クランクが井上ボーリングでOHされて戻ってきたのが12月末。
温かくなってきたのでやっとオートバイを触る気になりました。
もちろん、FJもRMXも眠ったまま。
インプレッサだけ「2006年・1500㏄・NA・MT・100PS」から
「2007年・ 2000㏄・ターボ・MT・250PS」CBA-GH8に変わりました。 → こちら
通勤の信号で「3000rpmからのターボ加速」を楽しんでいます。
125㏄バイクなら50m先で抜け るでしょう。
「8㎞/ℓ,プレミアガソリン」まったく気になりません。
「ECOモードなんかなぜあるの?」
車は雨の日も寒い日も楽しめます。
それに比べてオートバイのコストパフォーマンスの何と低いことか!
自分にとってのオートバイの存在意義」はさておき、ばらしたエンジンは組み立てなければなりません。
NSRのエンジンを触るのは初めて。
思わぬところでつまずきました。
なお、オートバイ,時計関係の記事は「次の作業のためのメモ・資料」として書いています。
オートバイ整備に関してはRMXがメインです。 → こちら
NSRは「動態保管バイク」なのであまり触りません。
当然、整備も初歩的なものになります。
NSRフリークの方の参考になるような記事ではありませんのであしからず。
- クランク取り付け
- ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
- ピストン取り付け
- 排気バルブ清掃・取り付け
- シリンダ取り付け
1.クランク取り付け
a.仮組でセット状態を確認
クランクのセットは「クランクをロアケースにセットしてアッパーケースを重ねる」だけ。
ミッション別体なのでRMXのようにミッションを組み上げる必要なし。 → こちら
クランクシャフトの引き込み作業も、微妙な調整もなし。 → こちら
接合には液体ガスケットを使います。
まずは、仮組みをして各部品がどこにセットされるのかを確認。
●オイルシール位置
右ベアリングはスナップリング溝に、右オイルシールは出っ張りが納まる溝に。
オイルシールを逆にすると取り付けられないので逆組みの心配はなし。
ベアリングとオイルシールの間には隙間ができます。
ベアリングの突起もクランクケース段差に当たるように。
左オイルシールも同じ。
出っ張りが溝に入るので裏表を逆に組むことはありません。
しかし、左オイルシールには上下があります。
オイルシールの出っ張りは真ん中に付いていません。
この出っ張りが中心より下になるようにしないと溝に納まりません。
上の画像では右側が正解。
左側にして溝にセットするとクランクケースが合わせられなくて焦ります。
オイルシールは左右とも出っ張りのある規格外のものです。
純正部品があるうちにストックしておかなければなりません。
・右オイルシール : 91203-kv3-831(36 × 68 × 8) 2152円/個
・左オイルシール : 91205-kv3-771 (25 × 38 × 6) 585円/個
特に左オイルシールは「見るからに弱そう」なので頻繁な交換が必要でしょう。
ただし、オイルシールだけ外から交換することはできません。
クランクケースを割らなければなりません。
この点はRMXの方が整備性が優れています。 → こちら
クランクを仮セットしたら、アッパーケースを取り付けて「うまく接合できるかどうか」確認します。
接合ピンが三カ所にあります。
分解時に外れてなくなることがあるので部品注文のときに忘れずに追加。
・94301-10160(10 × 16)・2個 ※シリンダ接合ピン4個も同じ。
・94303-08140(8 × 14)・1個 ※クランクケースカバーの接合ピン2個も同じ。
※汎用カラーに10 × 15,10 × 20 や 8 × 15があります。これで代用できるでしょう。
b.クランクケース接合
○液体ガスケット
今回使ったのは「スリーボンド 1215」
RMXのスタッドボルト穴リコイル後の液漏れで使ったもの。 → こちら
ずいぶん前のものです。
●ノズルが必要
液体ガスケットは「接合面に塗り広げる」のではなく「接合面に盛って、接合時に外側へ広がっていく」もの。
「接合面に盛る」にはノズルが必要です。 → こちら
ノズルがなくなっていたのでホームセンターでコーキング用のノズルを入手。
