RMX-SJ13 整備資料
2018.05.13. モタードRMX② の ギヤオイルが黒くて燃費が悪い-その3 / エンジン⑤-3 でも同じ
RMXモタードで「ギヤオイルがすぐに黒くなり燃費が悪くなった」エンジン②-2 の代わりに載せたのは「点検済みのエンジン⑤-3」
しかし、この エンジン⑤-3でも「ギヤオイルはすぐに黒くなるし、燃費も悪いまま」。
レース用イグナイターを標準イグナイターに換えても燃費は向上しない(かえって悪くなる)のでレース用イグナイターは燃費悪化に関係ない。
リードバルブやキャブレターも問題なし。
エンジン⑤-3の腰下は実走テストで燃費良好の実績がある。
エンジン⑤-3 に問題があるとしたら、組んでから実走テストをしていない「シリンダー,ピストン,ピストンリング」
エンジン⑤-3 を降ろして、各種のクリアランスを測定したが問題なし。
とにかく、「問題なしエンジン」としてスタンバイさせていた エンジン②-3 を載せる。
・レース用イグナイターは燃費悪化に関係なし。
※同じエンジン、同じ設定、同じコースで、燃費がレース用イグナイターで 16㎞/㍑、標準イグナイターで12.4㎞/㍑
★リードバルブ点検→異状なし
★キャブレターのスロットルバルブの不適合・N型とRS型
★スロットルバルブの不適合は燃費に関係なし(実走テスト)
・走行500㎞ のオイルが黒い。排出量は適正。
★シリンダー,ピストン,リングのクリアランス測定→問題なし。
★圧縮圧力の測定
1.燃費が悪くなったのはレース用イグナイターが原因ではなかった
・レース用イグナイターでのパワーと走行は力強く頼もしさがあります。 しかし、その燃費は、キャブレターセッティングなしで 16㎞/㍑。 以前の「軽く20㎞/㍑超え」から格段に悪くなった。 これでは尾鷲・熊野に持ち込んだら熊野に着く前にガス欠となってしまう。 ・しかし、問題はイグナイターではなくエンジンにあるのかもしれない。 そこで、標準イグナイターに交換し満タンで尾鷲・熊野に持ち込み。 パワーと走行感は「レース用イグナイターのときより回転が軽くなった」だけ。 回転上昇、高回転~MAXでのパワーに全く問題はなし。 長い登りでは「これ以上開け続けるとエンジンに負担がかかる」と休ませるほど。 しかし、燃費は 13.7㎞/㍑。 同じコース、同じ状況、同じ設定で、今までは軽く 20㎞ / ㍑ 超え。 もちろん、エンジンオイル消費量も多く、尾鷲熊野往復ではオイル警告ランプが点灯。 ・「燃費悪化はレース用イグナイターではなく、エンジンにあるのではないのか?」 ・しかし、載せ換えたエンジン⑤-3 はチェック済みのエンジン。 |
a.今までの燃費
① 2018.04.19 ( あまり正確ではない )
・ エンジン②-2 ( エンジン載せ換え前 ) + キャブ④
・ レース用イグナイター
・ 前17インチ×後17インチ・前15枚×後43枚
・ 近場のみ走行して距離を稼ぐ。
・ トリップ / 138.9㎞、実走行 / 112.5㎞ で8.86㍑使用→燃費=12.697≒12.7㎞/㍑
② 2018.04.23 ( 正確 )
・ エンジン⑤-3 ( 載せ換えたエンジン ) + キャブ④
・ レース用イグナイター
・ 前17インチ×後17インチ・前15枚×後43枚
・ 前回、20996.8㎞ で満タンに。
・ 近場+165号線で、オド / 21179.2㎞,→ 走行距離=182.4×17/21=147.65㎞
・ タンク内に残っていたガソリン=1.76㍑ → 使用したガソリン=11-1.76=9.24㍑
・ 燃費=147.65÷9.24=15.979≒16㎞/㍑
③ 2018.04.30 ( 正確 )
