RMX-SJ13 整備資料



 2016.02.29  6500円エンジン⑤復活





少し時間ができましたので、6500円のN型エンジン⑤を組んでみました。
部品代1.2万円で程度のよいエンジンになりました。その組立状況です。


部品代は1.2万円
ウォーターポンプのオイルシールは交換必須
シフトカムベアリングの交換
クランクシャフト左のオイルシールはN型用とR・S型用がある
手こずったクランクシャフトの引き込み/クランクシャフト引き込みについて再考
クランクシャフト右カラーに削れあり
スラストニードルベアリングの汎用品
クランクケースのベアリングは引っかかりがなくても念のために交換
クラッチアウター(プライマリードリブンギヤ)のガタ
ジャダースプリングは使わず
アクチュエーター破損
サーモスタットの取り付け方向
スタッドボルト締め込み(埋め込み)不足で冷却水漏れ
ヘッドナットの締めつけトルクはSJとPJで違う
スタッドボルトの埋め込みトルク(自己流)
試乗と馴らし運転時間
馴らし運転後の状況


    
1.ウォーターポンプのオイルシールは交換必須


a.部品代は1.2万円程度


  使用する純正部品はこれだけ。

・クランク左右ベアリング(モノタロウ)を含め、12424円。
・オイルシール,Oリング,ガスケットなどの消耗部品もエンジン一台分となると結構かかります。
  今回は、ピストン,ピストンリング,ヘッドガスケットに手持ち部品を使いましたので
  費用は1.8万円ほどに抑えられています。
  ※Yahooオークションで入手した
  160円新品ピストン,2枚で1000円の新品ヘッドカスケット,
  いくらで落札したか忘れてしまった未使用ピストンセットに付いていたピストンリング。

・結局、新品の純正部品でSJ13のエンジンを復活させようとすると、
  3万円くらいかかることになります。
・中古実働エンジンの相場が3万円前後だから、
  元気なエンジンを入手するためには6万円くらい必要ということですネ。

・今回はエンジン+部品代=6500+12424=18924円。
  2万円で元気なエンジンにしました。

なお、シリンダーはこのエンジン⑤のものを使い、排気バルブはエンジン③のシリンダーのものを移植します。

   
b.ウォーターポンプのオイルシールは交換必須


  ウォーターポンプ周りに必要部品は、
・オイルシール:09283-10005  183円
・インペラボルトガスケット:09168-06025  86円
・サークリップ:08331-31089(08331-31086)  54円

・インペラの内側についている樹脂リングはメカニカルシールとセット販売です。
  ※メカニカルシール:17470-46A00・1620円

・この樹脂リングは回りのゴムシールがボロボロになっていても液状ガスケットを塗れば使えます。
  液状ガスケットには耐水・耐LLCのスリーボンド1207Bがよいでしょう。→→→こちら ・ こちら
  1207BはPJ12でシリンダースタッドボルト取り付けのシール剤として指定されています。

・ただ、今回は手持ちのスリーボンド1215を使いました。→→→こちら ・ こちら
  1215はSJ13でメカニカルシールの取り付けシール剤として指定されています。

※ウォーターポンプの各部品の働きについては→→→こちら


・ギヤシャフトのガタは結構あります。
・ギヤシャフトは 17510-22D00・5832円で相当高価な部品です。

・この程度のガタなら充分使えます。

・オイルシールが当たる部分が擦れて溝になっています。
  この部分はていねいに磨いておきましょう。


オイルシールの表面が溶けていました。

このオイルシールがダメになると、冷却水排出孔からギヤオイルが漏れてきます。

交換に時間はかかりませんので、クランクケースOHのときは必ず交換しておきましょう。

   
2.シフトカムベアリングもついでに交換


・シフトカムベアリングの回転に引っかかりがありました。
  オイルをさしたら改善されましたが、手持ちのベアリングがあるのでついでに交換。
  ※NTN 6905Z  502円(税別)

 シールド面は内側です。→→→こちら

 抜くのは27Mソケットをベアリング外輪に当てて内側から叩く。
 はめるのは32Mソケットをベアリング外輪に当てて外側から叩く。

 外側にあるベアリング止めのネジにはネジロック使用。


   
3.クランクシャフト左オイルシールのN型とR・S型


N型とR・S型ではクランクシャフトの左ベアンリングは同じですが右ベアリングが違います。
N型の右ベアンリングは左ベアリングより小さく、R・S型の右ベアリングは左ベアリングと同じです。

