●NSR250-MC21のバーハンドル化

nsr250バーハンドル化
選任のための法律知識・



6. 取り敢えずの試乗,充電機能のチェック,リヤブレーキホースの交換

a. 取り敢えずの試乗/40㎞

スロットルの押し側とクラッチのレバー側が「汎用ネジたいこ」なので「いつ外れるか」心配。
「はんだたいこ」は失敗つづき。
「より完全なはんだたいこ」と「より適正長のケーブル」への交換はハンドルを決めてから。
まずは、近場を試乗。

●ハンドル

後退ステップでの「引き」の少なさを心配していたが、まったく違和感なし。
「後退・高めのステップ位置」 と「タンクニーグリップ」がうまく上体を支えてくれる。
上体はやや前傾となるが、ハンドルは無重力状態。

ハンドルの「高さ,巾,引き」ともよし。
これ以上、高くても,広くても,手前にきてもダメ。
私の体格(170㎝・70㎏の和製ML)ではヨーロピアン3型が適合。
もう少し「引き」たければ、高さ「+30㎜」,引き「+10㎜」のヨーロピアン4型を。

まずはヨーロピアン3型で乗ってみて、それからヨーロピアン2型か4型を試すのがよいでしょう。
ただし、20~30㎜の変化ではほとんど「変わったこと」が体感できません。 → 各寸法

●操縦性

上体が起きたので、上体の稼働域が増えた。
リーンアウトも普通にできる。これはオフバイク出身者にはありがたい。
ストリートユースではセパレートハンドルより格段に乗りやすい。

軽い車体に両足べったり。
「260㎏・FJ」や「前後17インチでも腰高のRMX」のように
停止したあとに「バランスを崩さないよう」気をつかう必要はない。

●エンジン

RMXのように「ガツン」とくる加速ではない。
回転上昇とともにパワーがでてくる。
RMXではスタート最初にフロントアップ、NSRではスタートしてからフロントアップ。
スロットルの動きに少し遅れてパワーが出る。
エンジンはスムーズに 10000rpm に向かって上昇し、パワーも「1:1」で強くなる。
この「滑らか」さは「がさつなRMX」では味合うことができない。

●総評

純正のセパレートハンドルは「乗り手と場所を選ぶ」。
しかし、バーハンドルでは「誰でも、どこでも楽しめる」。
バーハンドルはNSRを身近なものにしてくれる。
「もっと乗っていたい」と思わせる。

「元NSR」のシニアにはバーハンドルをお勧め。
耕運機のようなアメリカンより楽しめます。
もっとも、楽しんだあとは「けっこう腰にきます」が。

b. 充電系統のチェック

前述の電装異常は偶然治ったけれど、「翌日の取り敢えずの試乗」ではインジケーターランプが点灯しない。
しかし、キックするとエンジンがかかる。
40㎞の試乗を終えて、アイドリングでライトを点灯させてみるとエンジンストップ。
※当時のバイクは常時点灯ではなくライトOFFのスイッチがあります。
バッテリー電圧は11.7V。
「自然解消した電装異常」が引っかかる。もしかして、走行中に充電されていないのでは?

●スイッチボックスの通電チェック

充電系統のチェックをする前に、スイッチボックスの通電チェック

カプラーを全部外し、メインスイッチ,ホーン,ライト/P・H,パッシング,ウインカー,キルスイッチ。
全てOK。ディマスイッチだけ配線不明でチェックなし。
スイッチ入れて作動があれば「通電あり」だけど、念のため。

●リーク(漏電)テスト

・メインスイッチOFF → レギュレーター/レクチファイアーのカプラーを外す → バッテリーのマイナスを外す。
・電圧計プラス端子を外したマイナス端子に、電圧計マイナス端子をバッテリーマイナスターミナルに。
※マニュアルP16-4の写真は間違い(バッテリーノプラスターミナルに当てている。)
・電圧がなければ「リークなし」(正常)

こちらがレクチファイヤーのカプラー。

デジタルテスターで測ると0.062V。
これって、「電圧あり」?

