●NSRのスプロケット変更 と レギュレーター再点検

nsr250フロントスプロケット交換
選任のための法律知識・



3.レギュレーター の再計測と考察

a .レギュレーターの抵抗値測定

前回の電圧計とデジタルテスター計測での「19V超え」
まず、疑わなければならないのは「レギュレーターの故障」。
以前に抵抗値を測定したときはOKだったが、それから故障したのかもしれない。

●アナログテスターでの計測


アナログテスターで計測すると、

単位kΩ
×(+)(+)(+)(+)(+)
①(-)×/
∞/∞
/
∞/∞
/
∞/∞
/
∞/∞
②(-)3.2/4
0.5~10/0.5~10
×150/200
30~500/
150/200
30~500/
70/60
10~200/
③(-)3.2/4
0.5~10/0.5~10
180/200
30~500/
×180/200
30~500/
70/60
10~200/
④(-)3.2/4
0.5~10/0.5~10
180/200
30~500/
180/200
30~500/
×70/60
10~200/
⑤(-)7.0/8
1~20/0.7~15
3.2/4
0.5~10/0.5~10
3.2/4
0.5~10/0.5~10
3.2/4
0.5~10/0.5~10
×

※上段 → 以前の計測値 / 今回の計測値
※下段 → A型(MC21-1014675 以前) / B型(MC21-101467以降)
※当NSRのレギュレーターはA型。

・測定値は全て基準値に入っている。
   測定値自体は以前と変わっているが測定条件が同じでないので問題なし。
・結局、レギュレーターは正常。

それでは、「あの19V超え」はいったい何だったのだろう。

●デジタルテスターでの計測

念のために「19V超えを計測した」デジタルテスターで計測。

・全てMΩとなる。1MΩ=1000kΩ
   ①(-) → ×,4.52,4.74,4.42,6.37
   ②(-) → ∞,×,9.01,8.79,4.60
   ③(-) → ∞,8.33,×,8.06,4.09
   ④(-) → ∞,8.68,8.44,×,4.46
   ⑤(-) → ∞,0.824,0.813,0.803,×

・一列目に並ぶ∞、値はすべて「×1000」。
   これはどう考えても「異常」。
   この測定値が正しければやはり「レギュレーター故障」。
   車載の電圧計も「19V超え」を証言。

・もっとも、このデジタルテスターは以前にも「MΩ異常値」が出た(こちら)が、
   後からアナログテスターで測ったらMΩは出ずに正常値が出た。(こちら)

・また、マニュアルP24-63 に
「テスターによっては異常値が出るので、指定テスターを使うこと」との注意書き。
   だから、このデジタルテスターが異常値を出しているのかもしれない。
   もっとも、「異常値が出たからそのテスターが間違っている」とは言い切れない。
   測定対象物(レギュレーター)が故障していれば正しいテスターでも異常値が出る。

結局、「アナログテスターが正常」ならレギュレーターは正常。
「デジタルテスターが正常」ならレギュレーターは故障。
とにかく、どちらかのテスターが「狂っている」。

●どちらを信じればいいのか?

「デジタルテスターとアナログテスターのどちらが狂っている」を知るために簡単なテスト。

・抵抗器の測定

・茶・緑・赤・金の抵抗値測定 → 15×100Ω/誤差5% → 1.5kΩ ※参考
   デジタル/1.467kΩ,アナログ/1.6kΩ

・茶・黒・橙・金の抵抗値測定 → 10×1000Ω/誤差5% → 10kΩ
   デジタル/9.95kΩ,アナログ/11.5kΩ

・デジタルの方が正確な値を示すがアナログの方もそれに近い値を示す。

・結論 → デジタルもアナログも「狂っていない」。むしろデジタルの方が正確。

・新しい単3乾電池の電圧測定

・1.5Vレンジ → デジタル/1.616V,アナログ/1.23V
・Vレンジ → デジタル(auto)1.616V,アナログ(2.5Vレンジ)1.35V

・結論 → アナログは「低い値を示す」が「狂ってはいない」。デジタルも正常。

・どうするか?

