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・公共調達まとめ(参加制限,入札保証金・契約保証金,調達時期,落札金額)・新規開業と零細警備業者に利益の出る公共調達はない(2012.05.03)





ここでは国,都道府県,市町村の公共調達について「参加制限・保証金・調達時期・落札金額」をまとめておきます。
ただし、度々書いているように「もうかるような公共調達」は古参事業者・大手事業者だけしか参加できない仕組みになっています。
国の「等級制」、都道府県の「総合評価式」、市町村の「不透明な指名による指名競争入札」など、
全て「新規開業者・零細事業者を排除するための仕組み」です。
「市内業者は全部指名」という市町村調達がありますが、
これは「全業者に均等に機会を与える」ためではなく「安売り競争をさせて落札価格を低くする」ためのものです。
新規開業者・零細事業者は「利益を出そうと」公共調達に参加してはいけません。
「自社の宣伝のため」・「地域の皆様へのご恩返しのため」に参加しなければなりません。


国の調達
都道府県の調達
市町村の調達
「指名競争入札」の指名基準が不透明な市町村調達
「市内業者全て指名」の市町村調達。本当の目的は?
新規参入・零細警備業者が公共調達に参加する意味


    
1.公共調達のまとめ-国の調達・都道府県の調達・市町村の調達


公共調達には国(各省庁)が行うもの、県が行うもの、市町村が行うものの三つがあります。
各々別々に手続をして入札参加資格を得ておかなければなりません。 →→→公的入札資格の取得


a.国の調達


イ.等級

国の入札資格にはA・B・C・Dの四つの等級があります。

会社の規模・実績によって審査され等級が与えられます。
この等級によって参加できる調達が分けられます。

新規参入業者は大手警備会社から分かれた警備会社でない限りまず最低ランクのD等級です。
もちろん、D等級以下はありませんから、どんなに小さな警備業者でもD等級です。

D等級では少し大きな調達には参加できませんが、地方機関の調達では手頃なものがいろいろありました。
しかし、今年から「D等級の締め出し」が始まったようで、D等級が参加できる調達は “ 手頃なもの ” から “ 割の合わないもの ” になってしまいました。

さらに、この “ 割に合わないもの ” をB・C等級が狙ってきます。
D等級が参加できる調達は「D等級だけが参加できる調達」 ではありません。
「D等級以上が参加できる調達」 なのです。

この 「D等級締め出し」 は総務省が推進する 「より競争性の高い調達」 に逆行するものです。
しかし、建前と現実は違います。
「現場のお代官様」にはそれなりの理由があるのでしょう。

主な調達は、
・法務省 では 検察庁舎・鑑別所・裁判所庁舎と駐車場、刑務所受付。
・国税庁では各庁舎・税関庁舎・確定申告時の税務署駐車場。
・文部科学省では大学。
・労働省では労働局調達。
・独立行政法人の調達。ゆうちょグループの調達。

Yahooオークションで掘り出し物を捜すように捜してみてください。
D等級ではほとんど参加できませんが。


ロ.入札保証金・契約保証金

入札保証金とは 「 手付け金 」 のようなものです。
「 本当に入札することを示す 」 ために、入札申込のときに納入しなければなりません。

だいたい、入札価格の5%。
落札できなければ返還されます。
落札した場合は契約保証金の一部に充当されます。

契約保証金とは 「 前納する違約金 」 のようなものです。
「 本当に仕事をやり遂げることを示す 」ために、契約のときに納入しなければなりません。

だいたい、契約金額の10%。
契約が終われば返還されます。

国の調達ではこの入札保証金と契約保証金を免除するのが一般です。


ハ.調達時期

「C等級・D等級が参加できない」ような大きな調達や複数年契約の調達では、前年の12月頃から始まります。
「C等級・D等級が参加できる」ような調達は2月~3月始めに公告が行われ、3月半ばには落札者が決まります。

以前は、3月半ばに公告・3月末に入札・4月1日より業務開始というものもありました。
しかし、今年から公告・入札時期が早くなっています。
総務省の勧告が功を奏したのでしょうか?