・ エンジン⑤-3 ( 載せ換えたエンジン ) + キャブ④
・ 標準イグナイター
・ 前17インチ×後17インチ・前15枚×後43枚
・ 2018.04.23、オド / 21179.2㎞ で標準イグナイターに交換し、ガソリンを。9.22 リットル 入れ、165号線走行。
・ 2018.04.30、オド / 21212.4㎞ でガソリン3.1リットル 追加し尾鷲・熊野へ。
熊野に着く前にリザーブに。8.4リットル ( ぎりぎり満タン )給油して折り返し。
オド / 21497.6㎞ で残っていたガソリンは2.6リットル。
燃費は13.73㎞ / ㍑、初めからの総合燃費は12.44㎞ / ㍑
※前17インチ×後18インチ・前15枚×後46枚での燃費
・ エンジン②-2 + キャブ④で/尾鷲・熊野往復で22㎞/㍑ 程度。→→→こちら ( 2015.12 21.8㎞/㍑ ) と こちら ( 2016.06 22.5㎞/㍑ ) と 2017.5 に21.4㎞/㍑。
●●
・前々から気になっていたのがインテークマニホールドの下の漏れ。 触ってみるとオイル状。 しかし、キャブレターからオイルが漏れた様子はない。 ・この程度の漏れなら、それほど燃費を悪化させることはないが、 リードバルブのガスケットは交換した方がよい。 ・ついでに、リードバルブをチェック。 |
比較のために、今まで使っていたエンジン②-2 ( ケースRS ) のものと、エンジン⑥ ( ケースN ) についているものを外しました。
・下段右が今まで使っていたエンジン②-2 ( RSケース ) のもの。 ・下段左が今回取り付けたエンジン⑤-3 ( Nケース ) のもの。 ・上段右がオイルシール逆組のエンジン⑥ ( Nケース ) のもの。 ・上段左はリメッサパワーアップのリードバルブ゚ |
・下段右のRSケースのリードバルブには仕切りがあります。 ・他のNケースのものやリメッサのものは仕切りがありません。 |
リードバルブのチェックはリードの損傷や反り・浮き上がり。
リードバルブはクランク室が負圧になれば開き、正圧になれば閉じなければなりません。
亀裂や反りがあると負圧がかからなくても正圧がかかっても開いていることになります。
どのリードバルブもリードに損傷はなく、ピッタリ閉じて問題はありません。
チェック方法としてガソリンを入れたり、息を吹き込んだりする方法があるとか。→→→こちら
これを試してみました。
・燃費悪化のエンジン⑤-3 につけてあるリードバルブです。 ・ガソリンを入れると、 「 ポタ…、ポタ…、ポタ…」、ガソリンが溜まります。 |
・今度は燃費の良かったエンジン②-2 についていた仕切りのあるRSリードバルブ。 ・左室はエンジン⑤-3 のものと同じ「ポタ…、ポタ…、ポタ…」、ガソリンが溜まります。 ・右室は「ポタ、ポタ、ポタ、ポタ」とガソリンがすぐになくなってしまう。 ・インシュレーターを付けて息を吹いたり吸ったりすると、 エンジン⑤-3 のものより抵抗が少ない。 |
・走行3386㎞ なのに「クランク右オイルシール逆組み」のエンジン⑥ のものは、 「 ポタ、ポタ、ポタ、ポタ 」とガソリンは一旦溜まるが、がすぐになくなってしまう。 |
・リメッサのものは「 ダ、ダ、ダ、ダ 」とガソリンが溜まることはない。 ・なお、リメッサは樹脂リードが二枚重ねられている。 低回転では上のリードが、高回転では下のリードが開くのでしょうか? |
リードに 「 腰がある 」 順番をつければ、エンジン⑤-3 > エンジン②-2 ≧ エンジン⑥ > リメッサ。
腰があれば開閉が強く、へたれが少ないということ。
しかし、クランク室がリードバルブを開けたり閉じたりする力はもっともっと大きいので、こんな差は実際に問題にならないでしょう。
