●頑丈な「ワイヤーたいこ」の作り方とケーブル調整

頑丈なタイコの作り方
選任のための法律知識・



7. 2.5㎜Φワイヤーのクラッチレリーズ側とレバー側の たいこ

a. クラッチワイヤーには 2.0㎜Φ と 2.4㎜Φ がある

上段左がスティード400のクラッチケーブル、右がバルカン400のクラッチケーブル。
※スティード400の方はNSR用のガイドが付けてあります。
入っていたワイヤーはスティードが2.4㎜Φ(実測)、バルカンが2.0㎜Φ。
2.4㎜Φは触ると太さを実感します。
NSR純正は2.4㎜Φワイヤーです。
下段はホームセンターで入手した2.5㎜Φ ステンレスワイヤー、178円/m。

今回のケーブル作り直しではスティード400のケーブルを使いましたが、
ワイヤーに「線切れ ( ワイヤーの中の1本が切れている状態 ) 」があり使用不能。
汎用の 2.5㎜Φ ワイヤー を試してみました。

ケーブルのスパイラルワイヤーの中にはチューブがあり、このチューブの中をワイヤーが通ります。
2.0㎜Φ ワイヤーと 2.4㎜Φ ワイヤーとではチューブ径が違うだろうから、
2.5㎜Φ ワイヤーが入るかどうか、その動きがスムーズかどうか試してみなければなりません。

結果は問題なし。
2.4㎜Φ ワイヤーの入っていたスティードのケーブル,
2.0㎜Φ ワイヤーの入っていたバルカンのケーブルともに動きもスムーズ。
案外、チューブは同じなのかもしれません。

b. クラッチレリーズ側のたいこ

他車のクラッチケーブルを流用する場合、レバー側のたいこを切断すれはワイヤーが外れます。
取り付けなければならないのはレバー側のたいこだけ。
しかし、新しいワイヤーを使う場合はレバー側とレリーズ側のたいこを取り付けなければなりません。
レリーズ側のたいこは形が違います。

どこかのサイトでは「外径6㎜Φの真鍮パイプをワイヤーに通して、ハンダで埋める」とか。
そんな程度では「レバー一握り」でワイヤーが抜けてしまうでしょう。

まずは、取り付ける部分の寸法から。

※NSR-MC21 クラッチレリーズたいこ取り付け部。
※おおよその値。2.5㎜Φワイヤーが「2.5㎜ 巾の溝」を通ります。

次に、NSR純正のたいこ。

問題はワイヤー出口の「4.0㎜Φ×3.7㎜」のワイヤー保護部。
ワイヤーがリレーズで直接擦られないようにしている部分。

試作品でチェック。

・形はレバー側と同じ。8㎜Φ円棒を横にして使う。※6㎜Φ円棒では不安定。
・長さは取り付け部の11㎜より長くても取り付け部より出っ張るだけだからOK。
・ワイヤー保護部は外径4.0㎜Φ/内径3.0㎜Φの真鍮パイプで作る。
・保護部の長さは3.0㎜まで。
※本体と合わせて9.0㎜以下でないとはまらない。加工精度を考えて「8.0㎜以下」

円棒のワイヤー出口側は平坦に削る。
もう一方は溝を作ってワイヤーの笠を収める。

取り付けるとこのようになります。

c. 作り方と留意点

イ. 材料

・8㎜Φ軟鉄円棒/298円。※8㎜Φ真鍮丸棒がなかったため。
・6㎜Φ真鍮円棒は使わない。
・外径4.0㎜Φ・内径3.0㎜Φの真鍮パイプ。
・使ったキリは4.1㎜Φ。

ロ. 手順

●円棒の切り出し

両端面をできるだけ垂直にするのは同じ。

●ワイヤー出口側を平坦にして穴あけ

4.1㎜Φの霧で穴あけ。
ワイヤー出口の保護部になる4.0㎜真鍮円パイプをこの穴に通すため。
※穴開けは次の溝を作ってからでもよい。その方が削る部分が短くなる。
※穴は中心から少々ずれていてもよい。

● タテ溝を作る

溝を作ってから反対側から穴を開けた方がよい。
4.1㎜Φ キリは溝巾(2.6㎜)より広いので溝側からでは穴を開けられない。

ワイヤーが太い分だけ線が多いので、それを納める溝は深くする。(1/2まで)
軟鉄だから強度に心配はない。

溝が浅いとワイヤーがはみ出す。

● 4.0㎜Φ 円パイプを通す

円パイプをたいこ穴に通して、サンダーを溝に当てると円パイプが仮止めされる。
バイスに円パイプ 2.0㎜ を残してパイプを切断。
たいこの完成。

● 笠を作るときの注意

たいこから出たワイヤーは捻じって、

溝に納める。

たいこからはみ出たワイヤーはサンダーデ切り取り、端を押しつけて熱着させる。

アルミテープのマスキング、ワイヤーの表面処理、フラックス塗布。
引っ張って、「笠が溝に納まっていること」を確認して、ハンダへの漬け込み。

出来上がり。
純正のたいこと同等かそれ以上の強度があるでしょう。

ハ. 残された課題

たいこから出たワイヤーを捩じると、捩じった根元のワイヤーがほどけてしまう。
ほどけた根元部分は太くなるので、ワイヤー出口の保護部の円パイプ(内径3.0㎜Φ)を通らない。
その結果、ワイヤーの笠が浮き上がってしまう。