ニ.落札金額

国の調達では全国を次の8地区に分けています。
北海道、東北、関東・甲信越、東海・北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄。

入札資格申請時にどの地域の入札に参加するかを申請します。
複数選択も可能です。
8地区全部を選択すれば日本中の調達に参加できます。

一つのエリアが大きいので、それだけ參加者が多くなります。
三重県にある各省庁地方機関の調達では、東海・北陸各県の業者が参加してきます。

參加者が多くなれば落札価格は下がります。
特に、C等級やD等級が参加できる調達では下がる一方です。
なりふり構わない安値合戦となります。

開業したばかりのD等級は参加しない方が無難です。

    

b.都道府県の調達


イ.等級

県の入札資格には等級はありません。
しかし、規模が大きい調達では総合評価方式がとられます。

総合評価方式とは、落札価格だけでなく參加者の経営規模・実績を考慮して落札者を決める方式です。
国の入札資格でC等級・D等級の経営規模では「身の程知らず」とはねられてしまいます。

中規模の調達では総合評価方式ではなく、最低価格落札方式 になります。
経営規模は評価されず、落札価格で決まります。

しかし、「過去〇〇年の間に同規模の仕事受注して誠実に履行したこと」という実績が必要となります。
開業したばかりで実績のない警備業者は参加することができません。


ロ.入札保証金・契約保証金

入札保証金は免除されるのが一般。
契約保証金は免除されません。
しかし、「同規模の仕事を受注して誠実に履行した実績」があれば契約保証金が免除されるのが一般です。


ハ.調達時期

・総合評価方式をとる大きな調達では前年の12月くらいから。
・実績を必要とする中規模の調達では2月~3月始め。
・実績不要の小さい調達では3月始め~3月中旬。

3月下旬にはすべて終わります。
履行開始は4月1日から。


ニ.落札金額

県の調達には県外業者も参加できます。
しかし、契約金額が小さいものには参加できません。

三重県の場合、県外業者が参加できるのは3500万円以上の調達。
3500万円未満の調達には県内に営業所のある業者だけしか参加できません。

公共工事で3500万円は小さいものでしょうが、警備業務では相当大きなものです。
県外業者はとてつもなく大きな調達にしか参加できません。

県の調達ではこのようにして県内業者を保護しているのです。


なお、「県内に営業所がある」とは「税法上の事業所届けをしていること」です。
「警備業法上の営業所届けをしていること」ではありません。
税法上の届をしていない場合は入札に参加することはできません。

このように県の調達では国の調達に比べ參加者が少なくなります。
參加者が少なければ落札価格は低くならないはずです。
しかし、値引き合戦はここでも同じです。

県の調達で「利益の出る調達」は総合評価方式の大きい調達だけです。


また、県の調達では電子入札で行います。

過去の入札參加者・入札価格・落札者・落札価格は公表されますが、今回の入札に参加する者と参加者数は一切公表されません。
公表されるのは落札者が決定してからです。

紙入札なら、入札会場で参加者の顔ぶれを見て入札価格を変えることができます。
しかし、電子入札は “ 一発勝負 ” 。
暗闇に向かって鉄砲を撃つようなものです。
ストレスがたまります。

自分が落札した場合は、開札時刻のあと、「落札候補者になった」という電話があります。
その後、資格のあることを示す書類をFAX。
書類審査のあとに 正式な落札者として公表されます。

開札時刻を30分過ぎても電話連絡がなければ落札していません。

    

c.市町村の調達


イ.統一資格 ( 共同受付 )

各市町村の調達に参加するには、市町村毎に参加資格を申請する必要はありません。
各市町村が共同受付団体に参加して、共同受付団体を作っています。
この共同受付団体に参加資格を申請します。
申請が審査され合格すると、この団体に参加している各市町村に連絡され、各市町村の入札参加資格者名簿に登録されます。

