●宿直警備員の賃金還付 「あなたも 800万円?」

宿直警備員の賃金請求



1ポストの宿直業務。
30分~1時間くらいの巡回が何回か。あとは警備室で待機。ときどき、郵便受取や電話対応。
雨,風,酷暑にさらされる交通誘導より「なんと楽なことか!」
ところで、日当はいくらですか?

17:00~翌9:00の「16時間勤務」なら、最低日当は「最低賃金×20時間分」。
8:30~翌8:30の「24時間勤務」なら、最低日当は「最低賃金×30.1875時間分」。
三重県の最低賃金902円だと、
16勤務の最低日当は18040円、24勤務の最低日当は27230円。
交代の隔日勤務なら、1カ月で27万円~40万円。

『こんな楽な仕事で、そんなにもらえるわけがないじゃない!』

もちろん、雇い主は「最低賃金の減額許可」を労働局からもらっていますからね。
しかし、この許可をもらっていない雇い主が多いのです。
この許可がなければ賃金は通常賃金。
労働者は通常賃金との差額を雇い主に請求できます。

宿直業務の日当相場は「16勤務で8000円,24勤務で12000円」。
一日置きの隔日勤務が普通だから、月に12万円~18万円。
通常賃金との差額は月に15万円~22万円。
請求できるのは3年分。だから「540万円~792万円」!

※賃金請求の消滅時効が2年から5年(当分の間は3年)になりました。
   2022年9月時点で請求できるのは2年4カ月分の「432万円~633万円」です。 → こちら

キャッシングの過払い金請求のような「何十万円」ではなく「何百万円」です。
労働基準監督署に行けば「お膳立て」してくれます。
雇用者が支払いを拒めば裁判で100%勝てます。もちろん訴訟費用は相手持ち。

『そんな うまい話 がある訳がない。』
それが「ある」のです。
もちろん、請求するかしないかはあなたの自由です。
しかし、3年経てば請求できなくなりますよ…。

1.この記事の趣旨

『と、いうことなのです。』

宿直警備員賃金

●「安売り競争」の負の連鎖

私も警備業者です。警備員の雇い主です。
こんな記事を公開して同業者の足を引っ張るつもりはありません。
しかし、こうでもしなければ「警備業者間の安売り競争」が止められないのです。

・発注者は安く受注させたい。

・警備業者の安売り競争

・違法労働前提の価格で受注。「これで自分と警備員が食べていける」

・警備員は生きていくために違法労働に耐える。

・さらに安売り競争


この「負の連鎖」を止めたいのです。

発注者を責めることはできません。
「受注者がその価格でやる」と言ったのだから受注させただけ。
受注者が労働法令を守るかどうかは受注者の責任で発注者には関係ない。
資本主義だから、法令に反しなければ発注者は何をやっても自由なのです。
自分の金をどう使おうと、違法でない限り他から非難される筋合いはないのです。

なんと、「納税者から信託された税金を使う」県や市町村も同じように考えています。
「受注者が労働法令に反するか反しないかは受注者の問題で、私たちには関係がありません。」
「当市では受注者が労働法令違反をしているかどうかはチェックしません」と公言! → こちら

「違法労働をチェックして労働者の権利を守るより、安く受注させる方がよい」と考えているのです。
もちろん、納税者は「労働法令違反をさせてまで税金を節約すること」までは信託していません。
しかし、行政は「集まった税金は自分の金だ」と思い違いをしているのです。
そして「法令に反しなければそれをどう使おうと我々の勝手だ」と思い上がっているのです。
津市公契約上例は責任逃れ②予定価格では違法労働

●監督署は動かない

発注側の私企業を責めることはできません。
発注側の地方公共団体は責められますが、何を言っても「私たちには関係ありません」とお地蔵さん。
地方議会の議員は「自分の票に関係ないので」興味なし。
マスコミは「世間が注目しなければ」取り上げない。
頼みの綱の労働基準監督署は「労働者の申告がなければ」動かない。

