SPnet 選任業務編
・2号新任教育資料-道路交通法2条・車両
「道交法2条8号~17号と2条2項・3項」の車両,自動車,原動機付き自転車,軽車両,自転車,身体障害者用車いす,歩行者,運転の説明です。
「ペダル付きの原動機付き自転車(アシスト自転車の基準外のもの)」をペダルだけで運転している場合の取り扱い、運転についての学説判例、
電動いすの基準についても書いてあります。
ただし、これらの知識を「伝える」だけでは、その講義はおもしろくもなんともありません。
「0.始めに」に書いたように講義はドラマ。出演者は受講生。監督と脚本が講師です。講師の自己満足のための独演会はおもしろくもなく退屈です。。
法令の条文を使って受講生に発見させること。受講生たちが「ワイワイ、ガヤガヤ」と意見を出し合わせることが必要です。
講義の目的は「道交法の定義を覚えさせること」ではありません。「道交法や関係法令に親しませ、身近なものにさせること」です。
覚えた知識はすぐに忘れます。道交法を身近なものにさせておけば、条文から必要なものを引き出すことができます。
講師自身も「えっ?そうだったの?」・「そういうことだったのか!」と感じるような準備をしてください。
講義がおもしろくないのは全て講師の準備不足です。
★車両とは何か(道交法2条8号)
★自動車とは何か(道交法2条9号)
★原動機付き自転車とは何か(道交法2条10号)
★ペダルの付いている原動機付き自転車をペダルだけで走らせている場合は「原動機付き自転車を運転していること」になるか
★「運転」についての学説と判例
★軽車両とは何か(道交法2条11号)
・一輪車・ローラースケート・ローラースケートボード・キックボードは軽車両か?
・馬のたずなを持って人が歩いています。この馬は軽車両か?
・乗馬している人がいます。この馬は軽車両か?
・二人の家来がお姫様の乗った籠を担いで歩いています。この籠は軽車両か?
★自転車とは何か(道交法2条11号の2)
★アシスト付き自転車が自転車となる基準(道交法施行規則1条の3)
★身体障害者用の車いすとは(道交法2条11号の3)・電動いすが車いすとなる基準(道交法施行令1条・道交法施行規則1条)
★歩行者とは何か
0.始めに
道交法では一般に「車両とはなにか」から説明を始めます。
しかし、説明しだすとけっこう長くなります。
受講生の興味を引くためにば誰もが経験している「駐車違反・駐車・停車」から入るのがよいでしょう。
駐車と停車を自動車で理解させたあと、『実は、自転車でも駐車違反や停車違反になるんだよ!』と付け加えます。
教える順番を変えると、新鮮になります。
また、本頁の「車両とは何か・自動車とは何か・軽車両とは何かなど」を覚えさせる必要はありません。
覚えてもすぐに忘れてしまいます。
忘れたら自分で思い出せるように、条文を読む力を付けさせることが必要です。
「車両とは〇〇だよ」と答えを教えてはいけません。受講生が条文を読んで「ああでもないこうでもない」と議論することが必要なのです。
それが「条文を読む力」を育てます。
授業や講習はドラマ。出演者は受講生。講師は脚本と監督です。
監督も脚本も出演者も講師がやっている授業や講習は講師の自己満足のためのもので面白くもなく役にも立たないものとなります。
1.車両とは何か(2条8号)
受講生の諸君!
駐車と停車の違い、どんな場合に駐車違反・停車違反になるか分かったかな?
ここで、もう一つ大切なことがあるンだ!
