RMX250-SJ13 整備資料



 2013.02.16. RMXエンジントラブル検証② / 原因は「シリンダーとピストンの不具合」ではなく「クランクケース内」に





エンジントラブルの原因を追求しています。
いろいろやって、やっと「クランクケース内が怪しい」と考えるようになりました。
それまでに、新品ピストンセットをダメにし、なんとギヤオイルなしで三回も高回転試乗。
もっと続いていればギヤ焼きつきとなったでしょう。

検証のため新品のピストンセット入手
間違っていた原因判断と無駄な試行
「ギヤオイル入れ→白煙モウモウ・ギヤオイル飛散→エンジンの調子が良くなる→ギヤオイル激減→ギヤオイル入れ」を繰り返してやっとエンジントラブルの原因に気付く
(余談)
29E00 と 29E01 と 29E02 ②
ピストンリングの裏表、1stリングと2ndリングの見分け方
Yahooオークションで未使用ピストン入手


    
1. ピストンとシリンダーの在庫あり



かい日に少しずつエンジンをさわっています。
今までの進捗状況です。

・前回、『SJ-13のピストンとシリンダーは、すでに廃盤』 と
 書きましたがそうではありませんでした。

・ピストンについては、
 「ピストン単体は廃盤、ピストンセットは在庫あり」。

・ピストンセットの内容は、
  ピストン
  ピストンリング
  ピストンピン
  ピストンベアリング
  スナップリング

・シリンダーについては、
  前回の問い合わせで部品番号を間違っていたので「該当なし」の回答。
  その「該当なし」を「在庫なし」と早合点したのです。


今回リストアップした部品は次の通り。
青は入手したもの。
13とはSJ13A、14とはSJ14A。

番号  部品番号 部品名称 個数 単価・円
1 11200-29811 13シリンダ 1 86,835
2 12100-29810 (12100-29812-000) 13ピストンセット 1 14,490
3 12100-44820 (12100-44822-000) 14ピストンセット 1 13,860
4 12110-44E00-0F0 14ピストン 1 8,925
5 12140-29E10 13・14リングセット 1 3,517
6 12151-28C00 13・14ピストンピン 1 945
7 09381-18002 13・14スナップリング 2 73
8 11241-28C11 13シリンダーガスケット 1 934
9 11141-05D10 13シリンダヘッドガスケット 1 3,307
10 11233-29E00 13排気バルブガスケット№1 1 189
11 11238-05D01 13排気バルブガスケット№2 1 136

※14のピストンは、ピストンリング・ピストンピン・ベアリング・スナップリングが13と共通なので、13に流用できるでしょう。
   だから、13のピストンを交換する場合、「 13ピストンセット/14490円 」ではなく、「 14ピストン+リングセット/計12442円 」でも 「 14ピストンセット/13860円 」でもOKでしょう。
   しかし、値段はそれほど変わりませんから、「13ピストンセット」がよいでしょうね。

シリンダーの値段に驚き。
高いから在庫が残っているのでしょうか。

シリンダーとピストンを新品にすると 10万円。
これを 『10万円でRMXの走りを取り戻せる』 と考えるか、『そこまでRMXに入れ込む必要はない』と考えるか。

すべては懐具合。


・これが新品のピストンです。

・材質は「アルミ合金+すずメッキ」。

・なお、シリンダー材質は
  「アルミ合金+SCEMメッキ(※)」
  ※Suzuki Composite Electrochemical Material
  セラミック粒子を分散させたメッキとのこと。

・硬さではシリンダーの方がピストンより上でしょう。


      
2.試行1 - エンジントラブルを起こした組み合わせ/「クランクケース①+シリンダー①+ピストン①+ピストンリング②+キャブレター①」


エンジントラブルを起こした組み合わせです。
ピストンリングだけはRMX②のものにしました。

シリンダー②のタテ傷を2000番のペーパーでならしました。

キャブレター設定はエンジントラブルを起こしたときと同じ、
設定 : PJ/30、JN/1段目、AS/1.75回、MJ/190,CCIS/20:1

ギアオイルを規定量650㏄注入。


(用語の説明)


