●電気知識ゼロ のする PGMⅢ 修理

pgm3電子部品交換
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6.基板修復

a.基板焼け修復

メインコンデンサの液漏れによる基板焼けです。(①/基板番号C3/25V820μf)

電解コンデンサば底部のシールが劣化すると内部の電解液が漏れて基板焼けにつながるとのこと。
さらに、ちょうど1991~1994年ころの電解コンデンサに「4級アンモニウム塩」問題があったとか。
参考1参考2

今回の始動不能の原因箇所です。

●状態

これだけで済んだのは「不幸中の幸い」でしょう。
「焼け」はパターンまで損傷していません。

さらに、損傷が裏側にまで達していないので、この凹部分だけを埋めればOKです。

スルーホール表側ランドとパターンの接続はありません。

スルーホール裏側ランドとパターンの接続はありますが、ランドは損傷していません。(写真左上のランド)
そのため、表側から凹部に絶縁物で詰め物をして、
コンデンサの足と裏側ランドを接続させれば足るのですが、念のためスルーホールの代用物を挿入します。

●修復

・詰め物

手持ちに「エポキシパテ金属用」と「2液混合のエポキシ接着剤」。
※金属用といっても「金属のように硬くなる」という意味で、金属は含まれていません。

しかし、ちょっと「耐熱温度」が気にかかります。
検索してみると、

・エポキシ接着剤のガラス転移点・熱分解温度は250℃~350℃。
ThreeBond,※ガラス転移点,※熱分解温度

・50℃前後で樹脂が柔らかくなり温度上昇と共に接着強度が低下する → ※こちら

・使用温度は、-55~80℃ → ※こちら

・100℃連続でも良好 → ※KONISHI

「メインコンデンサの使用上の限温度は105℃」,「ソルダーレジスト保護剤の耐熱温度が100℃」だから、
「通常のエポキシ接着剤が100℃連続で良好」なら問題なさそうだけれど、
「FRPの耐熱温度が -20~130℃」,「封止剤kE3475の耐熱温度が -40~180℃」を考えると少々不安。
結局、近くのホームセンターで「耐熱温度200℃のエポキシパテ」を入手しました。
こういう点が「電気知識ゼロ」の泣きどころ。

なお、アロンアルファの耐熱温度は80℃、アロンアルファエキストラ4000は「耐熱温度 -40~200℃」だとか。
メーカーは「プロ仕様に安心する素人消費者の心理」を上手に突いてきます。
『こちらで充分ですよ!』などとは教えてくれません。

・作業

米粒二つ分で余るくらいです。
粘度の低い二液混合のエポキシ接着剤より使いやすいです。

成分は
・エポキシ樹脂 16%
・ポリアミド樹脂 14%
・無機物 70%
・60分硬化、8時間で実用硬度

なお、上に出てきたエポキシパテ金属用の成分は
・エポキシ樹脂 50%
・ポリチオール 50%
・10分で実用硬度

まさか、無機物に導電性の成分が含まれていないだろうけど、念のために通電チェック。
もちろん、導通なし。

b.スルーホール修復

●材料

穴の内径は、スルーホールが完全になくなった場合が「1.0㎜Φ強」、欠損した場合は「0.9 ㎜Φくらい」。

スルーホール用のアイレット(ハトメ)がありますが、値段が高い! → こちら
この中から選ぶなら、「外径/1.02㎜Φ,内径/0.76㎜Φ,高さ/2.36㎜」の真鍮製でしょう。

手芸用のハトメもあります。
・外径/0.95㎜Φ,内径/0.5㎜Φ,高さ/1.5 ㎜ → こちら
・外径/1.5㎜Φ,内径/1.1㎜Φ,高さ/2.5㎜・3.5㎜ → こちらこちら
0.95㎜Φを使えば、基材厚が1.7㎜あるので高さが不足。
1.5 ㎜Φを使えば、高さはOKだけれどホールを1.5㎜Φに拡げなければならない。
0.95 ㎜Φを両側から入れて、先端を潰すしかないでしょう。

そもそも、スルーホール2~3個の修理だからわざわざアイレットやハトメを入手する必要はない。
0.1㎜厚の銅板を細いパイプ(チューブ)にして使うことにしました。

ホームセンターで「0.1 ㎜×100 ㎜×200 ㎜」が228円です。

銅箔テープも0.08 ㎜厚や0.1㎜厚のものがありますが、糊がついている必要はないし何メートルも要りません。

細い銅パイプモ使えます。
ホームセンターで入手できる銅パイプは最小が「外径/3.0 ㎜Φ,内径/2.0㎜Φ,厚さ/0.5 ㎜」。
しかし、あるところにはあるもので、「極細銅パイブ」がありました。
なんと、一番細いのは「外径/0.35㎜Φ,内径/0.15㎜Φ,厚さ/0.1㎜」。
スルーホール修復に使えそうなのは「外径/1.0㎜Φ,内径/0.8 ㎜Φ,厚さ/0.1㎜」
使ってみようと思う方はどうぞ。値段はお楽しみ。 → こちら

