●津市公契約条例は責任逃れ、「最低落札価格なし」で違法労働状態

津市公契約条例

津市会議員諸氏は全く関心なし !



※その目的はご立派な公契約条例

津市では「公契約における事業者間の競争激化、落札価格の下落により労働賃金や労働環境が悪くなることを防ぐ」ために
公契約条例が定められています。(平成30年4月1日施行)
そして、津市の発注する業務についてはこの公契約条例が適用されます。

この条例では

発注者である津市に対しては
「受注者が労働法令に反していないか」の立ち入り検査権限,是正措置命令,契約解除権を認め、
労働者からの違反申告のために窓口を設置させています。

また、受注者に対しては
労働法令を順守すること、報告・立ち入り検査に協力すること,違反申告をした労働者の不利益取扱をしないことを義務づけています。

さらに、公契約の適正な運用を図るために審議会を設置しています。

要するに 『社会保険なんて当然ないよ。有休の「ゆ」を口にしたらクビになるよ』という
イクストラブラック事業者に津市の業務を受注させないようにするものです。

税金で業務を発注する地方公共団体が自らの姿勢を正し、「違法労働環境を造らないようにする」のは当然ですが、
「津市は受注者をどれだけコントロールしているのか?」,「公契約条例の実効性はあるのか?」が疑問でした。
それを知るために2021年度に津市から業務を一件受注しました。

結果は「津市からのコントロールはまったくなし」。
公契約条例はザルではなく「底の抜けたバケツ」になっているようです。

それどころか、津市は業務委託の公共調達で最低落札価格を設定していません。
つまり、「一番安く入札した者に落札させる」。
これではイクストラブラック事業者が落札し、
「落札価格の下落により労働賃金や労働環境が悪くなることを防ぐ」という公契約条例の目的に反します。

これらのことから、津市にとっての公契約条例は
「最低落札価格なしの公共調達が違法労働状態や劣悪労働環境を造っている」という批判を逃れるためのもの、
つまり、「単なる責任逃れの方策でしかない」という事になります。

それは、公契約条例を上手く機能させるよう設置された審議会での津市の答弁に見え隠れします。

この公契約条例を作ったのは津市の市会議員です。
責任を持ってこの条例の実効性を担保してもらいたいものです。
それには、「津市が最低落札価格なしで安売り競争をさせていること」から論じなければならないでしょう。

★★★

1.津市公契約条例の内容

まずは、津市公契約条例の内容から。
「ご立派な文言」が続きますが、内容は「要するに」に書いたようなものです。
以下では「〇赤字」を読んでください。
条文は読み飛ばして、後で疑問が出たときに読み返せばよいでしょう。
津市公契約条例津市公契約条例施行規則

a.目的

〇目的(1条)
「この条例は、公契約における業者間の競争の激化、落札価格の下落等による
労働者の賃金その他の労働環境の悪化が懸念されることに鑑み、

公契約に係る基本方針並びに本市及び受注者等の責務を定め、
並びにこれらに基づく施策を実施することにより、
労働者の労働環境の確保、優良な事業者の育成及び地域経済の健全な発展を図り、
もって労働者が労働意欲にあふれ、かつ、住民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする。」

〇要するに
・公共調達を業者間の競争に任せていると落札価格が下落する。
・落札価格が下落するとそのしわ寄せが労働者に及び労働環境が悪化する。
・公共調達による労働環境の悪化を防ぐために、津市と受注者の責務を定める。

b.公契約の基本方針

〇基本方針(3条)
「公契約に係る基本方針は、次のとおりとする。
1.労働者の適正な労働環境を確保する
2.品質及び適正な履行を確保する
3.入札及び契約の公正性、透明性及び競争性を確保する
4.不正行為を防止する
5.地域経済及び地域社会の健全な発展を図る