たいこから出たワイヤーを曲げるだけで捩じらなければ、ワイヤーがたいこの溝に納まらない。

「ワイヤー出口の保護部なし」でも問題はなさそうだが、やはり保護部はあった方がよい。

結局、4.0㎜Φパイプを2㎜長に切って、たいこをハンダ付けした後で取り付け。

ワイヤーの捩れが解けて、太くなっているのではめるだけで外れてこないようです。
心配ならエポキシ接着剤で留めればよいでしょう。
ただし、この部分が4.0㎜Φより太くなるとレリーズのたいこ取り付け部にはまらないので注意。

ニ. ワイヤーを通すたいこ穴の大きさ

同様のことが「ワイヤー太さとそれが通るたいこ穴」についても当てはまります。

一般に1.4㎜Φのワイヤーを通す穴は1.6㎜Φか1.7㎜Φ。
2.0㎜Φワイヤーでは2.2㎜Φ、2.5㎜Φでは2.7㎜Φ。
0.2~0.3㎜太いキリで穴を開けます。

これは、はみ出たワイヤーを曲げて笠を作る場合。
笠の根元のワイヤーの捩れがそれほどほどけない場合のこと。

頑丈なたいこするために、笠を溝に納める場合は「はみ出たワイヤー」をまとめなければなりません。
これをまとめるために捩じると、笠の根元もほどけて太くなる。
この太くなった部分がたいこの穴を通らないと笠が浮き上がってしまう。

このことは太いワイヤーほど当てはまるでしょう。
ワイヤーが通る穴をどれくらい大きくするかは一概に言えませんが、
もし、笠が溝から浮き上がる場合は穴を大きくすることが必要でしょう。

d. レリーズ側たいこ簡易版

ワイヤー出口の保護チューブを「あとからたいこの前にずらせてくる」のなら、
たいこに開ける穴は 4.1㎜Φ より小さくてもよい。
ワイヤーを通す穴が小さいほどワイヤーがしっかり留まるはず。

そこで、ワイヤーを通す穴を 2.8㎜Φ に。

タテ溝巾は 2.6㎜ くらいになる。 ( サンダーのデスク厚は 2.1㎜ )
溝側から穴を開ける場合、2.8㎜Φ のキリをそのまま立てると溝壁に『キュ~ッ』と食い込む。
キリを当てる所を拡げておく必要あり。( 写真上段。小さい回転砥石使用 )
溝の反対側の平坦面から穴を開けるのならそのままでよい。

ワイヤー入口 ( 写真下段 ) も、ワイヤーが入りやすいように穴を拡げておく必要あり。

写真、右下はレバー側のたいこ用。

★工夫★

2.4・2.5㎜Φ ワイヤーは 1.4,・1.5㎜Φ ワイヤーより格段に太く線量が多い。
( 取り扱いは 125㏄ とリッターバイクくらいの違いがあります。 )
笠を作る場合と笠を溝に納める場合にはそれなりの工夫が必要。

① 分けたワイヤーは左回り ( 半時計回り ・元のワイヤーの捩じり方向 ) に捩じる。
※右回りに捩じると元のワイヤーの捩れがどんどん解ける。

②溝に納めたあと、マイナスドライバーを当ててハンマーで溝に打ち込む。
※笠のワイヤー根元の捩れが少し緩んで太くなって、笠が浮き上がっている。

ワイヤーで作った笠が完全に溝の中に入っています。

この笠をハンダで固定するのだから「頑丈なストッパー」になります。

ハンダ漬けで「ワイヤー笠の入った溝」がハンダで全部埋まることはありません。
右下の部分にあとからハンダを盛っても、ヤスリをかけると剥がれてしまいます。

溝にこれだけハンダが埋まっていれば「笠がすぼまる」ことはないのでこれで充分です。
もし溝全体にハンダを埋めたければ、ハンダを溶かしてもう一度やり直すしかありません。

たいこの前へずらせてくる「ワイヤー保護チューブ」の長さは 2.0㎜+α。
3.0㎜ になるとレリーズの溝にはまりません。
もっとも、たいこをレリーズにはめてからずらせば長くてもOK。
しかし、エポキシ接着剤で留めてしまうと、レリーズ取り外すことができなくなります。
「4㎜Φ円パイプを 2.0㎜ 長に切り出す作業」は結構しんどいものです。

e. レバー側のたいこも8㎜Φの軟鉄円棒で

2.4・2.5㎜Φ ワイヤーを曲げたり捩じったりしていると「真鍮製のたいこで大丈夫なのかな?」
クラッチレバー側に準備していたのは「6㎜Φ の真鍮円棒で作ったたいこ」。
レバーのたいこ穴は「8.0㎜Φ+α」。
しかし、通常 6.0㎜Φ のたいこに「6㎜ → 8㎜カバー」を付ける。
これは、レバーたいこ穴の磨耗防止のためでしょう。

しかし、真鍮の 6.0㎜Φ 円棒でつくったたいこは見るからに「ひ弱」。
6.0㎜Φ 円棒でも軟鉄なら少し安心できる。
8.0㎜Φ の軟鉄円棒ならもっと安心できる。
「レバーのたいこ穴がどれだけ磨耗するか」も検証できる。
予定を変更。6.0㎜Φ 真鍮円棒で作ったレバー側タイコは没にして8㎜Φ軟鉄円棒で作り直し。

分けたワイヤーを左方向に捩じること、マイナスドライバーで溝に打ち込むことは同じ。

見栄えをよくしようと「ハンダ盛り → 削り」を繰り返していると、
ハンダが緩んで、かえって元の固定力が減少してしまう危険あり。
これだけハンダが埋まっていれば笠は完全に固定されているので心配無用。

たいこは軟鉄の8.0㎜Φで、たいこ穴にピッタリ。
「アルミのレバーたいこ穴がどれだけ磨耗するか」が楽しみ。

なお、ワイヤー穴をワイヤー出口溝と一致させるために「微調整削り」が必要になります。

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