だから、クランクシャフト左オイルシールはN型でもR.S型でも同じはずです。
しかし、パーツリストには各々違う部品番号で記載されています。
その違いを比較するために二つ入手しました。

・写真左 : N型の左オイルシール /  09283-25084 ・ 939円
・写真右 : R・S型の左オイルシール / 09283-25083 ・ 442円
・パーツリスト記載のサイズは「25×37×6」でまったく同じ。

・なぜ、25083(R・S型用)を25084(N型用)の代替部品にしないのでしょう?
・多分、N型/25084の在庫があるからでしょう。

・今回はスズキの在庫処理に協力してN型用を使いましたが、
  これからは、半額のR・S型用を使いましょう。

    ★★12      


BODY MAKER TOP
・ホームジムならこのセットで充分。108000円の同型セットはプレートがラバーコーティングされているだけ。
・一般に必要なプレート : 15㎏×2,7.5㎏×2(なくても可),10㎏×2,5㎏×4,2.5㎏×8,1.25㎏×8。
・シャフト : 160㎝~180㎝のバーベルシャフト×1(オリンピックシャフトは不要)、36㎝~40㎝のダンベルシャフト×4。
・このセットのプレートは15㎏×2,10㎏×2,5㎏×2,2.5㎏×4,1.25㎏×4。
・追加するのは → 20㎏ダンペルセット(2.5㎏×4,1.25㎏×4) → こちら
・金銭的に余裕があれば、プレートラックも → こちら
・5㎜厚の軽トラック用のゴムマットも必要。できれば両面フラットなものを。→ こちらこちら(7㎜)
・当方は BODY NAKER の別モデルを30年使っています。スポーツジムの頑丈なマシーンとは比較にはなりませんが、壊れずに使えています。
・重量を増やすよりも稼働域を増やして筋肉に効かせる。最後からの「プラス二回」でやっと筋肉破壊。
・トレーニングの後は牛乳(プロテイン),糖分(タンパク質の吸収を高める),ビタミンC(抗活性酸素)とD(カルシウム吸収)とB6(タンパク質を効果的に筋肉に変える)。
・プロテインは筋肉破壊後の超回復で、必要なタンパクを補給するためのもの。筋肉破壊を起こさずにプロテインだけを飲んでも脂肪に変わるだけ。
本格的には日本拳法の防具 → 面(8㎜)胴下股当グローブシューズサポーター日本拳法入門, 明倫産業株式会社,究極は自衛隊の徒手格闘技



4.いつになく苦労したクランクケースの接合/クランクシャフト引き込みについて再考


・クランクシャフトの引き込み過ぎは禁物。ベアリング内輪と外輪がずれてクランクが動かなくなる。
・クランクの引き込みは「軽く行き止まりを感じるところ」まで。あとはクランクケース接合のときに自然に適正位置になる。
・クランクを引き込みすぎて、クランクの動きが渋くなったときはクランクシャフトを軽く叩いて引き込み過ぎを修正する。

いつもはこれで問題なく終了します。

しかし、今回はチョット手こずりました。

①.左クランクの引き込みは控えめに。これはOK。
②.右クランクの引き込みが異常に固い。
   プラスチックハンマーであちらこちらを叩きながら引き込むと、クランクが全く回らない。
③.右クランクシャフトを内側へ叩いてもダメ。
④.セパレーターで右クランクケースを少し外すとクランクはスムーズに回る。
⑤.左右ケース間に2㎜弱の隙間を残して、13本の左クランクケースボルトを締めて接合。
⑥.しかし、完全接合するとまたクランクが動かない。
⑦.クランクシャフトを左から叩いてもダメ。
⑧.接合ボルトを外し左右ケース間に隙間を作ってやり直し。
   一カ所を軽く締めて、クランクの動きを確認、もう一カ所を軽く締めてクランクの動きを確認。
   そして、一カ所をもう少し締めて、クランクの動きを確認。
   クランクの動きが渋くなったら、いま締めたボルトを緩めて他のボルトを締める。

