- 広告収入と確定申告,青色申告に必要なもの,仕訳日記帳の入力方法
- 実際の記帳
- 事前の届出,やよい青色申告インストールの注意点,個人事業主と複数事業
5. 事前の届出が必要
a. 所得税の青色申告承認申請
青色申告をする場合は予め「本年度分の申告(次年度する申告)は青色申告でやります」という届をしなければなりません。
この事前の届出をしないで青色申告書を持っていても受け付けてくれません。
2020年分の所得の申告(2021年1月15日~受付)を青色申告にするのなら、
2020年3月15日までにこの届書を税務署に提出しなければなりません。
現在2020年8月ですので、今から届出を出しても本年分は青色申告ができません。
承認申請といっても、1枚で普通の市民なら問題なく通るでしょう。 → こちら
b.電磁的記録等による保存等の承認申請
税法改正で2020年分の申告から青色申告で65万円の控除を受けるためには、
「e_tax」か「電子帳簿保存」をしなければならなくなりました。
「e_tax」を利用しない場合は「紙帳簿やスキャン帳簿」では55万円の控除しか受けられません。
※電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
※電子帳簿保存法関係法令
●「電子帳簿保存」の場合、その電子帳簿を作るソフトが指定されています。
やよい青色申告では「やよい青色申告20」以降バージョン。
私が使っているのは「やよい青色申告16」ですから、
「電子帳簿保存」をするためには買い換えなければなりません。
●さらに、「電子帳簿で作成する」ことを事前に届けなければなりません。こちら
届出期日は「承認を受けようとする国税関係帳簿の備付けを開始する日の3月前の日まで。」
単純に解釈すれば、
「会計年度が始まる日の三カ月前」となります。
個人事業主の場合通常「1月1日」が会計年度の始まりですから、前年の9月末までとなります。
具体的に言えば、「2021年1月1日~20201年12月31日」分の申告を
「電子帳簿保存」にして65万円の控除を受けるためには、
2020年9月30日までに届出が必要ということになります。
※年度途中で事業を開始した場合は特別の定めあり ( 電子帳簿法6条1項但書 )
※ただし、2020年分の申告については特例取扱があり2020年9月30日までの申請が認められます。(税務署パンフ)
注意しておいてほしいのは「2021年分の申告を青色申告で行う」のには
「2021年3月15日」までに青色申告承認申請をすればよいが、
そのとき、65万円の控除を受けるには
「2020年9月30日」までに電磁的記録等による保存等の承認申請をしなければならないということ。
●1.「保存する帳簿の種類」
・総勘定元帳 ( 必須 )
・仕訳帳 ( 必須 )
・現金出納帳
・預金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・経費帳
以上はやよいの青色申告で自動作成されるので、全部書いておいても作業が増えるわけではありません。
個人の場合「根拠税法」は所得税法です。
●2.プログラム概要
電磁的記録等による保存等の承認申請には 「会計ソフトのシリアルナンバー」を記載する必要はありません。
「シリアルナンバー記載不要」は申請のときに税務署で確認しています。
申請書の記入欄には「承認番号,ソフト名称,パージョン,メーカー」だけです。
やよい青色申告20の場合、記の認定リスト表によるこれらの項目は、
・承認番号 : 100700-00
・ソフト名称 : やよいの青色申告20
・バージョン : 26.0.1
・メーカー : 弥生株式会社
もちろん、実際にそのソフトを使っていなければ「承認申請に適合していない」ので
「電磁記録による帳簿保存」や「65万円の控除」が認められないことになります。
しかし、期限の9月末までにソフトが入手できなくても「シリアル番号なし」で申請可能となります。
●5.業務の開始の日または設立の日
これは年度中に業務を開始したり設立したりして、会計開始の日以前の3カ月までに申請ができなかった場合の記載欄。(申請期限に特例が設けられている)
※電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 6条1項但書き
本年度中に業務開始または設立をしていない場合には記載不要。
●7.財務省令に定める要件をみたすためにとろうとする措置
(1)と(2)にチェック
相応のマニュアルを準備する。
c. やよい青色申告
●やよい青色申告20 → こちら
・「安心保守サボート」が1年間無料です。 → こちら
・秋にバージョンアップ製品が出ます、これに無償でアップグレードできます。
・「安心保守サボート」は自動更新です。
自動更新前に確認のハガキが来ますので、必ず「更新拒絶」をしておきましょう。
・保守サポートから抜けると「やよいサーバーへのバックアップ」ができず、「所得税確定申告版」が使えません。
しかし、バックアップは自分のPCに取れるし、サーバーにアップロードもできます。
また、「所得税確定申告版」は国税庁のホームページの「確定申告作成コーナー」と同じようなものです。
電話・メールサポートなど使いません。
・保守サポートから抜けるとしつこくDMが来ますが、税法が変わらない以上フソトを買い換える必要はありません。
(消費税率が変わっても、免税事業者には関係ありません。)
今回「買い換えなければならない」ことは、なにかにおいます。
●建前は「認定ソフトに買い換える必要なし」です。
しかし、「そのソフトでちゃんと電磁的記録が作れるか」を申請して検分してもらわなければなりません。
※申請書・記載例
もちろん、弥生は旧バージョンのソフトに対しそんなサポートはしていません。
そんなことをしたら、新しいソフトが売れないからです。
国税庁が「このソフトなら大丈夫」だと認定したものはこの検分が不要になり申請書が簡単になります。
※申請書・記載例・認定ソフトリスト
結局、実質的には「認定ソフトに買い換えなければならない」ことになります。
※今回の税制改正があった平成30年に、この認定を行う公益社団法人が設立されています。 → こちら
「所管-経済産業省」だとか、またひとつ「天下り法人」?
