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・平成24年度公共調達- 例年のDランクを今年から排除、新規参入者の締め出し?





国の調達で「独立したら必ず落札しよう」と予定していたものがあります。
一つは前の会社で私の営業所で落札して業務を行ったもの。もう一つは前の会社で参加を見送ったもの。
どちらも「D等級OK」で前の会社も「D等級」。
しかし、今年は二つとも「D等級排除」。
いろいろと理由をつけて新規参入者や弱小事業者を締め出していくようです。
総務省の行政監視と勧告では「新規参入者のことを考えなさい」としいているけれど、
『代官さま…、ヘッ、ヘッ、ヘッ…』、『越後屋…、フッ、フッ、フッ…』は「ここにも、あそこにも」。


総務省の行政監視と勧告
新規参入者の締め出し・例年のDランクを今年から排除
なんとか1件を落札
警備業者の色を決めることが必要


     
1.総務省の行政監視は掛け声だけ?


a.随意契約や指名競争入札は例外のはずだけれど…


〇〇屋 『 お代官様!あの仕事をぜひ手前どもに‥。』
お代官 『 そう頼みに来るヤツは多いでのぉ、フ・フ・フ‥。』
〇〇屋 『 心得ております、ヘ・ヘ・ヘ‥。』

これは水戸黄門様でのお話。

平成の世の中では、公共調達は公平な一般競争入札が原則です。
『 フ・フ・フ‥。』・『 ヘ・ヘ・ヘ‥。』 の随意契約と、
『 この鑑札をお前にやってもよいのだが‥、フ・フ・フ‥。』 の指名競争入札は例外です。
※ 会計法29条の三・予算決算及び会計令 94条6号

しかし、これは建前。
そう簡単に官僚体質が変わるわけはありません。

『 助さん! 角さん! こらしめてやりなさい!』 はドラマだけのこと。

平成17年の公共調達額は 7.2兆円。
この中で随意契約額は 3.3兆円!

「 清い水にはなんとやら 」


b.総務省の行政監視と勧告


この官僚体質を正そうとするためなのか、体裁を取り繕うためなのか、総務省は平成20年から公共調達の実態を調査して、
「契約の適正な執行に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」を発表しています。 →→→ こちら

『なるほど、なるほど、その通りだ!』 と思っても、これが掛け声だけでは意味がありません。
しかし、その実効性はさておき “ 今も変わらぬ〇〇 ” の実態を知るのは参考になります。


平成20年の勧告では次のような “ 掛け声 ” を上げてくれています。

①.随意契約・指名競争入札の中で一般競争入札にするべきものがありますヨ!
・ 随意契約とする理由を再点検して、一般競争入札への移行を推進しなさい。
・ 指名競争入札を行う場合は、その理由を案件ごとに十分検討し、合理的理由がある場合に行うよう徹底しなさい。

②.応札条件を見直しなさい。
・ 随意契約・指名競争入札が一般競争入札に変わっても、参加要件(応札条件)で制限したのでは意味がありません。
・ 同種・類似業務の受注実績は合理的なものでなければなりません。

③.新規参入者のことを考えなさい。
・ 入札価格が算出できるように、具体的な業務内容や業務量を明示しなければなりません。
・ 公告から入札までの期間、開札から業務開始までの期間を十分に取らなければなりません。
※法律では入札公告は入札期日の前日から起算して少なくとも10日前。
※開札日から業務開始日までの期間については法律の定めなし。
※「 3月29日開札、4月1日業務開始 」 では、新規参入者は準備できませんものネェ‥。当地ではそんな調達がありますが‥。

④.公告は一般に周知されるように工夫しなさい。
・ ホーム ページで知らせることが必要。

公告を庁舎の掲示板に貼りだしただけの事例もあるとか。
「 ホームページから公告をすぐに削除する 」 のもやめてくださいね!
※平成20年勧告について詳しく知りたい方は→→→こちら

     
2.新規参入者の締め出し・例年のDランクを今年から排除


私が『必ず取ろう。必ず取れる。』 と予定していた調達は二件。
労働省地方機関の調達と教育独立行政法人の調達。
二つとも各省庁統一資格での調達です。

労働省の方は2月10日公告、2月24日開札、4月1日業務開始。
教育独立行政法人の方は3月6日公告、3月9日説明会、3月27日開札、4月1日業務開始。

両方とも昨年より随分早い公告・開札です。
総務省の勧告が功を奏したのでしょうか。


しかし、参加要件は‥。「A・B・C等級」!

昨年までは 「A・B・C等級とD等級」。本年から「D等級は参加不可」!

その理由を労働省地域機関に問い合わせると、

『今までは5地区を別々にしていましたが、今回は、5地区の中で4地区を合わせて一括調達としました。
  4地区を合わせると規模が大きくなりますのでD等級を除きました。
  1地区を別にしたのはその地区に応札者が少ないからです。この地区についてはD等級でも参加できるようにしました。
  監査で指摘されましたのでこのようにしました。
  毎年参加している業者の方はすべてC等級ですから‥。』


この調達は単なる駐車場警備。
・A地区は6時間・1ポスト
・B・C地区は6.5時間・2ポスト
・D地区は6時間・2ポスト
・E地区は6時間・1ポスト
・どのポストも二級資格者配置の必要なし。

人気のあるA・B・C・D地区を合わせて一括調達とし、人気のないE地区を別にしたのです。
そして、A・B・C・D地区を合わせると7ポストになるからD等級を排除したのです。