●シール基板

「これは便利そう」だと入手したのがこのシール基板。

スルーホールのランドの代わりに「ペタッと貼れる」。

しかし、「シールのように剥がして必要な箇所に貼る」のではありません。
パターンは剥がれません。ガラス樹脂用紙に印刷されています。
必要なパターンの部分をハサミで切って、接着剤で基板に貼りつけるのです。
いろいろなパターンがあるので「役にたつこともある」でしょうが。

●作業


①チューブを作る

・銅板をハサミで5.0㎜巾に切る。
※巾は標準/5.0 ㎜,足を伸ばす場合/6.0~7.0㎜
※ホール穴を1.0㎜Φとすると、基材厚+足長さ×2=1.7㎜+1.5 ㎜×2=4.7 ㎜ → 5.0㎜

・これを0.8㎜Φキリ か 0.9㎜軸ドライバーに巻く。

・ギリギリのところをハサミで切る。


②チューブを欠損したスルーホールに差し込む

チューブをキリやドライバーにはめたまま穴に差し込む。
先端を爪でしごいたりプライヤーで押さえてたりしてホールに入りやすくする必要あり。


③マイナスドライバーで先端を拡げ、ハサミで切り込みを入れて足を曲げる

写真のように2分割だと曲げたときに足の根元に亀裂が入ってちぎれ易い。
できれば4分割だが3分割でも良い。


④スルーホールのランドがパターンと接続する場合は足をパターンにはんだ付け

裏側の足も同じように曲げます。

こちらはスルーホールのランドとパターンがつながっています。
曲げた足をランドやむき出しにしたパターンにはんだ付け。

片側をはんだで固定するので表側の足は接着剤などで固定する必要はありません。

足をはんだ付けする場合は、スルーホールに爪楊枝を立てて、ホールにハンダが入っていかないようにすること。
フラックスの威力は凄いものがあり、溶けたはんだが「ジュ~ッ」と狭い隙間にまで入っていきます。
ホールがはんだで埋まれば、また0.8㎜キリで穴あけをしなければなりません。
穴の中心が分からなくなってしまうと、修復したスルーホールを損傷してしまいます。

●作業例


・基板番号C19

・欠損状態 → こちら

・修復後

・表側の足とパターンをはんだ付け。

・裏側の足の一方(写真左側)をチップ抵抗にはんだ付け。

・写真右側の足とD24とは手持ちの0.9㎜Φ銅線でつなげる。0.5㎜Φくらいがよかったか?

最初はスルーホールの足を長くしてD24まで届かそうとしたが、足がうまく曲がらないので果たせず。
「スルーホールの足は足、配線は別のもので行う」。


・基板番号C40

・欠損状態 → こちら

・修復後

・近くに部品やパターンがないので足を長くする。足は理想の4分割。

・足の一部とパターン線をはんだ付け。

・裏側はパターンとの接続なし。隣のはんだ盛りと接触しないように足を逃がす。


・基板番号Q17,Q18 と基板番号F1,F2

・欠損状態 → こちら

・当初のスルーホール欠損は「右上の真ん中」だけ。
・スルーホール表側ランドとパターンの接続ありだから、表側の足とパターンをむき出しにしてはんだ付け。

・「写真右下の右端」と「写真左下の右端」はスルーホール一部欠損だったが、念のためにチューブを入れる。
・二つともスルーホールランドとパターンの接続がないから足を曲げるだけ。

・裏側はこうなります。

・左上真ん中は足が隣のランドにくっつかないよう注意。

・左下の左端と右下の左端はむき出しにしたパターンとはんだ付け。しかし「はんだ盛り過ぎ」。

・はんだ吸い取りで少し吸い取るがこの程度。対策は「はんだは少ないくらいに」。

・左上真ん中は両隣のランドに近いのでできる限り短くする。

・右下左端のランドもはんだの突起を削り、右隣のランドとの隙間を確保。


・基板番号C4

・欠損状態 → こちら

・スルーホール表側ランドと接続していないパターンが近接しているので「足を出さなかった」。

というのは言い訳で、実際はチューブがきつくてこれ以上入らなかったため。
入口を小さいプラスドライバーで拡げるだけにしました。
パターンと接続していない場合はこの方法もよい。

裏側はパターンと接続しているので、パターンをむき出しにしてはんだ付け。


・基板番号F0

・欠損状態 → こちら

・スルーホールが欠損。パターンと接続する側のスルーホールは健在。

・スルーホール修復の必要はなかったが、念のためにチューブを入れる。

・足をむき出しのパターンにはんだ付け。見栄えは悪くなったが、スルーホール機能は完全になったはず。

裏側はパターンとの接続なしだが、ランドが剥がれたので足をはんだ付けして押さえる。


・基板番号 IC3

・修復前の状態

スルーホール修復予定していなかった箇所。

見れば見るほど、スルーホールが欠損しているのが気になる。
「ホール右下に押し潰されている銅箔」は「スルーホールの左上にあった銅箔」。
だから、スルーホール左上が損傷or欠損しているはず。