こうして、「安売り競争 → 違法労働」の負の連鎖は限りなく続いていくのです。

この連鎖を止められるのは違法労働に耐えている労働者だけです。
「仕事にありつくため・生きていくために」我慢している現場の警備員だけなのです。

その方法は「監督署への相談」だけ。
そして、ご褒美は500万円~800万円。

・警備員が監督署へ申告 → 雇い主が法令違反で摘発される。給料差額500万円~800万円を警備員に払う。

・その雇い主は違法労働前提の安値で受注しなくなる。

・他の違法労働前提の警備会社が受注する。

・警備員が監督署へ違反申告 → 雇い主が法令違反で摘発される。 給料差額500万円~800万円を警備員に払う。

・その警備会社は違法労働前提の安値で受注しなくなる。

・安売り競争に歯止めがかかっていく。

・法令順守を前提とした価格で受注するようになる。

・法令順守の労働環境が生まれる。


もちろん、この業界で「基準法と監督署」は禁句です。
その言葉を口にしただけで、仕事を減らされ、もっともっとキツイ現場に回されます。
結局、その警備会社を辞めなければならなくなります。

しかし、そのようなブラック警備会社に将来はありません。
さっさと辞めた方がよいでしょう。
今までの賃金差額をキッチリ請求して手切れ金としましょう。
ついでに公安委員会へ情報提供をしておきましょう。

●「適正賃金払い戻し」が流行すれば行政が動く

旧統一協会と政治の関係も同じです。
何か世間を騒がせるような事件が起きて、マスコミが騒がないと行政は動きません。

「私は800万円戻ってきました」
「私は16勤務だったので少なかったけれど、それでも500万円戻ってきました。」
こんな文章がSNSで拡がり、「宿直警備員の適正賃金払い戻し」が全国的に拡がる。
もちろん、これで潰れる警備会社も出てくる。

興味本位なワイドショーが取り上げる。
クローズアップ現代も。
「キャッシングの過払金請求」が減り「次を探している法律事務所」がテレビコマーシャルを流す。

世間が騒げば、基準監督署は動かざるを得ない。

「受注者の法令違反はチェックしません」と公言していた県や市町村も、
手の平を返して「受注者の法令違反を問題にする」。
自分は悪者になりたくないから、「違法労働に手を貸していた」と思われたくないから。
そして、封印していた公契約条例の「契約解除権や指名停止権」を使う。

気がつけば違法労働はなくなり、安売り競争がなくなっている。
警備業者は適正価格で仕事が受注できるようになっている。

それを実現できるのは「宿直警備員の適正賃金差額の請求」なのです。
そして、それは雇い主である警備会社を救うことにもなるのです。

この記事は全国の警備会社を救う為に書いているのです。

2.なぜ、「500万円~800万円」も戻ってくるのか

『知ってた?』

警備員賃金払い戻し

a.断続的労働の適用除外許可

●労働は8時間/日

・労働時間は8時間/日,40時間/週(労基法32条
・これに反する労働契約は無効。契約は労基法の基準に引き上げられる(労基法13条
・違反した使用者は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(労基法119条1号

●36協定による残業

労使で36協定を結べば「8時間/日・40時間/週」を超えて働かせることができます。(労基法36条)
この36協定による残業の上限は「45時間/月,360時間/年」
※臨時的な特別の事情があるときは「720時間/年」までOKだが1年に6カ月まで。 → こちら
   結局、360時間/年

宿直業務は「隔日勤務」が一般なので、一年の出勤日数は365日÷2 ≒180日
隔日勤務で認められる一日の残業は 「360時間÷180日=2時間」。
つまり、36協定があれば「10時間/日までOK」。
しかし、10時間の宿直業務などありませんので、宿直業務については36協定でまかなうことはできません。
どうしても、次の断続的労働の適用除外許可が必要です。

●断続的労働の適用除外許可

宿直業務のように「実労働と手待ち時間が交互に繰り返され」・「実労働時間より手待ち時間が長い」業務は
平均すると労働強度が低いので「8時間/日」を超える労働が認められています。(労基法41条)
このような労働を断続的労働といいます。

断続的労働と認められる為にはいろいろな要件があります。

その業務が断続的労働の要件を満たすかどうかは労働基準監督署が個別にチェックします。
そして、断続的労働に該ると認められた場合は断続的労働の適用除外許可が与えられ、
労基法の「労働時間の制限」が外されます。

つまり、断続的労働の適用除外許可を得ていれば、
「8時間/日,40時間/週」以上働かせても 労基法32条 の適用はなく、
使用者は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(労基法119条)を受けることがなくなります。