リークがあれば、電流は「バッテリープラス → リーク → ボディ → マイナス端子」と流れるので、
「マイナス端子とバッテリーマイナスターミナル」の電圧はバッテリー電圧のはず。
試しに、プラスターミナルからワニグチでリークさせると、
「マイナス端子とバッテリーマイナスターミナル」の電圧はバッテリー電圧の12V。

こんなことは「当たり前のこと」だからマニュアルには説明してなかったのだな…。
とにかく、「リークなし」で次のチェックへ。

●制御電圧

・電圧計をバッテリーのプラスターミナルとマイナスターミナルにつなげる。
・エンジンの回転数を上げて電圧を測定。
・基準値 : 13.5~15.5V/5000rpm

・バッテリー電圧11.7Vで計測
・アナログテスター : 10V/2000rpm → 14V/6000rpm
・デジタルテスター : 13V/5000rpm~14V/6000rpm
・13.5V/5000rpmに達してはいないがOKでしょう。
・テスト後 2~3分アイドリング で バッテリー電圧は11.8Vに上昇 → 発電している。

ここでOKが出れば、答えは「バッテリーの寿命」
あとのチェックはする必要がない。
しかし、念のためにあとのチェックを。

●ACジェネレーターチェック

・ACジェネレーター4Pカプラーを外す
・ジェネレーター側カプラーの黄色と黄色の端子間抵抗を測定。
・基準値 : 0.2~1.0Ω(MC21)

こちらがACジェネレーターの4Pカプラー

ジェネレーター側のカプラーだから「写真では上にあるカプラー」(♂カプラー)

黄色が三つに緑色が一つ。
黄色はジェネレーターから入る、緑色はジェネレーターのアースへ。
この三つの黄色端子の抵抗を測定 → 黄①と黄②,黄①と黄③,黄②と黄③
・測定値 : 1.0Ω,1.1Ω,0.9Ω → OK

・黄色各端子とアースの導通 → 「導通なし」でOK。
・若草色とアースの導通 → 「導通あり」でOK
・測定 : OK

※RMXでも同様のことをやりました。 → こちら
※関連項目/FJのスターターモーターの基準値 → こちら

●レギュレーター/レクチファイヤの点検

1.赤と緑の断線チェック

・レギュレータ/レクチファイヤカプラーの「赤/+」と「緑/-」の電圧を測定。
・バッテリー電圧があればOK

急に「赤と緑」といわれても戸惑ってしまいます。
まずは、レギュレーター/レクチファイヤを外しましょう。

カプラーを後から見ると

上三つが黄色線、下に赤線と緑線。
ジェネレーターで発電された交流電気が黄色三本から入ってくる。
それをレギュレートレクチファイヤーで直流に換えて赤線でバッテリーへ送る。
緑線はアースでバッテリーのマイナスにつながるとともに、
ジェネレーター4Pカプラーの緑とつながってジェネレーターのアースへ。
赤と緑はバッテリーにつながっているので、断線がなければバッテリー電圧となります。

これを前から見ると

左が緑で右が赤。
結局、左/緑にテスターのマイナス端子、右/赤にテスターのプラス端子。
・測定値 : 11.7V(バッテリー電圧) → OK

2.レクチファイヤ側各端子間の抵抗値測定

・①,②,③,④,⑤の各々についての抵抗値測定。
・テスターに新しい電池,ゼロ調整必須。
・アナログテスターの方が使いやすい

単位kΩ
×(+)(+)(+)(+)(+)
①(-)×
∞/∞

∞/∞

∞/∞

∞/∞
②(-)3.2
0.5~10/0.5~10
×150
30~500/
150
30~500/
70
10~200/
③(-)3.2
0.5~10/0.5~10
180
30~500/
×180
30~500/
70
10~200/
④(-)3.2
0.5~10/0.5~10
180
30~500/
180
30~500/
×70
10~200/
⑤(-)7.0
1~20/0.7~15
3.2
0.5~10/0.5~10
3.2
0.5~10/0.5~10
3.2
0.5~10/0.5~10
×