もし、差があるとしても、燃費悪化のエンジン⑤-3 のものの方が燃費の良かったエンジン②-2 よりへたれが少ないので、この差は燃費には関係しないことになります。
ガスケットだけを新しくして、現在のエンジン⑤-3 には元通りのリードバルブを付けました。
★★21
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※トライクの法的取り扱い
・もちろん、なんの問題もありませんでした。 ・MJ / 195、PJ / 30.0、JN / 6BGK1-三段目、AS / 1.5回戻し。 ところが…。 |
外してあるピストンバルブ ( スロットルバルブ ) を取り付けようとしたところ、
・ピストンバルブ の穴の大きさが違う? | ・このキャブレター④ は RS型の 29E02 ・RS型ではニードルジェットの頭の形が変更され ( 細長くなり )、 それに対応してピストンバルブの穴の形が変更されました。→→→ こちら このニードルジェットは 頭の細長いタイプ。 |
・しかし、今まで使っていたピストンバルブは N型のもの。 | ・左がN型のピストンバルブ。 ニードルジェットの頭が太く短いので、それにはまる穴が大きくなっています。 ・右がRS型のピストンバルブ。 ニードルジェットの頭が細く長いので、それにはまる穴が小さくなっています。 ・穴の形も N型はニードルジェットの切欠き部分が平坦な 「 D 」 字形、 RS型は平坦な部分がない 「 O 」 字形。 |
ニードルジェットの頭が太いN型キャブレター ( N型ニードルジェット ) に、RS型の穴の小さいピストンバルブははまりません。
逆に、ニードルジェットの頭が細いRS型キャブレター ( RS型ニードルジェット ) に、
N型の穴の大きいピストンバルブははまりますが、穴の形状が違うので仕様通りの性能は出ないかもしれません。
もしかして、これが燃費悪化の原因?
この取り違えはいつからなのでしょうか?
整備メモを調べてみると、
2017.9~2017.10 に N型のキャブレター⑤ のテストをしています。
テストが終わって今までのRS型のキャブレター④ に換えるときに、RS型のピストンバルブに戻さずそのままN型のピストンバルブを取り付けたのでしょう。
仮に 「 キャブレター・ピストンバルブの適合ミスが燃費悪化の原因 」 とすれば、2017.10から燃費悪化は始まっていたはず。
前17インチ×後18インチ/前15枚×後46枚での好燃費は全てエンジン②-2 +キャブ④で2017.10以前のもの。
上記、「燃費 a-① の悪燃費」は2017.10以降のものだから「同じエンジン②-2 +キャブ④/ピストンバルブ不適合」のもの。
違っているのは前後17インチとピストンバルブの不適合。
また、前17インチ×後17インチ/前15枚×後43枚での燃費悪化は2018.4~で2017.10以降のもの。そして、キャブレターは同じ④/ピストンバルブ不適合。
さらに、エンジン②-2 をチェックしたときにピストンがオイルベタベタだったことも納得がいく。→→→こちら
しかし、ピストンバルブの適合ミスが 「 これほどの燃費悪化 」 を引き起こすだろうか?
スロットルを開け、ピストンバルブがニードルジェットの頭から外れてしまえば、燃料の吹き出し量はジェットニードルの大きさで決まりピストンバルブの穴は関係ない。
ピストンバルブの穴が関係するとしたら、ピストンバルブが完全に降りているアイドリングかピストンバルブがニードルジェットの頭から離れる前の低回転域。
それだけの関係だけでこんなに燃費を悪くするものだろうか?