〇ハ、ハ、ハ…。津市の現在の状況は?
・「最低落札価格なしの安い者勝ち」 → 「労働者の適正な労働環境の確保」より「安さ」
・「過去の予定価格,落札価格,落札率は公表しない」 → 「入札・契約の透明性」はなし
・「安さだけの追及」では「地域経済と地域社会の健全な発展」は望めません。
津市のやり方は「公契約条例の基本方針」とは逆のものです。

c.津市の責務

〇本市の責務(4条)
「本市は、前条に定める基本方針に基づき、この条例の目的を達成するために必要な施策を講じなければならない
2 本市は、労働報酬下限額(受注者等が労働者に支払う報酬の下限とすべき額。附則第2項において同じ。)を
   定めることについて検討しなければならない。
   この場合において、市長は、第15条第1項に規定する 津市公契約審議会(以下「審議会」)
   その他 市長が必要と 認める者の意見を聴 かなければならない。
3 本市は、受注者等が労働者の適正な労働環境を確保し、及び公契約を適正に履行するために
   必要な措置を講じなければならない。

4 本市は、公契約に関し説明責任を果たすとともに、不正行為を未然に防止し、
   並びに適正な契約行為及び履行が行われていることを明らかにするために、
   公契約に関する情報の公表に努めなければならない
5 本市は、公契約の性質及び目的を踏まえた適正な契約方法を選択しなければならない
6 本市は、公契約の適正な履行及び良好な品質を確保するため、取引の実例価格、需給の状況等を考慮し、
   予定価格、納期その他の契約条件が適切なものとなるよう努めなければならない。
7 本市は、予算の適正かつ合理的な執行に留意するとともに、地域経済の健全な発展のため、
   公契約に係る業務等の重要性、緊急性及び効率性を考慮し、公契約の適正な発注に努めなければならない

〇要するに
・公契約条例の目的を達成するために必要な施策を講じなければならない。
そのために、
・「労働報酬下限額」の検討する。
・「受注者が適正な労働環境を確保する」ために必要な措置を講じる。
・「契約履行が適正に行われているかを明らかにするために」、公契約に関する情報を公表する。
・「適正な契約方法」を選択する。
・「公契約の適正な履行と良好な品質を確保するため」予定価格などの契約条件が適切なものとなるように努める。

「努める」で逃げているような気がしますが、
罰則がない以上「しなければならない」も「努めなければならない」も「努める」も同じです。

d.津市の権限

公契約条例は津市がこの責務を果たせるよう津市に次のような権限を与えています。
さらに、労働者に違反申告ができることを明記しています。

〇報告及び立入検査(7条)
「市長等は、この条例の規定又は誓約事項の遵守状況を確認するために必要があると認めるときは、
   受注者等に必要な報告を求め、
又はその職員に当該受注者等の事務所、事業所等に立ち入り、
   関係書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。」

〇是正措置(8条)
「市長等は、受注者等がこの条例の規定又は誓約事項に違反していると認めるときは、
   当該違反を速やかに是正するために必要な措置を講ずることを命じなければならない

2 受注者等は、前項の規定により違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じられたときは、
   速やかに是正の措置を講じ、市長等に当該措置の内容を報告しなければならない。」

〇労働者の申出等(9条)
特定公契約に係る労働者は
   受注者等がこの条例の規定又は誓約事項に違反している疑いがあると思料するときは、
   市長等にその旨を申し出ることができる

市長等は、前項の規定による申出(以下「違反申出」)の内容が、
   規則で定める関係法令に関する違反情報であるときは、必要に応じて関係機関へ通報する
ものとする。

特定公契約については次項で説明しますが、通常の公契約はほとんど入ります。
清掃業務や警備業務は当然入ります。

〇相談窓口の設置(10条)
「市長等は、違反申出に応じるため、相談窓口を設置するものとする。」

〇公契約の解除等(13条)
「市長等は、受注者等が次の各号のいずれかに該当するときは、
   当該公契約の解除、受注者等の指名停止等必要な措置を採ることができる
⑴ 第7条第1項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、
   又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、
   若しくは質問に対して応答せず、若しくは虚偽の回答をしたとき。
⑵ 第8条第1項の規定による命令に従わないとき。
⑶ 第8条第2項の規定による報告を怠り、又は虚偽の報告をしたとき。
⑷ 前3号に掲げるもののほか、この条例の規定に違反したとき
⑸ 誓約事項に違反したとき。
2 前項の規定により公契約を解除した場合において、受注者等に損害が生じても、
   本市はその損害を賠償する責任を負わない。

