3.2023年度 宿日直警備業務入札はどう変わったか
a.仕様書の内容
「何十年も使い古されたような」仕様書の内容が新しくなりました。
しかし、まだまだ断続的労働に対する理解が不足しています。
これは「何十年も断続的労働を前提にしてこなかった」ことの表れでしょう。
「自分の担当中は前例踏襲で新しいことをしない」のが行政。
この点から言えば「まず合格」でしょう。
しかし、次のような「まだまだ問題点」と「姑息な見苦しい逃げ」がありました。
●笑ってしまう「 午前0時スタート」
「いつ変えるのかな」と毎年楽しみにしているのが「午前0時スタート」。
今年も変わらず。
仕様書の「履行期間」の記載
・令和5年5月1日から令和6年3月31日まで。
※業務開始は令和5年5月1日午前0時00分、業務終了は令和6年3月31日 午後12時00分となる。
この仕様書は「ちょんまげ侍が机を並べている勘定方 ( かんじょうがた ) 」が作った文書ではありません。
ボールペンや蛍光灯の照明、パソコンなどの電子機器のそろった近代的環境で作ったものです。
「だって、一日の始まりは午前0時、一日の終わりは午後12時でしょう?」
その発想が「ちょんまげの勘定方」!
宿日直業務では平日の勤務が17時~翌8時30分。休日が8時30分~翌8時30分。
どちらも日をまたぎます。
「業務開始が0時」だとすると、受注者が変わった場合の業務引継ぎは「0時」。
つまり、
・以前の警備員は前日の24時に業務終了
・新しい警備員は初日の0時に業務開始
「単純明快」と思うのは「利潤と効率を気にしない江戸時代のお上の感覚」。
以前の警備員も新しい警備員も仕事は半日分。
その日は2名で1日分の仕事をすることになり、労働効率が半分になります。
また、0時が仮眠可能時間帯に入っていれば
断続的労働の適用除外許可の許可基準「4時間の仮眠が可能であること」にも反してしまう。
それに、業務交替による深夜0時の荷物の搬入・搬出。
近所迷惑はなはだしい。
国や県の宿日直業務での始まりは「業務開始日の業務開始時刻から」。
つまり、5月1日が業務開始日なら
・以前の警備員は5月1日の8時30分に業務終了。
・新しい警備員は5月1日の17時 ( 平日 ) ,8時30分 ( 休日 ) に業務開始。
以前の警備員も新しい警備員も勤務時間は通常と同じで賃金は変わらず労働効率は同じ。
この配慮がなぜできないのでしょうか?
押印廃止、行政手続き簡素化。
無駄なものを排して、簡素で効果的な方法を取り入れる。
これが近代的行政の方針。
それに反して「午前0時スタート」にこだわるのには何か理由があるのでしょうか?
私には「ガラパゴスのおバカさん達だから」という理由しか思いつきません。
津市の行政は「中村主水 ( なかむらもんど ) の時代」のままなのです。
だから、昭和22年制定の労働基準法にも無頓着なのでしょうか?
