RMX250-SJ13 整備資料
2015.05.30 RMX④ 始動-新たな問題点
部品がとどいたのでエンジン④を組みました。
エンジン始動で新たな問題が出ましたが、とにかくRMX④が完成しました。
★ウォーターポンプの状態
★クランクシャフトのキーをセットするときの方向
・久しぶりのエンジン組立・換装
★トラブル続出
★とにかくエンジン始動・試乗
★RMX④完成
1.ウォーターポンプのチェックとオイルシール交換 SJ13のウォーターポンプ基礎知識
今のところ問題はありませんが、ついでですからウォーターポンプのオイルシールを交換しておきましょう。
各部品のきれいなことには以前に驚きました。
・インペラ樹脂リングと擦れ合うメカニカルシールの先端は片減りしていません。 | ・シャフトにもまったくサビがありません。→→→こちらと比較 案外、エンジンの使用が少ないのかもしれません。 ・オイルシールは取り外すときにリップ部がちぎれてしまいました。 |
・インペラガスケットはしっかり貼りついていたので、取り外すことなくこのまま使用。 | ・オイルシールを打ち込む前の状態です。とにかくきれいです。 |
※2019.10.追記・解説
ウォーターポンプに施されている「冷却水漏れ対策」は、
①メカニカルシールとインペラ樹脂リングとの圧着
②メカニカルシールとケースの密閉
③インペラ樹脂リング回りのゴムシール
④インペラ取り付けボルトのゴムシール
※こちら
上でチェックしたのは①だけで、③と④をチェックしていません。
※②はメカニカルシールの状態がよいのでOKとしています。
後で述べるように、このエンジンは冷却水漏れを起こしました。
そして、③と④をチェックして冷却水漏れが起こらなくなりました。
★★09
2.クランクシャフトのキー交換/ピンをセットするときの方向
これがクランクシャフトのキーです。
値段は100円。
どのようにして付けるのでしょう。
キーは半月形、シャフトのキー溝も半月形
左の写真が ストックしてある RMX①/エンジン①のクランクです。
これをまねて、RMX④/エンジン④のクランクにキーを打ち込みました。
キーの出方は軽く叩けばどのようにもなります。接着剤などは不要です。
しかし、キーが軽く叩くだけで動くのなら、ローターを取り付けるときにローターの溝でキーの出っ張りは適切なものになるはずです。
上の写真左のRMX①/エンジン①のキー出っ張りはシャフトからローターを取り外したときに動いたかもしれません。
それなら、単にキーをシャフトのキー溝に入れれば良いだけで、キーの出っ張りがどのような形になるかを気にする必要はありません。
なお、ローターを外すときにセパレーターを使わなければならないのはこのキーがあるからではないでしょうか。
セパレーターを締めていくと、ローターが急に『ゴトン』と音を立てて外れるのはこのキーのせいなのでしょう。
※2016.02.29追記
このキーはローター(マグネット)の溝と噛み合うようになっています。
ローターの溝は内側が浅く外側が深くなっています。
ローターがクランクシャフトにはまる場合、このピンと最初に噛み合うのはローター内側の溝です。
だから、ピンは「シャフト先端の方が下がっているようにはめておく」方が、ローターがはまりやすくなります。
※上の写真のように「シャフト先端の方が上がっている」と、最初に噛み合うローター内側の溝が浅いのでピンが外れてしまうことがあります。
ローターがはまってしまえば、ピンはローターの溝に沿って動かされ、シャフト先端の方が上がりクランクホイールの方が下がります。
※ピンは上の写真のような状態でローターと噛み合っていることになります。
ローターを取り外すときは、ローターの外側の溝の深い部分から外れるので、ピンはローターがはまっていたときの状態になっています。
※上の写真はローターを外したときのピンの状態です。
3.久しぶりのエンジン組立・搭載
クランクケースの分解・組立は 四回目ですが、あちらこちらで手順を間違えてやりなおしました。
・右クランクケース内のギヤ組みでは、キックスタータを取り付ける前にクラッチを取り付けて、再度クラッチを取り外しました。
・下の写真は、リードバルブ・マニホールドを取り付けないでエンジンをフレームに載せたあと、再度、エンジンを降ろしてリードバルブ・マニホールドを取り付けたところです。
クランクケースの組立をするときは、必ず組立手順をもう一度確認
