●NSR再び ③ エンジン搭載と試乗

nsrエンジンオーバーホール
選任のための法律知識・



4.完成

nsrエンジン搭載

やっと組み上がりました。
ここからは実際に走らせて不具合を見つけていきます。

NSRを片付けなければメインのRMXにも乗れないし、FJにも乗れない。
特に、FJは今年の夏にユーザー車検。
「そろそろ低速取り回しを練習しておかなければ…。」

a.2023.4.6 試乗 39㎞

・始動

ピストンリングが新品なので予めシリンダーにエンジンオイルをたっぷり垂らして馴染ませ。
始動前にシリンダーにパーツクリーナーを。
20:1 の混合油。

チョークを引いて3~4回のキックでキックバックの反応。
それから何回かキック。
「パラ、パラ、パラ」と聞きなれた排気音。

チョークを引いたままアイドリング。

排気が両方ともしっかりとしている。
以前はフロントシリンダー ( 右側 ) が弱かったが、左側と同じ強さ。
ラビリとクランクOHを実感。

ピストン,ピストンリング,クランクオイルシールも新品ですからネ。

・6000rpmでのストール

「そうそう、トルクが細いのでスタートは回転を上げて…。」
問題なく走り出す。
クラッチ操作のシフトも問題なし。

3000~4000rpmでの定速走行 → 5000rpmでの定速走行と「ときどきのレーシング」
だんだんと定速走行の回転数を上げていく。

しかし、6000rpmで「一瞬の燃料止まり」のような症状。
パワーが抜けてしまう。
アクセルを開けたままにしておくと、だんだんと目覚めて6500rpm → 7000rpmへと上がっていく。
4000rpmからのレーシングでは「6000rpmのストール」をそれほど感じない。
しかし、「これはNSRじゃない!」。

考えられる原因は?

① 排気バルブ未調整
・アジャスターは元のままで触っていないから、調整は調子の良かった以前のまま。
・バルブのカーボンカチカチを取り去ったので新たな調整が必要なのか?

②「快調 → 片肺 → 休むと快調」の不具合をまだ解決していない。 → こちら
・この原因究明時にセンターシール抜けが分かって井上ボーリングへ。
・現在は「センターシール抜けをなくした」だけ、以前の不具合は未解決。

・オーバーフローパイプからの漏れ

試乗途中でふとエンジン下を見ると、一つのパイプからガソリンが「ポタリ、ポタリ」。
しかし、このパイプは「エアクリーナードレンパイプ」。
ガソリンが入ってくるはずがない!

エアクリーナードレンパイプはこの四角の底から出ているパイプです。
燃料系統や混合気系統から隔離されている部分です。
このパイプにガソリンが入るはずがありません。

「エアクリーナードレンパイプからポタリポタリ」の原因は、

右オーバーフローパイプの亀裂。
ここから漏れたガソリンがクランクケース → エアクリーナードレンパイプを伝ってポタリポタリだったのです。

それでは「右キャブレターのオーバーフロー」が原因?
しかし、オーバーフローなら「ポタリポタリ」では済みません。
どうも「ドレンボルトの緩み」だったようです。

ドレンからの「漏れ」で油面が狂ってストールした可能性があります。
次回にこのパイプをつなぎなおせば分かります。
これで「6000rpmのストール」が改善されなければ排気バルブ調整をしましょう。

b.2023.4.12 試乗67㎞

・やったこと

吸気系のエア通し

以前の「片肺 → 休むと復活 → また片肺」の症状で「吸気系に問題があるのでは?」と思っていたので
十字ジョイント,Y字ジョイントのエアジェットをパーツクリーナーで「エア通し」。

nsrキャブレターパイピング

さらに、十字ジョイントがつながるキャブレターノズルに「キャブクリーナーとパーツクリーナー」。

nsrエンジン搭載

キャブレターの「エア通し」では
キャブレターの内部から各ホールにキャブクリーナーやパーツクリーナーを吹き込むので、
この部分はエア通しができていないかもしれないからです。