ここで、以下に使う用語を説明しておきます。

昨年3月に尾鷲・熊野峠でエンジントラブルを起こしたRMXを、RMX①。
このRMX①のシリンダー・ピストン・クランクケース、キャブレターなどを、シリンダー①・ピストン①・クランクケース①、キャブレター①。

昨年のクリスマスに入手したRMXを、RMX②。
このRMX②のシリンダー・ピストン・クランクケース、キャブレターなどを、シリンダー②・ピストン②・クランクケース②、キャブレター②。

新品部品を、〇〇新。


(結果)

・エンジンかかる。
・シリンダーよりガシャガシャ音
・白煙多大
・サイレンサーつなぎ目よりオイル飛散

これは、エンジントラブル直後の状態と同じ。

(考察)

・シリンダー傷を2000番ペーパーで磨いた程度では効果がない。
・シリンダー、ピストンリングの密着不完全。
圧縮が弱く不完全燃焼。


※2019.09追記・解説
・エンジントラブルの原因を「シリンダーとピストンの不具合にある」と考えて、シリンダーの縦傷を修正しリングを新しくした。
・しかし、結果は「エンジントラブルの直後と同じ」。
・これを「まだ、シリンダーとピストンの不具合が解消されていない」と判断。次の試行でもそれを引きずっている。
・原因は「シリンダーとピストンの不具合」ではなく、「クランクシャフト右ベアリングの損傷」。早くそれに気づけ!
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3.試行2 - 「クランクケース①+シリンダー①+ピストンセット新



a.これでダメならシリンダー①は没


ピストン、ピストンリング、ピストンピン、ベアリングは新品。
シリンダーはエンジントラブルを起こしたときのもの。
キャブレター設定同じ。

これで、ダメならシリンダー①に原因があり、シリンダー①は没。


(結果)

・エンジンかかる
・シリンダーよりガシャガシャ音なし
・試行1より回転が上がる。
・白煙多大
・サイレンサーよりオイル飛散

・チョークを引いてエンジンがかかるがチョークを戻すとエンジン停止。
・アイドルスクリューを締めてチョークを戻すとエンジンが狂いだす。(回転が上がって止まらない)
・アイドルスクリュー戻しても、スイッチOFFにしてもエンジンは狂ったまま。チョークを引いてやっとエンジン停止。


(考察)
・シリンダー①は没
・試行1より回転が上がったのはピストンリングを新しくしたため →→ ピストンリング②も没。
・クランクケース①は問題なし。
・エンジン狂い出しはキャブレターに問題ある可能性あり。


※2019.09追記・解説

・「シリンダーとピストンに不具合がある」→「ピストン・ピン・ベアリング・リングを新品にする」→「問題解決せず」→「シリンダーがダメ」と考えている。
・しかし、なぜ「クランクケース①は問題なし」と考えたのか? 試行1のときの「ガシャガシャ音」がしなかったからか?
   「白煙多大・サイレンサーよりオイル飛散」これで「クランクシャフトベアリングの損傷」に気づけ!


b.燃焼状態

・シリンダーの中はオイルねっとり。
  ピストン頭にオイル溜まり。

・生焼け状態。
  不完全燃焼がありあり。


※2019.09.追記・解説

  このオイルは「クランクシャフト右ベアリング損傷」で、
  クランクケース内のエンジンオイルを
  シリンダーの中に吸い込んだため。
  「シリンダーやピストンの不具合」で
  不完全燃焼したものではありません。


   
c.ピストン新の状態

・シリンダーを外してビックリ。

・真新しいピストンに見事なタテ傷。

・合計何分動かしたと言うのか!

・右側が前 (排気側) 。


※2019.09追記・解説

  「クランクシャフト右ベアリング損傷」で、クランクは首を振る。
  クランクが首を振れば、ピストンは暴れる。
  ピストンとシリンダーの隙間は0.03㎜。→→→こちら
  こんな傷が着くのは当たり前。


前回、『ギャア~ッ』と驚かされた ピストン② のタテ傷と比べてみましょう。

・左がピストン②、右がピストン新。

・ピストン前側 ( 排気側 ) です。


・ピストンのタテ傷なんかすぐにつくのです。

 
※2019.09追記:そうではありません!