・なお、ドライブシャフトはスナップリング溝から10㎜出ていなければなりません。 ドライブスプロケットの厚さが10㎜なのでスナップリングを取り付けられないからです。 今回、スナップリングが取りつかないので苦労しました。 ・スペーサの二本のOリングがスペーサに納まらずにスペーサ打ち込みが少なくなったからか、 それとも、ドライブギヤを組むときにドライブシャフトを完全に出さなかったからか。 ・スペーサを叩き、スナップリングを叩いて 『パチン・パチン」ではなく「プチッ・クキッ」とはまりました。 ※ドライブシャフトスペーサの打ち込み→→→こちら ※ドライブシャフトスペーサの打ち込みとドライブスプロケットの取り付け→→→こちら |
・チャンバーはストックしていた傷だらけの純正品です。 傾けたらタールが出てきましたが、内部のタール取りをせずにそのまま取り付け。 ・サイレンサーは取り敢えず付いていたものをそのまま使用。 非常に軽いサイレンサーです。 ・RMX② と RMX③ のオートリメッササイレンサーは チャンバーとの接続部分に純正のガスケットが使えません。 しかし、このサイレンサーはそれが使えました。 ただ、取り付け二カ所のうち一カ所しかポルト留めができません。 二カ所ボルト留めをするにはステーを作る必要があります。 それはまたにして、今回はこのままで。 |
b.ブレーキペダルのピン穴
・ブレーキペダルを取り付けて、取り付けボルト先(内側)に割りピン挿入。 しかし、ピン穴に割りピンが入らない。 ピン穴の中で割りピンが折れ込んでいる。 ドリルで穴あけ、少し大きい穴になりました。 ・ところで、このピン穴は二カ所に付いているのですね。 二つのピン穴が垂直に交わっているのですね。初めて知りました。 そんなこと、穴あけでもしなければ気づきませんからね。 ・それから、プレーキペダル取り付けボルトの両側にオイルシールが入るのを知っていますか? 『そんなオイルシールなど見たこともないし、気にしたこともない。』 しかし、最近入手した「使用頻度小のブレーキペダル」を見ると、 真新しいオイルシールが付いていました。 これも今回の発見です。 |
c.エアクリーナーでまた一苦労
・キャブレターを取り付けた。 『さあ、新品のエアフィルターを取り付けよう。』 『あれっ? フィルターのホルダーがない。』 ・ホルダーのストックはあったはずだけど、探すのに時間がかかるのでRMX③から取り外し。 ・エアクリーナーボックスの中を見ると、 クリーナーボックスとキャブレターの間のゴムケース(アウトレットチューブ)の中に土と砂。 『こんなの吸い込んだら、すぐにキャブレターが詰まってしまう。取り外して水洗いをしよう。』 ・しかし、エアクリーナーボックスとアウトレットチューブを留めている大きなバンド(クランプ)の ネジが3㎜ヘキサ。 排気バルブの部品じゃあるまいし、なぜこんなクランプにヘキサが必要なの? キャブレタークランプのようにプラスビスではダメなの? 整備性の悪さにプツプツ。 もちろん、プラスビスに変えました。 |
d.なんじゃこのタンクは!
さて、いよいよ始動。
まずはオイルタンクにCCISS。
そして、燃料は CCISで 25:1 の混合油。
燃料タンクのフタを開けてみると、
・タンクの中は赤サビだらけ。 ・燃料コックにストレーナーが付いているとはいえ、これは“チョットこわい”でしょう。 ・このタンクのサビ取りは宿題にして、とにかく、今日はエンジン始動。 ・タンクもRMX③から借り受け。 ただし、RMX③のタンクは燃料コック漏れがあるので、 燃料コックだけRMX④タンクから移植。 |
e.エンジン始動。しかし…
チョークを引いて、キック二回目でエンジンは何事もなかったように始動。
チョークを引いてのアイドリングOK。
「分離給油+混合油」でオイル過多のはずなのに白煙はそんなに多くない。
1~2分後、チョークを戻すとアイドリング安定。
エンジン音は“カッチリ”したもの。
このカッチリしたエンジン音は、現役RMX②/エンジン②(R型 より RMX③/エンジン③(N型) の方がよく、RMX③/エンジン③よりこのエンジンの方がよい。
これは、エンジンの個体差ではなくR型とN型の違い、バランスウエイトの変更が関係しているのかもしれません。
「カッチリ感=シャープ感」と言い換えればこのことが納得できます。
少し試乗。
クランクベアリング交換で“馴らし”が必要なのでトロトロと走る。
クラッチ、シフト、ステアリング、ブレーキ問題なし。
ところが…、