道交法2条1項18号の「駐車」、2条1項19号の「停車」、44条の「停車及び駐車を禁止する場所」、45条の「駐車を禁止する場所」、47条の「停車又は駐車の方法」には、
車両という言葉が使ってあるよね。
車両とは何でしょう。
『自動車のことじゃないンですか?』
違うみたいだよ。
45条の2「高齢運転者等の例外」には車両という言葉ではなくて自動車という言葉が使ってあるから‥。
『ええっ~!』
講義の最初に配った道交法の条文プリントを見てください。
道交法2条に「車両とはなにか」が書いてあります。
※道交法2条8号~17号と2条2項・3項
「8.車両 → 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
9.自動車 → 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、
原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
10.原動機付自転車 → 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、
自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。
11.軽車両 → 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、
身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。
11-2.自転車 → ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、
身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
11-3.身体障害者用の車いす → 身体の障害により歩行が困難な者の移動の用に供するための車いす(原動機を用いるものにあつては、内閣府令で定める基準に該当するものに限る。)をいう。
12.トロリーバス → 架線から供給される電力により、かつ、レールによらないで運転する車をいう。
13.路面電車 → レールにより運転する車をいう。
14.信号機 → 電気により操作され、かつ、道路の交通に関し、灯火により交通整理等のための信号を表示する装置をいう。
15.道路標識 → 道路の交通に関し、規制又は指示を表示する標示板をいう。
16.道路標示 → 道路の交通に関し、規制又は指示を表示する標示で、路面に描かれた道路鋲、ペイント、石等による線、記号又は文字をいう。
17.運転 → 道路において、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)をその本来の用い方に従つて用いることをいう。
3.この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。
1.身体障害者用の車いす、歩行補助車等又は小児用の車を通行させている者
2.次条の大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車、二輪の原動機付自転車又は二輪若しくは三輪の自転車(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽引しているものを除く。)
を押して歩いている者」
だれか、「車両とはなにか」を言ってください。
『車両とは自動車と原動機付き自転車と軽車両とトロリーバスです。』
そうですね。自動車やバイクだけが車両ではないのです、
自転車やリヤカーも車両に含まれるのです。
駐車禁止場所・停車禁止場所・駐車停車の方法・駐車違反も自動車と同じになりますね。
それでは、自動車と原動機付き自転車と軽車両について確認していきましょう。
トロリーバスは省略します。
2.自動車とは何か(9号)
次の事柄が揃っていなければ自動車ではありません。
・①原動機の力を使う
・②レールや架線を使って走らない
・③車
・④原動機付自転車、自転車・身障者用の車椅子・歩行補助車で政令の定めるものを除く → 道交法施行規則
① → 原動機は電気モーターや原子力エンジンを含みます。
① → 風力は原動機とは言えないでしょう、帆を張って走る車は自動車ではないでしょう。
② → レールの上を走る市電やパンタグラフで電気を供給するトロリーバスは自動車ではありません。
③ → 車だから、二足歩行のロボットは百万馬力のプラズマエンジンを搭載していても自動車ではありません。
③ → キャタピラは車ではありません。
しかし、キャタピラ車(ブルドーザー・ユンボ・スノーモービルなど)については、内閣総理大臣が指定するものが大型特殊自動車になります。(道交法施行規則2条)
※「内閣総理大臣が指定するカタピラを有する自動車を定めるの件(内閣府告示平成16年第126号」でスノーモービルは自動車となっているようです。
この告示の原文がなかなか検索できません。だから「なっているようです」としか言えません。
④ → オートバイは原付しか除外されません。50㏄以上のオートバイは自動車となります。
④ → 自転車・身障者用の車いす・歩行補助車が除外されているのがおかしいと思うでしょう?
これはモーターの付いているものがあるからです。
モーターの付いている自転車や車いす・歩行補助車は規格が決められています。これが「政令の定めるもの」です。
この規格内であれば、モーターが付いていても自転車や車いす・歩行補助車となります。
その規格以上のハイパワーだと、自転車や車いす・歩行補助車とならず、原動機付き自転車や自動車になります。
3.原動機付き自転車とは(10号)
a.原動機付き自転車の定義
次の事柄が揃っていないと原動機付き自転車ではありません。
・①原動機の力を使う
・②原動機の大きさ・出力が決められている
・③レールや架線を使って走らない
・④車
・⑤自転車・身障者用車椅子・歩行補助車で政令の定めるものを除く.
自動車と同じような要件です。
① → 自動車と同じで原動機はガソリンエンジンだけでなく電気モーターも入ります。
② → 原動機の大きさ・出力は次のように定められています。これを超えるものは自動車となります。
※道交法施行規則1条の2(原動機付自転車の総排気量等の大きさ)
「道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第二条第一項第十号 の内閣府令で定める大きさは、
二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については0.05リツトル、定格出力については0.60キロワツトとし、
その他のものにあつては、総排気量については0.020リツトル、定格出力については0.25キロワツトとする。」
④ → 車ですから、二輪だけでなく三輪も四輪も含みます。
⑤ → モーターの付いている自転車・身障者用の車いす・歩行補助車は定められた規格内であれば原動機付き自転車に該りません。
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