- クランク取り付け
- ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
- ピストン取り付け
- 排気バルブ清掃・取り付け
- シリンダ取り付け
3.ピストン取り付け
a.純正部品がまだ入手できます
Yahooオークションに出ているような「エンジンオーバーホールキット」です。
驚いたことに全てメーカーから純正部品で入手できます。
全部でいくらになるでしょう。
番号 | 名前 | バーツ№ | 単価 | 個数 | 合計 |
1 | ピストン/無印 | 13103-kv3-830 | 7150円 | 2 | 14300円 |
2 | ピストンリングセット | 131A2-kv3-701 | 3817円 | 2 | 7634円 |
3 | ピストンピン | 1311-kv3-771 | 585円 | 2 | 1170円 |
4 | クランクロッド小端部ベアリング | 91102-kv3-771 | 528円 | 2 | 1056円 |
5 | ピストンピンクリップ | 94601-15000 | 30円 | 4 | 120円 |
6 | シリンダーヘッドガスケット | 12251-kv3-830 | 1254円 | 2 | 2508円 |
7 | シリンダーガスケット | 12192-kv3-000 (680) | 511円 | 2 | 1022円 |
27810円 |
※B印ピストン → 13102-kv3-830
無印ピストン → 13103-kv3-830
D印ピストン → 13104-kv3-830
※リング,ピンは共通です。
Webikeに注文すれば「送料無料」です。
このセットがYahooオークションに28400円で出品されています。
落札者は送料と簡単決済手数料100円が必要です。
出品者は5%の手数料1420円と簡単決済手数料100円の合計1520円が差し引かれます。
出品者の儲け=28400円-27810円-1520円=-930円
落札者から送料を取り、Webikeから送料無料で送らせたとしても儲けはありません。
NSR好きのボランティア出品でしょうか?
b.シリンダの型式
今回取り外したシリンダの型式を確認。
●L型とH型
「乾式クラッチ仕様がL型、湿式クラッチ仕様がH型」とのネット情報。
車台番号 MC21-1016150 (湿式クラッチの7L型)ですが乾式クラッチ仕様のL型シリンダーが付いていました。
この「カ」刻印は乾式クラッチ仕様であることを表しているのでしょうか?
シリンダーヘッドはフロントが「KV3L-FR2」,リヤが「KV3L-RR1」。
L型シリンダーにL型ヘッドだからこれでよいのでしょう。
「H型のシリンダーヘッドの刻印はKV3H 」だとか。
●A型,B型,C型
それぞれに適合するピストンがあります。
・A型シリンダー (54.008~54.011 ㎜)→ B印ピストン(53.966~53.969 ㎜)
・B型シリンダー (54.004~54.008㎜) → 無印ピストン(53.962~53.965㎜)
・C型シリンダー (54.000~54.004㎜) → D印ピストン(53.958~53.961㎜)
※サービスマニュアルP22-31
※使用限度もシリンダーごと、ピストンごとに違ってきます。(サービスマニュアルP7-6~p7-7)
B型シリンダーなのでピストンは「無印」になります。
●フロントシリンダーとリヤシリンダーの区別
パーツリストでは
フロントシリンダー : 12210-kv3-830 と 12210-kv3-680
リヤシリンダー : 12220-kv3-830 と 1220-kv3-6802
ボートの形や位置がちがうのでしょうか?
なお、
フロントシリンダーのスタッドボルトは長さの違う三種類。
リヤシリンダーのスタッドボルトは6本とも同じ長さ。
c.紙ガスケット剥がし
厄介なのがシリンダーの紙ガスケット剥がし。
シリンダー側はもちろん、クランクケース側にも残っています。
クランクケースカバーにも残っています。
使用するのはスクレーパーの刃と塗料剥離剤(ガスケットリムーバーも同じ成分)
剥離剤はあくまで補助手段。
中心はスクレーパーの刃を当てて「削ぎ取る」こと。
スクレーパーの刃が紙ガスケットに食い込めば「スーッ」と剥がれていきます。
食い込ませるときにガスケットの下のアルミを削らないように。
刃を少し立てて食い込ませたら後は刃を水平にして(剥がす面にくっつけて)押す。
紙ガスケットをプラスチックハンマーで叩いて圧縮すると「食い込み」と「剥がれ」がやりやすくなるようです。
まだまだスクレーパーの刃でやれますが、このくらいで剥離剤を塗ると柔らかくなってやりやすくなります。
この程度になったらオイルストーンを当てて表面をきれいにします。
紙ガスケットを取り付けるときはエンジンオイルを両面に塗って接合面と馴染むようにします。
d.ピストンの状態
こうして並べると「使用する上で問題なし」のように見えますが、
井上ボーリングで「コンロッド大端部にガタありでコンロッド交換をした」ので、
ピストンはそれなりのダメージを受けているはずです。
●ピストン1
残念ながら「フロントかリヤかのメモを取る」のを忘れてしまいました。
吸気側に「爪にはっきりと引っかかる」深い縦傷二本。
排気側に「爪に引っかかって分かる」縦傷多数。
ピストンヘッドには問題なし。(カーボンを取って少し磨いた状態です。)
●ピストン2
吸気側に「浅く短い」縦傷多数。
排気側にも浅い多数の縦傷。
RMXなら「この程度の縦傷」でも使います。
しかし、ヘッドの状態に「驚き」です。
ヘッドはガリガリ状態。
擦れる場所ではありません。
どのような原因でこのような傷ができるのでしょう?
ヘッドの上端は磨耗していません。
ピストン,リング,ピストンピンは全て新品に交換します。
e.ピストン,ピストンリング
●ピストンの「IN」側
マニュアルには「ピストンのIN印側を吸気側にすること」。
しかし「IN印」は刻印ではなくプリント。
新品でない限り「IN側」が分からない。
「IN側」は「ピストンリングストッパのある方」です。
●トップリングとセカンドリング
トップリングの入る溝は「上側が中心に向かって低く」なっています。
だから、トップリングも「中心に向かって低く」なっています。
上がトップリングで下がセカンドリングです。
しかし、この判定方法には虫眼鏡が必要です。
簡単な判定方法は「合口の広さ」。
下がトップリングで上がセカンドリングです。
「合口の広い方がトップリング」です。
マーク(画像ではN)のある方が上です。
MC21ではセカンドリングにエキスパンダは入りません。
RMXではセカンドリング溝にエキスパンダが入るのでセカンドリングの巾が狭くなっています。