●オーバーフローパイプの処理

こちらから出しました。
右キャブレターのオーバーフローパイプには区別のためにテープ巻き。

nsrキャブレターパイピング

・試乗結果

●6000rpmのストール

・症状なし。
・8000rpmまでスムーズに回る。
・8000rpm~9000rpmで「そのスムーズさ」が鈍る。
   「ちょっとしんどいのですが…。」と言っているみたい。
   こんなものなのか、リングやベアリングに当たりがきていないからか、
   まだ「混合油+分離給油」なのでオイル過多だからか。
   ※リミッターカットは外しています。
   ※MJの見直しが必要か?それはもう少し走ってから。

アイドリング

・走り出しに1500rpmに設定したら、走り終わるまで1500rpmで安定。
・一つ一つの爆発がしっかりとしている。
・アイドリングでその鼓動が伝わってくる。
この点はラビリとクランクオーバーホールのおかげでしょう。

オーバーフロー

・なし。

・所感

nsrエンジン搭載

「回して馬力を稼ぐエンジン」はやはり疲れます。
アクセルグリップの右手が疲れます。
「加速の軽さ」も馴染めません。

nsrエンジン搭載

自分にはこちらの2st・250㏄が合っているようです。
元気に回るのは8000rpmまでですが、加速に重さがあります。
後輪で土や小石をはね飛ばしていく迫力があります。

NSR試乗のあとこちらに乗りましたが「やはりこちらが自分に合っている!」

c.2023.04.13 試乗176㎞

・結果

仕上げに「いつもの試乗コース165号青山峠」を2往復。
「まだ馴らし運転」ということで「8000rpmまでに」。

状況
・8000rpmへの上昇はスムーズできれい。
・6000rpmのストール全くなし。
・パワーが回転にリニアに反応。
・一つ一つの爆発が以前より強い。
・レーシングでは11000回転まで軽く上がるが、走行では8000rpmからが辛そう。
「45PS/9500rpm,3.7㎏m/8500rpm」から考えると「もっと頑張らせても」良さそう。
・総評は「以前の状態以上に回復した」。
・燃費 : 約17㎞/ℓ

チェックが必要
・満タンから10ℓくらい使うとリザーブにしなければ燃料不足症状を起こす。
・タンク容量16ℓだからリザーブ切換には少し早い。燃料コックストレーナーのチェック必要。

・「エアスクリューがあることを忘れていた」ので戻し量のチェック必要。
・戻し量 : 1+1/2(マニュアルp4-11)

軽量バイクの良さ
「回転を上げてパワーを稼ぐエンジンは疲れる」と書いたけど「NSRには長所・利点もいろいろ」。
・車体がコンパクトで軽いので「能動的な体重移動」ができる。「乗せられている感」がない。
・ライディングポジションが低いのでコーナーで安定している。
・両足ベッタリで膝に余裕がある。跨がったまま両足でバイクを前後に動かせる。これは安心。