   何とか「クランクの動きが渋くない程度」にしましたが、やはり「少し渋い」。

いつもは「もっと軽くスムーズに」回ります。

「まあエンジを回してやれば適正位置になって、軽くなるでしょう。」とB型性格。

※2019.10.追記・解説

これは、「右ベアリングとクランクシャフトのはめ合いがきつくなっている」のが原因。
だから、②で「引き込みが固い」のです。

今、クランクケース間に2㎜の隙間を作った場合の状態を簡単に「左クランクと左ベアリングの隙間=1㎜、右クランクと右ベアリングの隙間=1㎜」と考えましょう。
(正確には、a=左クランク段差と左ベアリング内輪の隙間、b=右クランク段差と右ベアリング内輪の隙間 として、「a+b=2㎜」で「a=b=1㎜」ではない。)

クランクケースの接合でこの2㎜が縮められます。
左側はベアリングとクランクシャフトのはめ合いは適正なので、クランクケース接合によりシャフトが1㎜左側へ動き、ベアリングとクランクの隙間はゼロとなり両者は適正位置となります。
しかし、右側はベアリングとクランクシャフトのはめ合いがきついので、クランクケース接合によりシャフトが動かず、ベアリングとクランクの隙間は1㎜のままです。

この状態でクランクケースを接合すると、左右のクランクケースガ各々のベアリング外輪を内側へ1㎜分だけ押し込みます。
その結果、イ.左クランクが左ベアリング内輪を外側へ押し動かし、ロ.右クランクシャフトが右ベアリング内輪を外側へ押し動かします。
どちらも「クランクの動きが重くなる」状態です。

③で「右クランクシャフトを右から叩いても解消しない」のは、それによってロが解消された分だけイの程度が重くなるからです。
④で「右クランクケースを少し外すと解消する」のは、それによってロとイが解消するからです。
⑤・⑥で再度接合しても解消されないのは、イ・ロが再現されるからです。
⑦で「左クランクシャフトを左から叩いても解消しない」のは、それによってイが解消された分だけロの程度が重くなるからです。

結局、ロの1㎜を解消しない限り「クランクケース接合によりクランクの動きが重くなる」ことは解消されません。
この場合なら、クランクケースを接合しておいて右を強く引き込むことしかないでしょう。

クランクケースは左右クランクとベアリングの隙間がゼロになったときにぴったり接合するように設計されています。
「クランクケースを接合したらクランクの動きが重くなった」ときは「ベアリングのはめ合いがきつくクランクとベアリングに隙間が残っているから」です。
つまりは「どちらかが引き込み不足になっている」からです。

対処方法は、「どちらのベアリングのはめ合いがきついのか分からない」ので、
クランクケースを接合しておいて(クランクの動きが重い状態で)、片方を少し引き込んでみる。
これでクランクの動きが軽くなったら、もう少し引き込む。
逆にクランクの動きがさらに重くなったら、逆の方を少し引き込んでみる。

このようにして、試しながらやるしかないでしょう。
⑧ではクランクケースを接合することによって右側の引き込み不足(右シャフトが動かないこと)が解消されたのでしょう。
しかし、⑧ではなく右クランクシャフトをさらに引き込むことでも解消されたはずです。

以上の点については→→→こちら も参照

    
5.クランクシャフト右カラーに削れ溝


 正式名称はプライマリードライブギヤスペーサ。→→→くわしくはこちら

 右側が今回のエンジンのもの。
 オイルシールが当たる部分が削られて溝になっています。

 削れ溝のない手持ちの中古部品と交換しました。

 内部のOリングは当然新品に交換です。

   ●●     
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6.スラストニードルベアリングに汎用品を使う


 排気バルブガバナとクラッチレリーズラックに使われているベアリングです。

 ずいぶんガタがあります。
 滑りも悪そうです。

 ベアリング、10X22X2.8   09263-10002   442円

 スズキはベアリングが高いので、
 モノタロウで同様の汎用品を入手しました。


使ったのは NTNのAXK1100 (190円)スラストワッシャAS1100  (48円)→→→NTN AXK1100 ・ NTN AS1100

純正は片面がスチール板で片面に12個のニードルベアリング。
汎用のAXK1100は両面に14個のニードルベアリング。

サイズは純正が10×22×2.8、
汎用は10×24×2 で汎用は内径が同じだが外径が2㎜大きく厚さが0.8㎜薄い。

使用場所を考えると、この程度の違いは問題がありません。

問題は、純正が片面ベアリングで汎用が両面ベアリングであること。
純正部品が片面ベアリングを使っていることには何か理由があるはずです。

そこで、ニードルベアリング用のスラストワッシャを使うことにしました。
両面ニードルベアリングの片面にスラストワッシャを噛ませれば、片面ニードルベアリングと同じになります。

