SPnet 選任業務編
・新任教育・2号業務別教育資料・道路交通法-緊急車両の優先(40条・41条の2)
道交法40条の緊急自動車が接近してきた場合の義務です。
案外、間違っているので「間違った誘導をして警備業法15条に違反しないよう」に教育しましょう。
この部分はあまり時間はかかりません。
リラックスタイムでは消防用車両(41条の2)や緊急自動車に関する法令から「そうなの?」というものを捜して話しましょう。
★導入-講義始めに「講義内容について受講生の興味を引かせること」が必要です。
★緊急自動車の基礎知識
★交差点・交差点付近での緊急自動車の接近(40条1項)-交差点付近とは・いつまで停止?
★交差点・交差点付近以外での緊急車両の接近(40条2項)
・消防用車両の優先(41条の2)
・参考法令(選任さんのネタ捜しに)
1.導入
それでは講義を始めます。
国道の一部で道路工事をしています。
皆さんはその工事現場で国道を走る車の誘導警備をしています。
救急車が回転灯をつけサイレンを鳴らしてやってきました。
警備員であるあなたは走ってくる車に徐行の合図をしました。
これは正しい誘導ですか?
『間違った誘導です!』
なぜですか?
『徐行の合図だけでなく、左側への幅寄せの合図をしなければなりません。』
徐行誘導と左側への幅寄せ誘導をすればよいのですね?
『はいそうです。』
残念でした、あなたは警備業法違反をやってしまいました。
『えっ?なぜですか!』
救急車などの緊急車両が近づいてきた場合、交差点やその付近でなければ左側に寄って緊急車両に進路を譲るだけでいいのです。
徐行も一時停止も必要ないのです。
徐行誘導をしたあなたは、「他人の権利・自由を侵害し、または個人もしくは団体の正当な活動に干渉してはならない」という警備業法15条に反したのです。
あなたが、自分で車を運転している場合なら、徐行しても一時停止しても、それはあなたの勝手です。
しかし、一般の車を誘導する場合は「義務のない行為」をさせるような誘導をしてはなりません。
警備員は「緊急自動車が接近した場合、道交法は他の車両にどんなことを義務づけているか」をしっかりと理解しておかなければならないのです。
2.緊急自動車の基礎知識
・緊急自動車の代表はパトカー・救急車・消防車ですが、いろいろなものが政令で定められています。(道交法39条1項・道交法施行令13条~14条の3)
サイレンを鳴らしたり赤い回転灯をつけたりしていますのでよく分かります。(道交法施行令14条)
・これら緊急自動車に対しては一般車両に義務づけられている「」右側はみ出し禁止・一時停止義務・信号に従う義務などいろいろな義務が免除されます。※参考1
・ただし、最高速度遵守義務についてはスピード違反を取り締まる場合の緊急車両だけです。(41条2項)
・サイレンを鳴らしたり赤い回転灯を点灯していないパトカーや救急車などは一般車両ですから(施行令14条)、一般車両と同じ扱いです。
・もちろん、青パトも一般車両です。※参考2
・※参考3 緊急自動車に関する法令
★★01
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※トライクの法的取り扱い
※消防団員の消防ポンプの画像については 検索してください |
消防団員が消防ポンプをリヤカーに載せて引いているのが消防用車両です。 私が小さい頃はそんな光景を見かけました。 戦後生まれですから、さすがに馬が引っ張る消防ポンプは見たことがありませんが‥。 要するに消防用の軽車両ですね。 |
※馬が引く消防ポンプの画像については 検索してください |
消防用車両は緊急自動車ではありませんが、緊急車両と同じような扱いを受けます。
※青バトの画像については 検索してください。 |
・正式名称は「青色回転灯装備車」。 ・道路運送車両法の規制緩和で、04年12月から運用が始まった。 ・警察署に申請し、自主防犯パトロールを適正に行えると認められた団体は、車両に青色回転灯をつけて巡回できる。 ・巡回中は交付された「パトロール実施者証」の所持者が乗車しなければならない。 ・07年末現在、全国で5428団体が2万527台を運用している。 |
※参考3 緊急自動車に関する法令
・道交法・第七節 緊急自動車等
39条(緊急自動車の通行区分等)
「緊急自動車(消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう。以下同じ。)は、
第十七条第五項に規定する場合のほか、追越しをするためその他やむを得ない必要があるときは、
同条第四項の規定にかかわらず、道路の右側部分にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。
