★★★★
- エンジンにつながっているものを外す
- フライホイール取外しの注意
- エンジンを降ろす・ハンガアジャスタボルトの役割
- クランクの取外し
3.エンジンを降ろす
a.マウント(ハンガ)ボルト
エンジンマウント(ハンガ)ボルトは4本
①フロントマウントボルト(10×291)
②リヤマウントボルト(10×285)
③リヤマウントボルト上(10×80)
④リヤマウントボルト下
ゴムブッシュは全て共通です。
b.「リヤマウントボルト上」の取外し
③「リヤマウントボルト上」はソケットボルトで、左側が頭で右側がナット側です。
外す場合はヘキサレンチで回り止めをして右側のナット(ソケットM14)を外します。
しかし、隙間が小さいのでメガネレンチでは真っ直ぐに入らず山を舐めてしまいます。
M14のストレートレンチが必要です。 → こちら
ラチェットなら便利です。 → こちら
ボルトは左側へ抜いて
フレームのこの穴から出てきます。
回り止めの六角レンチ/8㎜はこの穴から差し込むとよいでしょう。
但しこの穴は18.5㎜Φ。差込角の小さなソケットレンチか長い六角レンが必要です。 → こちら
c.エンジンハンガアジャスタの役割
●これを外さないとエンジンが降ろせない
これら①~④のボルトを外してもエンジンがどこかに引っかかって外れません。
もう一カ所のボルトを外さなければなりません。
外側のロックナットを外したあと、アジャスタボルトを外します。
工具箱に12㎜のヘキサレンチ(ソケット)がありますか?
急いでホームセンターまで走りましょう。
そんなに高価なものは要りません。 → こちら
こだわりたければ → こちら
このアジャスタボルトを外せば「引っかかり」ばウソのように解消します。
●アジャスタボルトの役割
②のリヤマウントボルトはこのような構成になっています。
a.10×285 ボルト
b.ボルトケース
c.アジャスタボルト
d.ロックナット(アジャスタボルトの位置を固定する)
e.ナット(ボルトaを留める)
このアジャスタボルトはどんな働きをしているのでしょう?
「アジャスタ」というのだから「何かを調整する」のでしょう。
ロックナットがあるのだから、アジャスタボルトで位置決めをして固定するのでしょう。
サービスマニュアルにも書いてありません。
ネットにも触れられていません。
皆さん「疑問」を持たないようです。
●私の推測●
結局、分かりませんでした。
私の「現在の推測」を書いておきます。
「アジャスト」とは「調整」ではなく「取り付け隙間をなくする」という意味のようです。
エンジンはこのフレームの間に入って、リヤマウントボルトaで固定されます。
フレーム間は170㎜弱あります。
エンジンを下から見ています。
リヤマウントボルトでフレームに固定される部分は
「ボルトケース+ゴムブッシュ」bをはめて165㎜。
フレームにエンジンを取り付けると「170㎜弱-165㎜≒4.5㎜」の隙間ができます。
この「4.5㎜の隙間」をアジャスタボルトCが埋めるのです。
アジャスタボルトC で「左右のエンジン位置を調整する」ことはできません。
ただ、「フレームとエンジンの間にできた隙間を埋める」だけです。
「エンジンの左右位置を調整するもの」ならこの状態でも可能なはずです。
しかし、この状態ならエンジンが左右に動いてしまいます。
なお、「ボルトケースbに入っているボルトaを抜いても
アジャスタボルトを外さないとエンジンが外れない」のは、
アジャスターボルトがボルトケースbを押しているからです。
もし、上の写真のような状態ならアジャスタボルトを外さないでもエンジンが外れます。
結局、アジャスタボルトの役割はエンジン取り付け部の「その時々の隙間を埋める」こと。
ゴムブッシュの劣化による痩せ,エンジン取り付け部やフレームの痩せなどで、
エンジン取り付け部の寸法(165㎜)とフレームの取り付け部の寸法(170㎜弱)が設計値と違ってくるのでしょう。
その違いを解消するためのものでしょう。
そういう意味では「アジャスタ」になります。
そのため、このボルトは「しっかりと締めればよい」だけです。
何も調整する必要はありません。
・アジャスタボルトの規定締めつけトルク : 100~200㎏・㎝
・ロックナットの規定締めつけトルク : 600~400㎏・㎝
・リヤマウントボルトナットの規定締めつけトルク : 350~450㎏・㎝
d.エンジンジャッキは必要
エンジンジャッキがないのでモトクロススタンドの下にパンダジャッキを当てて代用しました。
しかし、これでは問題が生じます。
モトクロススタンドは「下まで下がりきらない」ので
エンジンを「そのまま下に降ろして」外すことができないのです。
いろいろやっている内にエンジンが斜めになってしまいました。
結局、そのまま後に振って外しました。
RMXのようにフレームにエンジンが載せてある場合はエンジンジャッキは不要ですが、
フレームがエンジンを吊っている場合はエンジンをそのまま下に降ろせるエンジンジャッキが必要になります。
エンジン取り付けのときまでに入手しておきます。
車体を上げるのではないから安いもので充分でしょう。
耐加重量より「下まで下りきること」が必要です。
●エンジンジャッキ → こちら