●クラッチ焼けの状況と交換部品
●ペダルに油圧がかからなくなる
●レリーズシリンダー,マスターシリンダーの状態
●ペダルに油圧がかからなくなる原因
●ペダルに油圧がかからなくなった場合の対処,遊びの変化
d.ペダルに油圧がかからなくなった時の対処
( 予防法 )
まずは「ペダルに油圧がかからなくなる状態」を予防する方法。
それは、エア抜きでペダルを一杯まで踏み込まない。
シリンダーにオイルが残っていれば、
エア抜き後、ペダルを踏んでクラッチを押すことができる。
そしてペダルを戻せば、レリーズが押し戻されオイルがシリンダーに圧送されてくる。
そのオイル圧でエアは入りにくくなる。
エアが入っても圧送されたオイルで押し返されタンクの方に抜ける。
シリンダーにエアが入らない分だけタンクからシリンダーにオイルが吸い込まれる。
これを繰り返せばシリンダー内にオイルが増え、最後はオイルだけになる。
これが、
b.ペダルを一杯に踏み込まなければ、パッコン,パッコンで油圧が戻る ということ。
( 対処法 )
さて、今度は「そうなったとき」の対処法。
◯タンク側からオイルを圧送してもダメ
ペダルに油圧がかからなくなった状態では「シリンダー内がエアで満たされている」。
オイルチェンジャーでタンクの方からオイルを圧送すると、
ブリードバルブからオイルと一緒にエアも排出される。
しかし、ブリードバルブの方 ( 左方向 ) に圧がかかっているので右の方からエアが入ってくる。
これが、
c.『オイルチェンジャーで圧をかけてエアが出てくるのならどこからかエアを吸っているナ…。』
特にピストンシールが摩耗しているときは「エアが簡単に吸い込まれてくる」。
なお、マスターシリンダーを交換したときに車屋さんは同じオイルチェンジャーを使っている。
『今度はエアが出ずにオイルがス~ッと吸い込まれていった』とのこと。
やはり、「ピストンシールの摩耗」が一番の原因だったことになる。
シリンダー内のエアを追い出すには、
◯ブリードバルブ側からオイルを圧送する。
ブリードバルブ側からオイルを圧送して、シリンダー内のエアをタンクの方に押し出す。
( もちろん、オイルタンクのフタは外しておく。 )
シリンダー内のエアを追い出してオイルが入った分だけペダルに圧がかかる。
これは「ペダルを一杯に踏み込まずにシリンダーにオイルが残った状態」と同じ。
オイル注入 ( 圧送 ) はシリンジ ( 浣腸器 ) でやれるだろう。
シリンダー内のエアをオイルでタンク側に押し出すだけだから「それほどの圧」は必要ないはず。
ただし、実際に行っていないので「できるかどうかは不明」。
また、e.2時間くらい、走った後では少し油圧が回復は
ペダルを踏んだり戻したりしている内にシリンダーに戻されるオイルによって、
「シリンダー内のエアの一部がタンクの方に抜けたから」だろう。
なお、オートバイのエア抜きでは
レバーやペダルを一杯に握ったり踏み込んだりしても
レバーやペダルを離せば自然にオイルがシリンダー内に入ってくる。
「パッコン,パッコン」で圧を戻したことなどない。
これはシリンダーのストロークも内径も小さいからだろうか?
e.「遊びが変る」ことについて
さて「ペダル遊びが変る」ことはどうなったのか?