2.緊急自動車は、法令の規定により停止しなければならない場合においても、停止することを要しない。この場合においては、他の交通に注意して徐行しなければならない。」
40条(緊急自動車の優先)
「交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、
かつ、道路の左側(一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて
一時停止しなければならない。
2.前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない。」
(罰則 第百二十条第一項第二号)
41条(緊急自動車等の特例)
「 緊急自動車については、第八条第一項、第十七条第六項、第十八条、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二、第二十五条第一項及び第二項、第二十五条の二第二項、
第二十六条の二第三項、第二十九条、第三十条、第三十四条第一項、第二項及び第四項、第三十五条第一項並びに第三十八条第一項前段及び第三項の規定は、適用しない。
2.前項に規定するもののほか、第二十二条の規定に違反する車両等を取り締まる場合における緊急自動車については、同条の規定は、適用しない。
3.もつぱら交通の取締りに従事する自動車で内閣府令で定めるものについては、第十八条第一項、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二並びに第二十五条の二第二項の規定は、適用しない。
4.政令で定めるところにより道路の維持、修繕等のための作業に従事している場合における道路維持作業用自動車
(専ら道路の維持、修繕等のために使用する自動車で政令で定めるものをいう。以下第七十五条の九において同じ。)については、
第十七条第四項及び第六項、第十八条第一項、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二、第二十三条並びに第二十五条の二第二項の規定は、適用しない。」
41条の2(消防用車両の優先等)
「交差点又はその付近において、消防用車両(消防用自動車以外の消防の用に供する車両で、消防用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう。以下この条において同じ。)が
接近してきたときは、
車両等(車両にあつては、緊急自動車及び消防用車両を除く。)は、交差点を避けて一時停止しなければならない。
2.前項以外の場所において、消防用車両が接近してきたときは、車両(緊急自動車及び消防用車両を除く。)は、当該消防用車両の通行を妨げてはならない。
3.第三十九条の規定は、消防用車両について準用する。
4.消防用車両については、第八条第一項、第十七条第六項、第十八条、第二十条第一項及び第二項、第二十五条第一項及び第二項、第二十五条の二第二項、第二十六条の二第三項、第二十九条、
第三十条、第三十四条第一項から第五項まで、第三十五条第一項、第三十八条第一項前段及び第三項、第四十条第一項、第六十三条の六並びに第六十三条の七の規定は、適用しない。」
(罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第二号)
・道路交通法施行令(選任さんのネタ捜しに)
13条(緊急自動車)
「法第三十九条第一項 の政令で定める自動車は、次に掲げる自動車で、
その自動車を使用する者の申請に基づき公安委員会が指定したもの(第一号又は第一号の二に掲げる自動車についてはその自動車を使用する者が公安委員会に届け出たもの)とする。
一.消防機関その他の者が消防のための出動に使用する消防用自動車のうち、消防のために必要な特別の構造又は装置を有するもの
一の二.国、都道府県、市町村、関西国際空港株式会社、成田国際空港株式会社又は医療機関が傷病者の緊急搬送のために使用する救急用自動車のうち、
傷病者の緊急搬送のために必要な特別の構造又は装置を有するもの
一の三.消防機関が消防のための出動に使用する消防用自動車(第一号に掲げるものを除く。)
一の四.都道府県又は市町村が傷病者の応急手当(当該傷病者が緊急搬送により医師の管理下に置かれるまでの間緊急やむを得ないものとして行われるものに限る。)
のための出動に使用する大型自動二輪車又は普通自動二輪車
一の五.医療機関が、傷病者の緊急搬送をしようとする都道府県又は市町村の要請を受けて、
