●バーハンドルNSRその後

選任のための法律知識・



バーハンドルでデビューしたMC21は

現在、こうなっています。

『転倒?』
いえいえ、そんなに傾けていません。

『エンジントラブル?』
いえいえ、そんなに回していません。

1.試走中に突然始動不能

ケーブルを作り直し、「頑丈たいこ改良型」で安心して乗れる。 → こちら
前回は「取り敢えずの試乗」、今回は「いつも通り」の「165号線試走」。

クラッチは「2.5㎜Φワイヤーとインナーチューブの不適合」か「引きずり抵抗」を感じる。
これは油圧でないのでしかたがない。
しかし、時間がたつと気にならなくなる。
クラッチレバーを握るたびに「頑丈たいこ改の釘が締まる」様子を想像する。

このコースでは2速と3速しか使えない。
2速では少し重く、3速では少し軽い。
標準の「前15/後40」を「前14/後40」か「前15/後42」への検討が必要。

バーハンドルになっても「ニーグリップ」は必須。
膝だけでなく足首でのグリップも。
ニーグリップが甘いとハンドルに力がかかり「無重力状態」にならない。
しかし、ハンドル変更でライディングポジションが変わっているのだけれど、
セパレートハンドルのときと同じように自然にニーグリップできる。これは不思議。

もうひとつ不思議はスピード感。
「80㎞/h超えだな」とメーターを見ると「60㎞/hを少し超えた」だけ。
「120㎞/h 感覚」で100㎞/h ほど。
FJやRMXより小柄で、乗車位置が地面に近いせいなのか、乗り馴れていないせいなのか。
とにかく感覚より速度が低い。

コーナリングはRMXモタードやバーハンドルFJと同じ「後輪寄り荷重」。
しかし、FJと同じ「リヤタイヤ150」の安心感。「リヤ130」のRMXよりどっしりとしている。

そんなことを考えながら165号線を軽く往復。
次は「165号 → 県道10号 → 163号」でペースを少し上げてみよう。

165号を快調に走って県道10号へ右折。
10号線は交通量がほとんどなく、なだらかなカーブが続くので気持ちよくアクセルオープン。

ところが、中程の登りで、「ガス欠症状のエンジンストップ」。
「ちょっと減りが早いンじゃない?」とリザーブに切り換え。
しかし、エンジンが始動しない。
坂を利用しての押しかけも効果なし。

まず、疑わなければならないのは「燃料詰まり」
キャブレターのドレンを開けてチェック。
右は流れるが、左が流れない。
フロートバルブの貼りつきかもしれないとキャブレターを「コンコン」。
効果なし。
しかし、片方は流れているのだから、片肺で始動するはず。

次は、ヒューズ切れ,断線,カプラーの弛み。
ヒューズと主立ったカプラーをチェック。
しかし、エンジンは始動せず。
インジケーターは大丈夫だから断線はまずないだろう。

今まで元気に走っていたものが突然始動不能。
「燃料詰まり」と「ヒューズ切れ,断線やカプラーの弛み」がなければ「PGM3」

MC21はエンジン回転数,アクセル開度,ギヤポジションをセンサーが読み取り、
点火時期だけでなく排気バルブ,混合気をマイコンが最適状態に調整。
このマイコンがPGM3。
PGMは頭脳なのでこれが故障すると動かなくなるのです。

そう言えば、どこかに「ガス欠のような症状でエンジンストップ」と書いてありました。

なお、現在は電子制御が当たり前になっていますが、当時のバイクは点火時期だけ電子制御(無接点点火)。
しかも、コントロール内容が複雑ではないのであまり壊れないのです。
もっとも、50年前は点火時期も機械式でしたが…。

しかし、このMC21は型こそ古いが走行は 1.3万㎞台。
サーキットで走っているわけじゃないのにもう壊れるの?

