NSRに「片肺 → 休むと復活 → また片肺」の症状が出て原因調べ。
その途中に「センターシール抜け」が発覚。
そのため「永久放置」を決めたのが昨年9月。 → こちら
しかし、この名車をこのまま朽ちさせるのは忍びがたい。
なんとか「もう一度あの甲高い排気音を復活させてやりたい」。
井上ボーリングが「クランクを送ればセンターシール交換をしてくれる」ようになったので依頼することに。
そのためにはクランクを取り出さなければなりません。
まずは、エンジンを降ろしてクランクを取り出すまで。
●井上ボーリングのラビリについて
・井上ボーリングが開発したNSR用の金属製のラビリンスシールです。
・ゴムシールのように磨耗の心配がありません。商品名はラビリ。
・クランクを送れば、OHしてベアリングもすべて新しくしてくれます。
・以前は「エンジンを送っての作業」だったので「〇十万円」でしたが、
「クランクだけを送っての作業」になったので「十〇万円」になりました。
・当然のことながら、純正部品は廃番で入手できません。
●MC21・MC28用ラビリと作業
●MC16・MC18用ラビリと作業
●井上ボーリング製品と作業
★★★★★
- エンジンにつながっているものを外す
- フライホイール取外しの注意
- エンジンを降ろす・ハンガアジャスタボルトの役割
- クランクの取外し
1.エンジンにつながっているものを外す
NSRはエンジンを下ろさなくてもクランクの取外し取り付けができるようになっています。
しかし、「それがエンジンを降ろしてやるよりも面倒くさいこと」は直感的に分かります。
エンジンを触るのが初めてだから、その構造を知るためにも「エンジンを降ろしてクランクを外す」ことにしました。
手順は「エンジンにつながっているものを全て外す」 → 「エンジンマウントボルトを外す」
a.冷却水とギヤオイルを抜く
まずは、冷却水とギヤオイルを抜くことから。
案外戸惑うのがドレンボルトの位置。
こちらが冷却水のドレンボルト。(8Mソケット)
リヤシリンダーにもありますが、フロントシリンダーのドレンから全てが抜けます。
ウォーターポンプの付近を探してもありません。
こちらがミッションオイルのドレンボルト。(14Mソケット)
クランクケースの底を探してもありません。
b. オイルポンプ関係
チャンバー,燃料タンク,エアクリーナーボックス,キャブレター,インテークマニホールド,リードバルブ,クラッチケーブル(エンジン側),リザーバータンク,スプロケットカバー,スプロケットを外すのは問題ないでしょう。
ラジエター取り付けボルトは左側だけ。右側と下側は差込になっています。
組立のときにラジエターホースの取り付け方向で迷うに決まっています。
いろいろな方向から写真を撮っておきましょう。
白マジックで番号と方向を書いておくのも一法です。
●オイルボンプは取り外さない
オイルポンプへつながっているホースにM6ボルトで栓をすればOK。
●ケーブル取外し時に「アジャスターの目盛り」をメモしておく
オイルポンプの流量調整はそれほど細かい作業ではありません。
しかし、以前の状態を知っておけばそれだけ楽です。
●オイルポンプソレノイドカプラーを外す
オイルポンプからコードが出ています。
オイルポンプの流量をコントロールするソレノイドです。
カプラーボックスの「ピンク-茶/黒」コードのカプラーを外して、エンジン付近まで持ってきます。
c.排気バルブガイドの取外し
●アジャスターを動かさないで、ガイドごと取り外す。
排気バルブの調整はオイルポンプの調整のように簡単ではありません。
エンジン組み付け後の細かい調整は必要でしょうが、「以前の状態」からスタートした方が楽です。
そのためには、ケーブルを取り付けたまま(アジャスターをそのままにして)取り外します。
アジャスターのある方(シリンダー側)が「ガイドベース」。
動く方(外側)が「ケーブルガイド」。
ガイドベースは二本のボルトb でシリンダーに取り付けられています。
このボルトの一方がケーブルガイドの下になっているので、
ガイドベースを外すためにケーブルガイドを外さなければなりません。
ボルトaを外してケーブルガイドを外す → 2本のボルトbを外す → ガイドペースを外す。
Cはケーブルガイドを動かないようにするための穴です。
ここに、何かを差し込めばOK。
●aは逆ネジ
「時計回り(右回り)で弛み、反時計回り(左回り)で締まる」ようになっています。
外すのは右回りです。
・取外しトルク(トルクレンチの指示値) → 150㎏・㎝
・シリンダー側から「ガイドペース → 楕円ワッシャ → ガイド → 大ワッシャ → 小ワッシャ → ナット」
・ガイドペース取り付けボルト → M6×首下12㎜
・ガイドペースボルト取外しトルク(トルクレンチ指示値) → 120㎏・㎝+α
このようにケーブルガイドを外してからガイドベースの取り付けボルトbを外します。
この後、ガイドベース,ガイド,ワッシャ類を取り付け順にタイラップで留めておきます。
d.バルスジェネレーターとギヤポジションセンサーの取外し
どちらもワイヤハーネスのカプラーを外せば済みますが、
ケーブルが他のものと一体になっていたり、カプラーを捜すのが面倒だったりするので、
エンジンから取り外す方が簡単です。
二つのパルスジェネレーターの上の方にはステーがはまっているので注意。
ギヤポジションセンサーは白○印の部分です。
これを外すのですが、右下の取り付けボルトを外してからどうすればよいのでしょう。
下から見ると
差し込んであるだけです。
隙間にマイナスドライバーを差し入れてこじれば外れます。