『頭が高い~ッ!』
●「出入り管理業務」に何を求めているのやら…
仕様書の体裁は各総合支所警備業務について共通事項を総論として記載。
各支所の具体的業務を各論として別紙に記載。
総論部分は調達契約課が作成。
各論部分は大枠を調達契約課が作り、各支所が実際の業務に当てはめて細部を埋める。
各支所での細部を埋めるときに「実際に行われていない業務を含めたり、実施件数がいいかげんだったり」
「コミュニティバスの料金箱保管?」、「葬祭場使用料の徴収?」
ハ、ハ、ハ、ハ。
各支所の現場は忙しいから仕方がありませんね。
これらは愛嬌として温かく受け止めましょう。
●問題なのが「庁舎出入り管理」の内容
「庁舎出入り管理」について仕様書には次のように記載されています。
・警備員は警備業務時間内に職員,一般来庁者等の出入り管理を行う。
・職員に対しては身分証明書を確認して入退所記録簿へ記入させる。
・庁舎内での会議に出席する来庁者に対しては会議出席者名簿で確認する。
・作業委託業者に対しては庁舎入退所記録簿に要件等を記載させる。 ( 作業届が抜けていますね )
・用件・訪問先を明らかにしない者,正規の手続きを経ない者,不審者などの入館拒否。
「ショッピングセンターの従業員出入口に面する警備室で行われている出入り管理」や「刑務所正面の受け付けで行われている出入り管理」をイメージしているのでしょう。
「警備員が受付にずっと座っていて入館・退館者のチェックを行う」というものです。
これはいわゆる「座哨」というもので「意識を100 % 集中していなければならない業務」です。
そのため断続的労働では「実労働」として扱われます。
ショッピングセンターや刑務所での出入り管理は「立哨や巡回と同じように」実労働として扱われているので交代で行います。
断続的労働の適用除外許可において「警備員の行う実労働の許可基準」は、
・1回60分以内
・合計回数6回以内 ( 16勤務 ) ,10回以内 ( 24勤務 )
・合計時間4時間以内 ( 16勤務 ) ,6時間以内 ( 24勤務 )
つまり、1ポストの庁舎警備業務では「この制限の中」でしか出入り管理を行わせることができません。
もちろん、実労働なので最低賃金の減額率の計算に関係します。
仕様書には「出入り管理時間:◯◯時~◯◯時」と記載しなければならないでしょう。
もっとも、
残業していた職員が、
『すいませ~ん。帰ります。カギはここに置いておきますね。』
休憩室でテレビを見ていた警備員が出てきて
『ハイ、ハイ、お疲れ様。』
このような出入り管理であれば「郵便物受け取り,火災受信機発報」と同じく「突発的業務」として
「手待ち時間内の業務」として扱われます。
この点を「職員も警備会社も警備員も」理解していないので、
仕様書には「出入り管理 : ○○時○○分~○○時○○分」と明記するべきでしょう。
これは「電話の取次ぎ」でも同じです。
「庁舎業務終了の17:15から電話を警備室に転送し、すべての電話を職員に取り次ぐこと」。
これは「電話交換手のように意識を100 % 集中していなければならない」ので実労働になります。
「電話を取れるときもあるけど取れない時もある。職員が残っているなのらあなたたちも取ってよ。」
これなら、「郵便物受け取り,火災受信機発報」と同じく「突発的業務」として扱われます。
そういえば、以前の警備員は巡回以外もずっと警備室に座っていました。
巡回などの実労働時間以外は「緊急対応ができればいい」のです。
休憩室で寝転んでいようがテレビを見ていようが自由なのです。
そもそも「手待ち時間業務」として「60 % の賃金」しか支払われていないのですから。
津市長も調達契約課の職員も現場の職員も、そして警備会社も警備員も、
断続的労働について全く理解していないのには驚きます。
● 「断続的労働」の文言削除は「姑息な逃げ」
行政に携わる者は「なぜここまで姑息で卑怯」なのでしょうか?
とぼけ,言い訳、責任回避。
逃げて、逃げて、逃げきれなくなったら三人そろって5秒間頭を下げる。
「潔さ」は微塵もない。
「仕事をする者・仕事を任されている者」としての「気概や誇り」はないのでしょうか?