●断続的労働の適用除外許可は「その業務について」与えられる

断続的労働の適用除外許可は「その業務についての許可」です。
業務内容が変わらない限り、無期限で与えられます。
断続的労働の適用除外許可を既に得ている業務に新しい労働者を就かせても、
労働基準監督署からその労働者に対して「許可申請通りのものかどうか」の問い合わせはありません。

●断続的労働の適用除外許可の意味

断続的労働の適用除外許可は「その業務については 8時間/日・40時間/週を超えて働かせても罰しないよ」
というだけのもので、賃金を安くできるわけではありません。
賃金は通常の最低賃金が適用され、8時間を超える労働に対しては「25%の残業割増」が加算されます。
これは36協定による残業の場合も同じです。

b.最低賃金の減額の特例許可

断続的労働は全体に平均すると労働強度が低くなるので最低賃金を減額することが認められています。
実際には実労働時間を100%評価、手待ち時間を60%評価とし、これらを平均して最低賃金を減額します。

ただし、最低賃金を減額するには労働局から許可をもらわなければなりません。
これを「断続的労働に従事する者に対する最低賃金の減額の特例許可」といいます。(最低賃金法7条)

この許可は断続的労働の適用除外許可のように「その業務について与えられる」ものではなく、
「労働者の一人一人に対して、期限付きで与えられる」ものです。
断続的労働の適用除外許可を既に得ている業務に新しい労働者を就かせる場合、
その労働者について新しく許可申請をしなければなりません。
だから、必ず労働局から「許可申請通りのものかどうか」の問い合わせがあります。

また、期限が最長で3年です。
同じ断続的労働に同じ労働者を就かせる場合でも、期限が来たら許可を取り直さなければなりません。
当然、労働局から「許可申請の通りのものかどうか」の問い合わせがあります。

自分に対して最低賃金の減額許可を得ているかどうかのポイントは「労働局からの問い合わせ」。
この「問い合わせがなければ」、雇い主はあなたに対する最低賃金の減額許可を得ていません。

あなたに対して最低賃金の減額許可を得ずに最低賃金を減額した場合は
雇い主は「50万円以下の罰金(最賃法40条),30万円以下の罰金(労基法120条)」。
そして、雇い主は通常の賃金(8時間を超えた分は25%増し)を支払わなければなりません。
あなたは「通常賃金との差額」を請求できることになります。

ただし、その請求権は3年で時効消滅。
しかし、この3年分だけで「500万円~800万円」になるのです。

もちろん、請求するか請求しないかはあなたの自由です。
さあ、どうしますか?

3.「戻ってくる人」と「戻ってくる額」

「戻ってくるのかな?」

宿直警備員適正賃金

a.戻ってくる人

●公務員には戻ってこない

公務員には労働基準法が適用されません。
「8時間/日・40時間/週」の労働時間の制限や、
その適用を除外する断続的労働の適用除外許可、最低欄銀の減額許可は全て労働基準法のものです。
公務員には適用されません。
会計年度職員も同じです。
県や市町村が庁舎の警備員を直接雇う場合がこれに該ります。

ただし、労働基準法にかわる規定(条例)があります。

●労働が「休憩を除いて10時間以内」の人には戻ってこない

賃金差額が戻ってくるのは
「断続的労働の適用除外許可」を得なければならない業務に就いている人で、
雇い主が「その人に対する最低賃金の減額許可を得ていない」場合です。

2-aで説明したように休憩を除いた労働時間は「10時間/日」までは36協定で認められます。
この場合は断続的労働の適用除外許可は必要はありません。

断続的労働の適用除外許可が必要な業務は
施設常駐警備の12時間勤務,16時間勤務,24時間勤務ですが、
複数人員で勤務する場合は、休憩を除いた労働時間が10時間以内になる場合があります。
12勤務の場合は微妙になりますが、1ポストであれば間違いなく対象になります。。

だから、確実に戻ってくる人は
「1ポストの12勤務,16勤務,24勤務」の場合です。

●労働局から電話問い合わせがあった人には戻ってこないが

労働局からあなたに問い合わせがあった場合は
雇い主があなたに対する最低賃金の減額許可を申請したからです。
当然、あなたの賃金は最低賃金の減額許可を得ていますので適法・適正なものです。
違法なものではありません。
あなたの賃金は適正賃金なので、適正賃金との差額はありません。

ただ、雇い主が「あなたに許可された賃金」より低い賃金を支払っていることはあります。
この場合に戻ってくる賃金は「(許可された賃金-実際の賃金)×3年分」です。
これでも「150万円程度」になる場合があります。