・ピストンの後側 ( キャブレター側 ) です。

・リング止めがある方が後側です。

・左がピストン②、右がピストン新。

・けっこう深い傷です。


d.ピストンになぜタテ傷がつくのか


前々から不思議に思っていたことです。

( シリンダー内部の何かが傷をつける )

・シリンダーは円筒で、内部は平滑で出っ張っているものはない。

・シリンダー壁面に傷があっても、それは凹傷で出っ張ってはいない。

・もし、そのシリンダー壁面の凹傷がピストン傷の原因だとしても、これだけたくさんの傷をピストンにつけることはできない。

・さらに、シリンダー壁面に接するのはピストンリングでありピストンではない。

・しかし、ピストンにこのような傷がつくのだから、シリンダー内にピストンを傷つける部分がある。


( 考えられるのは排気孔と吸気孔)

・考えられるのは、シリンダー中程にある排気孔と吸気孔。
  シリンダーを一周している大きな穴。
  ピストン傷は「排気孔・吸気孔の縁にピストンが押しつけられてつく」としか考えられない。

・ピストンがなぜ排気孔・吸気孔の縁に押しつけられるのか?

  ピストンにはピストンより一回り大きいピストンリングがはまり、そのピストンリングがシリンダー内壁と擦れ合っている。
  ピストンはシリンダー内壁と擦れ合うことがなく、排気口・吸気孔の縁に押しつけられることはない。

  しかし、それはシリンダー、ピストンリング、ピストンリング溝が正常の場合のこと。

 「ピストンには一回り大きいピストンリングがはまり、ピストンはシリンダー壁面に接することはない」と言っても
  ピストンとシリンダー内壁との隙間は 0.085㎜以下 ( 髪の毛一本分以下)しかない。

 シリンダー内部の磨耗、ピストンリングの磨耗、リング溝の磨耗があれば、ピストンとシリンダー壁面か接することになる。


( だから‥ )

・だから、ピストン傷はピストンの前側と後側につき、横側にはつかない。

・ピストンの上下運動はクランクにより回転運動に変えられる。
 そのため、ピストンの上下運動は前後に振られ、ピストンの前側と後側がシリンダー内部の排気孔・吸気孔に押しつけられることになる。

 上の写真でピストンの上部 (  ピストンリングに近い部分 ) には傷がついていないのは
  この部分がピストンリングに近いので、シリンダー壁面に押しつけられにくいから。


( ピストンのタテ傷の原因は )

・シリンダー,ピストンリング,ピストンにガタがあるから。
  つまり、 シリンダーの磨耗,ピストンリング溝の磨耗,ピストンリングの磨耗があるから。


※2019.09.追記・解説
それもあるでしょが、「なぜ、ピストンが首を振るか?」を考えなければ!


( いきなりピストンを組んではダメ )

このように考えると、ピストンにタテ傷がある場合にすぐに新しいピストンを組むのは避けなければなりません。

ピストン傷の原因が「ピストンリング磨耗・ピストンリング溝磨耗」なら、新しいピストンを入れてもピストンに傷はつきません。
しかし、ピストン傷の原因が「シリンダー磨耗」なら、新しいピストンにたちまち傷をつけてしまいます。


だから、

まず、タテ傷のあるピストンに新しいピストンリングをはめて隙間が適正値かどうか調べる。
それが適正値なら、ピストン傷の原因はピストンリング溝の磨耗ではない。

残る原因はピストンリングの磨耗かシリンダーの磨耗。

次に、傷のあるピストンに新しいピストンリングをはめてエンジンをかける。

エンジンの調子がよくなれば、ピストンの傷はピストンリングの磨耗が原因でシリンダーに磨耗はない。

シリンダーに磨耗がなく、ピストンリングを新しいものにしてピストンリングの磨耗もないのだから、もうピストンに傷がつくことはない。

ここで、安心して新しいピストンを組む。


もし、ピストンリングを新しくしてもエンジンの調子が変わらなければ、ピストン傷の原因はピストンリングの磨耗ではなくシリンダーの磨耗。

磨耗のあるシリンダーに新しいピストンを組んでも新しいピストンを傷つけるだけ。

新しいピストンを組むのはシリンダーを健康なシリンダーにしてからのこと。


このような順番を踏まなければならないのです。

今回のようにいきなり新しいピストンを組んではいけないのです。

また一つ賢くなりました。


なお、RMX②のピストンもタテ傷タップリでした。

だから、そのシリンダー②も使い物にならない可能性は大。

しかし、それはやってみなければ分かりません。


※2019.09.追記・解説

今、読んでも「とてもややこしい」。
当時は「しっかりと悩んでいた」のです。
しかし、いろいろエンジンを触っていると「そう簡単にシリンダーはダメにならない」との実感。
「クランクシャフトのベアリング損傷が原因」であることに気づくのはまだまだ先。
次の試行でもまだ「ベアリング損傷」のクランクケース①を使っています。
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4.試行3 - クランクケース①+シリンダー②+ピストンセット新 ( 試行2で負傷)