スラストワッシャの厚さが1.0㎜だから、ニードルベアリングとの合計厚さが3.0㎜となり、純正の2.8㎜とほぼ同じになります。



 汎用ベアリングを使えば257円(税込み)
 純正ベアリングを使えば442円(税込み)

 排気バルブガバナとクラッチレリーズラックと二個必要だから 370円の節約。

 それほど違いはありません。
 純正部品を使いましょう。


    
7.ベアリングは念のために交換した方がよい



 右クランクケースを接合し、組立は山場を超えました。
 あとはクラッチを取り付けてクラッチカバーを被せて終わり。

 しかし、クラッチアウター(プライマリードリブンギヤ)にガタがある。
 カウンターシャフトがガタついている。

 カウンターシャフト右ベアリングのガタが原因なのです。
 このベアリングは事前に「引っかかりなし、ガタなし、交換不要」と判断したもの。
 やはり、指先だけの判断は当てにならないようです。

 再び右クランクケースを外し、ベアリング交換。
 カウンターシャフトのガタつきはまったくなくなりました。

 「交換不要」と判断していたドライブシャフト右ベアリングもついでに交換。

 「交換不要」と判断していたカウンターシャフト右のベアリングは
 トランスミッションをばらすのが面倒なので交換せず。


クランクケース内オーバーホールのときに、クランクベアリング左右(①・②)の交換は当然。

しかし、その他のベアリングは指で回して引っかかりがなく、ガタつきがなければ「交換不要」と判断するでしょう。

この中で、⑦(シフトカム左ベアリング・ニードルベアリング/30×37×12/09263-30035  1134円)と⑧(シフトカム右ベアリング/NTN6905Z  502円) は
それほど力のかかるベアリングではないので痛んでなければ交換する必要はありません。

また、③(ドライブシャフト左ベアリング)は規格外(22×56×15/NTN-SCD4A73C3)なので、汎用品が使えず費用がかかります(09262-22023  3024円)。
このベアリングも交換するに越したことはありませんが、引っかかりやガタがなければ交換不要とするのが人情です。

これらに対し、④(ドライブ右),⑤(カウンター左),⑥(カウンター右),は規格ベアリングなので汎用品が使え、この三個を交換しても850円。
※④・⑤:NTN6203  255円,⑥:NTN6205  338円,

引っかかりやガタがなくても「ついでに交換」しておくべきでしょう。
   ★★13     


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8.クラッチハウジングのガタ


 写真右が今回のエンジン⑤のプライマリードリブンギヤ(クラッチアウター)、
 写真左が手持ちの中古品です。

 右のサビが多かったので、きれいな左をつけてみました。
 しかし、ガタがある。

 カウンターシャフトの右ベアリング交換でカウンターシャフト自体にガタはありません。

 カウンターシャフトとドリブンギヤの間には、スペーサとニードルベアリングが入ります。
 この二つは新しくしていませんが、それを差し引いてもガタが少し大きい。

 そこで右のドリブンギヤをつけてみると、ガタが少し少なくなりました。



※2019.10.追記・解説

プライマリードリブンギヤを取り付けるカウンターシャフトにはその取り付け部分の先に斜めの段差があり、
プライマリードリブンギヤとその先のワッシャ・スリーブハブとは密着せず隙間ができます。
だから取り付けたプライマリードリブンギヤが少々ガタつくことは問題ありません。→→→こちら

    
クラッチデスクはレース仕様に

「レース仕様」というと格好がよいけれど、
ジャダースプリングはあってもジャダースプリング用のドライブプレートが手持ちになかっただけです。

 SJ13は公道仕様なのでクラッチにジャダースプリングがついています。
 このスプリングによって、クラッチのON・OFFを鈍感にしています。
 つまり、クラッチが切れにくくつながりにくくしているのです。
 その方が日常使用では使いやすいからです。→→→こちら