・左側の「セメダイン8060・8070用替えノズル 」: 内径20.5㎜
・右側の「inouerコーキングノズルS」 : 内径16 ㎜
・スリーボンド1215のチューブ口外径は13.5 ㎜。
チューブ口にテープを巻いて「inoueノズルS」を使おうとしたけどノズルが外れてしまう。
「セメダイン8060・8070用ノズル」の根元を切ったら内径が14㎜強。
素材が硬くなくテーパー状になっているので、そのままチューブ口をねじ込めばしっかりと固定される。
inoue の方も同じことができますが、素材が柔らかすぎてチューブ口がしっかりと固定されません。
●「盛り」がどのくらいになるのかテスト
ノズル先端をどのくらいの大きさにするかで「盛り」の太さが違います。
画像の一番上のノズルは「セメダインスーパーX・135㏄」に付属していたもの。
下の二つが「セメダイン8060・8070用ノズル」の根元を切ったもの。
「真ん中のノズルで盛って、細かいところは一番上のノズルで」と決める。
●実際は
思ったように「盛れてくれません」。
結局「これでもか、これでもか」と「力ずく盛り」。
多ければはみ出るだけ。
「はみ出さずにシール不足かな?」と心配するよりまし。
なお、オイルシールが納まる部分にもシール盛り。
※ノックピン穴には塗布しないこと(サービスマニュアルP11-4)
ピン接合が弱くなるからでしょう。
●ボルト留めの後のはみ出し
ケース上側でのはみ出しはこの程度。
ケース左右のはみ出しは少し多いが拭き取ればよし。
ケース前側のはみ出しはは少し多い。
クランクホイールにもベットリ。
もちろん、拭き取れば問題なし。
○接合ボルトについて
●先にロアケースをボルト留め
クランクシャフトベアリングが納まる部分です。
アッパケースより先にボルト締め。※サービスマニュアルP11-4~11-5)
重要な部分だから、ボルト締めによる歪みやストレスを他の部分に逃がすためでしょう。
・全てM8ボルトでS/首下80㎜,M/首下85㎜,L/首下90㎜。
・前側左端にだけワッシャ(内径9㎜ × 外径11㎜ × 厚さ1.6㎜・90555-283-000)
※このワッシャはアッパケース接合ボルトにも一個使います。
・締め付けトルク : 2.1~2.5㎏・m
※締め付けトルクはボルト接合部にオイルなどが付いていない状態のものです。
締めつける前にパーツクリーナーを吹きつけて付着物を取り去ること。
・締めつける順は「内から外へ」
「後側真ん中 → 前側真ん中 → 後側右 → 前側左 → 前側右」でしょうか?
●次にアッパーケースをボルト留め
・後ろ側の4本はM6+銅製のシーリングワッシャ
・右側だけ首下30㎜、他の3本は首下25㎜。締め付けトルク : 1.0~1.4㎏・m
・前側の1本はM8・首下105㎜+ワッシャ(内径9㎜ × 外径11㎜ × 厚さ1.6㎜)
・締め付けトルク : 2.1~2.5㎏・m
※このワッシャはロアケース接合ボルトにも使ったものです。
ボルト締めの順番は「中から外へ」,「盛った液体ガスケットが外にはみ出る方へ」。
上の画像では「後側左二つ目 → 後側左三つ目 → 前側 → 後ろ側左 → 前側 → 後側右」でしょうか?
●時間を置く
スリーボンド1215の製品特性(25℃・湿度50%)
・脱脂して塗布後5分以内に接合。
・15~16時間でゴム状に硬化。
・3日後にシール効果が現れる。
○あのOリングは何だったのだろうか?
クランクケースを接合してクランクケース分割時のメモを見ていると、
「アッパケースのオイルポンプ後のボルトにはワッシャとOリング」。
当時の写真を調べてみると、
確かにボルトのネジ部にOリング。
こんなOリングなど付けなかったぞ!
このボルトのネジ部はロアケースのネジ穴にはまる。
ということはそこにOリングが必要だったのか?
しかし、パーツリストを調べてみても該当するOリングはなし。
ボルトの位置を確認してみると、
赤丸がアッパケースから取り付けるボルト位置、黄丸がロアケースから取り付けるボルト位置。
オイルポンプ後のボルトはアッパケースの左上、ボトムケースの右上。
ここはクランク右ベアリングの後。
そんなところにOリングは必要ありません。
「黒い液体ガスケットがボルトネジ穴に入って固まりOリングのようになった。それがボルトにくっついてきた」
と結論付け。
結構、焦りました。