・ウォーターポンプのドレン孔から冷却水がポタリ・ポタリ。 ・『えっ? メカニカルシール不良?』 ・そんなはずはありません。 最初に書いたようにウォーターポンプ部はまったく問題なし。 「また、ウォーターポンプチェックか…。 しかし、クラッチカバーを外せばいいのだし、メカニカルシールの取り置きはあるし。 また、暇なときにやればいいか…。」 ・オイルポンプラインのエア抜きのためにエンジンをかけっぱなしにして後片付け。 10~15分経ったでしょうか、メーター内の水温警告ランプが点灯。 冷却水のリザーバータンクがみるみるうちに一杯になる。 『えっ?』。 |
『もしかして、ラジェター詰まり?』
そう考えればツジツマが合う。
・メカニカルシールの損傷では冷却水が漏れるだけでオーバーヒートは起こらない。
ラジエターに問題があるからオーバーヒートが起こった。
・エンジンをかけウォーターポンプが動き、ポンプ内の圧力が通常より高くなる。
そして、通常の圧力なら漏れを起こさないメカニカルシールから冷却水が漏れる。
・メカニカルシールに問題があるのならエンジンをかけていないときにも冷却水が漏れるはず。
・これは、メカニカルシール交換よりラジエター点検の方が先。
ラジエター部分の点検は今まで必要はなかったしやったこともありません。
また、宿題が増えました。
●●
5.とにかく、エンジン始動・復活
・結局、RMX4 不動の原因は、 ジェネレーター故障と左クランクベアリング損傷。 修理内容は ・ジェネレーター交換(RMX①/エンジン①より) ・左クランクケース交換(RMX①より) ・左右クランクシャフトのベアリング・オイルシール交換 ・クランク交換(RMX①より) ・クランクケース各所オイルシール・Oリング・ガスケット交換 ・シリンダーヘッドガスケット・シリンダーガスケット交換 ・チャンバー交換(RMX①より) ・キャブレターOリング(FV,AS),底部シール交換 ・メインジェット,ワッシャ交換 ・フロントブレーキパッド交換 ・エアフィルターとフォルダー装着 ※クランクは問題なく使えたがRMX①のものに交換 ※左クランクケースもなんとか使用できたがRMX①のものに交換。 ・ストックしていた部品も使ったので、費用は1万円以内。 これでエンジン再始動。 ・あとは、冷却系統のチェックとタンク内のサビ取り・サビ止め。 |
このSJ13は放置期間が長いが使用期間は短いのかもしれません。
足回りしっかり、保安部品は程度良し。
書付きで実質2万円ですから“大当たり”だったのでしょう。
SJ13は控えが二台になりましたからもうこれで充分。
次回はラジェターチェックとタンク内のサビ取り・サビ止めです。
2015.06.03 追記.RMX④完成
・ホイールをRMX③のGP210と交換し、 馴らし運転を三回に分けて合計100㎞ほどしました。 ・サスセッティングは前後とも「最弱+2クリック」。 スプロケットは 標準の「フロント15枚+リヤ46枚」 ・低回転域での安定、吹け上がり、高回転域でのパンチ。 そして、N型エンジンのギクシャク感。 若々しくて、とても調子のよいエンジンです。 現役RMX②の「マイルド・熟年エンジン」を換装したいくらいです。 ・フロント21インチはやはり違和感がありません。 馴れているリヤ荷重でコーナリングできます。 フロントが適度に「抵抗して立ってくれる」のも安心です。 ・もちろん、足つき性は非常に悪く、信号待ちでは気をつかいます。 やはり、RMXをアスファルトで走らせるのには無理があるのです。 |
・次回に詳しく報告しますが、 ラジエターの詰まりはありませんでした。 サーモスタットも問題なし。 ・まずは「ウォーターポンプインペラ側のシール類交換」をしました。 シール交換直後は「10秒に一滴」が「1分に一滴」になり、 30㎞くらい走ったあとには「アイドリング5分で漏れなし」に。 シール交換直後の漏れは 「シャフト孔やドレン溝に溜まっていた冷却水」だったのでしょう。 ・一応、これで様子をみることにしました。 今度「ポタリ」を一滴でも見つけたらメカニカルシール交換です。 ・あとは、右フロントフォークのオイル漏れが少々。 これは控えのRMX③も同じです。 ・フォークのオイルシールを交換しても 使わずにそのままにしておくとまた漏れることがあります。 控え選手のフォークオイルシール交換は 「正選手になってから」で充分です。 RMX③『そろそろ、タンクを返せッ!』 |
つづく。
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