その市町村の入札参加資格者名簿に登録されれば、その市町村の調達に参加できます。

申請の審査は2~3日で終わり、すぐに各市町村に審査合格の連絡がされます。

しかし、いつ登録されるかははその市町村によって異なります。
連絡があればすぐに登録するもの、前月分をまとめて毎月初めに登録するもの、一年を何回かに分けて登録するもの。
最短では即日、最長では半年先になります。

たとえば、登録が4月1日と10月1日の二回だけなら、4月2日に審査合格でも9月30日に審査合格でも登録は10月1日です。
その市町村の調達に参加するには、事前に名簿に登録されていなければなりません。
3月の調達に参加しようとすれば、前年の9月下旬に申請しなければなりません。
予め、その市町村の行う調達の時期と名簿登録までの日数を調べておくことが必要です。

なお、各市町村すべてが共同受付団体に参加しているわけではありません。
三重県で参加していない市町村は、伊勢市・松阪市・熊野市・尾鷲市・伊賀市・紀宝町です。
これらの市町村の調達に参加するためには、その市町村に入札資格申請をしなければなりません。


ロ.等級・保証金・調達時期など

県の調達とだいたい同じです。

・等級なし、入札保証金免除、契約保証金あり(同種実績があれば免除)。
・県外業者も参加できます。
  県の入札のように3500万円以上という制限はありません。
・調達時期はほとんどが3月です。
・電子入札ではなく紙入札です。
  入札会場で参加メンバーが分かります。

『それでは県内業者・県外業者入り乱れての安値合戦になるのでは‥。』

大丈夫です 「 指名競争入札 」 という切り札があります。

この点について項を改めて説明します。
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2.指名競争入札の「指名基準が不透明」な市町村調達


a.国の調達では指名競争入札は例外


指名競争入札とは発注する側が入札に参加する者を指名する制度です。
入札参加資格を有する者の中から、発注側が入札に参加する者を指名するのです。

国の調達では一般競争入札が原則です。
指名競争入札は例外・予定価格が低いものに限られています。

※会計法29条の三
・原則として公告をして申し込みをさせることにより競争させる。
・例外として、次の場合に指名競争入札とする。
  イ.契約の性質・目的により、競争させる必要なないとき・競争させると不利なとき
  ロ.予定価格が少額であるとき
※予算決算及び会計令 94条6号
  ・上記ロについて「工事または製造の請負、財産の売買及び物件の賃貸以外の契約は予定価格が200万円を超えないもの」


地方自治体の行う調達については指名競争入札の具体的基準は示されていません。

※地方自治法234条2項→「指名競争入札ができる場合を地方自治法施行令に委任」
・施行令267条→抽象的な基準
  イ.契約の性質目的が一般競争入札に適しないもの
  ロ.競争に加わるべき者の数が一般競争入札にする必要がないくらい少数の場合
  ハ.一般競争入札にしては不利になる場合・会計法


三重県の行う調達についても指名競争入札の具体的基準は示されていません。

※三重県会計規則
・63条→「契約締結権者は、指名競争入札により契約を締結しようとするときは」とだけ規定。
・73条→随意契約の場合には具体的基準を定める。
       予定価格100万円~250万円
       事前に契約の発注見通しを公表
       契約前に契約内容、契約相手方の決定方法・選定基準・申請方法を公表
       契約後に契約相手方の名称等を公表


このように、地方自治体では「指名競争入札がどういう場合に行われるのか」・「どういう基準で指名が行われるのか」が決まっていません。


b.「どのようにして指名が行われるのか」は闇の中


共同受付団体に参加しているある市町村に問い合わせをしました。

私『SPnetです。そちらの入札参加資格者の名簿に登録されているかどうか確認をお願いします。』
担当『 SPnetさんでね。ちょっと待ってください。確かに名簿に登録されています。』