最低賃金の減額許可で許可される賃金の計算式については後で説明します。

●「労働局から問い合わせがなかった人」には戻ってくる

・他の者には問い合わせがあったが、自分にはなかった場合も戻ってくる。

最低賃金の減額許可は申請から許可が出るまでに2週間くらいかかります。
そして、その許可が出るまでは最低賃金を減額できません。
通常賃金を支払わなければなりません。 → こちら

雇い主が
「ある業務について断続的労働の適用除外許可」と、
それに従事させる「労働者Aについての最低賃金の減額許可」を得た。
その業務に新しい労働者Bを配置する。

新しい労働者Bについて新たに最低賃金の減額許可を申請すると、
その許可が出るまでは労働者Bに高い通常賃金を支払わなければならない。
現在の労働者Aに対して最低賃金の減額許可が下りているし、従事させる業務は同じ。
新しい労働者Bにも労働者Aと同じ賃金を支払うのだから労働者Bに損はない。

そこで、新しい労働者Bに対する最低賃金の減額許可を申請しないことがあります。

この場合、現在の労働者Aには労働局からの問い合わせがありますが、
新しい労働者Bには労働局からの問い合わせがありません。

「自分に労働局からの問い合わせがなければ」、自分に対する最低賃金の減額許可はおりていません。
当然、「通常賃金との差額」を請求できます。


・「この宿直業務は5年。最初のときにだけ労働局から問い合わせがあった」という人も戻ってきます。

ある業務についての断続的労働の適用除外許可は無期限ですが、
その業務に従事させるある労働者についての最低賃金の減額許可は期限付きです。
その期限は最長で3年。

同じ断続的労働に同じ労働者を配置する場合、
業務内容が変わらない限り断続的労働の適用除外許可を取り直す必要はありませんが、
最低賃金の減額許可は3年毎に取り直さなければなりません。
当然「3年毎に」その労働者に対して労働局から問い合わせがあります。

一番初めに問い合わせがあったが、それは3年以上も前の話。
こんな場合は、あなたに対する「新しい最低賃金の減額許可」を得ていません。
当然、3年を超えた労働については通常賃金との差額を請求できます。

以上、要するに「500万円~800万円」が戻ってくる人は
・公務員ではない。
・1ポストの12勤務,16勤務,24勤務で休憩や仮眠時に代替要員が来ない。
・労働局から問い合わせがなかった。

b.いくら戻ってくるのか



一番の関心事です。
自分にはいくら戻ってくるのでしょうか?
まず、雇い主がこ最低賃金の減額許可を得ていない場合の通常賃金を知らなければなりません。
戻ってくる額は「(通常賃金-実際の賃金)×3年分」です。

また、雇い主が最低賃金の減額許可を得ていても、それより低い賃金しか支払っていない場合があります。
その場合は最低賃金の減額許可で認められる賃金を知らなければなりません。
戻ってくる額は「(最低賃金の減額許可で認められる賃金-実際の賃金)×3年分」です。

イ.通常の賃金

通常の賃金とは最低賃金の減額許可を得ていない場合の賃金です。
「8時間を超えた分に対して25%の残業割増、22:00~翌5:00に25%の深夜割増が加算されます。

ここでは1ポストの宿直業務を例にします。

●1ポストに休憩は存在しない

1ポスト(1人勤務)の場合は全てが労働時間となります。
いつ緊急対応があるかも分からないからです。
休憩時間が決められていても、仮眠時間が決められていても全てが労働時間になります。

休憩時間や仮眠時間に緊急対応をする者を別に配置していなければ、全てが労働時間です。

●16勤務(17:00~翌9:00)の通常賃金

・17:00~22:00の5時間 : 割増無し → 5時間×1=5時間
・22:00~翌1:00の3時間 : 深夜割増 → 3時間×1.25=3.75時間
・1:00~5:00の4時間 : 深夜割増と残業割増 → 4時間×1.25×1.25=6.25時間
・5:00~9:00の4時間 : 残業割増 → 4時間×1.25=5時間。