しかし、どんなに小さなことでも 「 それが原因となる可能性があれば 」 検証してみて損はない。
本日から、載せ換えたエンジン⑤-3 と 適合ピストンバルブを取り付けたキャブレター④ で燃費計測開始。
オド / 21526.7㎞、トリップ / 347.3㎞ でガソリンをギリギリ満タンに
d.ピストンバルブ適合状態での燃費
※「キャブレタービストンバルブの不適合」は燃費悪化と関係なし。
・165号線を軽く往復、オド / 21643.5㎞、トリップ /464.1㎞。
・走行距離= ( 21643.5 -21526.7 ) × 17/21 ≒94.6㎞
・残っていたガソリンは 2.7㍑。使ったガソリンは 11.0 - 2.7 =8.3㍑
・燃費 : 94.6 ÷ 8.3 ≒11.4㎞ / ㍑。
燃費悪化記録更新です。
「キャブレターのピストンバルブ不適合は燃費悪化と関係なし」という結論。
・「イグナイター問題なし、リードバルブ問題なし、キャブレター問題なし」なら、
エンジン⑤-3 でも燃費が悪いのはやはりエンジン⑤-3 に原因がある。
・エンジン⑤-3 の腰下は以前の実走テスト(前17インチ×後18インチ/前15枚×後46枚)で燃費問題なし。
・それなら原因はエンジン⑤-3 のシリンダーとピストン。
エンジンをOHしたときにはピストンを手持ちの程度のよいもの又は新品に、ピストンリングも新品にします。
しかし、エンジン⑤-3 のシリンダーとピストンについては単にエンジン⑥から移しただけ。
この当たりが原因か?
★★22
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原動機付き自転車扱いです。
出てきたオイルは 真っ黒。 金属粉のキラキラはないが、走行 500㎞程度のギヤオイルの色ではない。 2stのギヤオイルはシリンダ内を潤滑していないからこんなに黒くなるはずはない。 |
排出量は 700㎖+α。 750㎖ を入れているが、排出容器付着分を考えれば 「 増えもせず、減りもせず 」。 ガソリン臭もないので、 「 クランク室からの混合気吹き込み 」 はないと考えられます。 |
このクランクケースについてはテスト走行のときに 「 排出ギヤオイルが黒い 」 が確認されています。→→→こちら
原因であるだろう「 クラッチの滑り 」 は プライマリードリブンギヤの爪段差修復で解決しているはず。
ギヤオイル黒化の原因はどこにあるのでしょうか?
ホームセンターで4㍑ 千円強のギヤオイルに問題があるのでしょうか?
こうなると、クランク室からの混合気吹き込みを疑わなければならなくなる。
しかし、クランクケース内OHからそれほど距離を走っていない…。
OH時に組立不良やガスケット不良があったのか?
・インテークマニホールド下のオイル汚れ(上記 1-b)は ガスケット交換だけでは解決されませんでした。 100㎞弱の走行でこの通り。 ・ガソリン臭があるので、これは混合気でしょう。 しかし、キャブレターの継ぎ目にもインテークマニホールドの継ぎ目にも漏出の痕は見られない。 クランクケース下も汚れはありません。 ・クランクケース上の継ぎ目からでしょうか? ・しかし、このような 「 滲み 」 が 「 大幅な燃費悪化 」 に原因するとは考えられません。 |
f.エンジン④はN型のはず?