 そのためクラッチデスクの構成は、
 ①ジャダースプリングシート
 ②ジャダースプリング
 ③ジャダースプリング対応の巾の狭いドライブプレート(21441-16710・1674円)
 ④通常巾のドライブプレート(21441-07A02)×7枚
 ⑤ドリブンプレート×7枚

 これに対し、PJ12ではジャダースプリングなしで、構成は
 ①通常巾のドライブプレート(21441-07A02)×8枚
 ②ドリブンプレート×7枚

 今回は手持ちにPJのプレートしかありませんでしたので、
 ジャダースプリングとシートを外して、ドライブプレート×8枚で組みました。

クラッチスプリング長:48.2~48.5㎜ (使用限度 46.2㎜)
ドライブデスク厚:2.7~2.8㎜ (使用限度 2.5㎜)/※クラッチプレートはエンジン①より。


    
9.アクチュエーター破損/ショックドライバーは一撃で


 排気バルブロッドのコネクターは損傷がなくても交換しておきましょう。硬化して外れる場合があります。

 「ついでだから、アクアチューターもはずしてチェックしよう」

 余計なことはするものではありません。
取り付けビス(M5皿×10㎜)の頭を舐めてしまいました。

 このビスはネジロック使用指定でないので、
 そんなに固くないだろうとショックドライバーで軽く「ゴン」。

 一つは外れたものの、もう一つが外れない。
 「ゴン」・「ゴン」を続けるうちに、柔らかいスチール頭の溝がなくなってしまう。

 タガネ,ポンチ…、一時間くらい努力しましたがお手上げ。
 ついに、取り付け部を割ることにしました。

 中古部品のストックがあったのでよかったけれど…。

 対策としてはピスを固いステンレスにすること。
 そして、ショックドライバーは最初の一撃でKOすること。


    
10.サーモスタットの取り付け方向



 サーモスタットも点検しておきましょう。

 全開時のリフト量は 6.0+α㎜ (5.5㎜以上でOK)

 サーモスタットの点検については→→→こちら


 ちょっと気になったのが「サーモスタットの取り付け方向」。

 サーモスタットには両側にスプリングと弁を支えている板があります。
 これをどちらに向けて取り付ければいいのでしょう。

 いままで、まったく気にしていませんでした。


 答えはすぐに出ました。

 サーモスタット取り付け孔にはシリンダーヘッドからの冷却水出口があります。

 サーモスタット下部はシリンダーヘッドの冷却水に浸かっています。

 シリンダーヘッド冷却水の温度が高くなると、
 サーモスタットの弁が押し下げられサーモスタットの上部が開きます。

 シリンダーヘッドの熱い冷却水はここを通ってラジェターに流れていきます。

 サーモスタットを取り付けるときはこの流れを邪魔しないようにしなければなりません。

 シリンダーヘッドの冷却水出口を、
 サーモスタットの両側にある板で塞いではいけないのです。

 つまり、サーモスタットのバネが見える側を
 シリンダーヘッドの冷却水出口に向けて取り付ければいいのです。


 そのように取り付けると、こうなります。

 サーモスタットの把手の方向と、
 サーモスタットハウジングの出っ張りマークが一致しています。

 この出っ張りマークは「単なる補強のためのリブ」ではなかったのですネ。



11.始動前は緊張します


さてさて、組み上がりました。

オイルポンプも装着,インテークマニホールドは「1700㎞走行から外した」という手持ちの中古部品。

試合前の選手のように身を引き締めています。

このエンジンは正選手のRMX②に載せてテストすることにしました。

RMX②のR・S型エンジンは腰上点検をします。


 手前がRMX②から降ろしたR・S型エンジン、
 奥がRMX②に搭載する今回のN型エンジン⑤です。

 エンジン換装する場合、
 クラッチケーブルは古いエンジンからクラッチレリーズアームごと外して、新しいエンジンに付ける。

 オイルポンプはワイヤーとオイルパイプを付けたまま
 古いエンジンから外して新しいエンジンに付ける。

 排気バルブ右カバーも古いエンジンから外して、そのまま新しいエンジンに付ける。

 このようにすると、ワイヤリング・パイピングをやり直さなくてもすみます。

 「換装するエンジンにクラッチレリーズアーム,オイルポンプ,排気バルブ左カバーは不要」
 ということに気がつきました。

※オイルポンプに関しては、「ポンプ側にいている三本のパイプを外して、このパイプを新しいエンジンのポンプに付けた方が簡単」なように思えますが、
  「かしめてあるケーブルの取り外し取り付けと、太いオイルパイプ(タンクからのパイプ)の取付に手こずる」ので、
  「ケーブルとパイプのついたままポンプを取り外して新しいエンジンに付けた方が楽」です


エンジンがN型になったので、RMX③からN型キャブレターを拝借。

RMX③にはR・S型のキャブレターを。

このキャブレターは少し調子が悪かったから…。

RMX③『オイッ!