走り出す前に調整、走った後に調整を繰り返す。
走り出す前はペダルは軽い「スクッ、スクッ」。
走った後は少し重くなり「クッ、クッ」。
ときどき「グッ、グッ」と重くなる。
しかし、クラッチが切れ始めるまでの距離はそれほど変わっていない。
「スクッ、スクッ」と「クッ、クッ」と「グッ、グッ」ではレリーズの動きはどう違うのだろう。
●スコープカメラ
レリーズの動きを観察するためにスコープカメラを入手した。 → こちら,こちらも
画面を手元に置いて、ペダルを踏んだ時のレリーズの動きを確認。
●スクッ,スクッ」でも「クッ,クッ」でもレリーズが動き始める
当たり前のことである。
ペダルを踏めばマスターシリンダーのピストンが押されて動く。
ピストン~レリーズまでのオイルは縮まないから、ペダルを踏んだ分だけレリーズが動く。
これはペダルが軽くて「スクッ,スクッ」でも、少し重くて「クッ,クッ」でも同じ。
「スクッ,スクッ」と「クッ,クッ」の違いはレリーズの移動量ではなくレリーズの反発力。
走り出す前の「クラッチが冷えている状態」と走った後の「クラッチが熱くなった状態」では各部の膨張やはめ合いが変り、レリーズの反発力が変るのだろう。
それなら、走る前と走った後では「ペダル遊び」は変わっていないことになる。
ペダルの反発力 ( ペダル踏力 ) が変ったので「遊びが変った」と錯覚しているのだろう。
遊びは「ペダル踏み始め ( レリーズの動き始め ) ~クラッチの切れ始め」。
マスターシリンダーピストンの「動き始め~クラッチが切れ始めるところ」。
ペダルの遊び調整は「マスターシリンダーのピストンのスタート位置をどれだけ前へ動かすか」の調整。
サービスデーターでは「指で押したペダル移動量が5㎜~15㎜」。
この移動量測定がなかなか難しい。
メジャーの当て方、見る角度によって値が変る。
そもそも「どこまで押せばクラッチが切れ始めるのか」が分からない。
現在は20㎜程度になっている。
●「遊び」はある程度変わるのでは?
ただし、「遊びが変る」という疑念はまだ払拭されていない。
車屋さんは『油圧クラッチは遊びが自動調整だから遊びが変ることはない』と言う。
しかし、「スクッ,スクッ」と「クッ,クッ」と「グッ,グッ」の違いは
「レリーズの反発力の違い,ペダル踏力の違い」だけでないような気がする。
オートバイのワイヤー式クラッチ ( 湿式多板 ) では「走り出すとレバーが甘くなる」。
つまり、遊びが大きくなりそのままではクラッチが完全に切れなくなる。
( シフトは問題ないが、クラッチを握って停止するとエンジンが止まってしまう ) 。
原因は分からないが「走行前と走行時ではクラッチの遊びが変る」。
車のクラッチ ( 乾式単板 ) にもこれと同じことが起これば「ペダル遊びが変る」ことになる。
なお、オートバイの場合は「遊びが多くなり」、車の場合は「遊びが少なくなる」。
これは、オートバイは「引っ張ってクラッチデスクを離す」のに対し、
車は「押してクラッチデスクを離す」ことに関係しているのだろう。
●無視してよい程度
もっとも、「ペダル遊びの変化」があってもそれは「無視してよいもの」だろう。
サービスデーターの「5㎜~15㎜」の巾も「遊びの変化」を含めているのかもしれない。
実際の運転ではペダル遊びが5㎜や10㎜変わっても気にならない。
遊びを大きくしておけば 「遊びが少なくなった」としてもクラッチ滑りの危険がなくなる。
「走り始めで少し大きめ」にしておけば安心できる。
また、クラッチプレート,クラッチデスク,レリーズレバー,リレーズペアリングなどを新品に交換した場合部品自体や部品相互の馴れ合いが安定するまでに少し時間がかかるだろう。
その点からの「遊びの変化」もあるかもしれない。
クラッチ交換後1200㎞程度走ったが、
当初より「遊び変化」をあまり感じなくなったのはそのせいかもしれない。
近々「直近のCBA-GH8画像」をアップ
とにかく「走るようになった」。
マニュアル車はクラッチを新品にしないと性能が引き出せない。
「STIの6速」が欲しいところだが「まだまだCBA-GH8の5速で」。
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※トライクの法的取り扱い
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