問題のRS型キャブレター④ はもともとエンジン④のRMX④についていたもの。→→→こちら
RMX④は 車台番号 SJ13A-103337 / エンジン番号 J113-103161 の N型。
※R型は 車台番号 SJ13A-104121~、S型は 車台番号 SJ13A-104841~
※N型・R型・S型の違いは車台番号で判別できますがエンジン番号では判別できません。
YahooオークションにSJのエンジンやクランクケースを出品される方は、エンジン番号ではなくそれが搭載されていた車体の車台番号を記載願います。
このエンジン④ をOHしたときに、排気バルブN型、クランクケースN型を確認している。
それなのになぜRS型のキャブレターが付いていたのだろう。
それに、排気バルブ右室カバーが排気孔のあるRS型のものだった…。
N型シリンダーにRSカバーをつけると、今回降ろしたエンジン②-2 のような問題が起こる可能性あり。→→→こちら
これを確かめてみなければ…。
休眠中のRMX④ を車庫の奥から出してチェック。
確かに、右カバーは排気口のあるRS型のもの。 排気バルブ室右側に排気口のあるN型シリンダーに このRS型右カバーを付けると、 排気バルブ室に入り込んだ排気ガスは主に右室に入って このカバー排気口から出ていく。 その結果、排気バルブ右室に排気ガスが充満し部品が錆びる。 |
カバーを外してみると、排気バルブ室右側の排気口付近にタールが溜まっている程度。 試乗程度であまり走っていないからこれくらいで済んだのだろう。 それでは排気バルブ室右側の排気口の写真を撮っておきましょう。 |
しかし、右側の排気口がありません。
・なんと、これは 「 右側排気口のない 」 RS型シリンダー だったのです。 つまり、エンジン④ は、 N型エンジンにRS型シリンダーとRS型キャブレターを取り付けたものだったのです。 だから、このエンジン④から取り外し、 今まで使っていたキャブレター④ がRS型のものだったのです。 ・もちろん元通りRS型の排気口のあるカバーを付けておきました。 排気口のないN型カバーをつけるとクランク室内の圧力がさがりませんから。 ・SJ13 の N型 と R型・S型 の部品には互換性があります。 しかし、その組み合わせには適合するものと適合しないものがあります。 ・RMXユーザーの殆どが エンジンに手を加えます。 中古のRMXを入手したときは車台番号だけで型式を判断するのではなく、 各部品の型式を個別に判断しなければなりません。 そんなことを感じました。 |
使用するのはノギスとシックネスゲージだけ。
新たに入手したのはシックネスゲージと後で紹介するコンプレッションゲージだけ。
こちらが今回入手したシックネスゲージ。 ・左が リーフ長 / 75㎜、 測定範囲 / 0.04㎜~1.00㎜ / 25枚組 ※ Amazon 560円 →→→こちら ・右下が リーフ長 / 100㎜、 測定範囲 / 0.04㎜~0.30㎜ / 9枚組みの シンワ 73780 ※ ホームセンター 548円 ・右上は工具箱に入っていた 古い 9枚組み。 ・三つとも、 0.04, 0.05, 0.06, 0.07, 0.08㎜ は同じ。 ・左側のゲージは各リーフが取り外し可能。右側の二つは取り外し不能。 ・各リーフが取り外せるもの、リーフ長が長いものが便利です。 ・今回は「シリンダーとピストンのクリアランス」をシックネスゲージを使ってチェック。 この場合、シックネスゲージが二組必要。 左側のゲージは Amazon ですから二組注文しておくべきでしょう。 |
★★23
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どちらも「立ちごけ」しません。
・測定はリングをテーブルに貼りつけて、ノギスを当てても隙間が拡がらないようにして測ります。 ・リングマーク側 ( 上側 ) が上です。 ・リングを置いて、その上からテープを貼るとリングが拡がることがあるので、 「リングをテープの粘着面の上にそっと置いて、リングをテープに密着させてから」 裏返して机に貼りつけます。 ・もちろん、ノギスを強く開くと合い口隙間が拡がりますから、 できるだけ合い口に力を加えないようにします。 |
( 組立合い口隙間 )
ピストンリングがシリンダーと密着した場合の合い口隙間です。