〇損害賠償(14条)
「 受注者等は、前条第1項の規定による公契約の解除によって本市に損害が生じたときは、
   その損害を賠償しなければならない。
   ただし、市長等がやむを得ない事由があると認めるときは、この限りでない。」

〇要するに
・公契約条例が守られていないと思える場合は、報告を求めたり立ち入り検査を行う。
・公契約条例が守られていないときは、是正措置を命じる。
・労働者は受注者が公契約条例を守っていないときは申告できる。その窓口を作る。
・労働者から「違法労働の申告」があったときは関係機関へ通報する。
・受注者が公契約条例に反した場合は契約を解除し、津市に損害が生じた場合は受注者が賠償する。

この「違法労働の申告があったときは関係機関へ通報する」も
「違法労働状態を積極的に調査することを逃げる」ための条項になっています。
つまり「違法労働状態を是正するのは関係機関。違法労働状態が解消されなくても責任は津市にない」。
津市にとって「受注者の労働関係法令違反」はアンタッチャブルなのです。


〇審議会の設置等(15条)
「公契約の適切な運用を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、
   審議会を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
⑴ この条例の施行状況に関する事項
⑵ この条例の目的を達成するための施策に関する事項
⑶ その他市長が必要と認める事項
3 審議会は、前項の規定による調査審議を行うほか、
   同項に規定する事項について、市長に意見を述べることができる。」

〇要するに
市長の諮問機関を置くということです。
いわゆる「第三者機関」ではありません。「市長の求めに応じて答申するだけの機関」です。
どのような審議が行われているかは次に紹介していきます。

e.受注者の責務

〇受注者等の責務(5条)
「 受注者等は、関係法令及びこの条例の規定を遵守しなければならない。
2 受注者等は、労働者の適正な労働環境の確保に努めなければならない。
3 受注者等は、労働者と対等な労使関係を構築するとともに、下請契約等を締結しようとするときは、
   下請契約等の相手方と対等な立場における合意に基づいた適正な契約を行わなければならない。
4 受注者等は、下請契約等の相手方を選定するとき、又は資材等を調達するときは、
   地域経済の発展に配慮し、本市の区域内に主たる事務所を有する事業者又は本市の区域内で生産された資材等を
   活用するよう努めなければならない。
5 受注者等は、公契約に携わる者として、社会的な責任を自覚し、公契約を適正に履行しなければならない。
6 受注者等は、第7条第1項の規定に基づき市長又は上下水道事業管理者(以下「市長等」)が行う
   報告の求め及び立入検査その他本市が実施する公契約に関する施策に協力
しなければならない。

〇要するに
・関係法令と公契約条例の順守
・適正な労働環境の確保
・労働者との対等な労使関係を作る
・公契約の適正な履行
・報告・立入検査に協力する。


ここで「順守するべき関係法令」として津市公契約条例施行規則でわざわざ次のものをあげています。

〇関係法令(施行規則8条)
「条例第9条第2項の規則で定める関係法令は、次に掲げる法令とする。
⑴ 健康保険法(大正11年法律第70号)
⑵ 労働基準法(昭和22年法律第49号)
⑶ 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)
⑷ 下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)
⑸ 最低賃金法(昭和34年法律第137号)
⑹ 中小企業退職金共済法(昭和34年法律第160号)
⑺ 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
⑻ 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)
⑼ 雇用保険法(昭和49年法律第116号)
⑽ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)
⑾ 労働契約法(平成19年法律第128号)
⑿ 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(平成28年法律第111号)
⒀ 前各号に掲げる法律に基づく命令」