2時間程度いろいろやって断念。
知り合いにレスキューを頼み、NSRは近くの公民館へ。
翌朝、軽トラックをレンタルして回収。

10年前はハイエースへのRMX積み下ろしが「普通に」できたのに(こちら)、
RMXより少し重いだけのNSRを軽トラに一人では載せられない。
「念のため同乗者」の助けを借りる。降ろすのも同じ。
FJなら二人でも積み下ろしは無理。

「出先でオートバイが故障したときの帰宅・回収」の一回でJAFの年会費。
ことあるごとに見送っている「JAF」が今回も。→ こちら
しかし、「牽引・運搬無料は15㎞だけ。あとは1㎞で730円」ではねぇ。
今回は故障地まで80㎞程度だからJAFに入会していても、730円×( 80-15 )=47450円!
軽トラは一日借りても5000円、積み下ろしができないのなら2トンのパワーゲート、
FJならキャリアカーを借りればよい…。
今回も見送り。

2.キャブレター

キャブレターを外すのに時間がかかります。
出先でキャブレターを外すのはまず無理。
RMXでは出先でのキャブレター修理二回。

問題の左キャブレターのフロートバルブに張り付きなし。

燃料は「タンク → 右キャブレター → 左キャブレター」。
右キャブレターの燃料入口からキャブクリーナーを吹き込み、パーツクリーナーで洗浄。
左キャブレターのフロートバルブから吹き込んだパーツクリーナーが出るようになる。

タンクにつないでキャブレターのドレンを開ける。
右OK、左OK。

本来は左右のキャブレターを分離し、燃料通路を点検しなければなりません。
しかし、燃料通路に特別な機構が組み入れられているわけではなく、
ジョイントのOリング交換も必要になる。
左キャブレタードレンからガソリンが出たのだからそれでOK。不要な分解は避けましょう。
結局、各ホールを「キャブクリーナー+パーツクリーナー」。
ついでにMJとPJの番手をチェック。MJ/128S,PJ/38S

●.始動チェック

「さあこれでエンジンがかかるかな」と少し期待してキック。
しかし、何の徴候もない。
始動前に下シリンダーにパーツクリーナーを吹き込んであるから「何らかの徴候」があるはず。
まるで「メインスイッチをOFFにした」ときのように「知ら~ん顔」。

PGMへ一歩近づく。

3. カプラーの弛み

●カプラーボックス

まず「カプラーがぎっしりと押し込んである」あのカプラーボックス。 → こちらこちら
そう言えば、バッテリー交換前の電装異常はこのカプラー群を触っていたら自然解消。
もしかして、今回も…。

こちらのカプラー群は6個
・ウインカスイッチ/9P黒
・オイルポンプソレノイド/2P赤
・オイルレベル/3P赤
・サーボモーター/4P赤+若葉
・キルスイッチ・フロントブレーキ/4P赤
・メインスイッチ/2P黒

そもそも、左スイッチ,オイルランプ,キルスイッチ,フロントブレーキ,メインスイッチは正常作動。
各カプラーの弛みなどないはず。
カプラーへのCRC,そして各カプラーをカプラーボックスから出して自由にして始動チェック。
「知ら~ん顔」。

●他カプラー,PGMカプラー

充電機能チェック,キャブレター取外しで抜き差ししているカプラーはパス。
「こんなところにもカプラーがある!」と文句を言いながらチェック。

だんだん、総本山へ。
初めてみるPGM-3

まずはPGM本体を外すのに手こずる。

本体にはゴムブッシュ(♀)がはめられています。
フェンダーにはプラスチックの突起(♂)があります。
この突起にゴムブッシュがはまっているだけです。
PGM本体をもって引っ張り上げれば外れます。

次は16Pカプラー
これが簡単には外れない。

二カ所の爪(両側で四カ所)で引っかかっているので、を押さえれば外れるはず。
しかし、ピン数が多いので簡単には外れない。
矢印の凹みにマイナスドライバーを入れてこじれば外れます。

各ピンにCRCを吹き込んでカプラーをしっかりとはめる。
フル充電のパッテリーを載せ、シリンダーにパーツクリーナーを吹き込んで始動チェック。

もう期待していません。
エンジンは「知ら~ん顔」。
最悪事態へまた一歩。

4. 点火系統

●発火テスト

プラグを外してプラグコードに付け、アースさせ発火テスト。
RMXの新品プラグをつけてチェック。
プラグを右手でアースさせて左手でキック。
キックするたびにプラグが揺れてスパークしているかどうか判らない。
車庫を暗くしても同じ。
ジャンプコードでアースさせて足でキック。
そもそも、プラグが発火していればエンジン始動になんらかの徴候があるはず。
だから、「発火なし」と判断。