「D等級では一般隊員を一日に 7人出せない 」 と考えたのでしょう。
D等級もなめられたものです。


他県の労働省地域機関では、もっとたくさんの地区を合わせて一括調達してもD等級を含めています。
D等級を排除する合理的理由はないと思いますがネェ。

A・B・C・D・E地区の全てを一括調達するのならまだ納得ができますが‥。

まぁ、新規参入のD等級が入札に参加すれば、値引きすることは確実ですからねぇ‥。


教育独立行政法人の方にも 「D等級排除 」 について問い合わせをしました。

私 『 毎年D等級も含めていたのに、なぜ今年はD等級を排除したのですか?』

係 『これは監査で指摘されたことなのです。』

私 『D等級を排除する法的根拠を教えてください。』

係 『当行政法人の契約事務取扱規則6条3項と別表に、
   「契約金額が300万円~1000万円はC等級、入札參加者が少ないと見込まれる時は上位二等級 ( A・B等級 ) と下位一等級 ( D等級 ) を加えてもよい」とされています。』

私 『 昨年までは入札参加者が少ないと予想されたからD等級を含めていたのですね。入札參加者が多くなってきたからD等級を排除したのですね。』』

係 『‥。毎年参加される業者さんは皆C等級以上ですから‥。』

私 『それでは、今年の調達に A・B等級を含めたのはなぜですか?』

係 『現在、業務をやってくれている業者さんがA等級に昇格しましたので‥。』


なお、この調達は
・平日の宿直と休日の日直が1ポスト
・平日の巡回3回・休日の巡回5回 の合計8520時間/年 ( 平成22年度 )。
・落札価格は平成21年度816万4800円、平成22年度788万6340円、平成23年度「公表見当たらず」。


この独立行政法人の契約事務取扱規則では 「D等級は契約金額300万円以下」。
今どき 「粗利40%」は夢のまた夢。
「粗利 30%」としても「D等級の利益は 90万円 / 年・7万5千円 / 月 」。

さすがは教育法人、『 新規開業のD等級は無理をしてはいけません 』 と教えてくれているのですネ。


それにしても、『 監査で指摘されましたから‥。』 には引っかかります。
どこの監査でしょうか。
監査の監査が必要かも知れません。

本年の公共調達で排除されたD等級の皆さん!
怒りの声を総務省に集めましょう。→→→ こちらへ
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選任のための法律知識・








3.なんとか一件を落札


これまでに入札参加を検討したのは、上の2件を除き6件。
国の調達が4件、県の調達が2件。

国の調達4件のうち 「例年のD等級を排除」が1件。
もう1件は「多地区・多人数・資格者配置」で見送り。
さらにもう1件は「本年度に限り一年間ではなく短期間の調達」で見送り。

残る1件には参加しましたが、SPnetの前年落札価格の「16%引き」に対し、落札者は 「33%引き」。
前年度落札価格より3割以上低い値段でないと落札できないのが「D等級でも参加できる公共調達」なのです。


県の調達2件のうち1件は短時間・遠隔地なので見送り。
残りの1件を落札しました。

入札価格は前年度落札価格の 「10%+α」引き。
後で他社入札価格を見てみると、「前年価格と同じ」でも十分に落札できたようです。

「10%+α値引き」は“ 名刺代わり ”と考えましょう。


今回の入札検討・参加で 「 誰でも参加できる公共調達に利益のでるものはない 」 ということがはっきりと分かりました。
「相撲の三役か横綱クラス」になってからでないと公共調達で利益を上げることはできません。

公共調達を当てにして開業するのはやめましょう。

     
4.警備業者の「色」を決めることが必要


警備会社にはいろいろな 「色」があります。

「幕内力士クラス」の警備会社は、それがどんな色であれ 十分な利益を上げていきます。
ゆるぎない「名声・実績・体力・ごひいき」を持っているからです。

「十両クラス」の警備会社も「色」を持っています。
たとえば、「幕内力士二番三番煎じ」、「公共調達頼み」、「頭数を揃えるだけ」。

それなりになんとか利益を上げられますが、幕内力士クラスにかなうわけがありません。


開業したての 「幕下警備会社」も「色」を決めなければなりません。


ここで注意しなければならないのは、「 いったん色が決まるとその色から抜けられない 」 ということです。
「頭数揃えの警備会社」 はいつまでたっても「頭数揃えの警備会社」です。
頭数揃えの「 評判・実績・体質・ごひいき」ができ上がってしまうからです。

この色を変えるためには、管理職の意識 ・ 営業方針 ・ 顧客 ・ 隊員の質 すべてを変えなければなりません。
これは 「あり余る体力」を持たない警備会社には不可能です。
そんなことをしたら目先の利益も上げられなくなって潰れてしまいます。

いったん色を決めたらそれを変えることはできません。
色は「自分に合ったもの・自分が好むもの」でなければなりません。


また、「幕下警備会社の色」は「十両警備会社・幕内警備会社」と互角に戦えるものでなくてはなりません。
そうでなければいつまでたっても十両・幕内に上がれません。


好みの色は人それぞれですが、「十両・幕内警備会社と互角に戦える色」とは何でしょうか?
それは「専門技術」です。
「 一人一日いくら 」 ではなく 「 技術一日いくら 」 で警備を売ることです。

警備会社の売る商品は「隊員が行う警備」です。
専門技術を持った隊員を集めることは簡単ではありません。
それが専門外である警備会社では、専門技術を持った隊員を育てることができないからです。

そんなことを考えさせられた平成24年度の公共調達参加でした。


つづく




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