しかし、スタートで回転を上げなければならないのは「欲しくない」。
スタートのパンチが欲しい。

こうなると「4st・ロード・400~600㏄・シングルかツイン」になります。
スズキSV650グース350あたりでしょうか。
もちろん、これはFJの後継車。

「片肺 → 休むと復活 → また片肺」症状の原因は?
ラビリ組み込み後282㎞。
この症状は出ていません。

このことから考えると原因は、
①十字・Y字ジョイントのエアジェット詰まり。ジョイントキャブレター側の詰まり。
②センターシール不具合

①で回復しなければ原因は②です。
「どうせ不具合の出る純正センターシール」だから井上ラビリに交換しておいた方がよいでしょう。

●これから
これでNSRは元に(元以上に)戻りました。
「自主的動態保管」の義務も果たしました。
NSRのエンジンも触ることができました。

PGMⅢの修理は終わっています。
今回、センターシールも直しました。
ピストン,オイルシール,クランクもOKです。
もう、壊れるところはないでしょう。

しかし、「制御器機ギッシリ」の神経質なバイクです。
走らせると不具合が出る可能性があります。
不具合が出ればそれを直さなければならず、メインのRMXモタードに乗れません。
「どこか故障するのでは…。」と恐々乗るのもストレスがたまります。
だから、「また冬眠」です。
ただ、強制保険が3年あるので「もう少し頻繁に火入れ」をしようかと思っています。
「キャブレターセッティング」もやってみたいものです。

nsr井上ボーリング

バーハンドル + ステアリングダンパー + 前13/後40 + 井上ラビリ組み込み」のロードファイターです。
「ストリートファイター」や「ワインディングファイター」とは言いません。
相手は「4st・250~400のカウリングがきれいなロードバイク」ですから。

・サンデーメカニックの限界

Yahoo オークションに「NSRのクランクオーバーホールキット」が4万円程度で出ています。
しかし、サンデーメカニックの設備,経験,技量では「取り付け,芯出し」がうまくやれないでしょう。
さらに、今回のように「コンロッド交換が必要」となったら「その部品」を別に入手しなければなりません。
しかも、純正のセンターシールには耐久性がありません。

非接触シールで耐久性がある、必要な交換部品を揃えている、設備・経験・技術は超一流。
NSRのセンターシールに関しては井上ボーリングさんに任せましょう。
サンデーメカニックは「自分の限界」を知ることが必要です。

なお、今回のラビリ・シリアル番号は「696」。
今までにそれだけのラビリ組付けをやっているということです。
ラビリ自体は追加製造できるでしょうが、コンロッドなどストックしている必要部品には限りがあります。
井上ボーリングさんの「必要部品」がなくならないうちにラビリ組み付けをしてもらった方がよいでしょう。
「10万円台でやってくれる」うちに。

なお、井上ボーリングさんでは「シリンダーにスリーブを入れてシリンダーの完全再生」もやってくれます。
こちら
「どうしてもNSRでなければ!」という方はこれもお願いしましょう。

d.追加整備

前回までで気になった点を整備。

・エアスクリュー戻し量を同じに

NSRの「キャブレターエア調整」はMC18よりソレノイドバルブで行われていますが、
エアスクリューがなくなったわけではありません。 ( マニュアルP20-5 )
ちゃんと付いています。
このエアスクリューをどのように調整するのかは分かりませんが、
少なくとも「左右同じ戻し量」にするべきでしょう。

この点をチェックしていなかったので気になっていました。
以前の頁でこのような記述を見つけたからです。 → こちら

nsrエアスクリュー

案の定「左右の戻し量」が違いました。
左右とも「標準の 1+1/2回戻し」に。
ドライバーなんかはいらないのでショックドライバーのビットで。

・燃料ホース交換

燃料ホースはタンクを外すたびに抜き差しします。
ホースのタンク側に小さい亀裂が入っていたので交換。
しかし、ホームセンターには「今まで使っていた切り売りのゴム製燃料ホース」がなくなっていました。

nsr燃料ホース

a.純正燃料ホース
・16954-v3-830/982円
・内径×外形×長さ=8.5㎜φ×14.5㎜φ×375㎜
b.汎用切り売り燃料ホース ( ゴム )
・内径×外形×長さ=8.0㎜φ×12.0㎜φ×375㎜
・キャブレター側へはドライヤーで柔らかくして取り付け。
c.ホームセンターで売られている燃料ホース ( ビニール )
・内径×外形=9.0㎜φ×13.0㎜φ
・ビニールでは怖くて使えません。
d.RMXで使っているNTB燃料ホース
・内径×外形=7.0㎜φ×12.0㎜φ