そんな津市長と津市調達契約課の「今年の逃げ」は「仕様書から断続的労働の文言を削ること」。
●昨年の仕様書の記載には断続的労働の文言
まずは昨年の仕様書。
◯警備業務の期間など ( 8条 ) の 但書
「ただし、当該業務は、原則として、常態としてほとんど労働する必要がなく、
定期的巡視、施錠及び開錠、緊急の文書または人和の収受、不意の来訪者への対応、
非常事態発生の対応等を行うものであり、断続的な労働の態様の警備保障業務と捉えており、
また、夜間においては、継続4時間以上の睡眠が可能であることから、
業務時間の全てが労働時間ではない。」
◯警備員の派遣 ( 9条 )
1.人員:常駐警備員1名とする。
2.資格:業務について相当の訓練を受け、臨機応変の措置ができうるものであること。
◯巡回 ( 11条 ) の括弧書き
「当該業務においては、巡視する場所が危険ではなく、
また、その環境条件が温度、湿度、騒音、粉塵濃度等の諸点から見て有害でなく、
巡視の回数は1勤務6回以下であり、
かつ、巡視1回の使用時間は1時間以内であって、その合計は4 時間以内である。」
このように「その業務が断続的労働の適用除外許可必要な業務であること」がはっきりと書かれていました。
そこで
「それなのに断続的労働の許可を得ているかどうかをなぜチェックしないのか!」とねじ込まれたのです。
→ こちら
●今年の仕様書の記載
今年の仕様書は次の通り。
◯7.業務時間付記
※当該業務は、原則として、常態としてほとんど労働する必要がなく、
定期的巡視、施錠及び開錠、緊急の文書または人和の収受、不意の来訪者への対応、
非常事態発生の対応等を行うものであり、
また、夜間においては、継続4時間以上の睡眠が可能であることから、
業務時間の全てが労働時間ではない。
◯6.警備員
(1)警備方法
・常駐警備員1名以上とする。
・業務にあたっては労働基準法等の関係法令を巡視し警備員を配置すること。
◯巡視内容について ( 各支所別の各論記載 )
巡視する場所は危険でなく、また、その環境条件が温度、湿度、騒音、粉じん濃度等の諸点からみて有害でない。
※この部分は各支所ごとに記載してあったり記載してなかったり。
「違い」が分かりますか?
手が込んでいますよ。
●今年の仕様書内容が昨年の仕様書内容と異なる点
アンダーラインの部分です。
・断続的労働という文言を削除したこと。
・常駐警備員1名以上としたこと。
この二つは関係しています。
この「姑息な逃げ」を説明しましょう。
●なぜ「断続的労働の文言を削除した」か
仕様書の業務内容を見れば「1ポストの断続的労働」だと判ります。
仕様書も「1ポストの断続的労働」を前提にして書かれています。
しかし、「断続的労働の文言」を入れなかった。
それは、
断続的労働の文言を入れると、「断続的労働の適用除外許可が問題になる」からです。
断続的労働の適用除外許可が問題になると、
公契約条例により「受注者がその許可を得ているかどうか」をチェックしなければならない。
そのチェックをすると無許可受注者を排除しなければならない。
無許可受注者を排除すると「違法労働前提の安値入札」がなくなり落札価格が上がってしまう。
もちろん、断続的労働の文言を削除すればこのように批判されるます。
だから、「業務にあたっては、労働基準法等の関係法令を遵守し警備員を配備すること」と記載したのです。
これで「公契約条例が要求している発注者としての責任を果たした」と逃げようとしているのです。
●なぜ「常駐警備員1名」から「常駐警備員1名以上」に変えたのか?
断続的労働の適用除外許可が必要なのは「1名配置で労働時間が6時間を超える場合」。
「1名配置の場合は休憩が存在しない」ので
「6時間~8時間で45分、8時間~で60分の休憩 ( 労基法34条 ) 」を外してもらわなければならない。
そのためには断続的労働の適用除外許可が必要になる。
もし、勤務時間が6時間未満なら労基法34条の休憩は不要なので断続的労働の適用除外許可も不要。
この場合は、16勤務を3名で、24勤務を5名でつなぐことになります。
また、1名配置でも別に休憩要員がいれば労基法34条の休憩を与えられるので断続的労働の適用除外許可は不要。
この場合は、休憩要員との2名配置。但し「1日8時間労働の制限」があるので別の配慮が必要になります。
もちろん「受注者がこのような配置をしない」ことは承知しています。
人件費が何倍にもなるからです。
しかし、「断続的労働の適用除外許可が不要な複数名配置」を可能にしておけば、
「断続的労働の適用除外許可が必要な業務を発注しておいて、受注者がその許可を得たかどうかをなぜチェックしないのか」と批判されても「逃げられる」と考えたのでしょう。
この点をもう少し説明しましょう。
(仕様書)
・この業務を行う場合は
「断続的労働の適用除外許可の必要な1名配置」も「断続的労働の適用除外許可不要の複数名配置」も可能。
・どちらを採るかは受注者が自由に決める。
(批判)
「なぜ、受注者が断続的労働の適用除外許可を取っているかどうかチェックしないのか!」
(逃げ)
津市が「断続的労働の適用除外許可の必要な業務」を発注したのなら、
公契約条例の要請で受注者がその許可を得ているかどうかを調べなければならない。
しかし、今回発注したのは「必ずしも断続的労働の適用除外許可が必要な業務」ではない。
「常駐警備員1名以上配置」だから断続的労働の適用除外許可不要の配置もできる。
「許可必要な業務で行うか許可不要な業務で行うか」は受注者が決めることで津市は関与しない。
だから、津市が受注者の許可チェックをしなければならないという批判は当てはまらない。
よほど暇なのですね。
皆でチマチマ考えたのですか?