ピストンは試行2で傷のついたものを使います。

しかし、ピストンリングとピストンリング溝は試行2でそれほど磨耗してはいないはず。

だから、シリンダー②が使えるものかどうかを判定することはできるでしょう。


a.キャブレター①で


・設定 : PJ/35,JN/2段目,AS/1.75回,MJ/185
※エンジン狂い出しを防ぐため、MJを一段下げ高回転を薄くする。
※MJを一段下げたので、低~中回転を濃くする ( PJ一段上げ・JN一段下げ )。

・エンジンかかる。
・白煙モウモウ、オイル飛散
・チョークを引いたままならアイドリングするが、チョークを戻すとアイドリングしない。
・アイドルスクリューを締めてアイドルを高くするとエンジンが狂いだす。
・試行2と同じような状態だが、回転は試行2よりよくなっている。


・AS,PJ,JN,MJ をいろいろ変えて、狂いださないように・チョークなしでアイドリングするように調整。

・設定 : PJ/35,JN/2段目,AS/1.0,MJ/190

・エンジンはかかりやすくなる。
・チョークを戻してアイドリングするようになる。
・AS/1.25・1.5にすると狂いだすが、AS/1.0では狂いださない。
・白煙モウモウとオイル飛散が少しだけ改善される。

タンクを外しては、 キャブレターを外したり傾けたり。。

・キャブレターを開けてはPJとMJを変更。

・キャブレターを傾けてはJN段数を変更。

・タンクを付けてはエンジン始動。

・エンジンをかけてはAS調整。

・後で説明する  29E00 と29E02の違いを知らずに迷走。


・タンクの取外し取り付けの繰り返し。
・ なんとかアイドリングするように。
・やっとシュラウドとシートを取り付ける。

・『 走らせるのは 一年ぶりだな‥。』

・そうだ、 ギヤオイルも点検しておかなければ‥


b.ギヤオイルの激減 とオイル追加による始動不能


ギヤオイルは試行1のときに規定量の650㏄を入れているから大丈夫。

鼻唄まじりにオイル量点検孔のボルトを外す。

『 あれっ? オイルが出てこないゾ?』

『それでは、少し追加しておくか‥』

しかし、オイルをつぎ足しても、オイル量点検孔からオイルが出てこない。

結局、500㏄以上を追加。

やっと点検孔からオイルが流れ出す。

『試行1のときにギヤオイルを入れたはずだけど‥。』


そんなことより走らせるのが先。

ヘルメットをかぶって、キックを踏みおろす。

しかし、エンジンがかからない。

『今さっきまで、チョークを引かずにキック一回でエンジンがかかったのだけど‥。』


何度かキックすると 『バン!』とバックファイアー。

それからエンジンは沈黙。

チョークを引いて何とか始動させても、『 ボ、ボ、ボ‥。』と止まってしまう。

ピストン①+シリンダ① ( 2-b.試行1 ) より調子が悪くなってしまった。


『なぜ、急に調子が悪くなったの? ギヤオイルを入れたから?』


2サイクルだからギヤオイルの入る場所とエンジン室は別々。
ギヤオイルはエンジン内の燃焼とは無関係。
ギヤオイル注入はシロ。


『タンクを取り付けるときに点火系統のコードを断線させたから?』
『イグニッションコイル一次側のプラス接点が緩んでいるのでは?』

タンクを外してこれらをチェック。問題なし。


『それなら、キャブレターのどこかが突然詰まったのだろうか‥。』

PJやMJをあやこれや交換したり、段数を変更するためにNJを何度も取り外したり取り付けたりしている。
そのときについたゴミが突然詰まったとも考えられる。


c.キャブレター①の清掃


翌日、キャブレタークリーナーを二種類使ってあちらこちらを念入りに清掃。

チョークを引いてなんとかエンジン始動。

周りが見えなくなるほど白煙モウモウ。

チョークを戻して回転を上げる。

白煙モウモウは変わらない。

・サイレンサーより白煙と一緒にオイルが勢いよく吹き出す。

  オイルでフェンダーやナンバープレートが汚れるのは普通。

  しかし、リアタイヤにオイルがタップリ。

  2~3m後方の路上にもオイルが飛び散り。

  これは“普通”じゃないでしょう!


