●頑丈な「ワイヤーたいこ」の作り方とケーブル調整

頑丈なタイコの作り方
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5. 笠をタイコの内側に作る ( 1.4,1.5,2.0㎜Φワイヤー )

作業手順で説明していきます。

a. 真鍮棒を必要な長さに切る

ディスクサンダーでは真っ直ぐに切断することが難しい。
バイス(万力)は円棒を面で固定できずに、サンダーの回転方向(下)に動いてしまう。
まず解決しなければならないのは「真鍮棒の両端面を垂直に切る」こと。

少しでも「垂直に切断する」ために、

バイスの端にサンダーを押しつけて真鍮棒の端面をできるだけ垂直にする。

切断する長さをバイスの中に残し、Cクランプで真鍮棒を支える。
※Cクランプにはバイスの真鍮棒の高さに6㎜Φ の穴を開けておく。

棒を切断し、サンダーをバイスの端に押しつけて垂直面を作る。

整形分を見込んで
スロットルレバー側7㎜
スロットルキャブレター側・クラッチレバー側12㎜で切断
※出来上がり長さは6㎜,11㎜。

これでも充分な垂直面になっていません。
これが、バイスと手持ちグラインダーの限界。

b. タテ溝を作る

切り出した真鍮棒をバイスに挟んで、サンダーでタテ溝を作る。
バイスの両側に当たらないようにサンダーを入れるのでタテ溝はほぼ中央になる。
この溝にワイヤーの笠を収めます。

溝の深さは円棒の真ん中あたりまで。
溝は真っ直ぐでなくてもかまいません。

c. 中央に穴を開ける

円棒の表面にキリを立てるとキリが逃げてしまいます。
溝の中にキリを立てればキリが逃げることはありません。
狙った中央に穴を開けることができます。
※1.4,1.5㎜Φワイヤー → 1.7㎜Φ、2.0㎜Φワイヤー →2.2㎜Φ。ワイヤー入口は拡げる。

「切断面が斜めになっているもの」は後で整形できます。
「穴が中央に開いていないもの」は没にします。
「中央に穴があること」は大切なので、ちゃんとマーカーで印を付けてからキリを立ててください。

d. 笠を作る

●溝付きたいこ

ワイヤーを引き出して、フライヤーで直角に曲げて笠を作る。

ワイヤーを引っ張って笠を溝に引き込む。

傘の不要部分(たいこから出っ張っている部分)を切除。

この状態でハンダこてを使ってハンダを溶かし入れようとしてもできません。
溶けたハンダが開いたワイヤーの上に乗るだけで、ワイヤーの隙間に入っていきません。
ハンダこてはワイヤーの隙間にハンダを入れるのには不向きです。
ワイヤーの隙間をハンダで埋めるには「溶かしたハンダの中に漬け込む」ことが必要です。

側面と両端面をアルミテープでマスキングする

溝からワイヤーがはみ出すときは、ハンダ線を巻いて押さえつける。
もう一巻できます。

●溝なしたいこ

ワイヤーの出口をすり鉢状に拡げる。(笠が納まる部分を作る)

ワイヤーを引き出して、プライヤーで曲げて笠を作る。

笠を引き込む。

傘の余分な部分はできるだけ切除する。

側面と両端面をアルミテープでマスキングする

e. 漬け込み

今回使ったハンダ桶は「銀色ラッカーペコ缶の銀粉を混ぜる中蓋」。
これをバイスで斜めに固定してハンダを入れ、バーナーであぶればハンダが溶けます。
ハンダは冷めれば固まりますが、ハンダ桶にはくっつきません。
固まったハンダを外して保管しておけば何度でも利用できます。
こんな大げさな道具は必要ありません。 → こちら

ハンダが一番溶けた状態(ユルユル状態)で漬け、しばらくして取り出すと、

タテ溝にハンダが詰まっていません。
どこかのサイトに「毛細現象でハンダがワイヤーの中にしみ込んでいく」と書いてありました。
ハンダがワイヤーの中にしみ込んでも固定力は生じません。
この「粗い隙間」にハンダ詰まって「拡がった笠の形」が固定されないとストッパーになりません。

この状態でタイコをプライヤーで、ワイヤーをバイスプライヤーで掴んで、
捩じるようにして引っ張るとワイヤーが外れてしまいます。

ハンダば冷えるにつれて、
「ユルユル」 → 「表面に薄い膜が張る」 → 「膜が厚くなる」 → 「固まっていく」と変化。
表面の膜が厚くなるにつれて「たいこ」にたくさんのハンダが付着します。
「薄い膜~暑い膜」の中間で引き揚げるのがよいでしょう。

引き揚げるとこんな状態。

しかし、マスキングしたアルミテープを剥がすと、

不要なハンダを取り去ることができます。

このアルミテープのマスキングは思った以上の効果があります。
もう、たいこ側面にくっついた余分なハンダをサンダーで削り取る必要はありません。

あとは、笠の部分を平坦にするだけ。
出っ張っているワイヤーに軽くサンダーを当てて切除し、ヤスリで仕上げる。

どこかのサイトに「サンダーの切削熱でハンダが溶けるから、濡れタオルで冷しながら行う」とか。
そんな心配は無用です。
サンダーをチョンチョンと当てて、出ているワイヤーを切除するだけです。ハンダは溶けません。
また、ハンダが溝にしっかりと入っているので、少しくらい溶けても問題ありません。
かえって溶けた方が細かい所まで入っていくので都合がよいとも言えます。

左の「溝付きたいこ」と右の「溝なしたいこ」。
笠のストッパー力が強いのはどちらでしょう?
この状態でワイヤーをブライヤーで挟んで捩じって引っ張った場合、どちらの笠が頑張るでしょう?

「溝付きたいこ」の溝がハンダで埋まっていませんが、笠の広がりはしっかりと固定されています。
気になるのなら、「もう少し漬け込み時間を長くする」か「ハンダこてでハンダを盛りつけ」。

やっと、「100Wハンダこて」の出番が来ました。
ただし、これは単なる整形。笠のストッパー力を強めているわけではありません。

しかし、見た目がキレイな方がよい。
見るからに頑丈なたいこになりました。
もちろん、実質も「非常用のネジたいこ」より強くなっているはずです。

さあ、NSRのたいこを「溝付きたいこ」に取り替えましょう。
これで、安心して尾鷲・熊野の峠に持ち込めます。

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