しかし、各条項の順番や体裁が昨年と変わっていますよ。
無理やり挿入したような部分もありますね。
「どこかからのコピペ」でなければ「チマチマ考えたこと」に拍手しましょう。
●裏があるでは?
しかし、もしかして「裏」があるのではないでしょうか?
「手が込んでいる」のでついつい期待してしまいます。
( 昨年まで )
・「必ず断続的労働の適用除外許可が必要な業務」を発注していた。
・公契約条例の要請で「受注者が許可を得ているかどうか」をそろそろチェックしなければならない。
・チェックして無許可受注者がいたら 「なぜ今までチェックしなかったのか!」と批判される。
( 今年から )
・発注したのは「必ず断続的労働の適用除外許可が必要な業務」ではない。
・受注者は「断続的労働の適用除外許可が必要で人件費の安いやり方」も
「断続的労働の適用除外許可不要だが人件費が高くなるやり方」もできる。
・断続的労働の適用除外許可が必要なやり方を選んだのは受注者の責任で津市は関係ない。
・この状態にしておいて「受注者が許可を得ているかどうか」を調べる。
当然、許可を得ていない受注者にはペナルティを与える。
・「なぜ今まで許可を得ているかどうか調べなかったのか!」と批判されたら、
「発注した業務は必ず断続的労働の適用除外許可が必要な業務ではありませんからネ」と逃げる。
・「しかし、許可必要な場合もあるので念のためにチェックしてみたら無許可受注者がいました!」
・昨年までの仕様書を持ち出して追及してくるほどの市会議員はいない。
このように、仕様書の記載変更は「受注者が許可を得ているかどうか」をチェックする下準備なのかもしれません。
どちらにせよ「姑息で卑怯なチマチマ保身」は同じですが。
●姑息な逃げが通用しない今年の落札状態
しかし、このような仕様書の記載変更が「今年は受注者の許可チェックをするための準備」だとしても、
「今年も受注者の許可チェックをしないための逃げ」だとしても、
今年の落札状況では「受注者の許可チェックをしないわけにはいかない」でしょう。
今年の落札状況が「公契約における業者間の競争の激化、落札価格の下落等により、労働者の賃金その他の労働環境の悪化が懸念される」状態になってしまったからです。
「津市公契約条例により防ごうとしている状態」がまさに生じているのに、
この状態を解消するために動かないのは公契約条例に反することになります。
まさに職務怠慢。
「毎年せっせと年貢を取り立てている」だけ。
民間ならクビですよ。
それでは、その「末期的落札状況」を見てみましょう。
b. 入札期日,予定価格
ともに「それなりの改善」がありました。
●入札期日は4日早まる
「断続的労働の適用除外許可は申請から最低2週間かかる」ので入札時期を早めてほしい。 → こちら
この点は改善されました。
例年、「労働者を配置するのに許可の要らない清掃業務」の方が「許可の必要な警備業務」より入札期日が早かったのですが、今年はこの順番が入れ替わりました。
2022年度の警備業務入札は4月21日。
今年は4月17日。
4日早まっただけですが「これは相当な進歩」です。
今年は仕様書内容の見直しにも時間がかかったので「よくやってくれた」と評価できます。
●「予定価格がいくら上がったのか」は不明
2022年度に「予定価格超え」が2件あったので、
必要経費を算定し「予定価格では労働法令を守ることができない」と提言 → こちら
これに対し「トンチンカンな回答」をしていましたが、「今年は確実に予定価格を上げた」との手ごたえ。
私は「少なくとも5万円、案外10万円アップ?」の「43万円~50万円」を予想。
しかし、私の狙っていたところは「昨年の11万円~12万円引き」の「20万円台」。
他のところも「昨年より少しだけアップ」。
「予定価格超え」がなかったので「2023年度の予定価格」は不明。
47.5万円落札があったので「予定価格は10万円アップの50万円か?」と思ったけれど、