しかし、この異常な 「白煙モウモウ,オイル飛び散り」を続けていると、
白煙モウモウが次第にやわらぎ、飛び散るオイルが少なくなってきた。

そして、アイドリングするように。

エンジンが気を損ねる前に走り出してしまえ!

・キャブレター①設定 : PJ/35,JN/2段目,AS/1.0,MJ/190

・低回転~中回転のもたつきやドンつきなし。
・バックミラーに映る白煙なんか気にしない。
・クラッチが滑っているような加速→→中回転で薄いのか?
・高回転で伸び悩む→高回転が濃いor薄い?
・MJとJN段数でなんとかなりそう。

とにかく、一年ぶりに走らせることができました。
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d.キャブレター②で走らせる


シリンダー②についていたのはキャブレター②

キャブレター②とキャブレター①はニードルジェットやパワージェットの形が違う。
シリンダー②にはキャブレター②の方が相性がよいでしょう。

ということで、キャブレター②をもう一度清掃し、PJとMJを新しいものにし、ASのOリングも新しくして取り付ける。
その後はお決まりの設定繰り返し。

落ち着いたところは、

・キャブレター②設定 : PJ/35,JN/1段目,AS/1.0,MJ/195


そして試乗。

・白煙はややおさまる。  しかし、多すぎる。
・オイル飛散は 「普通+α」程度。
   オイルが路上を濡らすことはない。
   オイルがタイヤにベットリとつくこともない。
   フェンダーやナンバープレートにつくオイルも減った。

・低回転~中回転でのもたつき・ドンつきなし。

・クラッチが滑っているような感じなし。

・高回転でよく伸びる。

・久しぶりのRMX加速、久しぶりのRMX排気音。
  「誰かサン達」のように、エンジンだけをふかしているではありません  車速を乗せた排気音です。

・一時間くらい走りました。
  『あとは少しずつセッティングしていけばよい』

・それにしても、ピストン新はタテ傷タップリ。
  それなのにこれだけ調子よく回る。

  ピストン傷自体はそんなに問題なしなの?

・さあ、この次はもっとしっかりと走りましょう。
  フロントフェンダーも取り付けて。

念のためにギヤオイルもチェック。


e.ギヤオイルの激減


またまた、オイル量点検孔からオイルが出てこない

ギヤオイルは試行3 ( 4-b ) で充分入れたはず。

ドレンボルトを外してオイル量チェック。
出てきたオイルはたったの120㏄。
クランクケースからオイル漏れはない。

530㏄のギヤオイルはどこに行ったのでしょう。


考えられるのは、「ギヤオイルがクランクケースに入って、シリンダーに送られ燃焼 or シリンダーから排出されている」こと。

ギヤオイルの入る部屋はクランクケースとは別だけど、シールが損傷していればクランクケースに入っていくだろう。


そう考えると今までの異常がすべて説明できる。

・白煙モウモウはギヤオイルが燃えたもの。
・サイレンサーから噴出するオイルは燃えなかったギヤオイル。
・「 エンジンを高回転にしておくと白煙やオイル飛散が減る 」のは、ギヤオイル量が減ってクランクケースに流れ込まなくなるから。
  または、クランクケースに溜まったギヤオイルが少なくなり、それがシリンダーに送られなくなるから。
・4-b で「 ギヤオイルを入れたらエンジンがかからなくなった 」のは、再びギヤオイルがクランクケースに流れ込みシリンダーに送られるようになったから。
・3-b でピストンの上に溜まっていたのは、もしかしてギヤオイル?