ピストンリングが磨耗して外周 ( 外径 ) が小さくなると、そのぶん外側に張るので隙間が拡がります。これはピストンリングの磨耗チェックでしょう。
※ 0.85㎜ 以上ダメ。
・リングをはめる場所の指定はありませんが、 複数のリングの優劣を判断する場合は同じ場所にして測定することが必要です。 ・ピストンを下から入れて、ピン穴の上までで止めてリングを押し上げました。 |
・シックネスゲージを隙間の上から人指し指の腹で押し込んで測ります。 ・ゲージをグッと押し込むと、 リングが開いてゲージが隙間に入って抜けない場合を測定値としました。 |
エンジン⑤-3 | エンジン②-2 | リング⑦ | リング⑧ | リング⑨ | ||||||||
top | 2nd | top | 2nd | top | 2nd | top | 2nd | top | 2nd | |||
自由合い口 5.1㎜以下× |
測定値 ㎜ | 6.4 | 5.8 | 6.4 | 5.9 | 6.1 | 6.0 | 5.9 | 5.7 | 6.4 | 5.7 | |
評価 | ||||||||||||
組立合い口 0.85㎜以下× シリンダ②-2 使用 |
測定値 ㎜ | 0.4 | 0.4 | 0.45 | 0.45 | 0.4 | 0.35 | 0.4 | 0.45 | 0.45 | 0.4 | |
評価 |
・どのリングも合格点です。
・エンジン⑤-3 と エンジン②-2 を比べると、エンジン⑤-3 のリングの方が磨耗度が少ないことになります。
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孫には こちら
・リングをリング味噌に押しつけることはできても、 リングを溝の上に押し上げることが難しい。 ・さらにリングの下にできた溝に0.07㎜の薄いシックネスゲージを差し込むことが難しい。 |
・ノギスでリング溝の巾を測ることでよしとしました。 |
・ ピストン外径 : ピストン下端から 24㎜上がった所でピストンピンとその直角方向を測定する。 ※ 66.88㎜以下×
・ピン孔のえぐってある部分の下端が 「 24㎜上がったところ 」 です。 ・ピストン外径=66.950~66.965㎜ ( 使用限度 66.880㎜ ) ※PJマニュアル。 ・0.01 ㎜ はノギスでは測れません。マイクロメーターが必要です。 参考のためにノギスで測りました。 ノギスが真っ直ぐに当たっていないので不正確です。 |
未使用 | エンジン⑤-3 | エンジン②-2 | ピストン⑦ | ピストン⑧ | ピストン⑨ | |||
ピストンピン孔 内径 ※18.03 ㎜以上× |
右側 | 測定値 縦 / 横 ㎜ | 18.1 / 18.1 | 18.1 / 18.1 | 18.1 / 18.1 | 18.1 / 18.1 | 18.1 / 18.1 | 18.1 / 18.1 |
評価 | ||||||||
左側 | 測定値 縦 / 横 ㎜ | 18.1 / 18.1 | 18.15 / 18.1 | 18.1 / 18.1 | 18.1 / 18.1 | 18.1 / 18.1 | 18.1 / 18.1 | |
評価 | ||||||||
ピストンリング 溝巾 |
top | 測定値 ㎜ | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 |
評価 | ||||||||
2nd | 測定値 ㎜ | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | |
評価 | ||||||||
ピストン外径 | 測定値 | 66.9 | 66.9 | 66.9 | 66.9 | 66.8 | 66.9 | |
評価 | ||||||||
ピストンの状態 | 〇 | 5時~5時半、 10時~11時位置に やや深いタテ傷 |
深いタテ傷なし 10時方向ヘッド隅 に削れ |
11時半~12時半に やや深いタテ傷 |
全面にタテ傷 やや深い傷多い |
全面にタテ傷 やや深い傷多い 上端~top溝の 側面にも傷 |
||
使用可否 / 総合評価順位 | ◎ / 1 | 〇 / 3 | 〇 / 2 | 〇 / 3 | × | × |
ここでの評価では、エンジン⑤-3 が エンジン⑤-2 に劣後しますがそれほどの差はありません。
★★25