この庁舎は地理的に遠いので「無競争状態」。
そして前年落札価格が46.2万円。
だから、やはり「予定価格アップは3万円程度」なのでしょう。
c.入札状況と落札価格
まさに「公契約条例により防ごうとしている状態」になっています。
・発注件数8件:①庁舎,②学校,③庁舎,④庁舎,⑤庁舎,⑥庁舎,⑦庁舎,⑧庁舎
・参加業者8社:A社,B社,C社,D社,E社,F社,G社,H社
※備考
・月額・税抜き
・どの業務も内容は同じ。「46万円で利益なし」。 → こちら,こちら
・⑧庁舎は距離的に遠いため「無競争」です。当方もパスしています。
そのため、⑧庁舎の落札価格が「まともな額」と言えます。
・60万円以上は「パス価格(初めから取る気のない価格)」。
・Hが当方。59.63万円は「ゴクロウサン」。
・落札価格の低い3社だけ公表の場合あり。
・8社のうち入札辞退をしたものあり。
まずは昨年の価格と今年の価格を比較してみてください。
・①庁舎
・2021年度落札:A/39.2万
・2022年度落札:A/40.7万 ( 予定価格超えのため再入札 )
・本年度入札額:A/28.9万・落札 ,H/41.8万,F/60万
※昨年より11.8万円ダウン。
※無競争の⑧庁舎より18.6万円安。
・②学校
・2021年度落札:H/35.4万
・2022年度落札:B/32.9万
・本年度入札額:B/34.0万・落札 ,E/34.5万,H/41.8万,F/60万,C/61万,A/63万,D/67万,I/72.38万
※昨年の1.1万円アップ。ただし一昨年より1.4万円ダウン。
※無競争の⑧庁舎より13.5万円安
・③庁舎
・2021年度落札:C/39万
・2022年度落札:C/34万
・本年度入札額:C/34万・落札 ,H/41.8万,F/60万,B/65万,E/66万,D/67万,I/68万
※昨年と同額、一昨年より5万円ダウン。
※無競争の⑧庁舎より13.5万円安
・④庁舎
・2021年度落札:A/41万
・2022年度落札:H/38.9万
・本年度入札額:A/27.45万・落札 ,H/42.4万,F/60万,C/61万,B/65万,E/66万,D/67万,I/77.8万
※昨年より11.45万円ダウン。一昨年より13.55万円ダウン。
※無競争の⑧庁舎より20.05万円安
・⑤庁舎
・2021年度落札:D/39万
・2022年度落札:当方辞退のため不明
・本年度入札額:D/33万・落札 ,H/43.8万,F/60万
※一昨年より6万円ダウン。
※無競争の⑧庁舎より14.5万円安
・⑥庁舎
・2021年度落札:A/39.5万
・2022年度落札:A/39.9万 ( 予定価格超えのため再入札 )
・本年度入札額:A/31.45万・落札 ,H/59.63万,F/60万
※昨年より8.45万円ダウン。
※無競争の⑧庁舎より16.05万円安
・⑦庁舎
・2021年度落札:E/40万
・2022年度落札:E/34万
・本年度入札額:E/39万・落札 ,B/40万,H/59.63万
※昨年より5万円アップ。一昨年より1万円ダウン。
※無競争の⑧庁舎より8.5万円安
・⑧庁舎
・2021年度落札:F/40万
・2022年度落札:F/46.2万
・本年度入札額:F/47.5万・落札,H/59.63万,C/61万,A/64万,B/65万,E/66万,D/67万,I/92.4万
※昨年より1.3万円アップ。
※これが「まともな落札価格」。
c.これで動かなければ、公契約条例も市長も要らない
諸物価高騰、最低賃金の値上げ、労働保険料の負担増、人手不足による賃金アップ。
しかし、昨年と同じ値段では仕事が取れない。
たかだか月に40万~50万円の仕事を「前年の12万円引き、11万円引きをしてでも」確保する。
そうしなければ自分と警備員が生きていけない。
今年の落札値段を見て津市長のあなたはどう思いますか?