クランクケース①の容疑は濃厚に

もう一度エンジンを降ろし、「クランクケース②+シリンダー②+ピストンセット新 ( ピストン傷あり) +キャブレター②」で試してみよう。

あのタテ傷新品ピストンはどうなったかな?

クランクケース②のギヤオイルは減らないかも?

RMXの快音を楽しむのはもう少し先になりました。


※2014.09.29 追記

RMX①のクランクケースを分解して分かりました。
エンジントラブルの原因は「クランクシャフト右側のベアリング破損」でした。→→→こちら

「ガシャガシャ音」は破損したベアリング音。
「ギヤオイルの減少・吹き出し」は破損したベアリング部分からのギヤオイル吸い込み。

エンジントラブルの原因は「ピストンの抱きつきや焼きつき」ではありませんでした。

「RMX①のシリンダーが問題ないこと」は他のクランクケースに組んで確認しました。→→→こちら

しかし、ベアリング玉の数が半分になっても突っ走るRMXは驚き!


※2019.09.追記・解説

歳をとってから今までのことをいろいろ思い出します。
「あんなこともやった。こんなこともやったんだった。」
どれも、今思えば恥ずかしいことばかり。
しかし、その当時は「それが精一杯」。

「今、精一杯やっていること」が後から考えると「何を無駄なことをやっていたのだろう」。
しかし、「そのように気付くこと」が成長なのでしょう。

人生とはジタバタすること。
そして、それを後から悔いること。
「我が人生に悔いなし!」ではありません。
「我が人生は悔いばかり…。」
それでいいのです。

やっと、RMX①のエンジントラブルの原因を見つけたようです。
随分とジタバタしましたネ。


5.今回のトピックス
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a.29E00 と 29E01 と 29E02


RMX-SJ13A にはN型・R型・S型の三種類があります。

N型はフレーム№SJ13A-100001~104120
R型はフレーム№SJ13A-104121~104840
S型はフレーム№SJ13A-104841~

昨年2月にエンジントラブルを起こしたRMX①はN型、昨年暮れに入手したRMX②はR型です。


R型からは、
クランクシャフトのバランスウエイト変更
フロントフォークに伸側減衰力調整機構追加
リヤショックに伸側現推力調整機構追加


キャブレターはN型が 29E00 or 29E01、R型・S型が 29E02

29E00,29E01,29E02 では細かい部品が違います。
よりセッティングが出やすくするために変更されたのでしょう。

主な違いは表の通りですが、
注意しなければならないのが N型 と R・S型のニードルジェットとピストンバルブの違いです。

型式 RMX-N RMX-R RMX-S
フレーム№ SJ13A-100001~104120 SJ13A-104121~104840 SJ13A-104841~
キャブレター型式 29E00 ※下画像の① 29E01 29E02 ※下画像の ②
ニードルジェット 09494-00782・N6 09494-00839
ジェットニードル 6BGK01 6BGK07-3 6BGK08-3
13383-29E00 13383-29E20 13383-29E30
ピストンバルブ 13551-29E00 ※下画像の A 13551-29E20 ※下画像の B
パワージェット・下 09492-35004・♯35 09493-60006・♯60
パワージェット・ホース 13218-29E00 13218-29E10


・写真の①は、キャブレター①の 29E00 ( 29E01 かも知れません。)

・写真の②は、キャブレター②の 29E02

・型番は、「キャブレター本体のエアクリーナー側に刻印 」とか。
  しかしそんな刻印は見当たりません。

・①と②ではピストンバルブとニードルジェットが異なります。

・Aがキャブレター①のピストンバルブ。

・Bがキャブレター②のピストンバルブ。

・違いはニードルジェットにはまる穴の大きさ。

・キャブレター①とキャブレター②では
  ジェットニードルの頭の形状が違うからです。

・キャブレター①のニードルジェットの頭は太くて短く、
  キャブレター②のニードルジェットの頭は細くて長い。

・ピストンバルブはこれらニードルジェットの頭に
  うまく収まらなければなりません。
  だから、穴の大きさが違うのです。

・もし、キャブレター①にキャブレター②のピストンバルブBを使うと、
  Bの穴が小さいので  キャブレター①のニードルジェット頭にうまくおさまりません。

・キャブレター①にキャブレター①のピストンバルブAを使った場合と
  キャブレター②のピストンバルブを使った場合では  これだけの違いがあります。

・当然、キャブレターセッティングが狂ってきます。

・キャブレター②にキャブレター①のピストンバルブBを使っても同様です。

・これを知っておかないと、 キャブレター設定で迷路に迷い込むことになります。
  ※私は迷い込みました。

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b.どちらのピストンリングが上?