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これで「もの」になるようなら
「65 か 85」にステップアップ。
・シックネスゲージ二枚をシリンダーの前後にセット。 この上からピストンを押し込んで シリンダーとピストンのクリアランスが許容範囲にあるかどうか判断。 |
・一方をテープで貼りつけ、もう一方を手で持ってピストンを押し付け。 貼りつけた方のシックネスゲージは折り目がついて修復できません。 古いゲージはちぎれてしまいました。 |
シックネスゲージをシリンダー上端から20㎜以上差し入れピストンが通れば、
シリンダーとピストンのクリアランス = ( シリンダー上端から20㎜下のシリンダー内径 ) - ( ピストン下端から24㎜上がったところのピストン外径 ) > シックネスゲージの合計厚
ピストンが通らなければ、クリアランス < シックネスゲージの合計厚
クリアランスは 「 0.12㎜以上が× 」 だから、「 0.06㎜×2枚 」 でピストンが通れば×、通らなければ〇 となってクリアランスは許容範囲内となります。
ゲージ | 前エンジン⑤-3 | 前エンジン②-2 | 前エンジン②-3 | 前エンジン⑥-3 | |
元エンジン⑥ | 元エンジン⑤ | 元エンジン② | 元エンジン③ | ||
未使用ピストン と そのエンジンの シリンダー |
0.06×2 | 〇 | |||
0.05×2 | 〇 | 〇 | 〇 | × | |
0.04×2 | × | × | × | × | |
評価 | 0.1㎜未満 | 0.1㎜未満 | 0.1㎜未満 | 0.12㎜未満 | |
そのエンジンの ピストン と シリンダー |
0.06×2 | 〇 | |||
0.05×2 | 〇 | 〇 | × | ||
0.04×2 | × | × | |||
評価 | 0.1㎜未満 | 0.1㎜未満 | 0.12㎜未満 |
※2020.06.20.前エンジン⑥-3/元エンジン③のシリンダーの内径測定 → 67.023㎜(使用限度は67.05㎜) → こちら
・ シリンダー自体の磨耗は、⑥,⑤,② < ③。
・ セットでの磨耗は、⑤-3 セット,②-2 セット < ②-3 セット。
ここでも、エンジン⑤-3 は エンジン②-2 と同じ評価となりました。
以上の測定では測定器具と測定技術が不充分なため、測定値は信頼できるものではありません。
しかし、同じ測定器具と同じ測定技術で測定しているので「相対的な測定値」は信頼でき、測定対象物同士の比較の根拠としてもよいと思います。
ニ.結論
以上より、燃費が悪くなったエンジン⑤-3 の腰上 ( シリンダー,ピストン,ピストンリング ) は
燃費がよかったエンジン②-2 のものと同じく、全く問題がないことになります。
そうすると、エンジン⑤-3 の燃費悪化の原因は、
「 2016.02にOHして、実走テストで燃費に問題ななかった 」 エンジン⑤-3 の腰下 ( エンジン⑤ ) という矛盾した結果になります。
実走テスト後にエンジンを動かしていないのでベアリング損傷は考えられませんが、
交換したクランクオイルシールの不良や、動かさないことにより貼り付き損傷も考えられます。
燃費悪化の原因を「エンジン⑤-3 の腰下が怪しい」と追い込んだところで、「点検・異状なし」のエンジン②-3に載せ換えます。
エンジン②-3の内容は、
・ シリンダ ( 元エンジン⑤ / 前エンジン②-2 )
・ ピストン ( 未使用ストック )
・ ピストンリング ( 前エンジン②-2 )
・ 排気バルブ ( 最近入手したN型→→→こちら )
・ クランク・クランクケース ( エンジン②のRS型 / クランクオイルシール交換 )
・ クラッチ一式 ( RM250用 →→→こちら )
★★26
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バランス能力が鍛えられるかも。