●イグニッションコイルのピーク電圧(マニュアルP24-65)

「火花が飛ばない」 → 「イグニッションコイルは必要な電圧を発生させているか?」

・シリンダーにプラグを残したままRMXのプラグをキャップに付けてアース。
・電圧計のマイナスをイグニッションコイルのマイナス(黒/黄,黒/青)に、電圧計のプラスをアース。
・メインスイッチON,RUNでキック。正常電圧)は 300V以上。

しかし、電圧計の表示が一瞬で消えるので表示を遅らせるピークボルテージアダプターが必要とか。 →こちら
そんなに高いものではないけれど、代替方法があれば買わずに済む。
電圧計を動画撮影することにしました。

私が使っているガラケーでも動画撮影はできますが三脚が使えないのでカメラを使用。
・フロントイグニッションコイル → 4~5V 動画
・リヤイグニッションコイル → 2~3V 動画
※動画容量が大きいのでワードプレスでは再生できません。後日対処。

基準値の「300V以上」にほど遠く、判定は「ピーク電圧がほとんどない」で異常。
「発火しない → ピーク電圧がない・殆どない場合」のチェック項目(マニュアルP24-21)を行う。

●イグニッションコイル抵抗(マニュアルP17-4)

「イグニッションコイルが必要な電圧を発生させていない」 → 「イグニッションコイルは正常か?」

・ターミナル間 : 下/0.3Ω,上/0.3Ω → 基準値/0.1~0.2Ω → 「OK」
・緑ターミナルとキャップ間 : 下/7.5kΩ,上/7.9kΩ → 基準値/5~13kΩ → 「OK」
・そもそも、突然コイルが二つともだめになることなどない。

●パルスジェネレーターのピーク電圧(マニュアルP24-66)

「ジェネレーターは正常か?」 → 「パルスジェネレーターは?」
・№1 : 16P黒カプラーの白/黄(プラス)~16P白カプラーの黄(マイナス)
・№2 : 16P黒カプラーの白/青(プラス)~16P白カプラーの黄(マイナス)
・メインスイッチOFFでキック
・正常電圧2V以上。
・測定値 : №1/2~9V(動画),№2/3~10V(動画) → 「OK」

●パルスジェネレーター抵抗(マニュアルP17-5)

パルスジェネレーターのピーク電圧がOKなので抵抗値測定は不要だけれど念のため。

・リヤパルス(白/黄-黄) : 203Ω → 基準値/180~220Ω → 「OK」
・フロントパルス(白/青-青) : 208Ω → 基準値/180~220Ω → 「OK」
※カプラーの爪を上にして左と右の各々につき上下の抵抗値を測定すればよい。

●ACジェネレーター抵抗(マニュアルP16-5)

こちらも「火花が飛ばない → ピーク電圧がない・殆どない」場合のチェック項目にはないが念のため。
・点検済み「OK」 → こちら

●PGMへの入力電圧(マニュアルP24-67)
・黒カプラーの黒/白~アース → メインスイッチON,キルスイッチONでバッテリー電圧 → 「OK」
・異常がある場合はメインスイッチ,キルスイッチ,ヒューズ,ハーネスに異常がある。

●PGMアースコード(マニュアルP24-68)
・黒カプラーの橙/青~アース → 導通あり → 「OK」
・白カプラーの緑~アース → 導通あり → 「OK」
・異常がある場合はハーネスのアース部分に異常がある。

これで残ったのが「カプラーの接触不良」以外では「サイドスタンドスイッチ」。

5. そんなはずはない「サイドスタンドスイッチ」

PGMカプラーでのチェック

・16P黒カプラーの緑/白~アース
・サイドスタンド格納/導通,サイドスタンド出/導通なし
・異常がある場合はハーネスかサイドスタンドスイッチに異常がある。

ここで、サイドスタンド格納時にも「導通あり」。
そこで、サイドスタンドスイッチを点検。

●サイドスタンドスイッチの点検(マニュアルP24-71)