●税制改正に群がるソフトメーカーや「〇〇法人」に「甘い汁」を飲ませないためには「e_tax 申請」。
「e_tax」なら「認定ソフト」に買い換える必要はありません。
「やよいの青色申告旧パージョン」を使っていても65万円控除は受けられます。
ただし、「電子帳簿保存」が認められていないので、「紙による帳簿保存」が必要になります。
※この点は「e_tax」をしたことがないので不明です。税務署に問い合わせてください。
「e_tax 申請」にはマイナンバーカードとそれを読み込む「 IC カードリーダー」が必要ですが、
新しくソフトを買い換えるよりずっと安上がりです。 → 接触式リーダー,非接触式リーダー
私が入手したころより随分と安くなりました。 → こちら
d. インストールでの注意点
「e_tax 申請なら、今までのソフトでも65万円控除を受けられる」のに気がついたのは
「やよい青色申告20」を入手したあと。
「やよい」が「そんなこと」をわざわざ広報をするはずがないですからネ。
左が新しく入手した「やよい青色申告20」、右が今まで使っていた「やよい青色申告15」。
随分とシンプルになりました。
以前は「インストールマニュアル」だけでなく、
「青色申告の手引き」や「業務別マニュアル」も付属していました。
まあ、必要なのはソフトとインストールマニュアルだけ。
しかも、インストールマニュアルはWebで詳しく説明。
それなら、ペーパーレス。
不要になった「やよい青色申告15」はYahooオークションにでも出品しましょう。
もちろん、「e_tax 申請なら、このソフトでも65万円控除を受けられる」と説明して。
インストールでの注意点はただ一つ「旧事業所データーのコンバート」。
「インストール完了」 →「ライセンス認証」のあとに
「旧バージョンの事業所データーがありますが、コンバートしますか?」。
ここで、「はい」を押すと旧データーが書き換えられます。
具体的に言えば、
いままで「青色申告15」で作ってきたデーターが「青色申告20」用にコピーされます。
以前のデーターはそのまま残ります。以前のデーターが上書きされるわけではありません。
注意しなければならないのは「年度繰り越し」をしている場合。
つまり本年度分を記帳している場合。
事業所データーのコンパートでは
「不動産所得,電子帳簿保存,消費税支払い義務についての設定」もそのままコピーされます。
しかも、これらは年度途中で変更できません。
「青色申告20」以前のバージョンでは
「電子帳簿保存」に対応していなかった ( 公的に認定されていなかった ) ので
「電子帳簿保存をしない」になっています。
そのため、旧バージョンの事業所データーをコンバートすると
「電子帳簿保存をしない」もコピーされ、
本年度に年度繰り越しをしていれば、本年度中はそれを変更できなくなります。
( 変更できるのは次の年度繰り越しのとき )
『えっ?電子帳簿保存をするために新しく買ったのに!』
慌てて、認証を解除して「青色申告20」をアンインストール。そして再インストール。
「今度は本年度分をコンバートしなければいいんだな…。」
しかし、今度はライセンス認証のあとに
「旧バージョンの事業所データーがありますが、コンバートしますか?」が出てきません。
すでに、コンバートされているからです。
つまり「電子帳簿保存をしない」はそのまま。
●対策1
この場合は、コンバートした後にバックアップから「年度繰り越し前のデーター」を復元。
その後、年度繰り越しをすれば
新しい年度での「不動産所得,電子帳簿保存,消費税支払い義務」の設定ができます。
既に、新しい年度の記帳がしてある場合はどうなるのでしょうか?