ゲージを注文するついでに コンプレッションゲージを注文しました。 Amazonで2000円程度で入手しましたが、安いところがありました。 ※エンジンコンプレッションゲージ J030 圧縮圧力を圧縮比から求める簡易式は 「 圧縮圧力=大気圧(1気圧)×圧縮比の1.3~1.4乗 」 とのことなので、→→→こちら SJ13の圧縮比=6.9→圧縮圧力=12.3~14.9 気圧 ※小数点のある累乗はGoogle で 「 関数電卓 」 で検索すると電卓自体が出てきます。 左が今回搭載するエンジン②-3、右がシリンダーとピストンに問題のなかったエンジン⑤-3。 この状態でエンジンを抑えてキックすると、「 どちらも 4気圧 」。 搭載した状態で強くキックしなければ測定できないのか、暖気運転などの測定必要条件があるのか? しかし、エンジン⑤-3 と エンジン②-3 の値が同じだったので、 燃費の悪化したエンジン⑤-3 の圧縮系に異常がないことのさらなる証拠となりました。 なお、入手したゲージはアダプターが14㎜と18㎜なので、SJの14㎜プラグ穴にはセットできますが、 FJ ( 4気筒バイク ) の 12㎜のプラグ穴にはセットできません。 アダプターを別に入手するか付属の押しつけプラグで測定しなければなりません。 ゲージを入手するときは1 「 2㎜、14㎜ アダプター 」 が付属しているものがよいと思います。 |
エンジンを車体に載せてキックしたところ 7.5気圧ありました。
簡易計算値 ( それが正しいと前提して )との違いは、プラグネジ長とアダプターネジ長の違いや、暖気運転の有無が関係しているのでしょう。
「 コンプレッションゲージの値は相対的なものとしての利用しかできない 」 ことを感じました。
なお、単気筒ではフレームの下にプラグ孔があるので、ゲージホースの取り付けに苦労します。
「 アダプターだけを先に取り付けてホースをパチンと接続するようなゲージ 」 があるかどうか不明ですが、
殆どのゲージはホースをつけたままプラグ孔に取り付けなければなりません。
ホースを時計回りにねじりながらアダプターをねじ込むなどの工夫が必要です。
アダプターでプラグ孔のネジ山を削らないように注意してください。
なお、圧縮圧力の異常はシリンダー,ピストン,リングを測定すれば判るので、コンプレッションゲージは不要かと思います。
まあ、2000円弱なので 「 工具好き 」 には入手して問題ないレベルですが…。
4.これからやるべきこと
a.載せ換えたエンジン②-3 の燃費が悪いままなら、エンジン⑤-3 での燃費悪化の原因はエンジン以外。
b.載せ換えたエンジン②-3 の燃費が改善されれば ( 元の燃費に戻れば ) エンジン⑤-3 での燃費悪化の原因はエンジン⑤-3 の腰下。
・ 腰下はOH済みだが、何らかの問題があるかも知れないし、新たな問題が生じたのかも知れない。。
・ それから、クラッチが完全につながらないなら ( 少し滑っているのなら ) エンジンは回るが燃費は悪くなる。
エンジン⑤-3 のクラッチは完全に切れないので、遊びを極力少なくしている。だから完全につながらずにパワーロスをしている可能性がある。
エンジン②-2 のクラッチに付け替えて検証するべき。
・ ただし、エンジン②-3で燃費が改善されれば、何の異状もなかったエンジン②-2での燃費悪化が説明できなくなる。
c.エンジン②-2 でのギヤオイル黒化と排出量過多、エンジン⑤-3 でのギヤオイル黒化の原因追求。
・ クランクシャフトオイルシールを交換したエンジン②-3 でギヤオイル黒化がなければ、エンジン②-2 での症状はオイルシール劣化。
・ エンジン⑤-3 での症状もオイルシール劣化が原因の一つとなる。
d.レース用イグナイターでのキャブレターセッティングと燃費測定
・エンジンを②-3に載せ換え
・オド / 21655.3㎞、トリップ / 0.00㎞ でガソリンをギリギリ満タンにして燃費計測開始。
・ミッションオイルは 「 750㏄+20㏄ 」、容器付着分を見越せば 「 全容量の750㏄強 」。
加速や回転の伸びは今まで通りですが、アクセル開度に比しスピードが出ているようです。
「 エンジン⑤-3 での燃費悪化 」 は案外クラッチの滑りに起因しているものかも知れません。
その点を考慮して、クラッチレバーを引き代の少ない Rally から引き代の大きい標準レバーに換えました。
※標準レバーとRally ショートレバーの実質的なストローク差によるプレッシャデスクの移動量の差は 0.1㎜ 程度です。( 次回掲載 )
ジャダースプリングを入れたRM250のクラッチに標準クラッチとの違いは感じられません。
つづく
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