私『平成24年度の〇〇調達に参加するにはどうすればいいのですか?』
担当『この調達は指名競争入札ですよ‥。』

私『入札参加資格者名簿に登録されているだけではダメなのですか?』
担当『私どもの方が名簿に登録された業者さんの中から指名させてもらっていますが‥。』

私『その指名をしてもらうためにはどうすればいいのですか?』
担当『まず、私どもの方へ営業してください。たくさんの業者さんが営業にみえていますがネ‥。』


この〇〇調達に参加している警備業者は、その名前をよく聞く二社だけ。
当然、落札価格も他の調達より高いものになっています。

総合評価方式の評価基準はあらかじめ公表されています。
しかし、市町村の行う指名競争入札の指名基準はまったく公表されてはいません。

黄門様の時代ではないので “ やまぶき色のおみやげ ” はいらないと思いますが、非常に不透明です。
『官製談合だ!』とまでは言いませんがネ。


私はこの問い合わせ以後、市町村の入札に期待しなくなりました。
そして、3月に県の調達を一件取って平成24年度の調達参加を終了しました。

ところが‥。
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3.「市内業者は全部指名」の市町村調達。本当の目的は?


a.津市からの指名通知


4月1日より始まった県の仕事が順調にまわり始めた4月10日。

津市より「巡回警備の見積もり合わせ参加打診」のFAX。
これを皮切りに、競争入札指名のFAXが毎日のように届きます。

『 えっ? なぜ指名されたの? 県の仕事を受注したから?』
とにかく、その日から仕様書をもらうために津市内を走り回ることになりました。

届いた指名通知は全部で18件。

庁舎宿日直警備10件、競艇場警備2件、環境センター交通誘導1件、駐車場警備1件、見積もり合わせ2件、ついでに機械警備も1件。

競艇場警備は実績と消防設備士資格が必要なので参加することはできません。
機械警備も参加することはできません。
しかし他の15件は参加することができるのです。

『 まずは営業をしてください‥。』 の〇〇市町村とは大違い 。
※「市」とは言っていませんよ。


b.津市は「市内業者は全部指名」


仕様書をもらいにいった庁舎で「なぜ指名されたのか」を尋ねました。

担当さんは 『 市内業者さんはすべて指名ですよ!』

津市の競争入札参加資格者名簿に登録されている者で、市内業者であればすべて指名するそうです。
何と簡単明瞭な指名基準でしょう!
新規参入者にとってはありがたいことこの上なし。

なお、この指名競争入札は事前にホームページで公表されません。
入札が終わり契約が成立してから公表されます。

『 公共調達の公告はないかな‥。』とホームページを捜しても見つけることはできません。
もし、何らかの方法で見つけたとしても市内業者でなければ指名されません。

逆にホームページで捜さなくても、市の方から連絡してくれます。

市の庁舎・施設があれば必ず警備が必要です。
多分、「まずは営業をしてください」のところを除き、他の市でも同じようなシステムを取っていることと思います。


c.契約は11カ月


平成24年4月入札ですから、契約は平成24年5月1日から平成25年3月31日までの11カ月。

『 平成24年4月はどうするの? 』

これは、前年度 ( 平成23年度 ) に落札した業者が仕事を行います。

『えっ? 契約は3月までの11カ月でしょう?
  平成23年度に落札した者は平成23年5月~平成24年3月までの11カ月契約でしょう?
  平成24年4月の分は契約していませんよ‥。』

契約の中に次のような予約条項があるのです。
「次年度4月一カ月分については、予算が決まったら発注者の意思表示で、この契約と同一条件・同価格で契約できる」

なぜこんなややこしい契約をするのでしょう?
それは落札者のことを考えてくれるからです。

3月入札で落札者を決めても、3月に予算が通らなかったら落札者は4月からの仕事を受注できません。
4月からの仕事の準備をしていた落札者は当てがはずれて思わぬ誤算が生じます。
これを防ぐために、予算が通ったあとの4月に入札させて落札者を決めるのです。