12.最後の試練
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a.悪夢再び? スタッドボルトナットから冷却水漏れ


前日に冷却水とギヤオイルを入れて始動チェックスタンバイ。

「あれっ?冷却水が漏れている!」

 7時位置(正面が12時位置)のヘッドナットから緑色の冷却水がにじみ出ています。

 嫌な予感。
 スタッドボルト穴リコイル後の冷却水漏れの悪夢が再び?

 ナット締め付けすぎでネジ山断裂?

 そう言えば他のスタッドボルトよりネジ山が1~2山多く出ています。


 ヘッドを取り外すと、やはりスタッドボルトの埋め込みが不足しています。

 長いスタッドボルトの右隣にあるのが問題の7時位置のボルト。
 ここから冷却水が漏れてくるのです。
 他のボルトと比べると首の部分が出っ張っています。

 これがボルト穴のネジ山断裂で抜けてきているのなら大問題。
 単にスタッドボルト締め込み(埋め込み)不足なら問題なし。

 このボルトを外すのには少々勇気がいります。
 胃の調子が悪いときに胃カメラを飲む心境です。

 しかし、ヘッドナット取り外しトルクは
 3時・5時位置が2.5㎏・㎝,1時・7時・11時位置が2.0㎏・㎝,9時位置が1.8㎏・㎝。
 7時位置を強く締めた訳ではない。

 思い切って外しましょう。


 結果は「ネジ山断裂なし」!
 単にスタッドボルトの埋め込み不足。

 このボルト下部には20㎜しかネジが切ってありません。
 ボルトは20㎜入ったところで止まってネジがなくなった部分でボルト穴にフタをします。

 ボルトを充分に締め込まないと、フタが不完全になります。
 フタが不完全なら、そこから冷却水が漏れてきます。

 それなら、もう少し締め込めば問題解決。
 念のためにシール剤も塗ることにしました。

 「1.ウォーターポンプのオイルシールは交換必須」て触れたように、
 SJ13マニュアルではスタッドボルトにシール剤塗布は指定されていませんが、
 PJ12マニュアルではシール剤塗布が指定されています。
 指定シール剤:スリーボンド1207B

 ただし、使ったのは手持ちの汎用シール剤スリーボンド1215。


 シール剤は、塗布したあとすぐに取り付けて乾燥するのを待ちます。
 充分に乾燥するのに三日間。
 冷却水を入れるのはそれから。

 スタッドボルトの埋め込みは「とにかく控えめに」。
 もう少し埋め込みできそうですが、シール剤が塗ってある分を差し引けばこれくらい。

 埋め込み不足で液漏れしたらまた締め込めばよいのです。

 ヘッドナット取り付け部分にもシール剤を塗りました。

 比較のために、
 シール剤を塗布したのは7時位置ボルトだけ。
 他のスタッドボルトはシール剤不使用。増締めもしていません。


    
b.ヘッドナット締め付け指定トルク


SJ13マニュアルではヘッドナットの取り付けトルクが「2.5~3.0㎏・m」

PJ12マニュアルでは「1.5㎏・mで仮締めしたあと、2.3~2.7㎏・mで本締め」

シリンダ取り付けナットについてはSJ13とPJ12は同じ3.6~4.0㎏・m

ヘッドナット取り付けトルクがPJ12ではSJ13より小さくなっているのは、
PJ12ではスタッドボルトにシール剤を塗布するので、スタッドボルトを控えめに埋め込んでも冷却水漏れがないからでしょう。

 ヘッドナット締め付けはPJ12のトルク指定に従って、
 1.5㎏・mで仮締め後2.5㎏・mで本締め。

 いつも使っているトルクレンチは「2.0㎏・m~13.0㎏・m」。
 これではついつい締め込み過ぎて 2.5㎏・mを超えてしまう。

 そこで「0.5㎏・m~2.3㎏・m」のトルクレンチを使いました。

 トルクレンチは測定最小値や最大値に近くなると誤差が大きくなります。
 しかし、最小値に近い所で誤差があるより、
 最大値に近い所で誤差があった方が締め過ぎを防げるのではないでしょうか?