・合計=5+3.75+6.25+5=20時間

最低日当=最低賃金×20時間分

●24勤務(8:30~翌8:30)の通常賃金

・8:30~16:30の8時間 : 割増なし → 8時間×1=8時間
・16:30~22:00の5.5時間 : 残業割増 → 5.5時間×1.25=6.875時間
・22:00~翌5:00の7時間 : 深夜割増と残業割増 → 7×1.25×1.25=10.9375時間
・5:00~8:30の3.5時間 : 残業割増 → 3.5×1.25=4.375時間

・合計=8+6.875+10.9375+4.375=30.1875時間

最低日当=最低賃金×30.1875時間分

ロ.最低賃金の減額許可を得た場合の賃金計算

最低賃金をいくら減額できるかは実労働時間数と手待ち時間数によって異なります。
次のように計算します。

①言葉の意味

●所定労働時間,実労働時間,手待ち時間

・拘束時間 : 勤務開始~勤務終了までの時間数
・所定労働時間 : 拘束時間-休憩時間
   (1ボストの場合は休憩時間は存在しないので所定労働時間=拘束時間)
・実労働時間 : 巡回・立哨など実際の労働時間の合計
・手待ち時間 : 所定労働時間-実労働時間

●減額率(%)

・(手待ち時間数×0.4)÷所定労働時間数×100
・%の小数点第3位以下切り捨て

●減額割合

・減額率の%の小数点第2位以下切り捨て

●減額した最低賃金

・最低賃金×(1-減額割合)
・1円未満の端数を切り上げ

●最低日当

・減額した最低賃金×(所定労働時間+深夜労働時間×0.25)
※最低賃金の減額許可があれば、8時間を超えた分につき25%の残業割増は必要ありませんが、
   「22:00~翌5:00」の労働については25%の深夜割増が必要です。

② 16勤務(17:00~翌9:00)の計算例

●所定労働時間,実労働時間,手待ち時間

(例)
・所定労働時間=960分
・実労働時間=185分(巡回など6回)
・手待ち時間=所定労働時間-実労働時間=960-185=775分

●減額率(%)

・減額率= (手待ち時間×0.4)÷所定労働時間×100=(775×0.4)÷960×100≒32.29%
・%の小数点第3位以下切り捨て

●減額割合

・減額割合=32.2%
・減額率の%の小数点第2位以下切り捨て → 「32.29% → 32.2% 」

●減額した最低賃金(三重県最低賃金902円で計算)

・最低賃金×(1-減額割合)=最低賃金×(1-0.322)=902円×0.678=611.556 ≒ 612円
・1円未満の端数を切り上げ

●最低日当

※最低賃金の減額許可が出た場合、8時間を超える残業割増は発生しませんが深夜労働割増は発生します。

・減額した最低賃金×(所定労働時間+深夜労働時間×0.25)
   =612円×(16+7×0.25)
   =612円×17.75=10863円

③24勤務(8:30~翌8:30分)の計算例

●所定労働時間,実労働時間,手待ち時間

(例)
・所定労働時間=1440分
・実労働時間=165分(巡回など6回)
・手待ち時間=所定労働時間-実労働時間=1440-165=1275分

●減額率(%)

・減額率= (手待ち時間×0.4)÷所定労働時間×100=(1275×0.4)÷1440×100≒35.41%
・%の小数点第3位以下切り捨て

●減額割合

・減額割合=35.4%
・減額率の%の小数点第2位以下切り捨て → 「35.41% → 35.4%」

●減額した最低賃金(三重県最低賃金902円で計算)

・最低賃金×(1-減額割合)=最低賃金×(1-0.354)=902円×0.646=582.692 ≒ 583円
・1円未満の端数を切り上げ

●最低日当

・減額した最低賃金×(所定労働時間+深夜労働時間×0.25)
   =583円×(24+7×0.25)
   =583円×25.75=15012.25円≒15013円

④自分の最低日当を計算してみよう

まず、上の計算例を参考にして「最低賃金の減額許可が出た場合の」あなたの日当を計算してみましょう。
実際の勤務の「所定労働時間,実労働時間,手待ち時間」を求め、上の計算例に当てはめればOKです。
実際の日当がこの計算した最低日当より千円以上安い場合は、
雇い主が最低賃金の減額許可を得ていないのはまず間違いがありません。
当然、あなたに対して労働局からの問い合わせはなかったはずです。