なかなか心憎い取り計らいですね。


実際に予算が通らないことはないので、契約は 「 11カ月+予約1カ月 」で実質上12カ月契約となります。
モトクロスレースの 「 30分+1周 」みたいですね。


d.警備品質を下げないために見送り


国の調達で「新規参入・D等級締め出し」に怒っていたところです。
〇〇市町村の「不透明な指名」に呆れていたところです。
降って湧いた突然の指名に『 これは願ってもないチャンスだ 』と気持ちが高ぶりました。


しかし、予定外のことで人員確保が十分ではありません。

隊員というものは、「よく病気にかり、よく近親者に不幸があり」ます。
自分一人ですべてをこなせるようにしておかないと、受注した仕事を確実にやり遂げることはできません。
受注した県の仕事の他にもう一つ仕事を受注すれば、自分が二人必要になります。

また、SPnetの売りは「品質の高い警備」です。
急ごしらえの隊員が「品質の高い警備」を行えるかどうか疑問です。

公共調達で無理して仕事を取って警備品質を落とせば、SPnetの評判が落ちてしまいます。
仕事に穴を作れば、入札資格停止となり以後の入札に参加できなくなります。


最後の庁舎警備入札参加申請期限まで迷いに迷いましたが、本年度は見送ることにしました。
もちろん、来年度は準備を整えて参加しようと思っています。


e.指導教育責任者資格を持っている者が業務担当責任者になることが必要


市庁舎警備10件のうちの3件にちょっと変わった要件が付いていました。

それは 「 指導教育責任者資格を持っている者を業務担当責任者にすること 」。

業務担当責任者ですから、実際にその業務を行う者です。
簡単に言えば現場の隊長です。

つまり、隊長が指導教育責任者資格を持っていなければならないのです。

国や県の調達で「検定資格者を業務担当責任者にすること」というのはよくあります。
しかし、ここで要求されているは 検定資格ではなく指導教育責任者資格なのです。

残りの7件も「指導教育責任者資格を持っている者が雇用されていること」を要件としていますが、
「現場責任者に指導教育責任者資格が必要」とまでは要求していません。

なぜ、この3件だけ 現場隊長に指導教育責任者資格が必要なのでしょう?
この3件は特別に重要な庁舎ではありません。
契約(案)の内容もほとんど同じです。

残り7件の「指導教育責任者資格者が雇用されていること」もおかしな要件です。

・指導教育責任者がいなければ警備業の認定を受けることはできません。
・指導教育責任者不在なら警備業法違反でまず営業停止です。
・「警備業者に指導教育責任者資格者が雇用されていること」は当然のことです。

この点をある庁舎の担当さんに質問しました。
担当さんは『 今年から指導教育責任者が雇用されていることが必要となりました。なるほど考えてみれば変ですね‥。』

同じような庁舎の警備で、
あるものは 「指導教育責任者資格を持っているものが現場に入ること」を要求する。
あるものは、警備業者として当たり前の「指導教育責任者資格のある者を雇っていること」を要求する。
そして、これらの要件は今年からついた要件だという。


その背景を推測してみました。

「指導教育責任者資格のある者が現場に入ること」というのが今年からの方針。
それをはっきり示したのが3件。
あとの7件はこの方針を誤って解釈したか、知っていてこれから先を暗示したのか。

来年度から「現場の隊長は指導教育責任者資格を持っている者とする」統一されるのではないでしょうか?

それでは、なぜ検定資格者ではなく指導教育責任者資格なのでしょう?