 トルクレンチのソケット取り付け部も小さいので、
 6個のナットを全てトルクレンチで締める事ができました。


    
c.スタッドボルトの「埋め込みトルク」


イ.皆さん困っているようです


サービスマニュアルに書いてありませんからネ。

手持ちのCR,KX,NSR,FJ,のサービスマニュアルにも記載なし。

ネットで検索してみると、質問・質問、また質問。
それに対する適切な回答は見当たりません。

「ボルト径で算出したトルクで締め付ける」という乱暴な回答も。

回答らしい回答は「作業者の経験による。だいたい、ヘッドナット締め付けトルクの50~60%」→→→こちら

唯一の数字は「モンキーのスタッドボルト取り付けトルクは 0.5㎏・m」→→→こちら

これは回答ではありませんが、案外多いのが「ネジロック使用」


ロ.そもそもスタッドボルトをシリンダーに強く固定する必要があるのか?


スタッドボルトはシリンダーに立てられた“くい”であり、それ自体は二つのものを接合する役割を持っていません。

くいがぐらついていては役に立ちませんが、「これでもか、これでもか」と強く埋め込んでも意味がありません。

さらに、スタッドボルトにはシリンダーヘッドがはめられ、上からヘッドナットで締め付けられます。

このときにスタッドボルトは上へ引っ張られるので、スタッドボルト自体を締めこんだのとと同じになるのではないでしょうか?

加齢による脳細胞の減少で
「スタッドボルト自体を締め込んだ(埋め込んだ)ときに、スタッドボルト穴のネジ山にかかる力の方向」と
「ヘッドナットを締め込んだときに,スタッドボルト穴のネジ山にかかる力の方向」が理解できません。

しかし、この二つの方向は逆方向ではなく同じ方向になるような気がしてなりません。
※スタッドボルトを締める→ネジ部の上の部分(首)がボルト穴上面に当たる→さらに締め込むとボルトが伸ばされる→ボルトが縮もうとする→ボルト穴ネジ部が圧着。
  ヘッドナットを締める→ヘッドが縮む→ヘッドが元に戻ろうとする→スタッドボルトが伸ばされる→スタッドボルトが上に引っ張られる→ボルト穴のネジ部が圧着。
  どちらもボルトが伸ばされています。

もし、これが同じ方向に働くのなら、
スタッドボルトを埋め込むときは「ヘッドナット締め付けによってボルト穴ネジ部にさらに力がかかること」を考慮して控えめにしなければなりません。


ハ.感覚的には「グッ」


いくら控えめに埋め込むと言っても、今回のように埋め込みが不足すると冷却水が漏れてきます。

だから、ある程度の強さで埋め込まなければなりません。

私の答えは、「クッ」,「グッ」,「グィ」,「グィ~」,「グイグイ」,「これでもか」の中の「グッ」くらいでしょう。

スタッドボルトの首が当たって埋め込みが止まった所から、少し締めて「クッ」、もう少し締めて「グッ」。

軽く埋めたことによる冷却水漏れはシール剤塗布で防止すればよいでしょう。

ヘッドナットをメガネレンチを使って2.5~3.0㎏・mで締めると「グィ~ッ」
「グッ」なら1.5㎏・mくらいでしょう。

ネジロックは取り外しがやりにくくなるので、使用する気になれません。


結論は、
「スタッドボルトは耐水・耐LLC・耐熱シール剤 1207Bを塗布して、1.5㎏・mで締める」。

根拠はありません。これが私の経験値です。
自己責任でお願いします。

    
14.冷却水漏れはなくなりました。


 シール剤が硬化する三日が過ぎました。

 冷却水を入れてエンジン始動。

 エンジン始動は冷却水漏れのときにやっているので問題なし。

 冷却水は漏れてきません。

 冷却水漏れの原因はやはりスタッドボルトの埋め込み不足。

 やはりスタッドボルト取付のポイントは「シール剤塗布+グッ」


 混合油はオイルがキャブレターとシリンダーに供給されるまでだから、
 薄めの30:1を 3リットル。

 ピストンリング、ベアリングを新品に交換していますから馴らし運転が必要です。

 馴らし運転はCRの場合
 ・スロットル開度1/2以下でスロットル開閉操作を行い、約20分(約8㎞)走行。
 ・スロットル開度3/4以下でスロットル開閉操作を行い、約40分(約17㎞)走行。