※注意1
「日当千円の差」は実労働時間数の違いです。
何を実労働と捉えているのか、どこまでを手待ち時間の作業と捉えているのかの違いによります。

※注意2
所定労働時間,実労働時間,手待ち時間が日によって異なる場合は、
その労働者の出勤日数に応じてそれらの平均を求めて減額率を計算します。 → こちら
そのため、例えば平日の勤務が16勤務で休日の勤務が24勤務の場合、
平日の日当や休日の日当が個別に計算した日当と異なることがあります。
しかし、一カ月の賃金を比較した場合その差は大きなものになりません。

ハ.戻ってくる額

もう一度各賃金を確認しておきます。

〇16勤務(17:00~翌9:00)

・通常日当=最低賃金×20時間分 → 最低賃金は902円 → 902×20時間分=18040円
・最低賃金減額許可の日当(上例②/減額率32.29% ) → 最低賃金902円→ 10863円
・実際の日当(例) → 8000円

・雇用者が最低賃金の減額許可を得ていない場合
   戻ってくる額=(通常日当-実際の日当)×3年分=(18040円-8000円)×182日×3=548万1840円
   ※16勤務を隔日で勉めた場合(一年に182日勤務した場合)

・雇用者が最低賃金の減額許可を得ている場合
   戻ってくる額=(最低賃金の減額許可の日当-実際の日当)×3年分
   =(10863円-8000円)×182日×3=156万3198円

〇24勤務(8:30~翌8:30)

・通常日当=最低賃金×30.1875時間分 → 最低賃金は902円 → 902×30.1875時間分=27230円
・最低賃金減額許可の日当(上例③/減額率35.14%) → 最低賃金902円 → 15013円
・実際の日当(例) → 12000円

・雇用者が最低賃金の減額許可を得ていない場合
   戻ってくる額=(通常日当-実際の日当)×3年分=(27230円-12000円)×182日×3=831万5580円
   ※24勤務を隔日で勉めた場合(一年に182日勤務した場合)

・雇用者が最低賃金の減額許可を得ている場合
   戻ってくる額=(最低賃金の減額許可の日当-実際の日当)×3年分
   =(15013円-12000円)×182日×3=164万5098円

厳密にはこの額に支払い遅延利息・3%/年(民法404条2項)が加算されます。

このように、自分に対し労働局から問い合わせがなかった場合)は「500万円~800万円」戻ってくるのです。

労働局から問い合わせがあって、自分に対する最低賃金の減額許可が出ている場合でも
許可通りの賃金が支払われていない場合もあります。
この場合でも160万円程度戻ってくることがありますから、自分の正当な賃金を計算してみることが必要です。

4.手続

「落ちるものか!」

宿直警備員給料

私は警備員のときにこのような請求をしたことがありません。
また、警備業者になってからも警備員からこのような請求を受けたこともありません。
だから、賃金差額の請求や払い戻しが実際にどのようにおこなわれるのか知りません。

ここでは、一般的・常識的なことを書いておきます。
実際に賃金差額を請求して払い戻しを受けた方がおられましたらその経緯をお知らせください。
この頁で紹介して、「賃金差額請求の輪」を拡げたいと思います。
(加筆・修正をしますのでご容赦ください。)

a.まずは労働基準監督署へ

・公務員ではない。
・1ポストの12勤務,16勤務,24勤務の宿直業務。
・労働局から問い合わせを受けたことがない。
・適正賃金との差額を請求したい。


こんな警備員さんは労働基準監督署へ相談に行きましょう。
『16時間勤務の宿直業務をやっていたのだけど(やっているのだけど)、
   雇い主は最低賃金の減額許可をもらっていないみたいだ。適正賃金との差額を請求したい。』
と言えばOKでしょう。

労働条件通知書や給与明細があれば持っていきましょう。
雇い主がこれらを渡していなければそれだけで労基法違反になります。
※労働条件通知書 → 交付義務(労基法15条)、罰則30万円以下の罰金(労基法120条1号)
※給与明細 → 交付義務(所得税法231条),罰則1年以下の懲役or50万円以下の罰金(同法242条7号)

監督署では「その警備会社が断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可を得ているかどうか」すぐに分かります。
その監督署で許可しているからです。

これらの許可を得ていない場合、
監督署はその警備業者を呼んで聴取したり実際の業務を調査したりして
その宿直業務が断続的労働の適用除外許可が必要なものかどうかを調べます。
その業務が断続的労働の適用除外許可が必要なものであれば、
雇い主は 労基法32条違反で 「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」(労基法119条1号