当該傷病者が医療機関に緊急搬送をされるまでの間における応急の治療を行う医師を当該傷病者の所在する場所にまで運搬するために使用する自動車
一の六.医療機関(重度の傷病者でその居宅において療養しているものについていつでも必要な往診をすることができる体制を確保しているものとして
国家公安委員会が定める基準に該当するものに限る。)が、
当該傷病者について必要な緊急の往診を行う医師を当該傷病者の居宅にまで搬送するために使用する自動車
一の七.警察用自動車(警察庁又は都道府県警察において使用する自動車をいう。以下同じ。)のうち、犯罪の捜査、交通の取締りその他の警察の責務の遂行のため使用するもの
二.自衛隊用自動車(自衛隊において使用する自動車をいう。以下同じ。)のうち、部内の秩序維持又は自衛隊の行動若しくは自衛隊の部隊の運用のため使用するもの
三.検察庁において使用する自動車のうち、犯罪の捜査のため使用するもの
四.刑務所その他の矯正施設において使用する自動車のうち、逃走者の逮捕若しくは連戻し又は被収容者の警備のため使用するもの
五.入国者収容所又は地方入国管理局において使用する自動車のうち、容疑者の収容又は被収容者の警備のため使用するもの
六.電気事業、ガス事業その他の公益事業において、危険防止のための応急作業に使用する自動車
七.水防機関が水防のための出動に使用する自動車
八.輸血に用いる血液製剤を販売する者が輸血に用いる血液製剤の応急運搬のため使用する自動車
八の二.医療機関が臓器の移植に関する法律 (平成九年法律第百四号)の規定により死体(脳死した者の身体を含む。)から摘出された臓器、
同法 の規定により臓器の摘出をしようとする医師又はその摘出に必要な器材の応急運搬のため使用する自動車
九.道路の管理者が使用する自動車のうち、道路における危険を防止するため必要がある場合において、
道路の通行を禁止し、若しくは制限するための応急措置又は障害物を排除するための応急作業に使用するもの
十.総合通信局又は沖縄総合通信事務所において使用する自動車のうち、不法に開設された無線局
(電波法 (昭和二十五年法律第百三十一号)第百八条の二第一項 に規定する無線設備による無線通信を妨害する電波を発射しているものに限る。)の探査のための出動に使用するもの
十一.交通事故調査分析センターにおいて使用する自動車のうち、事故例調査(交通事故があつた場合に直ちに現場において行う必要のあるものに限る。)のための出動に使用するもの
2.前項に規定するもののほか、緊急自動車である警察用自動車に誘導されている自動車又は緊急自動車である自衛隊用自動車に誘導されている自衛隊用自動車は、
それぞれ法第三十九条第一項 の政令で定める自動車とする。」
14条(緊急自動車の要件)
「前条第一項に規定する自動車は、緊急の用務のため運転するときは、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定
(道路運送車両法 の規定が適用されない自衛隊用自動車については、自衛隊法第百十四条第二項 の規定による防衛大臣の定め。以下「車両の保安基準に関する規定」という。)
により設けられるサイレンを鳴らし、かつ、赤色の警光灯をつけなければならない。
ただし、警察用自動車が法第二十二条の規定に違反する車両又は路面電車(以下「車両等」という。)を取り締まる場合において、
特に必要があると認めるときは、サイレンを鳴らすことを要しない。」
14条の2(道路維持作業用自動車)
「法第四十一条第四項 の政令で定める自動車は、次の各号に掲げるものとする。
一.道路を維持し、若しくは修繕し、又は道路標示を設置するため必要な特別の構造又は装置を有する自動車で、その自動車を使用する者が公安委員会に届け出たもの
二.道路の管理者が道路の損傷箇所等を発見するため使用する自動車(内閣府令で定めるところにより、その車体を塗色したものに限る。)で、
当該道路の管理者の申請に基づき公安委員会が指定したもの」
14条の3
「道路維持作業用自動車は、道路の維持、修繕等のための作業に従事するときは、車両の保安基準に関する規定により設けられる黄色の燈火をつけなければならない。」
14条の4(消防用車両の要件)
「消防用自動車以外の消防の用に供する車両は、
消防用務のため運転するときは、サイレン又は鐘を鳴らし、かつ、夜間及び第十九条に規定する場合にあつては、内閣府令で定める赤色の燈火をつけなければならない。」
つづく。
前へ/横断歩道での歩行者等の保護(38条・38条の2) 次へ/歩行者・行列の通行方法(10条~14条・76条) 選任業務編目次へ 警備総索引 SPnet2.TOP SPnet SPnet番外