〇このような労働関係法令を順守するのは当たり前のことです。
しかし、世間では『労基を守れば会社が潰れる』,『健康保険や厚生年金は正社員だけ』,
『有休のゆを口にしたらクビになる』,『最低賃金なんか関係なし月額〇万円でよければ雇うよ』。
津市はこんな状態を充分に知っているようです。

だから、わざわざ列挙したのでしょう。

〇不利益取扱いの禁止(11条)
「受注者等は、労働者が違反申出をしたことを理由として、当該労働者に対し不利益な取扱いをしてはならない。」

〇労働者への周知(12条)
「受注者等は、特定公契約に係る労働者に対し次に掲げる事項を業務等が実施される現場の見やすい場所に
   掲示し、又は書面を交付する方法により周知しなければならない

⑴ 当該特定公契約の名称
⑵ 受注者等の責務及び誓約事項
⑶ 違反申出に係る制度の概要及び第10条に規定する相談窓口の連絡先」

※この周知義務も特定公契約の場合です。

〇誓約(5条)
「受注者等は、自らが締結し、又は携わる公契約が規則で定める契約(以下「特定公契約」)に該当するときは、
市長等に対し、労働者の適正な労働環境の確保に関し規則で定める事項(以下「誓約事項」)について
誓約しなければならない。


※この誓約義務も特定公契約の場合です。

ここで「特定公契約」とは

〇特定公契約(施行規則3条)
「条例第6条の規則で定める契約は、次に掲げる契約とする。
⑴ 工事の請負契約
⑵ 次に掲げる業務の委託契約
ア 清掃業務
イ 人的警備業務
ウ 施設の管理業務
エ 設備の運転管理 業務 又は保守業務
オ 工事に付随する 設計等 業務
カ その 他 市長が指定する 業務」

まあ、ほとんどの業務委託がこの特定公契約に該るでしょう。

誓約する事項も定められています。

〇誓約事項(施行規則4条)
「条例第6条の規則で定める事項は、次に掲げる事項とする。
⑴第8条に 掲げる 関係法令 (次号において単に「関係法令」) を遵守すること。
⑵関係法令に違反し、関係機関 から是正勧告 等 があった場合 は 、直ちに 市長 へ報告すること。
⑶条例第7条 第1項の規定による 報告 の求め 及び立入検査 に対し、誠実に対応 すること 。
⑷労働者が 条例第9条第 1項の規定による 申出 (以下「違反申出」)をしたことを理由に、
当該労働者に対し、 解雇その他 の 不利益な取扱いをしないこと 。
⑸労働者 に対し、条例の内容について周知 する こと。
⑹労働者の賃金水準の引上 げに関する 措置が講じられる場合は、下請 契約等の 請負契約金額の見直し、
労働者の賃金の引上げ等について適切に対応すること。
⑺市長が行う施策に協力すること。」

結局、「公契約条例で受注者の責務を定めるだけでは心もとないから、誓約書をとっておこう」というもの。

しかし、「2021年度の受注契約でそんな誓約書なんか提出しなかったけど…。」
なんと、この誓約内容が契約書に特記事項として印刷してあり、「契約した者は誓約したとみなす」とのこと。
そう言えば仕様書にも同じような特記事項があり「入札した者は了解したものとみなす」とのこと。
受注者に「誓約したこと」をあまり知られたくないみたいです。

〇要するに
・労働者が違法労働をチクッても報復してはいけないよ。
・公契約条例で定める受注者の責務を労働者に知らせなさい。
・違法労働をチクる窓口を労働者に知らせなさい。

あとで出てきますが、津市の態度は
「誓約書を取ったから受注者は法令違反ができない。」
「労働者は違反申告ができるし、それによる不利益取扱は禁止している。」
だから、受注者の法令違反は積極的に調査する必要はない。

だれが違反申告なんかするものですか。
不利益取扱の禁止などなんの役にもたたない。
他にもっと若い者はいるし、もっとキツイ現場はどれだけでもある。
それどころか、違反申告をして雇用主が契約解除となったらその労働者自身も働く場所をなくしてしまう。
「誓約書?」。ハ、ハ、ハ、ハ。