次に、警備業者が保存している労働者名簿や賃金台帳を調べて実際に支払われた賃金を調べます。
もちろん、これらの帳簿を作っていなかったり保存していなかったりすればそれだけで労基法違反になります。
※労働者名簿(労基法107条),5年間保存(労基法109条),罰則30万円以下の罰金(労基法120条1号)
※賃金台帳(労基法108条),5年間保存(労基法109条),罰則30万円以下の罰金(労基法120条1号)

そして、その賃金が通常の賃金より低ければ、
雇い主は地域別最低賃金(最低賃金法4条)違反で「50万円以下の罰金」(最賃法40条
特定(産業別)最低賃金違反については労基法24条違反として「30万円以下の罰金」(労基法120条

そして、労働契約は労働基準法に反する部分が無効になり、その部分は労働基準法で定めるものとなります。
(労基法13条 )
つまり、今までの賃金は通常賃金となります。

b.「請求できる」とは?

●3 年分の差額を請求できる

「今までの賃金は通常賃金となる」とはどういうことでしょうか?
労働契約では16勤務の日当が8000円だけど、それが通常日当の18040円になるということです。
結局、「雇い主はその差額(10040円/日)を未払いにしている」ことになります。

そこで、労働者はその未払い分のを請求することになります。
賃金の支払い請求の時効は5年(当分の間は3年)ですから(労基法115条)、
5年分(当分の間は3年分)を請求できることになります。

(注意)労基法115条の改正「消滅時効が2年から5年に延長」について。
・2020年4月に労働基準法が改正され、賃金等請求の消滅時効が2年から5年に延長されました。
   ただし、当分の間は3年になります。(労基法115条の2)→ こちらこちら
・この「当分の間の消滅時効3年」は2022年4月1日以降に支払われる賃金から適用されます。
・現在2022年9月10日だから消滅時効が2年なら請求できる賃金は2020年9月10日からの2年分。
   しかし、「2020年4月1日に支払われる賃金から消滅時効3年」が適用されるので、
   今請求すれば「2020年4月1日からの賃金賃金2年4カ月分が請求できます。
   それなら、来年2023年4月まで待って、3年分を請求した方がたくさん戻ってくることになります。

●「請求できる」だけ

「請求できる」とは「雇い主に支払い義務が発生している」ということです。
「賃金差額を雇い主に貸している」ことと同じです。
基準監督署が取り立ててくれるわけではありません。

労働者が請求しても請求しなくても自由です。
いくら請求するかも自由です。
民事不介入なので監督署は関知しません。

雇い主が支払わなければ裁判で支払わさなければなりません。
裁判を起こせば100%勝てますが、法律事務所に報酬を支払わなければなりません。
また、雇い主が破産してしまえば全額が戻ってこないことにもなります。

ここは話し合いで「穏便な額」で手打ちにした方がよいでしょう。

c.雇い主の立場

●警備業者なら最悪は認定取消

断続的労働の適用除外許可が必要な業務に許可無しで労働者を従事させれば、
労基法32条違反で 「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」(労基法119条1号

もし、禁固以上の刑が確定すれば執行猶予がついても警備業者欠格事由(警備業法3条2号)に該り、
認定取消となり(警備業法8条2号)、その後5年間は警備業をやることができません (警備業法3条2号) 。

●罰金刑でも公安委員会がコワイ

労基法違反ではよほどの大規模,悪質でない限り懲役や禁固にはならないでしょうが、罰金は充分に考えられます。
断続的労働の許可を得ていなかったことで30万円以下の罰金、
最低賃金の減額許可を得ずに安い賃金しか支払っていなかったことで 最低賃金法4条違反で「50万円以下の罰金」
最賃法40条

警備業法に違反しての罰金なら警備業者の欠格事由に該りますが、
労基法違反なので欠格事由に該らず認定取消とはなりません。
しかし、公安委員会の臨時立ち入りの可能性があります。
基準監督署から公安委員会への情報提供はあるかどうか知りませんが、
賃金差額を請求している労働者からの情報提供は充分に考えられます。

『自分の勤めている〇〇警備会社は労働基準法に違反していた。
   断続的労働の適用除外許可も得ず8時間以上の労働をさせ、
   最低賃金の減額許可も得ずに最低賃金より安い賃金しか支払っていなかった。
   公安委員会がもっとしっかりと監督してもらわなければ困る』