 PJ12の場合
 ・スロットル開度1/2以下で開度を変えながら約20分(約15㎞)走行。
 ・スロットル開度3/4以下で開度を変えながら約20分(約15㎞)走行。
 ・ピストン,ピストンリング,シリンダ,クランクシャフト,クランクシャフトベアリングを
   交換したときは馴らし運転が必要。

 画像にエンジン音が貼りつけてありますが、
 馴らし運転前でキャブレターセッティングなしの状態です。
 音はジェネレーター側から録っています。

  ★★14      


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2016.03.01 追記



1/2開度で40分(30㎞弱)、2/3開度で40分(30㎞弱)の馴らし運転を終わりました。

どこにも問題はありません。

クラッチが「スパッ」とつながり、「スッ」と切れるのには驚き。
これがジャダースプリングなしのダイレクトタッチ。

まさに素足感覚。

ただし、信号スタートのエンストには要注意。
慎重に半クラッチ、または回転を上げてフロントアップ。
やはり、公道ではジャダースプリングあった方が楽です。

エンジンフィーリングは「カドのあるシャープなN型」のそれ。
私はマイルドなR・S型よりこちらの方が好きです。

アイドリングはすぐに安定。
これはキャブレターを交換したため。

パワーはRMX②/エンジン②より出ています。


馴らし運転のあと軽く100㎞ほど走り、全開を何度か経験させました。

MJ / 195、PJ / 30.0、JN / 6BGK-1,1段目、AS / 1.75回転
※標準 : MJ / 195、PJ / 35.0、AS / 1.5回転

ガソリンはほぼ生の分離給油。

中回転域で少しもたつきます。
RMX②でやったように、PJをもう一つ下げてみなければなりませんネ。

元気なエンジン音は後ほど。


2016.03.05 追記


いま話題の志摩まで走ろうと思いましたが、「もう少しテスト走行をして」と考えて、いつもの163・165号に持ち込みました。

暖かい早春の青山高原です。


キャブレター設定は同じです。

すぐに高回転域に入れるのでそれほど支障はありませんが、中回転域がどうも湿っぽくて重苦しい。

やはりPJ下げでしょう。



画像にエンジン音(停車時)が貼りつけてあります。

中回転域の重苦しさが聞き取れるでしょうか?

ついでに、上の風車画像に排気音(停車時)が貼りつけてあります。

サイレンサー排気孔の下で録ったのですが、エンジン音に邪魔されてしまいました。

あの、加速しているときの図太い「ビィ~」を聞いてもらいたいのですが…。


2016.03.07  PJ/27.5  で試乗


キャブレター設定は
MJ / 195、PJ / 27.5、JN / 6BGK-1,1段目、AS / 1.5回転
※前回より「PJを一段下げ、ASを1/4回転閉じ」
※標準 : MJ / 195、PJ / 35.0、AS / 1.5回転


・中回転域の重苦しさが高回転域始めに分散されたようになる。
・中回転からアクセルを急に開けると、高回転域がすぐに反応せず段つきを感じる。
・要するに、まだ中回転域が濃い。

AS / 2.0回転にすると、
・アクセル開度に高回転域が反応して段つきは改善されるが、中回転域がアクセル開度に反応しなくなる。
・要するに中回転域が薄い。

AS / 1.75 にすると、
・AS / 1.5のときとAS / 2.0のときの中間となる。
・アクセル開度に高回転域がすぐに反応しないが、エンジン回転数の上昇に合わせてアクセルを開けてやれば問題なし。
・アクセルをグイッと開けたとたんにすぐにエンジン回転数がMAXになり爆発的な力、これはレーサーでない限り無理。
・アスファルトの上では「ドッカン」は要らないので、エンジン回転が少し鈍くても問題なし。

しばらく、これで乗ってみることにしました。

PJ / 30.0、AS / 2.0回転も試してみる価値あり。


つづく




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