多分、年度繰り越しで「不動産所得,電子帳簿保存,消費税支払い義務」設定をしたあと、
年度繰り越し後の記帳を含むデーターをコンバートすればよいと思いますが、不明です。
●対策2
「旧データーをコンバートしますか?」で「はい」を押さないこと。
「ユーザー登録」や「安心保守サポート申込」など全てが終わってからでも旧データーはコンバートできます。
インストール手順説明の「インストール後、最初に起動したときにだけ旧データーのコンバートをするかどうかの選択画面が出ます」に怖がらないこと。
後から、いつでもコンバートできます。
・クイックナビゲーター → 事業所データー → 「データーの新規作成」 → データー作成方法の選択
→ 既存のデーターを複写してデーターを作成 → 複写するデーターの選択 → 複写元会計期間の選択
→ 繰り越し前の会計期間 → コンバート
→ 繰り越し → 「不動産所得,電子帳簿保存,消費税支払い義務」設定
→ クイックナビゲーターの「データーの選択」 → 繰り越した新しい会計年度のデーター → コンバート
※ただし、以上を実際にやっていないため「できるかどうか」不明です。
●以前の年度の帳簿印刷保管が必要
「電子帳簿保存」ができるのは「本年度分 ( 2020年度分 ) 」からです。
それ以前の年度については紙帳簿で保存しておかなければなりません。
保管必須帳簿の「総勘定元帳」と「仕訳帳」は印刷して保管しておきましょう。
・事業所データー → データーの選択 → 年度指定
↓
・決算・申告 → 総勘定元帳 → 全期間になっていることを確認 → 右上の「印刷 」
→ 印刷メニューの「印刷する勘定科目」 → 全ての勘定科目を印刷する → 印刷
→ 恐ろしい程の頁が印刷されます。( だから電子帳簿なのです )
・同様に仕訳日記帳 → 右上の「印刷」 → 印刷メニューの「全期間」 → 印刷
e. 個人事業主が複数の事業を行う場合の青色申告
●個人事業主が複数の事業を行う場合の申告
例えば、個人で警備業とアフリエイトをしている場合、青色申告はどのようにすればよいのでしょう?
アフリエイト売上を分けておかないと、警備業の売上が増えて警備業者賠償責任保険料が高くなります。
所轄税務署の回答は「個人が複数の事業を行っても青色申告は一つ」
根拠として「所得税法27条の2」と「租税特別措置法25条の2」で説明してくれましたが、
「そう言う解釈ができる」というだけのもの。
この点につき「警察庁の警備業法解釈運用基準のようなものがないのか」と尋ねても「?」。
こちらにありますが…。
「複数の事業について個別の申告が可能」とするサイトもあります。 → こちら
ただし、業種ごとに「青色申告控除 65万円」が適用されるわけではありません。
65万円の控除は「個人事業主につき一つ」です。
この点につき現在の結論としては次のようなものになります。
事業Aと事業Bを営んでいる場合の申告
a. 事業Aの帳簿作成と青色申告決算書
b. 事業Bの帳簿作成と青色申告決算書
c. 確定申告書の「収入金額」=「aの売上金額+bの売上金額」
d. 確定申告書の「所得金額」=「c-青色申告特別控除65万円」
e. 確定申告書の「その他/青色申告特別控除額」=「実際に控除したのが65万円未満ならその額」
f. 提出書類 → 「事業Aの青色申告決算書,事業Bの青色申告決算書,確定申告書」
●それでは、事業Aと事業Bの各々について、電子帳簿保管申請が必要なのでしょうか?
「電子帳簿保管申請が 65万円 の控除 を受けるためのもの」と解釈すれば、
「主たる事業」or「どちらか一方の事業」についての申請でよいことになります。
しかし、それが「電子帳簿保管をするためのもの」と解釈すれば
「各々の事業」についての申請が必要になります。
税務署は「個人が複数の事業を行っても申告は一つ」としているので、
「複数の申請」を嫌がります。
しかし、主たる事業Aで「電子帳簿保存申請」をして、事業Bでの申請をしなかった場合、
もし、年度途中で主たる事業Aを廃業して、事業Bだけにした場合はどうなるのでしょう。
事業Bは「年度途中で新たに開始したもの」ではないので「申請の特例」は認められません。
その結果、事業Bについて「電子帳簿保存」が認められなくなります。
電子帳簿保存が認められないのなら、それを前提とした「65万円控除」も認められなくなります。
そもそも、青色申告承認申請や電子帳簿保存申請が
「事業主個人に対するもの」なのか「事業に対するもの」なのかがハッキリしません。
「事業主個人に対するもの」なら申請用紙の記入欄は
「事業主氏名・住所」が先で、「事業名称・所在地」が後でなければならりません。
しかも、「事業名称・所在地」欄は複数なければなりません。
現在の申請用紙の様式から言えば「事業に対するもの」と考えていることと思われます。
それなら、事業ごとの申請が必要になります。
このような点を主張して、粘り強く事業ごとの申請受理を求めましょう。
所轄税務署は「複数の申請書が郵送で送られてきた場合に不要でも送り返さないから」という理由を付けて受理してくれました。
「事業ごとの申請受理」ついて「自分たちが納得できる理由」が必要なのでしょうが、
納得しなければならないのは我々納税者です。
そのためには税務署職員の間で「電子帳簿保存の趣旨や実際の取扱い基準」をしっかりと認識し統一しておく必要があるでしょう。
新しい制度では現場の運用で様々の問題が出てきます。
それはひとつひとつ解決されていくことでしょう。
今回対応してくれた「所轄税務署の〇〇さん」の健闘を期待することにしましょう。
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