●クラッチ焼けの状況と交換部品
●ペダルに油圧がかからなくなる
●レリーズシリンダー,マスターシリンダーの状態
●ペダルに油圧がかからなくなる原因
●ペダルに油圧がかからなくなった場合の対処,遊びの変化
3.ペダルに油圧がかからなくなる原因
まずはレリーズとマスターシリンダーの状態を見てみる。
a.レリーズシリンダーの状態
●取り外し
クリップはないからそのまま空気を入れてやればピストンは外れる。
写真の「たけのこノズル」は
「1/8ホースニップル」に「M10・細目 / P 1.25」のネジを切ったもの。→ こちら
●シリンダーの状態
内部にサビが目立った。
側面のサビは指の腹で感じる。
しかし、この純正レリーズは2年前に外して保管していた物。
保管中に発生したサビだろう。
もっとも、今回取り付ける前に確認しきれいにしなかったのは失敗。
光の加減でらせん状の線傷が目立つが「表面的なもの」。
指の爪先や指の腹に全く感じない。
「レリーズシリンダーに問題なし」と判断してよいだろう。
この後で写真撮影後にサビをきれいに取ったが「削れや段差はなかった」。
●ピストンの状態
このレリーズでオイル漏れはなかった。
このシール状態で問題ないのだろう。
外径は正確に測定できないので測定せず。
後シールが前シールより外径が大きいのは通常。
「ペダルに油圧がかからなくなった原因はレリーズシリンダーではない」ことになる。
b.マスターシリンダーの状態
●取り外し
ピストンは「シリンダーの押し棒側のクリップ」で止められている。
このクリップを細いマイナスドライバーか先の尖ったもので外せピストンが「飛び出す」。
●シリンダーの状態
縦傷なし。
らせん傷は光の加減によるもので目視では見えない。
「きれいなアルミシリンダー」と言ってよい。
このシリンダー状態ならシールを交換すれば「使える」だろう。
●ピストンの状態
「ペダルに油圧がかからなくなる」原因で残ったのは「ピストンのシール」。
外側シール。
このマスターシリンダーでオイル漏れはなかった。
・シリンダ刻印:11/16in=17.46250㎜≒17.46㎜φ
・シリンダ内径 ( ノギス測定 ) :17.5㎜φ
・外側シール外径 ( ノギス測定 ) :18.0㎜φ
↓
・シールの狭い方からシリンダーに入れるとオイルなしでも「すんなり動く」。
・ただし、「しっかりとシールしている」ことは感じられる。
・もちろん「摩耗」はあるだろう。
内側シール
・シール外径 ( ノギス測定 ) :17.6㎜φ
・外側シール外径18.0㎜φより小さいのは「摩耗のため」か「そういう仕様」なのか不明。
・オイルなしのシリンダーに入れて動かすと「少し甘い」。「しっかりとシールしている」とは感じない。
・こちらは「摩耗している」と判断してよいだろう。