ピストンリングは二本あります。
上にはまるのが 1st リング、下にはまるのが 2nd リング。
2nd リングの下にはエキスパンダというバネが入ります。

どちらが 1st リングで、どちらが 2nd リングか迷いますね。

・ピストンリングの上下は 刻印がある方が上。
  このリングでは R刻印 のある方が上になります。

・しかし、 1st と 2nd を区別する刻印はありません。

・画像の上が1st リングで、下が2nd リングです。

・凸部が太いのが1st リング、凸部が細いのが2nd リング。

・もっとはっきりと分かる区別があります。

・リングの厚さ ( 円周方向厚 ) が違うのです。

・二つのリングを重ねて、厚い方が1st リングで薄い方が2nd リング。

・2nd リングの下にはエキスパンダリング( 画像の三番目 ) がはまります。
  だから、2nd リングは 1st リングより薄くなっているのです。


c.エンジンを下ろさないでピストン交換


ピストン交換をするのにいちいちエンジンを降ろす必要はありません。

RMXを扱っているサイトではエンジンをフレームに載せたままピストンを交換しています。
サービスマニュアルにもそのような手順になっています。

いつも、エンジンを降ろしていたので、今回はエンジンをフレームに載せたまま作業をしました。

その感想です。

・シリンダーを外すのは簡単だが、はめるのは難しい。
・ノックピンが邪魔になって作業がやりにくい。
・とくに新品のピストンリングを使う場合は、リングをピストンに押しつけるのに苦労するからやりにくい。


※2019.9.追記・解説

エンジンを載せたままピストンを交換することはまだできていません。→→→こちら
ピストンリングコンプレッションツールも自作しましたが…。→→→こちら

・エンジンを降ろすために増える作業は11個、
  9本のエンジンマウントボルトを外す、ブレーキペダルを外す、
  ドライブスプロケットを外す ( チェーンを外す )。
・そんなに時間はかからないから、エンジンを降ろした方が楽でしょう。

・なお、エンジンを載せるときはシリンダーヘッドを取り付けてはいけません。
  シリンダーヘッドの冷却水入口が邪魔になります。

・順番は、
  ピストン交換→シリンダセット→エンジンを載せる→シリンダヘッドセット。

・また、チャンバー取付とラジエター取付ではラジエターが先。
  チャンバーを先に取り付けると、 ウォーターポンプにホースが取り付けられません。

・さらに、チャンバー取付とキャブレター取付ではチャンバーが先。
  キャブレターを先に取り付けると、
  チャンバー取り付けボルトがキャブレターに隠れて締めることができません。

次の点にも注意 ( CRマニュアルより )。


・ガスケットには2サイクルオイルを塗る。( 馴染ませるためと漏れ防止 )
・シリンダーをピストンにセットするときは、ピストンの上死点近くで行う。
・新しいピストンは各ボートとのなじみをよくするために、ポート面を800番~1200番で面取りする。
・シリンダーをセットしたら、軽く締めつけたあと手で5~6回キックしてピストンをシリンダーになじませる。( 芯出し)。 本締めをしたあとも確認のため手でキックする。
・シリンダーの本締めはピストンの上死点で行う。

    


d.Yahooオークションでピストン入手



Yahooオークションで、13Aのピストン発見。

ピストンセットだけど、ピストンリングとベアリングはなし。
使ってしまったのでしょう。

新品部品だけど長期保管のためピストン表面に痛みあり。


私を含めて四人の争い。

『これでどうだ!』 と 破格の指し値!
一気に後を振り切って落札。

オークションでは値段を上げれば必ず勝てる。

落札価格は ヒ・ミ・ツ‥。 ※ヒント→こちら


ピストン表面の痛みは、触って少しザラつく程度。
腐食というほどのものではありません。

表面のスズメッキが痛んでいるだけでしょう。

いま組んであるピストンはもっともっと傷だらけです。
充分使えるピストンでしょう。



つづく。




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