「今年も安くなったぞ!」とニコニコしますか?
津市には公契約条例があるのですよ。
「全く忘れている」ようなのでチョット復習。
●津市公契約条例1条(目的)
「この条例は、公契約における業者間の競争の激化、落札価格の下落等による
労働者の賃金その他の労働環境の悪化が懸念されることに鑑み、
公契約に係る基本方針並びに本市及び受注者等の責務を定め、
並びにこれらに基づく施策を実施することにより、
労働者の労働環境の確保、優良な事業者の育成及び地域経済の健全な発展を図り、
もって労働者が労働意欲にあふれ、
かつ、住民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする。」
●津市公契約条例3条(基本方針)
「公契約に係る基本方針は、次のとおりとする。
1.労働者の適正な労働環境を確保する
2.品質及び適正な履行を確保する
3.入札及び契約の公正性、透明性及び競争性を確保する
4.不正行為を防止する
5.地域経済及び地域社会の健全な発展を図る」
●津市公契約条例4条(本市の責務)
「本市は、前条に定める基本方針に基づき、この条例の目的を達成するために必要な施策を講じなければならない。
2 本市は、労働報酬下限額(受注者等が労働者に支払う報酬の下限とすべき額。附則第2項において同じ。)を
定めることについて検討しなければならない。
この場合において、市長は、第15条第1項に規定する 津市公契約審議会(以下「審議会」)
その他 市長が必要と 認める者の意見を聴 かなければならない。
3 本市は、受注者等が労働者の適正な労働環境を確保し、及び公契約を適正に履行するために
必要な措置を講じなければならない。
4 本市は、公契約に関し説明責任を果たすとともに、不正行為を未然に防止し、
並びに適正な契約行為及び履行が行われていることを明らかにするために、
公契約に関する情報の公表に努めなければならない。
5 本市は、公契約の性質及び目的を踏まえた適正な契約方法を選択しなければならない。
6 本市は、公契約の適正な履行及び良好な品質を確保するため、取引の実例価格、需給の状況等を考慮し、
予定価格、納期その他の契約条件が適切なものとなるよう努めなければならない。
7 本市は、予算の適正かつ合理的な執行に留意するとともに、地域経済の健全な発展のため、
公契約に係る業務等の重要性、緊急性及び効率性を考慮し、公契約の適正な発注に努めなければならない。
●津市の権限
・報告及び立入検査(7条)
「市長等は、この条例の規定又は誓約事項の遵守状況を確認するために必要があると認めるときは、
受注者等に必要な報告を求め、又はその職員に当該受注者等の事務所、事業所等に立ち入り、
関係書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。」
・是正措置(8条)
「市長等は、受注者等がこの条例の規定又は誓約事項に違反していると認めるときは、
当該違反を速やかに是正するために必要な措置を講ずることを命じなければならない。
2 受注者等は、前項の規定により違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じられたときは、
速やかに是正の措置を講じ、市長等に当該措置の内容を報告しなければならない。」
・労働者の申出等(9条)
「特定公契約に係る労働者は、
受注者等がこの条例の規定又は誓約事項に違反している疑いがあると思料するときは、
市長等にその旨を申し出ることができる。
2 市長等は、前項の規定による申出(以下「違反申出」)の内容が、
規則で定める関係法令に関する違反情報であるときは、必要に応じて関係機関へ通報するものとする。
・相談窓口の設置(10条)
「市長等は、違反申出に応じるため、相談窓口を設置するものとする。」
・公契約の解除等(13条)
「市長等は、受注者等が次の各号のいずれかに該当するときは、
当該公契約の解除、受注者等の指名停止等必要な措置を採ることができる。
⑴ 第7条第1項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、
又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、