指導教育責任者資格を持っている者はだいたい一事業所に一人。
小さな警備業者では指導教育責任者資格を持っているのは親方だけ。
「指導教育責任者資格を持っている者を隊長にする」と言うことは「親方が現場に入ること」。

つまり、『お一人様一つだよ。皆で仲良く分けるンだよ!』
独り占めを防ぐ親心なのでしょうか?


f.「市内業者は全部指名」の本当の目的(2019.12.追記・解説)

この「指導教育責任者を現場責任者にする」について、調達を受注した業者に聞いたら「そんな資格者なんか現場に入れたことはないヨ!」
結局、「指導教育責任者資格を持っている者を業務担当責任者にすること」とは「指導教育責任者資格を持っている者が雇用されていること」の意味だったようです。
同じ内容の仕様書を各庁舎に応じて少しずつ変更して使っているうちに、指導教育責任者制度が曲げられて解釈されたようです。

決して『お一人様一つだよ。皆で仲良く分けるンだよ!』という親心ではなかったのです。

それどころか、国の調達では「D等級締め出し」、県の調達では「総合評価式・実績要件による締め出し」、「指名基準が闇の中の市町村で指名されない」。
そんな市内業者を集めて「最低落札価格なし」の競争入札。

それはそれは「メチャクチャな安売り競争」。
最低賃金を支払っていたら大赤字の落札価格。
落札した警備会社はいったい隊員にいくら支払っているのでしょう。

津市の「市内業者は全部指名」は「全ての業者に機会を均等に与える」というものではなく「安売り競争をさせるための方策」だったのです。
もちろん仕様書にはこう書いてあります。「労働基準法を遵守すること」
    

4.公共調達参加の目的


このように「新規事業者や零細事業者が参加できる公共調達」では利益がでません。
基準法や最低賃金を守っていたら大赤字です。
これらの業者が公共調達に参加する場合は利益以外のものを目的にしなければなりません。


a.官公庁警備は宣伝になる


官公庁の常駐警備と民間工場やスーパーの常駐警備とでは雰囲気が違います。
官公庁の警備員は、愛想のよい「ヘラヘラおっちゃん警備員」とは違って見られます。
「お上」 は庶民にとってどこか強い存在なのです。

このような官公庁で、「端正な立ち姿・キビキビとした動作・自信に満ちた受け答えをする警備員」は引き立ちます。
その宣伝効果は民間施設よりいっそう大きなものになります。

官公庁の警備は、自社の警備品質をアピールする最良の場となります。。
警備会社のパフォーマンスの場が官公庁なのです。

先日、ある官公庁に行きました。
今年から警備会社が変わったのでしょう、制服の色が変わっていました。

彼らは、昨年の警備員さんとはまったく違っていました。

「挨拶ができない」,「丁寧語が使えない」,「制服はヨレヨレで毛羽立っている」。
制帽が大きいのか斜めになっている。
あっ!あちらの「オジイサン警備員」 は制帽の“アゴひも” をしている!

これでは逆効果です。


b.公共調達は社会奉仕


私は公共調達を社会奉仕の一つだと考えています。

警備業は認定業種です。
公安委員会から認定をもらって仕事をしています。

行政の上位にあるのは国民です。
警備業者は国民の皆さんのおかげで稼がせてもらっていることになります。

そんな警備業者が少しでも “ お返し ” をするのが公共調達です。
警備業者がその稼ぎに応じ、皆で分担して国民の皆様にお返しをするのが公共調達です。

手を抜いてはいけません。
利益など初めから考えてはいけません。

一社でたくさんの公共調達を受注している警備業者さんには頭が下がります。
ましてや県外業者さんには最敬礼をしたくなります。「 我々県内業者が負担しなければならないこと 」 をやってくれているのですから。


※2019.12.追記・解説

以上のような考えで、次の年度とその次の年度(平成25年度・26年度)に津市庁舎警備を1件だけ落札して警備業務を行いました。
もちろん、みなが呆れ返るような安値です。基準法と最低賃金を守るため私も目一杯現場に入りました。

しかし、警備内容については庁舎関係者だけでなく来訪者や付近の住民の皆様にもたくさんのお褒めをいただきました。
これで、SPnetの宣伝と津市の皆様へのご恩返しができたと思っています。

現在は、私服保安に特化するために公共調達には参加していません。
開業したばかりの零細警備業者さんは、参加できる公共調達で「自社の宣伝」と「地域への恩返し」をしてください。
利益は絶対に出ませんから。


つづく




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