問題は「レギュレーターが故障しているかどうかを知ること」。
そのための選択肢は、

①新しいデジタルテスターを入手して、制御電圧とレギュレーター抵抗値を測定する。
②新品レギュレーターを入手して、制御電圧と抵抗値をデジタルとアナログで測定する。

新しいデジタルテスターがマニュアル記載の「異常値を示すテスター」かもしれない。
そうだとすれば新しいテスターで測定して異常値が出ても、
異常値を出したデジタルテスターが正しいとは言えない。

また、少なくともアナログテスターは「狂っていない」。
「狂っていない」なら、「レギュレーター正常」を示す測定値を信じてもよい。

ここで①は没。

②が一番よい。

新品のレギュレーターは「故障していない」から、
異常な測定値を出したテスターが「狂っている」、正常測定値を出した方が「正常」。

問題は「8000円の出費」。
そして、後で述べる「PGMとレギュレーターの適合」。

結局、「もう一度制御電圧」を測ることに。
今一つ「アナログテスターの測定値が正しい」の補強証拠が欲しいのです。

b.制御電圧の測定

車載電圧計(電圧計)とデジタルテスター(デジタル)とアナログテスター(アナログ)を
同一条件で測定させるように、バッテリー端子から取り出したコードに三つを接続。
・電圧計 → もちろんオート
・デジタル → V・オートモード
・アナログ → 50Vモード


①エンジンをかける前

・ 電圧計/13.0V,デジタル/12.82V,アナログ/11.0V


②アイドリング(1500rpm)

・電圧計/16.8V,デジタル/16.55V,アナログ/14V


③5000rpm

・電圧計/17.5V,デジタル/17.28V,アナログ/14.5V
・2000rpm以上ではほぼこの値になる。5000rpmを超えても同じ。
   電圧計とデジタルでは多少前後するが、アナログでは14.5Vで変動しない。
・ライトを点灯してもあまり変わらない。ハイビームでは少し下がる。
※マニュアル基準値は「13.5V~15.5V/5000rpm」


④エンジン停止後しばらくして

・エンジン停止直後は高い値を示すがだんだんと下がってくる。
・電圧計/14.6V,デジタル/14.42V,アナログ/12V

・さらに時間が経つと、

・電圧計/13.6V,デジタル/13.42V,アナログ/11.5V
・①エンジンをかける前の「13V,12.82V,11V」に近づいていく。


⑤異常値を示す「デジタル組」

・アナログは「どっしりと安定値」。しかしデジタルの電圧計とテスターは「ときどき異常値」。
・測定開始時の「チョーク始動・2000rpmくらい」で電圧計が「19V以上の警告点滅」。
・その時のデジタルは19Vに近かったが、アナログは通常の14V。
・「デジタル組」は使い初めは不安定なのか。

こちらは測定開始時ではなく測定途中で出た異常値。
3000rpm付近です。

・電圧計/12.8V,デジタル/18.88V,アナログ/15V
・この回転数では電圧計,デジタルともに17.5Vくらいを示すはず。
・この電圧計は表示にタイムラグがあるらしいが遅れすぎ。デジタルテスターの値は高すぎ。
・「デジタル組」は変動する電圧に対して不安定なのかもしれない。

●結論

・前回の電圧計/19V表示点滅,デジタルテスター19V超え
   デジタル組の「使い始め、チョーク始動時での高電圧誤表示」らしい。
・デジタル組は上述の「たまに異常値」を除き「17V~18V」で安定。
   アナログテスターは「14V~15V」で安定。
   デジタル組は高めに、アナログテスターは低めに出る。

・デジタルテスターは「狂っていない」が
   「レギュレーター抵抗測定を正しくできるテスター」ではない。
・車載電圧計は「測定値表示に時間がかかり、ときどき狂う」。
・アナログテスターの「低め表示」は機械部の衰えも影響しているだろう。

結局、アナログテスターの測定値を信じて「レギュレーターは正常」と判断。
8000円の節約が一番嬉しい。

※2021.03.15.追記

「前13で30㎞試乗時」の電圧計表示
・始動時にやはり「19V超えの警告点滅」。その後、18V超え・19V超えなし。
・走行時は16.7V~17.4V。アイドリングを含めれば16.4V~17.4V。
   この巾はメーター針の「振れ」のようなもの、回転数とは関係なし。
   アイドリングで高くなることもあれば、8000rpmで低くなることもある。
・一番多く表示されていたのが16.8V。回転数が一定だと数値は安定する。

結論としてこの電圧計は
・始動時に「19V超えの異常値」が出る。
・「1.5V程度」高めに出る。
・「振れ巾」が「1.0V」ある。
・あまり役に立たない。
   しかし次に述べるように、そもそも電圧計で高電圧を監視することが必要ないのです。

c.レギュレーター故障と高電圧電流の弊害

今回のレギュレーター測定でちょっとした疑問。
それは、ネット通説の「レギュレーターが故障 → 高電圧電流発生 → PGMが壊れる」。
当初は「なるほど」と納得していましたが、「正しいの?」
「電気知識ゼロ」の疑問です。※参考サイト