もちろん、こんなことは津市は百も承知。
これらは「違法労働状態を積極的に調査することを逃げる」ための条項なのです。
受注者が労基を守りだしたら超安値落札がなくなり、
「最低落札価格なし」でも安売り競争をさせることができませんからネ。

2.審議会

a.審議会の構成

〇審議会の設置等(15条)
「公契約の適切な運用を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、
   審議会を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
⑴ この条例の施行状況に関する事項
⑵ この条例の目的を達成するための施策に関する事項
⑶ その他市長が必要と認める事項
3 審議会は、前項の規定による調査審議を行うほか、
   同項に規定する事項について、市長に意見を述べることができる。

※地方自治法138条の4
「普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、
   法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く。
②普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、
   法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、
   その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。
③普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として
   自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を
   置くことができる。ただし、政令で定める執行機関については、この限りでない。

〇組織(16条)
「審議会は、委員6人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
⑴ 事業者団体関係者
⑵ 労働者団体関係者
⑶ 識見を有する者

〇委員の任期(17条)
「委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。

〇会長及び副会長(18条)
「審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選により定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

〇会議等(19条)
「審議会の会議は、必要に応じて会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 審議会は、必要があると認めるときは、
   委員以外の者の出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
5 審議会の庶務は、総務部において処理する。
6 第15条から前項までに定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

〇要するに
・委員は6人以内。事業者団体関係者,労働団体関係者,その他の有識者の中から市長が選ぶ。
・市長の諮問(意見を求めること)に応じて、条例の施行状況,条例の達成するための施策,
   その他市長が必要と認める事項を審議する。
・結局は「市長が選び,市長の疑問に答える」だけの市長のお助け機関です。

   しかし、「検証機関,チェック機関」のように聞こえますから、
   津市が公契約条例を適正に実施しているように見えますね。

現在、審議会は一回2時間程度で年に二回開かれているようです。 → こちら

b.労働報酬下限額の試行

津市では公契約受注者が最低賃金より高い賃金を労働者に支払わせることを目指し
・その額をいくらにするか(労働報酬下限額設定)
・受注者がその額を支払ったことをチェックするためにどうしたらよいか
について、2018年(平成30年)より取り組んでいます。(公契約条例4条2項)

そのために「労働報酬下限額試行マニュアル」を作り、
2019年(平成31年/令和元年)より、発注する案件から3~5件を選んで試行しています。

試行マニュアルの内容は少しずつ改善されていますが、次のことは同じです。
・清掃,人的警備,施設管理,設備の運転・管理・保守,工事の設計業務,その他市長が指定する業務について
   予定価格1000万円以上の中から3件~5件を選ぶ。
・受注者は津市の定めた労働報酬下限額を労働者に支払う。
・受注者がその額を支払ったことを確かめるための書類(労働状況台帳)を提出する。
・受注者と労働者はアンケートに答える。

もちろん、受注者の法令順守,誓約や労働者への周知,違反申告をした労働者への不利益取扱の禁止や
発注者の立入検査権限,是正措置命令,契約解除権などは試行以外の通常の受注と同じです。
2019年度(平成31年度)試行マニュアル
2020年度(令和2年度)試行マニュアル
2021年度(令和3年度)試行マニュアル

審議会ではこの試行マニュアルについての報告や検討が中心になっています。
しかし、この審議の中で津市の公契約条例に対する本音が見え隠れします。
審議会議事録の中からそれを探っていきましょう。

〇要するに
市長は「津市は公契約で最低賃金より高い賃金下限額を設定して受注者に支払わせている」ということで
ポイントを稼ぎたいようです。
しかし、いくら高い下限額を設定しても、それが支払われたかどうかのチェック無し。
さらに、受注者の労働法令違反にはアンタッチャブル。
笑ってしまいますね。


この点は次頁で詳しく。

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