+8.5 ㎝」


ハンドル自体の引きは「+7 ㎝」、実際の引きは「+8.5 ㎝」。
ハンドルの傾きは「やや立っている」。
立ち上がり角度は同じ 70 度 だから 150アップ2型 の方がグリップが上がっている(水平に近づいた)ことになります。
高さは 0.5 ㎝ 減っただけだから、「高さを同じにして、8.5 ㎝引いた」ことになります。


※注意.ハンドル高さについて

ハンドル高さはハンドルの腕(グリップ部分)を水平にしたときのもの。
だから、ハンドルを寝かせればハンドル高さは低くなります。

ヨーロピアン3型 と 150アップ2型 は高さと立ち上がり角度が同じ。
150アップ2型の方がハンドルが立っている(グリップ部が水平に近づいている)のになぜハンドル高さが「-0.5  ㎜」と減ったのか?

これはハンドル高さが「ハンドル底(ハンドルクランプ下面) ~ ハンドル先端(グリップ中央)」ではなく、「ハンドル底 ~ ハンドルの肩」だから。
上では「ハンドル高さ = ハンドル底 ~ ハンドル先端」として測定しています。
この場合は、ハンドルの腕の長さや絞りが関係してきます。
もし、測定を「ハンドル先端 ~ 地面」ではなく「ハンドルの肩 ~ 地面」にすればハンドルが立っている150アップ2型の方が測定値が大きくなっているはずです。
写真を比較してもこのことが判ります。


・こちらが以前のヨーロピアン3型の「引き」。 ・実質的な引きが「+8.5 ㎝」ではこれだけ違います。


ハンドルブレースはストックのRMXハンドルに付いていた「30㎝のもの」を取り付け。※ハリケーン推奨 : 28 ㎝ の Mサイズ。

・粋な「ヨーロピアンクルーザー」のFJが「白バイ」になってしまいしました。

・見た目がここまで違うのなら乗車感覚は「はっきりと違う」はずです。


     

b.試乗-フルロック旋回ができました

上体が起きたのがハッキリ判ります。
今までより前輪が遠くに感じます。
「これで曲がれるのかな?」

走ってみると「ハンドルが無重力状態」
ハンドルを押したり、引いたり、ぶら下がったりのない状態。
あたかも、ハンドルを離しているような感じ。
自分の体型とライディングポジションに「 150アップ2型の 引き・高さ・巾 」が適合しているのでしょう。


そして、驚いたのが小旋回とUターン。

ハンドルが「スッ」と落ちます(切れます)。
ハンドルの引きの増加で上体が起き、ハンドルが無重力状態になってセルフステアが効くようになったのでしょう。

おかげで、「アイドリングでのフルロック旋回」ができるようになりました。
この「倒れそうで倒れない」が病み付きになりそうです。


「Uターン・小旋回を練習する前に、フルロック旋回を練習する必要があるのはなぜか?」と疑問に感じていました。
これは「バランスを磨くため」だったのです。
「倒れそうで倒れない」を体得するためだったのです。

「倒れそうで倒れない」ができると重量バイクの取り扱いが「格段に楽」になります。
立ちコケ寸前で止めることができるので立ちコケの恐怖がなくなります。
そして、怖がらずにバイクを傾けることができます。

「取り扱いさえ楽になれば」重量バイクは面白い乗り物になります。
今は「フラフラするRMX」よりFJに面白みを感じています。

今のところ、クランクケース前スライダーの下に取り付けた補強パイプは地面と接触していません。


なお、ライテク書に紹介されている「初心者でもできる安全で確実なUターン」として
「ハンドルを切ったまま両足をついて、半クラッチ・クラッチOFF で進む」というのがありますが、これは初心者にはできません。(私はまだできません。)
これができなくてもフルロック小旋回やUターンができます。
まずは「セルフステアで小さく回る」ことだけを練習するのをお勧めします。


なぜかギヤオイル減少でウォーニングランプ点灯。
いままでにはなかったこと。
低速・アイドリング多用のせい?
本日、ギヤオイルを500㏄追加 ( 全容量3000㏄・昨年夏前に交換 )。
一抹の不安。

      


練習場がサオリーナに戻りました。

オートバイは「どこでも嫌われ者」。
新しく見つけた近くの県営施設、「車がまったく駐車していない」駐車場で、巡回していた施設員に「そんな危ないことはしないでください。」と注意されました。

ジムカーナーの練習をしているのじゃあるまいし…。

     
c.残された課題

ハンドルをヨーロピアン3型から150アップ2型に変更して「ピッグスクーターのようなライディングポジション」になりました。
ライディングポジションに違和感があるものの操縦は楽になりました。
「もう少し引きが少ない方がよい」とも感じられますが、もう少し乗り込んでみないと判断できません。

このハンドルがOKとなると残された課題は三つ。
・①.クラッチレバーが遠くなった。
・②.パイピングを変更しているのでフルロック時に挟むことがある。
・③.カウリングとマスタータンクの干渉。

・① はレバーを曲げて手元に引き寄せるか、XJR1200 の調整式レバーにすれば解決。
  しかし、XJRのレバーはFJのものと取り付け部の形状が違うのでマスターシリンダーごと交換しなければならない。
  マスターシリンダーごと交換だと、XJRの3極クラッチスイッチをFJ用の2極に対応させる必要がある。

・② は既に入手してある XJR1200 に使われていた純正クラッチホースかメッシュホースに換えて「フォーク前から回す」に変更すれば解決。
  もちろん、スイッチボックスの配線も延長しなければなりません。

・③ は「タンク別体式マスターシリンダー」を試すこと。
  これでカウリングとの干渉がなくなるかどうか分からないが、やってみないことには始まらない。

①・②・③とも早急に解決しなければならない問題ではないので少し先になります。

「今年9月の車検までには…。」

      

d.2019.04.06. 追記  尾鷲・熊野での「150アップ2型」

温かくなりました。桜は満開。
自作スライダーに 150アップ2型 、そして小旋回の練習。
久々にFJを尾鷲 ・ 熊野の峠に持ち込みました。
前回の尾鷲・熊野は 2018年1月、一年ぶりです。

日本はどこに行っても桜があります。
街道沿い、河沿い、遠くの山々。
学校や公園。
一本だけ大きく見事な桜。

桜を楽しみながら走ったので、いつものように目をつり上げて走れませんでした。

コーナリングでは以前より後輪の肩に乗れるようになったけれど、まだまだ「Rの長い」コーナーでとまどってしまう。
タイトなヘアピンではイン側の足を出してしまう。

小旋回練習の成果は感じられますが、やはり峠道での練習も必要。


「150アップ2型」は乗りやすかったけれど、翌日に肩と首の筋肉痛。
「ハンドルが少し高い」のか…。


全走行距離は318㎞。

・熊野で満タン( 跨がってタンク口まで 「2000円 分・15.39㍑」給油)
・帰ってきてから(メインスタンドを立てオーバーフローするまで)10.46㍑ 給油。

・熊野では完全に満タンになっていなかっただろうから、帰り道での消費燃料は「 10.46 - 1= 9.46㍑ 」程度。
・走行距離は「318 ㎞ ÷ 2 = 159 ㎞」
・燃費は 159 ㎞ ÷ 9.46 ㍑ = 16.8 ㎞/㍑

フルパワー後 2018.01 での尾鷲・熊野が 16.57 ㎞/㍑。→→→こちら
ほとんど同じレベルです。

これからの課題は「Rの大きなコーナーとヘアピン」。

それをFJで修得するころには、FJにプレミアがついているかもしれません。


つづく




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