3.キャブレター取り付けあれこれ
a.ワイヤリング
キャブレターをマニホールドに入れる前にスロットルケーブルとオイルポンプケーブルを取り付けます。
マニホールドに取り付けてからでは手が入らないので苦労します。
●スロットルケーブル
・ドラム内側の上 → スロットル引き側(写真の一番上)
・ドラム内側の下 → スロットル押し側(写真の一番下)
・ドラム外側 → オイルポンプコントロールケーブル(写真の真ん中)
・スロットル引き側はダブルナット
・スロットル押し側はシングルナット
シングルナットでもケーブル側のナットがあるので位置調整と固定ができます。
しかし、ダブルナットの方がしっかりと固定できます。
引き側はスロットル操作に直接影響するので、しっかりと固定できるようにダブルナットにしてあるのでしょう。
このNSRは「バーハンドル化」のときに押し側もダブルナットにしました。 → こちら,こちら
結果としては
・押し側にダブルナット不要
・追加したナットの厚さだけ調整巾が狭くなり、ほとんど調整できなくなる。
●オイルポンプコントロールケーブル
このケーブルはオイルポンプの吐出量を調整するものです。
キャブレターをマニホールドにしっかりと取り付けたあとに次のように調整します。
※マニュアルP24-35
①左キャブレターのスロットルバルブの合わせマークをキャブレターボアの上端に合わせる。
②その時にオイルコントロールレバーとボディ側のマークが合うように調整する。
これが「50%開度」だとか。
オイルポンプ側の合わせマーク合致は真横から見ないと正確に判断できません。
キャブレター側を合わせたらスロットルをゴムバンドなどで固定してオイルポンプ側を真横から見ます。
もちろん、「大きな調整はポンプ側のアジャスターで、そのあとの細かい調整をキャブレター側で」。
結構時間がかかります。
●チョークケーブル
・スロットル引き側の上
・オイルポンプコントロールケーブルの下
・アイドリングケーブルの上
を通る。
●アイドリングケーブル
・スロットル押し側の下を通り、
・リザーバータンクキャップの前に出る。
b.パイピング
キャブレターのパイピングは「時間のある日の昼間にゆっくりと」。
仕事前や夕方にやってはいけません。
焦って間違ってしまいます。
●エアベントチューブ
各キャブレターの右側中央から出ているパイプです。
つながる先はありません。
名前の通り「エア抜き」です。
●オイルチューブ
劣化・硬化している場合は交換です。
・右側:3.0㎜φ×140㎜
・左側:3.0㎜φ×160㎜
●ブローバイチューブ
「これ何なの?」と気になる突起です。
パーツリストによると、ここにブローバイチューブを取り付けます。
ここから「不燃焼ガス」を取り出すのです。
しかし、これをもう一度シリンダーに送って燃焼させるわけでもなし、キャッチタンクに貯めるわけでもなし。
ただ、パイプの先から大気にそのまま放出するだけです。
さすがはNSR!
ガス抜きなので短くてもかまいません。
キャブレターの下に潜り込ませておきましょう。
●十字ジョイント
間違う場合があるようです。
このNSRも間違っていたので以前に修正してあります。 → こちら
エアジェットがある方を上にして取り付けます。
これがエアジェットです。
根元にツバがあります。
エアジェットがある方を上にすると、
・十字ジョイントの上側はエアクリーナーの分岐パイプにつながります。
・十字ジョイントの右側はY字ジョイントにつながります。
●ドレンチューブ
「オーバーフローが分かる」ように「他のチューブと区別しておかなければならない」チューブです。
FJは4気筒なので各チューブに色テープを貼って区別しています。
マニュアルのパイピングでは、
ここから、
ここに出します。
リヤブレーキオイルパイプの場所です。 → こちら
スイングアームと干渉する可能性のある狭いところです。
場所を変えた方がよいでしょう。
●キャブレターバンド
締め付けネジを「外側の下」になるようにすると「取り付け取り外し」が楽になります。
こちらは右側ですが左側も同様に。
上にあるボルトは「キャブレター同調」で負圧計のパイプを取り付ける部分です。
左側では「このボルトを外してパイプをつなげる」のがやりにくいので予めパイプを取り付けています。
ただ、2サイクルは負圧計による測定が難しいので他の計器を使った方が正確です。 → こちら
その計器では負圧取り出しの必要がないのでこのパイプは不要となります。 → こちら
c. オイルポンプ作動チェック
最後に必ずオイルポンプチェック。
マニュアルには
・オイルタンク~オイルポンプ → ブリーダーを開けてエア抜き。
・オイルポンプ~キャブレター → ポンプを全開にしてアイドリングで10分。
しかし、混合油で50㎞も走れば上の二つのエア抜きは完了します。
「わざわざエア抜きなどする必要がない」
こう思っていませんか?
「エア抜き」に関してはその通りです。
しかし、「オイルポンプが作動するかどうか」はチェックしておかなければなりません。
オイルポンプを取り外したり取り付けたりしているので、何らかの理由でポンプが作動しない可能性もあります。
エンジンをかけてブリーダーを開ければ済みます。
このブリーダーボルトを落とさないように注意しましょう。
オイルでツルツルして滑ります。
砂利の上に落としたらまず見つかりません。
フランジ「M4 × 首下6 ㎜」です。
素材はアルミのようです。
部品供給はありません。
ホームセンターで「M4 × 首下8㎜」が入手できます。
銅ワッシャを使えばなんとかなるでしょう。
ただし、素材がステンレスかユニクロだろうから締め過ぎに注意。
これでエンジン搭載は終了。
リヤシリンダーに「ラビリ組み込みシール」を貼りました。
クランクオーバーホールで間違ってラビリを取り外してしまわないように
前回の強制保険は2年、昨年11月で終了していました。
今回は3年・10710円、安いものです。