●レギュレーター配線

左がジェネレーターカプラー、右がレギュレーター。

・ジェネレーターで発電された交流電気は黄色線3本でレギュレーターに入る。
・レギュレーターに入った交流電気は直流に換えられ、一定電圧だけが赤色線から出る。
・赤色線は途中どこへも寄り道しないでバッテリーへ向かう。
・赤色線はバッテリー直前で二つに分かれる。
   一つはメインスイッチへ、もう一つはヒューズを経由してバッテリープラスへ。
   メインスイッチから先はヒューズを経由して各部へ。
・緑色線はアースでバッテリーマイナスにつながる。
。MC21はレギュレーター部にもアースがある。

●レギュレーター故障の場合

レギュレーターが故障すると高電圧電流がそのまま赤色線から出てしまう。
しかし、バッテリーに入る前にヒューズが切れてバッテリーに入れない。
メインスイッチに向かった高電圧電流も
メインスイッチの先にあるヒューズで遮断されて各部に向かうことができない。

結局、レギュレーターが故障して高電圧電流が発生しても
ヒューズに遮断されてPGMには入らない。
つまり「「レギュレーター故障 → 高電圧電流発生 → PGMが壊れる」という図式にはならない。

レギュレーター故障で高電圧電流が流れればヒューズが切れてエンジンが停止する。
エンジンが回っている間は高圧電流は発生していないので心配しなくてもよい。
もし、高圧電流が発生してもヒューズで遮断されるのでPGMは守られる。

それなら、車載電圧計で「電圧が高くなる」のを監視する必要はない。

そうすると、車載電圧計で監視するのは
「ジェネレーターの発電不良やレギュレーター故障による低電圧・充電不足」になる。
しかし、それはテスターで制御電圧を測定すれば済み、走行中に「常時監視する」必要はない。

結局、電圧計自体が不要となりますネ。

●アースチェックも大切

なお、「充電不足の原因としてアース不良がある」とのこと。
MC21ではバッテリー側のアースだけでなくジェネレーター側にもアースがあります。

上記配線図からチェック方法は
ジェネレーター(G)カプラーとレギュレーター(R)カプラーを外して、
①R♀緑とボディの「導通あり」 → レギュレーターとバッテリー側のアースOK
②R♀緑とG♀緑の「導通あり」 → RカプラーとGカプラーの断線なし。
③G♂緑とボディの「導通あり」 → Gカプラーとジェネレーター側のアースOK。
②と③ → レギュレーターとジェネレーター側のアースOK。

d.レギュレーターとPGMの適合

もうひとつ気になったことが「レギュレーターとPGMの適合」

MC21は8種類
・一般 → 7L,7N
・ SP → 8L,8LⅢ,8N,8NⅢ
・ SE → 9L,9N

MC21 の PGMⅢ は三種
①30400-KV3-830 → 7L(~1014675),8L
②30400-KV3-831 → 7L(1014676~),8LⅢ,9L
③30400-KV3-901 → 7N,8N,8NⅢ,9N

MC21のレギュレーターは二種類
・A型/31600-KY2-703 → 7L(~1014675),8L
・B型/31600-MV4-000 → 7L(1014676~),7N,8LⅢ,8N,8NⅢ,9L,9N
※一般に対策品と呼ばれているフィン付きは 31600-MV4-010

つまり、
・PGMⅢ① には A型レギュレーター
・PGMⅢ② と PGMⅢ③ には B型レギュレーター
・メーカーは PGMⅢの仕様変更に対応してレギュレーターの仕様変更をしている。
・マニュアルP16-4には次の記載
「レギュレーターは本機種専用のもの。他機種のレギュレーターを使用しないこと。
   他機種のレギュレーターを使用した場合PGMが破損する。」(一部改変)

なお、当NSRは「MC21-1016×××」の「7L(1014676~)」
・本来、「PGMⅢ②+B型レギュレーター」。
・しかし「PGMⅢ①+A型レギュレーター」になっている。
・前所有者がPGMをPGMⅢ①(90年前期・高回転型・CI605A)に交換したため
   レギュレーターもそれに適合するA型に交換したのでしょう。

ここで問題になるのが
「対策品と呼ばれるフィン付きレギュレーター/31600-MV4-010 とPGMⅢの適合」。
部品番号から推測すると「MV4-010」は「B型レギュレーター/MV4-000」の発展型でしょう。
そうだとしたら、フィン付き対策品はB型レギュレーターに適合するPGMⅢ②・③に適合しても
A型レギュレーターに適合するPGMⅢ①に適合しないのではないでしょうか?

マニュアルの注意する「PGM破損」はないにしても、
何らかの不具合が出たり、その性能が完全に発揮されなかったりするのではないでしょうか?
PGMとの適合を考えないで、「対策レギュレーターへの安易な交換」は控えるべきでしょう。

この点からも「新品の対策レギュレーターの入手」を見送って、
現在の「A型レギュレーター」を使うことにしたのです。  

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