若しくは質問に対して応答せず、若しくは虚偽の回答をしたとき。
⑵ 第8条第1項の規定による命令に従わないとき。
⑶ 第8条第2項の規定による報告を怠り、又は虚偽の報告をしたとき。
⑷ 前3号に掲げるもののほか、この条例の規定に違反したとき。
⑸ 誓約事項に違反したとき。
2 前項の規定により公契約を解除した場合において、受注者等に損害が生じても、
本市はその損害を賠償する責任を負わない。
・損害賠償(14条)
「 受注者等は、前条第1項の規定による公契約の解除によって本市に損害が生じたときは、
その損害を賠償しなければならない。
ただし、市長等がやむを得ない事由があると認めるときは、この限りでない。」
●市長のしなければならないことは
公契約における業者間の競争の激化、落札価格の下落等による労働環境の悪化を食い止めること。
違法労働状態をなくするのは当然のことです。
しかし、あなたのやったことは
「事業者の報告を鵜呑みにするだけの労働報酬下限額の検討」と「労働者の違反申告窓口の設置」だけ。
あとは、だんまり,だんまり、「見て見ぬふり」。
口を開けば「違法労働状態は全て受注者の責任です。私には関係ありません!」
今年は仕様書に「警備員1名以上配置」と書いて「なぜ許可をチェックしないのか」の批判から逃げる。
チマチマとした言い訳しか考えない。
●「違法行為を止めなければならない者」が何もしなければ「違法行為をしたのと同じ」。
あなたには「津市の発注する業務について労働者の適正な労働環境を確保する」義務があります。
そして、それをするための権限が与えられています。
あなたは「津市長としての義務を果たすよう」選挙で市民に信託されています。
本年度の総合支所等警備業務委託の落札状況を見てあなたは何をしますか?
公契約条例の言う「公契約における業者間の競争の激化、落札価格の下落等による
労働者の賃金その他の労働環境の悪化が懸念される状態になっている」のではないのですか?
それでも、まだ「だんまり」を続けますか?
「違法労働や労働環境悪化の責任は事業者にある」と逃げ続けますか?
もしそうだとすれば
法律的にはともかく、道義的・社会的には「あなたが違法労働や労働環境悪化を創り出していること」になります。
あなたの仕事は何ですか?
あなたはなぜ市長なのですか?
このままなら、津市に公契約条例は必要ないし「あなた」も必要ありません。
今なら、まだ間に合いますよ…。
「行政に正義を説いても無駄」だと分かりました。
何を言っても無視するか姑息な言い訳をして逃げるだけ。
行政の間違いを正すべき市会議員も頼りになりません。
結局、「頭」を変えなければ何も変わらないようです。
しかし、この問題が解決しないのは
「違法労働を見て見ぬふりをする津市」に踊らされる業者がいるから。
そして、生きていくために違法労働に文句を言わない労働者がいるから。
結局は労働者一人一人が声をあげないことには解決しないのです。
これからは「声を上げられない労働者」をサポートしていこうと思います。
1名で16勤務や24勤務をさせる場合、
雇い主は断続的労働の適用除外許可を得なければ労働基準法違反になります。
また、別に最低賃金の減額許可を得なければ「通常の賃金」を支払わなければなりません。
最低賃金の減額許可を申請すると労働者一人一人に労働基準監督署から問い合わせがあります。
この「問い合わせ」がなければ雇い主は最低賃金の減額許可を得ていません。
減額許可がない場合は適用除外許可も得ていないのがほとんどです。
減額許可がない場合は通常賃金との差額を請求できます。
通常賃金は「16勤務=最低賃金×20時間分」,「24勤務=最低賃金×30時間分」です。
1名勤務の場合「休憩」は存在しません。
緊急事態に対応しなければならないからです。
休憩時間が決められていても、それは休憩時間ではなく労働時間です。
仮眠時間も労働時間です。
ただし、この差額は3年で請求できなくなります。 → 宿直警備員の適性賃金差額の還付請求
しかし、3年分でも400万円~800万円になる場合もあります。
「自分が請求できるのかどうか分からない」場合はメールしてください。
但し、メールには住所,氏名,電話番号を明記してください。
当方から連絡します。
これらの明記のない場合や連絡がつかない場合は「迷惑メール扱い」とします。