・緑~黄/黒 → サイドスタンド出/導通,サイドスタンド格納/導通なし
・緑~緑/白 → サイドスタンド出/導通なし,サイドスタンド格納/導通
・カプラーにテスター端子をセットしてスタンドを出し入れすればよい。
・こちらは「正常」。
・再度、PGMカプラーをチェック → 「正常」
結局、最後の点検項目のサイドスタンドスイッチも「OK」。

※注意

サイドスタンドスイッチの突起は

サイドスタンドの穴に入れる。

この穴に入れないでも取り付けられるが、スイッチがうまく作動せず、
「サイドスタンド出」でも「サイドスタンド格納」でも「導通あり」となる。

これで「始動不能の原因はサイドスタンドスイッチだったのか!」
「サイドスタンドスイッチさえ換えればエンジンがかかるゾ!」と喜んで
サイドスタンドスイッチを入手しないようにしましょう。

NSRから取り外した部品となると高値になります。
ホンダのブレーキスイッチは共通です。1個100円程度。
ただし、3極のものと2極のものがあります。3極のものを選びましょう。

コード3本の色は同じですが、カプラー形状と取り付け順番が違います。※上がNSR
もちろん、同じ色のコードを結線すれば使えます。

6. 原因はやはりPGM

「サイドスタンドスイッチ異常」に抱いたかすかな希望は消え、判定はやはり「PGM不良」。

しかし、考えてみれば、
「イグニッションコイルが二つとも突然故障」,「ジェネレーターが突然故障」。
そんなことは起こらない。
「断線,カプラー弛み」は衝突・転倒など外から大きな力がかからない以上起こらない。
「乗車中のヒューズ切れ」は今まで経験したことがない。
ましてや「プラグ故障」など。

「今まで元気に走っていたのが突然始動不能」。
それが「焼きつき」や「ベアリング損傷」などのエンジントラブルでなければ、まず「PGM故障」。
NSR・MC21の「PGM3故障」は持病のようです。
サービスマニュアルの点検項目などやらずにPGMの裏蓋を開けたほうがよいでしょう。

ネットで検索すると「あるわあるわ」。

・CI605A/90年前期型、特性が高回転型
・CI605B/91年以降(後期型)
・CI605C/HRC・有鉛用
・CI605E/HRC・無鉛ハイオク用

中を見てみましょう。

本体には左右に二つの凹があります。
これにプラスチック裏蓋にあるツメ(突起)がはまります。
だから、「裏蓋の突起部分」以外の場所にマイナスドライバーを当ててこじれば外れます。

裏蓋を開けるとネットでおなじみの光景。

立っている二つのコンデンサーに「液漏れ」がありました。

漏れた液が裏蓋にも付いています。
そういえばPGMが温かかった。

このコンデンサーを交換すればエンジンがかかりそうです。

7. 「今回の火入れ」総括

今回の火入れは「バーハンドル化,たいこ作成,ケーブル作成」で時間がかかった割には
168㎞ の試走であっけなく終了。

そういえばRMXも「初めての尾鷲・熊野デビュー」でエンジントラブルを起こしました。 → こちら
しかし、このエンジントラブルがあったからこそ「クランクケースOH」ができるようになりました。
こちらこちらこちら

「故障すれば修理しなければならない。修理すれば整備技術が向上する。故障こそ楽しみ!」
これは負け惜しみで、「酸っぱいぶどう」ならぬ「甘いレモン」。
本音は「もっともっと走りたかったゾ!」、「 見損なったゾ、 NSR!」

今回は電子部品修理で敷居が高いけれど、ネット情報が多いのでなんとかなるでしょう。
自賠責は2年ありますから自賠責が切れるまでには。
今度こそ、「バーハンドルNSR」を尾鷲・熊野の峠に持ち込めるでしょう。
まずは「PGM3修理」の情報収集から。

SJ13「やっと出番だな…。」

選任のための法律知識・



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