- クランク取り付け
- ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
- ピストン取り付け
- 排気バルブ清掃・取り付け
- シリンダ取り付け
5.シリンダ取り付け
a.シリンダとシリンダヘッドの状態
●フロントシリンダー
バルブ室の上に「横線傷」がありますが問題はないでしょう。
「この柱にクラックが入るとダメ」とのネット情報ですがクラックはありません。
爪に引っかかるような縦傷はありません。
良好な状態ではないでしょうか?
●リヤシリンダー
柱に「二本の横傷がある」ように見えますが、爪で触って引っかかりを感じるものではありません。
問題ない状態です。
●シリンダヘッド
問題ありません。
b.ピストンが横方向にずれる?
シリンダー取り付ける前にピストを触ると「横方向に2㎜くらい動く」。
えっ!大丈夫なの?
ピストンをはずして計測。
・コンロッド小端部巾 : 16.3 ㎜
・ベアリング巾 : 17.2 ㎜
ベアリングがコンロッド小端部から少しはみ出すのは当然だから問題なし。
コンロッドは井上ボーリングで交換済みだから問題なし。
ベアリングが納まるピンの巾 : 20㎜
ピストンとピストンピンは新品だから問題なし。
結局、巾20 ㎜の場所に巾17.2㎜のベアリングが納まるのだからピストンが横方向に動くのは当たり前。
今まで「ピストンは横方向に動かないものだ」と思っていたので少し驚きました。
c.リングコンプレッションはやはり指
ピストンをシリンダーにはめるには
・二本のリングをリングストッパーに当てて縮める。
・リングをこの状態にしてシリンダーをかぶせる。
通常、片方の手で二本のリングを縮め、もう一方の手でシリンダーをかぶせます。
これができるのはシングルかシリンダーが独立しているVツインだけ。
シリンダーが並んでいる場合はあらかじめリングを縮めておくピストンリングコンプレッサーが必要です。
RMXの整備で「綿棒ケースを使った代用品」を考えました。 → こちら
これを使ってみました。
綿棒ケースを帯状に切ってピストンリングに巻き付け、
リングストッパーで止まったままにしてタイラップで締めつける。
このままシリンダーで綿棒ケースの帯びを押していく。
簡単にできそうだけどなかなかできません。
面倒なので片方の手で縮めて片方の手でシリンダーを入れました。
フロントシリンダーの場合はエンジンを裏返してシリンダーを取り付けます。
もちろん、「片方の手でリングを縮め、片方の手でシリンダーをかぶせる」やりかたで。
d.上死点で締める?
●まずは排気バルブのチェック
排気バルブの最終確認です。
バルブを指で動かしてしっかりとシャフトにはまり動作に問題がないか問題がないか
バルブが下がった状態(低回転)
ピストンがバルブ先を通ったときに排気が始まります。
回転が上がればバルブが上がり、排気タイミングが早くなっていきます。
排気ポートの少し下が下死点。
リヤシリンダーです。
こちらがフロントシリンダー。
なお、排気バルブの取り外しと取り付けはこの段階でやれます。
シリンダーヘッドを外せばよいだけなので定期点検は可能でしょう。
●シリンダ,シリンダヘッド取り付けで「いつもやっている方法」
・シリンダ仮付け
・キックアームを取り付けてピストンを動かして馴染ませる
・ピストンを上死点にする
・シリンダ本締め(2.3~2.7㎏・m)
・ピストンを動かして馴染ませる
・ビストンを上死点にする。
・ピストンヘッドを本締め(1.2~1.6㎏・m)
この状態でシリンダもシリンダーヘッドも本締めしています。
30年前にCRを整備していたときからこうやっています。
NSRのマニュアルに「上死点で締めること」が書いてないのでRMXのマニュアルで確認。
これにも書いてない。
30年前のCRやKXのマニュアルを調べても書いてない。
結局、オートバイ整備を始めたころにどこかの整備本で読んだのでしょう。
だから、この方法が正しいかどうか分かりません。
e.シリンダヘッドの方向
こんなところでつまずきました。
フロントもリヤも丸いマークが前になります。
やっとエンジンが完成しました。
次は車体への搭載です。