しかし、ランドがパターンと接続する右半分のスルーホールは欠損していない。
それどころか、銅箔が押しつぶされて厚くなっている。

裏側のスルーホールのランドに変形なし。(写真の下の穴)

しかし、「気になる」のなら修復すればよい。それほど時間はかからない。

修復後の表側。
はんだが盛り上がっているのは銅チューブの足の位置が悪く足を折り曲げて根元に少し亀裂を入れたから。

このように、スルーホールの足がパターンに直接はんだ付けされていると安心です。

裏側は、

「はんだを控える」のばなかなか難しいもの。こちらは「盛る必要はなかった」のだけど。
部品をはんだ付けする前に、少し吸い取らなければなりません。

c.導通の確認

スルーホールを修復した場合はもちろん、
修復しなかった場合でも足を抜くときにスルーホールにダメージを与えています。
足を抜いたスルーホールすべてについて、スルーホールが機能しているかどうかを確認しなければなりません。

スルーホールの機能とは
①基板表側と裏側を接続する。 → スルーホール自体の導通
②スルーホールランドとパターンを接続する。 → スルーホールランドとパターンの導通

さらに、スルーホールの足を伸ばしてはんだ付けしているので、
③「パターンに接続されていないスルーホールランドとパターンの非接続・非導通」も確認しなければなりません。

しかし、考えてみれば
・スルーホールの修復には銅チューブを使っているので、修復したスルーホール自体の導通に問題ありません。
・修復していないスルーホールについては内部でスルーホールの一部が欠損していることもあるでしょうが
   部品の足を入れてはんだ付けをするときにホール内がはんだで満たされその欠損は修復されます。
・スルーホールのランドがパターンと接続している場合は、
   スルーホールの足とパターンを直接はんだ付けをしているので「パターンとの導通」に問題はありません。
・スルーホールランドと接続していない近接するパターンやランドとの「非接触・非導通」については
   目視で「お互いが離れていれば」、「導通していないこと」は明らかです。

それゆえ、わざわざ上記①,②,③を点検する必要はないのです。

それは分かっていても、「あのウンともスンとも言わないPGM故障を経験した電気知識ゼロの者」としては
「念のために」を重ねないと安心できないのです。

確認作業は確認表に沿って順番にやっていけばそれほど時間はかかりません。 → 確認表
当初の予定よりさらに時間がかかってうんざりしますがどうせ寒いのでオートバイに乗れません。
ここは「ひと手間」をかけてみましょう。

「導通確認」の結果は上の確認表のように全てOK。
「当然のこと」ですが、「確認しているのと確認していない」のでは安心感がまったく違います。

d.ソルダーレジストの修復

基板修復の最後の作業です。

封止剤を除去するときやスルーホール修復のときに傷をつけたパターンのチェックをします。
断線の可能性があるときはテスターで導通チェック。
ついでに、「取り付けてある抵抗器や他の部品が外れていないか」をチェックしていきます。

傷つけたパターンを見つけ、ソルダーレジスト補修材を塗りながら確認していきます。
作業時間は1時間もかかりません。
補修剤には「サンハヤトのソルダーレジスト補修剤・AYC-L15GR」を使いました。

補修剤は20分~30分置いて2~3回重ね塗り。自然乾燥で24時間おいてから通電(説明書き)。
たくさん付けてもすぐに固まります。

気になるのは「近接するスルーホール同士」と「スルーホールの近くにあるランド」。
はんだ付けのときに裏側は見えるけれどこちら側(表側)は見えない。
ブリッジ(はんだ盛りとはんだ盛りが隣同士でつながる)ができても裏側は修正できるが表側は修正できない。
近接するスルーホール同士には「お互いの間に壁を作る」ことにし、
スルーホールの近くにあるランドには補修剤を塗りました。

しかし、「近接するスルーホール間に壁を作る」ときに封止剤が全体に流れてしまうので、
スルーホールと近接するランドも封止剤に埋もれてしまいます。
そのため、近接するランドとスルーホールは分離されるのでブリッジの危険性がなくなります。
結局、「近接するランドに補修剤を塗る」ことは意味を持ちませんでした。

裏側も念のため。

同じく。

もうひとつ。

さらにもうひとつ。

これで基板修復は終わりです。
次は、ついに部品の取り付け、「最後の峠」となりました。

今度は「走り馴れている峠」ではなく「初めて走る峠」です。
「細かい部分のはんだ付け」などやったことがありません。
「どんなコーナーが現れるのか、こけずに曲がれるのか」と少々不安。

しかし、独りだから「どれだけ遅くても」誰からも文句をつけられません。
止まってもよいし、戻ってもよい。

そう言えば昨日の日曜日、いつもの165号線・青山峠。
車5台がノロノロ運転。

先頭を走っているのは「大型トラック」ではなく「大型バイクが二台」。
「まあ休日だから…。」と思いつつ、「SJ13・モタード改」はシフトダウンしてアクセルオープン。
「30年前の2st・250」は少し性格が悪いようです。

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トライクの法的取り扱い


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