※上段 → 測定値
※下段 → Aタイプ基準値/Bタイプ基準値
※Aタイプ : MC21-1014675以前,Bタイプ : MC21-1014676以降

このNSRの車台番号は「MC21-1016××× 」 だがレギュレーターはAタイプになる。
リミッターカットが付いていたのでその関係か。リミッターカットは現在取外し。

結局、充電系統は全てOK。
答えは「バッテリーの寿命」

● バッテリー交換

「1年半放置しても 9.8V。半日充電して13.1V。ノーブランド多分中華でもなかなかのもの」
この評価は返上。やはりバッテリーに寿命がきていました。

といっても、交換したのは2011年5月 → こちら
それからの走行は300㎞程度ですが、10年くらい経っているので劣化しても当然でしょう。

入手したのは「GSユアサ・YT4L-BS」 → こちら
原付スクーターに使われている小型バッテリーなので、
古河でもユアサでも値段は中華バッテリーとあまり変わらない。
古河はMADE IN JAPAN だけどユアサはMADE IN INDONESHIA。
ご存じでしょうが、「台湾ユアサ」はユアサバッテリーと全く関係がありません。

レビューでは「液別であること」が低評価。
バッテリーは「液入れ」のときから寿命が始まるので、液入れ後長期保存ならそれだけ劣化している。
私は「自分で寿命をスタートさせられる」液別が好み。 → こちら
「液入れ・補充電」を楽しみにしていたら、届いたのは「液入り」。
やはり低評価が効いているのでしょうか?。

届いたばかりのバッテリーは12.85V。
これだとインジケーター,ウインカー,ホーン,ライトは元気。
「静止状態で12V以下ならバッテリーは寿命がきている」ということでしょう。
3.5時間充電したら14.3Vに。
キック一発で始動。やはり新品バッテリー。

c. リヤプレーキホースの交換

充電系統のチェックでリヤカウルを外したので、ついでにリヤブレーキのオイルを点検。
なんと、タンクの中は空。
ブレーキパッドは充分にあるので、ブレーキラインに漏れがある。
タンクにブレーキオイルを入れてみるとブレーキペダル辺りからチャンバーにポタポタ。
原因はタンクとマスターシリンダーをつなぐゴムパイプに穴。
カバーで覆われているので補修がしてあることに気付かなかったのです。

オートバイ整備の鉄則は「痛んだ部品は新品に交換すること」。
舐めたネジや劣化したゴム製品は「その都度交換」。
早速、ブレーキオイル対応のゴムパイプを入手。 → こちら

内径/7.0㎜Φ,外径/13.0㎜Φ,厚さ/3.0㎜ です。
ブレーキオイル対応のパイプは耐油燃料パイプと素材が違います。
燃料パイプを使うとブレーキオイルが表面に漏れ出てきます。

写真左のNTBは内径7.0㎜Φの燃料パイプ。
これを使ってはいけません。

ついでに、ブレーキオイルのストックが少なくなったので注文。
「Seiken の DOT4」です。 → こちら

制研化学工業はブレーキオイルの専門メーカーです。 → こちら
ブレーキオイルはホンダ,ヤマハ,スズキ,カワサキから発売されていますが、
まさか、オートバイメーカーが自社で製造しているわけではないでしょう。
中身はどこかのプレーキオイルメーカーのもので、オートバイメーカーの名前の分だけ高くなる。
それなら、ブレーキオイルメーカーのものを買った方が得でしょう。
高品質で値段が安いのでお勧めします。送料がかかるので「まとめ買い」を。

パイプはタンクからサブフレームの内側に入り、スイングアームの外側を通ってマスターに入ります。

長すぎても短すぎてもスイングアームに干渉してしまいます。
540㎜ からスタートして、少しずつ短くしていってください。
今回は 520㎜ でOKとなりました。

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