こんな電話があれば必ず公安委員会の臨時立ち入りがあります。
そして、重箱の隅をつつくような調査をして警備業法違反を見つけ指示処分や営業停止処分とします。
当然、信用は失墜。営業停止なら現在行っている業務の契約解除は避けられません。

●公契約なら違反申告で契約解除や指名停止

公共調達なら公契約条例で労働者の違反申告制度を置いています。
受注者である使用者の労働法令違反を労働者が申告する制度です。

いつもは『受注者の労働法令違反は私たちには関係ありません。私たちは受注者の労働法令違反をチェックしません』と
違法労働に知らんぷりをしている県や市も労働者からの違反申告があれば動かなければなりません。
公契約条例で定めている契約解除や指名停止処分をします。

●とにかく警備員を刺激せず話をつける

このように断続的労働の適用除外許可,最低賃金の減額許可を得ていない場合、
警備員から賃金差額を請求されたら「関節を完全に極められている状態」になります。
どれだけもがいてももう逃げられません。
もがけばもがくほど痛みが大きくなります。

まずは、警備員が公安委員会や発注者の県や市に通報しないよう警備員を刺激しないこと。
そして、話し合いで「できるだけ請求額を下げること」。
基準法違反の方も「労働者と話し合いができている」となればそれだけ軽く済みます。

日本人は情に弱い民族です。
『皆の生活を守るために、安くても仕事を取ってきた。
   基準法に反しているのは知っていたけれど、基準法を守っていたのでは皆の生活を守れなかった。
   これからは最低賃金の減額許可を取って皆の賃金を上げるから、そして業績が回復すれば必ず昇給をするから、
   今はこれだけの一時金だけで我慢してもらえないだろうか…。』
と頭を下げれば騙せます

これでも怪訝な顔をしていたら、
『頼む!この通りだ!』と土下座をすれば良いでしょう。

もちろん、こんな芝居が通るかどうかは日頃の信頼関係によります。
いつも警備員を顎で使うようにしていたのなら、全員から賃金差額の100%を請求されて経営悪化。
これでも収まらない警備員たちは公安委員会に通報。公安委員会からは指示処分や営業停止処分、
まだ収まらない警備員たちは、発注先の県や市町村にも違反申告。そして、契約解除と指名停止。
目先の儲けに目が眩んで労基法を軽んじてはいけません。
そうしないと、あなたが苦労して創り上げた警備会社は簡単に

警備員宿直賃金

ケロ、ケロ

d.警備業者の皆様へ

断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可の怖さが分かったでしょうか?
現時点(2022年9月)では賃金差額請求は2年4カ月分。
それがすぐに3年分になり最後は5年分になっていきます。
今は一人「420万円~616万円」が「540万円~792万円」、
消滅時効が5年になれば一人「900万円~1320万円」になってしまいます。

断続的労働の適用除外許可と最低賃金の減額許可を得ていない場合はすぐに許可申請をしましょう。

気になるのは「今までの賃金差額の支払い」と「労基法違反での懲役6カ月と罰金刑」。
これをどうするかは許可申請を担当した監督官によるようです。
当然『許可がなければ懲役6カ月か罰金30万円ですよ!』と脅され。
『今までの賃金はどうしていたのですか?通常賃金との差額を支払わなければなりませんよ。』とも。

『その点は、労働者と話し合って一時金を支払うことで円満解決しています。』と言えば良いでしょう。
監督署に賃金差額を取り立てる権限はないし、「充分反省している素振り」で罰金刑も見逃してくれるでしょう。
もし、罰金刑を受けたところで30万円~50万円です。
「一人540万円~792万円」から考えたら安い安い。

もちろん、話し合いができていないのに円満解決と嘘を言ってはいけません。
許可が出ても「それまでの許可無し労基法違反状態」は解消されません。
労働者からこの期間の賃金差額を請求されたら、振り出しに戻ってしまいます。

まずは労働者と話し合うことです。
『何か、最低賃金の減額許可というややこしい制度があって、この許可を申請すると皆の給料が上がるみたい。
   今度、労働局に許可申請するので、労働局から一人一人に問い合わせがあるらしい。
   問い合わせがあったら「その通りです。」と答えておいてね。』
と騙せればよいのですがそうはいかないでしょう。
警備員の誰かがこの記事を読んでいるでしょうから。

それはともあれ、申請は簡単で自分でできますからお早めに。 → こちら


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