★★★★
- エンジンにつながっているものを外す
- フライホイール取外しの注意
- エンジンを降ろす・ハンガアジャスタボルトの役割
- クランクの取外し
2.フライホイール取外しの注意
エンジンを取り外すのにはフライホイール(ジェネレーターローター)の取外しは不要。
ジェネレーターコイル(ステーター)のコードのカプラーを外せばよい。
しかし、クランク取り出しのときに外さなければならないのでこの段階で取外します。
a.ユニバーサルホルダーが入らない!
フライホイールの外側に「ホイールプーラー用のネジが切ってある板」が取り付けてあります。
この板がフライホイールから5㎜ 出っ張っています。
そのためユニバーサルホルダーの突起が短いとフライホイールを止めることができません。
このユニバーサルホルダーの突起の長さは「長い方が13㎜,短い方が6㎜」。
なんとか、差し込んで取り付けボルトを取外し。
○ネジロック塗布の可能性あり、ホットガンでネジロック解除(※マニュアルにはネジロック指定なし)
○正ネジだから取外しは「心配なく左回し」
b.アストロプロダクトのプーラーに要注意
このフライホイールを取り外すのには「それ用のプーラー」が必要です。
RMXのようにクランクケースセパレーター(ストレート 19-508)は使えません。 → こちら,こちら
三本爪(ストレート19-1128),二本爪のプーラーは爪が引っかからないので使えません。
近くのアストロプロダクト店に出向いて買ったのがこちら。
アストロプロダクトの AP070441です。 → こちら
●仕組みは簡単
左がアダプターでこれをフライホイールに取り付けます。
右がプーラー(押し出しボルト)でこれをアダプターにねじ込みます。
アダプターをフライホイールに取り付けると、フライホイールとアダプターが一体になります。
アダプターにプーラー(押し出しボルト)をねじ込むと、
ボルトが出っ張ってきてクランクシャフトを押します。
その結果、フライホイールが引っ張られて外れます。
●アダプターは「M27/1.0の逆ネジ」が必要
NSR250のアダプター取り付け♀ネジは「M27・ピッチ1.0(細目)・逆ネジ」です。
ネットでいろいろなアダプターやフライホイールプーラーが売られていますが、
この「ネジの寸法・規格」が書いてないものがたくさんあります。
どんな商売をしているのでしょうネ。
その商品レビューで「○○のフライホイールを簡単に外せました!」
よくネジサイズが分かりましたネ。
逆ネジは進行方向に向かって「山のラインが右下がり」なので、写真から分かりますが、ピッチまでは分かりません。
なお、アストロプロダクト・AP070441のアダプターは
「M27・ピッチ1.0・逆ネジ」と「M24・ピッチ1.0・正ネジ」です。
●「押し出しシャフト」のサイズに注意
注意しなければならないのが「押し出しシャフト」。
押し出しボルトのサイズは「M10・ピッチ1.25(細目)・正ネジ」
なんと、フライホイール取り付けボルトのクランクシャフト♀ネジと同じなのです。
その結果、
そのまま押し出しボルトをアダプターにねじ込むと、クランクシャフトにねじ込まれてしまいます。
押し出しボルトがクランクシャフトにねじ込まれると、
フライホイールとクランクシャフトを「強く接合している状態」になり、クランクシャフトを押すことはできません。
当然、押し出しボルトを締めれば締めるほどフライホイールをクランクシャフトに押し付けることになります。
「押し出しボルトがアダプターの根元まで入ってもフライホイールが外れない」のがその場合です。
この状態でハンドルにパイプを繋いで長くし、力をかけて締めると押し出しボルトが折れてしまうことにもなります。
YahooオークションのNSR250のクランクシャフトで「シャフト内にボルトが折れ込んでいるもの」が出品されていましたが、もしかしてこのような状況だったのかもしれません。
●対策はシャフトに詰め物をすること
対策は「押し出しボルトがクランクシャフト内に入っていかないようにする」こと。
クランクシャフトに詰め物をすればよいのです。
シャフトは
・先端外径 : 17.2㎜Φ
・ネジ穴内径 : 10.5㎜Φ
・ネジ深さ : 先端より21㎜
・穴深さ : 60㎜
詰め物として選んだのは
①M10・ピッチ1.25キャップボルトをピッチ1.0ダイスでネジを切ったもの。
キャップ外径15.8㎜Φ,首下20㎜と25㎜
②M10・ピッチ1.0のキャップボルト
キャップ外径15.8㎜Φ,首下20㎜と25㎜
③M8キャップボルト
キャップ外径13.7㎜Φ,首下20㎜と25㎜
④M8ボルト
頂点長14.8㎜,首下20㎜と25㎜
・①と②はそのままねじ込めるから。
・①は「M10・ピッチ1.0(細目)」が入手できない場合を考えて。
・①と②の首下20㎜と25㎜は「ボルトを最後までねじ込んだ場合とそうでない場合」試したいから。
シャフトのネジ深さが先端から21㎜だから
首下20㎜では最後までねじ込めない、首下25㎜では最後までねじ込める。
・③と④は「M10.ピッチ1.0のキャップボルト」が入手できない場合や「M10・ピッチ1.0のダイス」がない場合のため。
●使えるのは
予想は①か②。
しかし、①と②は使えませんでした。
このようにシャフトにピッタリはまるのだけれど、
キャップ厚が厚いのでフライホイールにアダプターが1山くらいしかねじ込めない。
アダプターがしっかりとフライホイールに取り付けられていないと、
しっかりと力がかからないし取り付けネジを損傷する危険がある。
④のM8キャップボルトはキャップ径が小さいのでシャフト外端に当たらない。
M8ボルトはシャフト外端に引っかかるし、頭の厚さも小さいのでフライホイールにアダプターをしっかりとねじ込める。
この場合は「シャフト外端に当たっているだけ」だけ。
シャフト穴深さは61.5㎜なので、首下61.5㎜なら穴の底に突き当たってしっかりと押せることになる。
(しかし、センターが狂うなと別の問題が起きそう)
外すのには「やはり力が必要」。
どこかのユーチューブで「クルクルクル」と回して『はい!外れました。』
ウソです。
ハンドルをパイプで延長して、思いっきり回して…、『パキッ!』
●お勧めプーラーはこちら
NSR250のフライホイールだけを外すのなら「M27・ピッチ1.0・逆ネジ」のアダプターがあればよい。
アストロプロダクトのように「M24.ピッチ1.0・正ネジ」アダプターなんか不要。
押し出しボルトは汎用のものを使えばよい。
アストロプロダクトのプーラーのように4種類も要らない。
もっと、安い方がよい。
お勧めはストレートの19-686 → こちら
アストロの1/3の値段だし、押し出しボルトも太そうです。
但し、押し出しボルトが太い場合でもクランクシャフト穴に詰め物は必要です。