nsr燃料ホース

・タンク側燃料コック段差=谷×山=9.5㎜φ×10.3㎜φ
・キャブレター側突起段差=谷×山=11㎜φ×12㎜φ

さすがは純正。
どちらも「ゆるくもなく、かたくもなく」すんなりと。

汎用の燃料ホースには「内径8.5㎜φ」がないようなので、純正燃料ホースを使った方がよいでしょう。
※キジマ燃料ホース → こちら

・ガソリンコックストレーナーチェック

前回試乗で気づいた点。
「満タンから10ℓくらい使うとリザーブにしなければ燃料不足症状を起こす。」

nsrガソリンコック

ストレーナーの下部に汚れが付着していましたが、
パイプより下なのでリザーブ切替とは関係ありません。

問題は「この汚れの原因」。
タンク内にサビが発生しているのでしょうか?

nsrガソリンコック

タンク内のサビチェックは宿題にして、
とりあえず、ストックのストレーナーに交換。

nsrガソリンコック

「満タンから10ℓくらい使うとリザーブにしなければ燃料不足症状を起こす。」は
16ℓ満タンになっていなかったからでしょう。

・エアクリーナーコネクティングチューブ交換

以前から気になっていたのが「エアクリーナー勘合部に接着剤が使ってある」こと。
もちろん「仕様」ではありません。
前所有者が処置したのでしょう。

多分「気密性確保のため」だと思いますが、そんなことをしなければ気密性が保てないのなら新品交換です。
勘合部分だけでなくダクト本体の柔らかさもなくなっているだろうから交換時期です。

nsrエアダクト

下が今までのチューブ。
接着剤を取りましたがまだ残っています。

nsrエアダクト

初めは接着剤の残骸をきれいに取って使おうと思っていましたが…。

nsrエアダクト

本体の弾力は「まだある」けどキャブレターバンド付近は「1/2」程度。
インマニ側のリップも変形しています。

17253-kv3-830 ( 7L/~1014675 ) 、17253-kv3-831 ( 7L/1014676~ )
1個 1692円です。
部品供給があるうちに交換しておきましょう。

ヤマハは高いですよ。
FJのコネクティングチューブは 1個 3500円程度。
それが4個必要ですからね。

nsrエアダクト

このピッタリ感。
エンジン不調では吸気系もチェック。
案外、こんなところが原因なのかもしれません。

nsrエアダクト

キャブレターが複数あると取り付けに戸惑いますが、
キャブレター側が「外に出っ張り」、チューブ側が「出っ張りがはまる溝」なので、
チューブをそのまま押し付ければ「グスッ」とはまります。
このあたりも「弾力性のなせる技」。

・追加走行40㎞

◯8000rpmからの「しんどさ」がなくなる。

・走行中「きれいに10000rpmまで伸びる」。
・モーターのようなスムーズさ。 ( これでトルクがあったら…。 )
・「クランクベアリング、ピストン各部、ピストンリング」に当たりが出たからかもしれないが
「それだけではない」気がする。
・「エアスクリュー戻し量を同じにしたこと」と「コネクティングチューブを新品にしたこと」でしょう。

◯気づいたこと

・オイルポンプへのチューブが硬化している。 → 次回タンクを外すことがあったら行う。
・タイヤが固くなっている。 → お金が入ったら交換。
※タイヤは2015.10に程度の良い中古に交換 → こちら
・DUNLOP-SPORTMAX・GPR α-10 の 110 / 70R 17 と 150 / 60R・17
・それからの走行距離は少ないけど、さすがに「8年経過」では硬くなっていても当然です。

これでNSR整備は終了です。FJとRMXモタードに戻れます。最近インプレッサのCBA-GH8・MT・250PSに乗っています。FJに乗るより楽しめます。リッターバイクを降りたら「4輪」ですね。



〇左がMC21,MC28用
〇右がMC16,MC18用

井上ボーリングその他

選任のための法律知識・



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